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第181回東北市長会総会(2022/10/19)
 第181回東北市長会総会が令和4年10月19日に山形県山形市で開催され、本県から提出した次の議案が特別決議として採択されました。
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災からの復興に関する決議
3 新型コロナウイルス感染症対策の充実に関する決議


 本県提出の特別決議の内容は以下のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

 なお、各県から提出された議案については、東北の重要課題として、国に対し要望するとともに、加えて、昨今の原油価格の高騰及び急激な円安等によるエネルギー価格の高騰により、新電力事業者の経営破綻や新規契約受入が停止となっていることを鑑み、電力の安定供給と電気料金の抑制について、国が直接、主体的に取り組むように緊急要望することとしました。

 また、役員改選においては、来年度の東北市長会会長に木幡福島市長(新任)、副会長に三保二本松市長(再任)、常任委員に門馬南相馬市長(再任)、監事に白石田村市長(新任)、実行委員に遠藤喜多方市長(再任)の就任が満場一致で承認されました。


 東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議
 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和4年8月現在で、福島県民だけでも2万9千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 また、国は、令和3年4月13日、汚染水から放射性物質の大部分を除去した「ALPS処理水」を2年程度の準備期間を経て、海洋放出により処分する方針を決定したが、今後、処理水が海洋放出されれば、水産業等への風評被害の発生は必至であり、甚大な影響が憂慮される。
 よって、国は、被災地の一日も早い復旧・復興を実現するとともに原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。
 


 
1.原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1)避難者の帰還環境の整備に加え、新たな活力を呼び込むための福島再生加速化交付金(帰還・移住等環境整備(移住・定住促進事業))について、十分な財源を確保し、復興の進度など地域の実情に応じた柔軟かつきめ細やかな対応を行うこと。
 また、令和8年度以降においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
(2)放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、心のケア、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想さるのため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3)子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金について、十分な財政措置を講じること。
 また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12市町村から避難者を多く受け入れるなど当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
(4)原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について財政措置を講じること。
(5)避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し課題解決に努めること。
(6)全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで避難者名簿が正確性を欠き居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう必要な見直しを図り、実効性を確保すること。

2.放射性物質の除染対策について
(1)福島県内においては、8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等について、埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し安全かつ早期に輸送を完了させるとともに、その計画の遅延、変更等が保管する自治体の事業運営に支障をきたす場合には、速やかに対策を講じ、搬出に係る支援や保管場所の確保等の協力を行うこと。
(2)指定廃棄物の長期保管に伴い、放射性物質濃度が8,000?/kg以下に減衰しても、これまで国の指示のもと長期保管を強いられてきた地域感情を考慮し、指定解除することなく国が責任を持って最終処分するとともに、市町村が実施する8,000Bq/kg以下の廃棄物の再資源化及び通常の埋立方法を可能とする中間処理に対して、柔軟な対応と財政支援を講じること。
(3)除染実施計画に基づく除染は完了したが、今後人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について継続した支援策を講じるとともに、将来的に国の責任において除染を実施すること。
(4)「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づく「汚染状況重点調査地域」に指定され、除染対象とされた区域から生じた除去土壌の処分基準を定める省令の早期策定とともに、その処分先の確保について、国が主体的に責任を持って対応すること。
 また、指定解除後に放射性物質汚染が発見された場合や住民の放射線に対する不安払拭のため引き続き線量低減作業等が必要な場合など除染事業完了後に新たに発生した事案等に対し、国の責任において迅速かつ確実な除染等の対応ができる体制や制度の構築を図ること。
 また、学校施設の校庭などに埋設一時保管している除染土の処理基準を早急に明らかにすること。
(5)原子力災害からの復興・再生及び避難住民の帰還を加速させるため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化のため十分な整備予算を確保するとともに、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
(6)仮置場の原状回復などに必要な予算の確保に万全を期すとともに、仮置場や仮設住宅用地等での利用を終えた後、当該用地又はその近隣用地に地域住民の福祉向上に資する施設等を整備する場合について、財政措置を講じること。
 また、仮置場造成のために設置した調整池等の災害予防施設の維持管理費用について、財政措置を講じること。
 また、農地への原状回復において、従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における損失について財政措置を講じること。
 また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、返還後の用途が定まらない場合は、農地への原状回復を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応すること。
(7)搬出困難な現場保管除去土壌について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計を行うとともに、国の責任において最後まで対応すること。
(8)除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり周知、広報等を図り制度の充実を図ること。

3.廃炉・汚染水対策について
(1)廃炉対策について、度重なるトラブル等により、度々重要作業の工程延期等の問題も発生していることから、国内外からの英知を結集し、国が責任を持って安全かつ確実に完遂すること。
(2)ALPS処理水の処分については、海洋放出の方針について、海洋放出以外の処分方法も引き続き検討するとともに、安全性に加えて財源も含めた体制等具体的かつ水産業をはじめとした関係各産業への新たな万全な風評対策とその効果等を早急に明示し、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう検討すること。
(3)ALPS処理水からトリチウムを分離する技術の確立に向けて積極的に検証を進めること。
 また、放射性物質の測定にかかる費用については、令和4年度以降も国の予算措置を継続すること。

4.放射能教育について
(1)国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策について国を挙げて取り組むこと。
(2)国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。

5.原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1)住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、最高裁判所の決定により複数の控訴審判決が確定したことを受けて、早急に原子力損害賠償紛争審査会を開催し、確定した判決の内容について、「指針」における基準や東京電力がこれまでに行ってきた賠償との比較等も含めた具体的な分析を行うこと。
 また、多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって迅速、公平かつ適正に賠償がなされるべきとの考えの下、審査会において、当県の現状や判決の具体的な分析を踏まえた上で、混乱や不公平を生じさせないよう「指針」の見直しを含め適切に対応すること。
(2)確定した判決の内容を踏まえ、東京電力に対し、改めて、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応するよう指導すること。
 また、東京電力においても、原子力災害の原因者としての自覚を持って、確定した判決の内容を精査し、同様の損害を受けている被害者に対しては、直接請求によって公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 また、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応させること。
(3)原発被害を県境で区別せず、適切な損害賠償・費用負担を行うことともに、市町村からの賠償請求に対し、迅速に支払いに応じるよう、国が東京電力に強く指導監督すること。
 また、ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信はもとより、万全な風評対策を早急に示した上で、そうした対策や将来に向けた実効性のある事業者支援策等を確実に講じること。それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実になされるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応し、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、早急に具体的な賠償の枠組みを示すこと。
 これに際しては、損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続きなどを含む、客観的で分かりやすい賠償の枠組みを事業者や関係団体等に早急に示した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
 また、原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業、観光業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
 また、風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあることから、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により迅速に対応するとともに、その具体的な手法を明示すること。
 原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針の決定による様々な状況変化を捉え、具体的な調査等をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。
(4)農林水産業に係る営業損害については、依然として風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
 また、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。
 また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(5)商工業等に係る営業損害については、一括賠償について、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
 また、商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
 また、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(6)原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(7)原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(8)多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(9)市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(10)放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされたことによる平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(11)自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(12)原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
 また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(13)自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(14)自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(15)原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(16)全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導するなど、消滅時効について適切に対応すること。
 また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。
6.住民の健康確保等について
(1)原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。
 また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2)原発事故による風評の影響により医療人材が不足している被災地において、地域医療再生基金など医療人材確保のための医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
 また、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、医師の高齢化に伴う医業継承者の確保に向けた財政支援を講じること。
(3)原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を継続すること。
(4)全ての被災者の健康の確保、特に子供たち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5)内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6)県民健康調査における甲状腺検査では甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められないこと、国連科学委員会(UNSCEAR)が公表した市町村別推計甲状腺吸収量とがん発見率に関連がみられないこと等から、原発事故による放射線の影響とは考えにくいと評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7)長期にわたり18歳までの医療費無料化を行うこと。
(8)外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(9)原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加しているが、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10)震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子供のための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11)リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。
 また、リアルタイム線量測定システムが設置されている施設等において、施設の建て替え等に伴い当該機器の一時移設を依頼するものの、「施設の自己都合」として原子力規制庁が費用を負担しないことが散見されることから、こうした負担を被災地に押しつけることなく、設置者である国が責任をもって丁寧に対応すること。

7.農林水産業への支援について
(1)福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性や魅力をPRする広報活動を展開すること。
(2)福島県産農林水産物の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業に対し、長期的な財政措置を講じること。
(3)原発被災地におけるイノシシによる被害については、年々拡大し、イノシシ自体が生息域を広げながら繁殖を続けている状況下においては、単一の市町村だけでの対策では限界があることから、国が主体となり、広域的な対策(駆除、防除及び処分等)を行うこと。
 また、「有害鳥獣捕獲事業」についても、捕獲したイノシシの放射性物質の濃度が基準値を超えているとして未だに出荷制限の対象となっており、埋設あるいは解体を経ての焼却処理をしなければならない状況にあることから、年々増加する捕獲頭数に比例して、解体後の処理の費用も増加しているため、解体せずに処分可能な減量化処理施設への全額補助など、猟友会や農業者をはじめとした地域住民の負担軽減に向けた施策に加え、出荷制限の解除を行うこと。
 また、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。特に、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
 また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場の整備等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。
(4)原発事故によりシイタケ等の原木等の出荷が制限されている地域において、20年先を見据えた森林資源の利活用・地域再生に向け、森林整備に関する事業について十分な予算を確保するとともに、事業実施体制の維持・強化のため人的支援を行うこと。
 また、東京電力ホールディングス株式会社に対し、地元産原木が利用できないことにより生じた原木購入費の掛り増しについて、新規参入者と規模拡大意向者への賠償範囲の拡大、立木等にかかる財物補償の実施及び山菜・野生きのこ類の出荷制限による損害を受けた産直組織等が行う請求事務について、簡素化等により、生産者の負担にならない賠償請求事務が行えるよう強く指導すること。
(5)原発事故の影響もあり耕作放棄地が増加していることから、自治体においては独自に耕作放棄地解消を目的として農業者が作付を行う場合に対する補助を行っているが、国においても支援を行うこと。
(6)被災地域の中山間地域における農地復旧については、従来のほ場整備事業のような面積要件を満たせず、未整備のままとなっていることから、小規模な農地においても福島再生加速化交付金の対象とするなど被災自治体と連携を図りながら十分な財政支援を行うこと。
 また、原子力被災地域においては、園芸作物・畑作物の振興を推進しているところであるが、担い手不足や風評被害対策、出口戦略など、課題が山積している状況であることから、被災地域全体の園芸作物・畑作物の振興が図られるよう、被災自治体とも連携を図りながら、十分な財政支援を行うこと。
(7)農林業系汚染廃棄物の処理加速化事業をその処理が終了するまで継続するとともに、農林業系汚染廃棄物の適切な処理の促進と最終処分までの適切な保管を継続するため、現場の実態に応じて財政的・技術的支援を継続すること。
(8)原発事故の影響もあり浜通り地域では、全国に先んじて農業担い手の高齢化や減少が急速に進行しており、新たな農業の担い手の確保が急務であることから、日本の農業をリードする農業人材を育成するための教育・研修施設の整備も含め、農業人材育成に係る取組について十分な財政支援を行うこと。
(9)原発事故の影響により、営農を休止していた旧避難指示区域等の地域においては、現在営農の再開に向けて生産基盤の再生や担い手の確保などに取り組んでいるところであるが、営農再開に取り組む過程で農地除染やほ場整備により作土の入替えが行われたことなどにより、飼料用米の作付けが多くなり、かつ主食用米の作付けが3割に満たない厳しい状況にあっても、全国一律のルールで飼料用作物等への更なる転換を求められている。
 また、福島県において令和3年度の飼料用作物等への転換が大幅に拡大したにも関わらず、令和4年度の県への配分額を据え置き、結果として原子力被災地域への産地交付金の配分額が大幅に減額され、復興の妨げになっていることから、原子力被災地域への配分額が減額とならないよう交付単価を引き下げないこと。
 また、原子力被災地域の農業再生を成し遂げるため、具体的なビジョンやロードマップ等を早急に策定するとともに、ビジョンやロードマップに基づき、原子力被災地域の農業再生に向けて、農業人材育成に係る取組や営農再開に取り組む農業者の経営基盤が確立されるまでの所得支援など、被災自治体とも連携を図りながら、原子力被災地域に寄り添った新たな支援制度の創設やそれらに伴う必要な財源を確保するなど、あらゆる面で前面に立ち、責任をもって取り組むこと。

8.産業の流出防止と支援について
(1)津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、依然として工場等の増設が不十分な地域もあることから、重点化された地域のみならず、その他の地域においても支援を継続するとともに、工業団地整備及び産業集積拠点を結ぶインフラ整備に係る費用を対象とすること。
(2)風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大等の取組を拡充し、継続すること。
(3)風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの開催・誘致・施設整備、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4)風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じること。
 また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5)復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。

9.新たな産業と雇用創出の支援について
(1)福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うこと。
 また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
 また、系統連携に必要となる系統の容量確保のため、系統増強に必要な発電事業者及び一般配送電事業者が負担すべき費用に対する財政支援を行うこと。
 また、避難指示区域が解除された区域においては、原発事故に伴う避難指示の影響により空き地が増え、復興の過程で土地利用が定まっていく隙間をつくかたちで市街地や農地等に、太陽光発電設備が無秩序に設置され、本来であれば高圧太陽光発電設備(50KW以上)のものが、低圧太陽光発電設備(10〜50KW未満)として、分割して国にFIT認定申請されていると考えられる事案が散見されており、復興の妨げになっている。
 また、非FIT案件についても令和4年4月の電気事業法施行規則の改正でFIT法同様の分割案件に係る設置規制が設けられたものの、国に対する申請行為自体が発生しないため、FIT案件以上に意図的な分割案件に対する規制が難しくなっている。
 今後、さらに非FIT案件が増えることが見込まれることから、FIT法及び電気事業法の分割案件について、「発電事業者」又は「登記簿上の地権者」が同一の場合に加え、産業用太陽光発電の施工販売を行う事業者が、隣接した土地などにおいて、複数の太陽光発電を販売する目的で設置する場合も分割案件の対象とするなど、FIT制度の根本的な問題点を解消するため、FIT認定に係る審査基準の見直しや審査の厳格化など実態を踏まえた対策を早急に講じること。
(2)福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
(3)国はカーボンニュートラル宣言やグリーン成長戦略を策定し、脱炭素に向け再生可能エネルギーの主力電力化への取組を強化することとし、特に、風力発電については洋上風力産業ビジョン(第一次)を取りまとめ、魅力的な国内市場形成等を基本戦略として位置付けているが、中長期的に継続的な市場を形成するためには、低風速海域での市場形成が必要であることから、低風速海域である福島県沖での事業化に向け検討・開発を進めること。
(4)創造的復興を実現するため、国は、浜通り地域だけでなく、高速交通網を生かし、より広域的に関連企業の誘致や先端産業の集積を図るとともに、福島県立医科大学や福島大学との連携を強化しながら福島イノベーション・コースト構想を推進すること。
 また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(5)福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、コロナ禍においても新生活様式など感染症対策を講じたワールドロボットサミット2020の後継事業や当該競技大会に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(6)ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。
 また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」など被災事業者の帰還・再建を促す支援の継続と十分な予算を確保すること。
 また、浜通り地域の創造的復興の実現に向けては、引き続き、幅広い業種において設備投資や雇用等を支援する必要があるため、福島復興再生特別措置法に基づく、避難指示解除から7年以内とされている事業再開や企業立地促進に係る税の優遇措置(企業立地促進税制)の認定・確認期限を延長すること。
(7)令和4年3月に基本構想が策定され、国において組織・運営、施設・立地の具体的な内容や機構の設立や研究開発等、機構及び立地に係る今後のスケジュールが示された福島国際研究教育機構について、浜通り地域が一体となり面的な拠点形成することが重要であることから、福島ロボットテストフィールドとのより一層の相乗効果が期待できることや、産業ポテンシャル等効果的に活用されるとともに、この効果が地域全体に波及するよう、地域の実情に即した検討を進めること。
 また、安定的な運営ができるよう国が責任を持って財源を確保すること。
(8)福島国際研究教育機構における研究開発の産業化にあたっては、福島県内全域における研究開発成果の社会実装化や新産業創出の早期実現を図るため、対象地域を浜通りに限定することなく、中通りや会津地方を含めた福島県内各地域へのサテライトオフィスの設置や情報交換の場の設定など、技術開発・実証等に積極的に取り組む企業や自治体等との産学連携に向けた具体的な体制構築を検討すること。
(9)福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。

10.原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1)避難指示区域等における被保険者等の一部負担金及び保険料(税)等の免除措置に係る財政支援が見直され、令和4年度を周知期間とし、令和5年度以降における保険料の免除措置に係る激変緩和措置と一部負担金等の免除期間が示されたところであるが、一部負担金等免除措置の財政支援の見直しによる医療費等への負担増により、受診控えが生じ住民の健康維持確保が損なわれることが懸念されることから、高齢者をはじめとした被災者のヘルスケアに係る支援制度の創設及び財政支援を講じること。
(2)避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、令和5年度以降も継続すること。
(3)母子避難者等に対する高速道路無料措置に関する事務については、国が主導的に進めるべきものであることから、当該業務を市町村に実施させる場合は、明確な根拠を示し、人件費や事務費等の経費について、国が責任をもって負担すること。
 


東日本大震災からの復興に関する決議
  東日本大震災から11 年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


 1.復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1)現在未利用地となっている防集移転元地等については、第2期復興・創生期間に入り、沿岸部のハード事業及び防集事業による土地の買取が完了したが、埋没支障物の除去や周辺道路との高低差解消のための盛り土など、将来的に必要となる最低限の基盤整備費用が大きな負担となっており、利活用の検討が進まない要因の一つとなっていることから、未利用地活用の具体的な計画策定に積極的に取り組めるよう、土地の基盤整備に活用できる新たな財政措置を講じること。
(2)災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

2.被災者の生活再建支援等について
(1)震災以降の心のケアが必要な児童生徒に対して、よりきめ細かな教育を実現し、豊かな教育環境を整備するため、加配教員による支援を継続すること。
(2)震災によるPTSDを抱える児童生徒への対応等について、長期的な支援が必要不可欠であることから養護教諭も含めた加配の充実を図ること。
(3)被災児童生徒就学支援等事業について、令和5年度以降も全額国費による支援を継続すること。
(4)被災者の孤立防止のための地域での見守りやコミュニティの活性化、心のケアを含む健康支援等の各種支援施策を被災自治体や被災者支援団体等が継続的、安定的に実施できるよう、被災者支援総合交付金の交付期間の延長またはそれに代わる補助金等の新設等、必要かつ十分な財政支援を長期的に行うこと。
(5)東日本大震災災害公営住宅家賃対策事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11年目から20年目は補助率が5/6から2/3と引き下げられることとなったが今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(6)津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図ること。

3.地域産業の復興・再生及び公共施設等の復旧支援について
(1)避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2)津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3)災害時の代替路確保や救急搬送時間のさらなる短縮、物流の向上による産業復興等に向けた円滑な道路交通ネットワークの実現は福島復興に不可欠なものであることから、令和8年度までに開通の見通しである国道13号福島西道路の南伸を確実に行うこと。
(4)復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、運行本数の増便や運行時刻の見直しを行うとともに、Suicaについて、首都圏エリアと仙台エリアをまたぐ利用を可能とすること。
(5)東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
 また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。
(6)農業集落排水事業の廃止に伴い滅失を行う施設について残存する債務の償還を免除する制度の創設を検討すること。
(7)防災集団移転元地の活用について、多額の財源調達が必要となり、第2期復興・創生期間の課題であることから、復興庁の「ハンズオン型ワンストップ土地活用推進事業」等の支援策を継続するとともに、防災集団移転元地の土地利用を推進できる新たな補助制度を創設するなどの財政措置を検討すること。
(8)被災地の自立に向けて、先進技術の導入や地域資源の活用等により産業・生業や教育・研究を振興し、交流人口・関係人口や移住者の拡大を図り、魅力あふれる地域を創造するため、被災地への新産業の集積や教育・研究機関の誘致について、国が主体となって特段の措置を講じること。

 
新型コロナウイルス感染症対策の充実に関する決議
 新型コロナウイルス感染症は、日本の社会経済活動に大きな影響を及ぼしており、感染の収束は未だ見通せない状況にある。
 地域経済においては、コロナ禍に加え、原油価格や原材料価格など様々な物価が高騰し、飲食業、宿泊業、旅客運送業など、事業者においては深刻な経営状況が継続しており、更なる支援策が必要となっている。
 また、地域医療においては、受診控えによる患者数の減少や院内感染防止対策等の対応により経営への影響が生じており、地域医療の継続性にも課題が出てきている。
 このような中、各自治体においては、感染対策の決め手となるワクチン接種の迅速かつ円滑な実施に努めるとともに、地域経済の維持・回復と、市民の安全安心な暮らしの確保に最大限取り組んでいるところであるが、今後においても、重ねて感染再拡大が予測されるところであり、コロナ対策は最優先に取り組むべき課題である。
 よって、国においては、新型コロナウイルス感染症対策に関し、更なる感染症予防対策とともに、社会経済活動の着実な回復に向け、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。 


 
1.新型コロナウイルス感染症への対応について
 新型コロナウイルス感染症への対応については、これまでの経過や今後の予測についての分析を踏まえ検討すること。

2.地方自治体における執行に配慮した制度の構築について
 新型コロナウイルス感染症対策として講じられる様々な政策については、地方自治体が迅速かつ円滑に執行することが求められているが、国はその政策を決定する際において、地方自治体が執行するために必要な先の見通しなど具体的な情報を早急に示すとともに、できる限り地方の実情に応じた執行を可能とする制度とすること。
 また、実務を担う現場の事務負担の軽減にできる限り配慮したものとすること。

3.新型コロナウイルスワクチン接種の円滑な実施について
(1)ワクチンの供給スケジュールや接種対象者等、計画策定や体制整備に必要な情報を具体的かつ早期に明示するとともに、自治体に財政負担が生じないよう、引き続き全額国費による財政措置を講じること。
 特に、オミクロン株に対応したワクチン接種が開始となることから、事務運用に混乱が生じることのないよう特段の配慮を行うこと。
(2)自治体が求めるワクチンの必要量を確実に確保し、安定的に遅滞なく供給すること。
特に、住民が希望するファイザー社ワクチンの供給が見合っていないことから、国において必要な対策を講じること。
(3)数次にわたる新型コロナワクチン接種事業において、ワクチンの種類や接種対象者等の取扱いが接種毎に異なることにより、自治体に混乱が生じていることを踏まえ、今後のワクチンの接種事業の在り方に係る方針等を早期に示すこと。
(4)接種者が安心して接種を受けることができるよう、国民に対してワクチンに関する正確な情報提供を通じて接種勧奨を図るとともに、国民の生命及び健康を守るために主体的に取り組むこと。特に、小児接種に使用するワクチン及び追加接種における交互接種の有効性・安全性に関する情報を分かりやすく積極的に提供すること。
(5)新型コロナワクチン接種の副反応による健康被害が生じた際は、接種の過失の有無に関わらず国の責任により、速やかに救済すること。
 また、現在、健康被害救済措置について判定に至らない事例があることから、症状とワクチンとの因果関係の疑いが否定できないものも含め、接種を推進する国の責任として速やかに幅広く救済すること。

4.地域医療体制の確保と財政措置等の充実について
(1)十分な医療提供体制が維持できるよう、病院間の支援ネットワークや医師・看護師等の派遣などの医療人材の確保について、国・都道府県・市町村が連携した広域的な支援体制を構築するとともに、重症患者の搬送に必要な感染防止資機材や搬送に係る車両、人員等の体制強化について十分な財政措置を講じること。
(2)受診抑制等による外来患者数の減少・手術の延期及び感染症対策等によって、公立・公的病院等の経営が圧迫されていることから、地域医療を守る公立・公的病院等の安定的経営を確保すべく、必要な財政措置を講じること。
 また、同様に経営面でも厳しい状況に置かれている民間医療機関や介護事業者への支援を行うこと。
(3)感染拡大防止策を担う保健所について、保健師や臨床検査技師等の人材不足が課題となっていることから、人材確保に係る支援措置を講じるとともに、体制強化に資する十分な財政措置を講じること。
(4)最前線で奮闘している医療・介護従事者等への給付等、引き続き必要な支援を講じるとともに、支援策の拡大など医療現場に寄り添った施策を講じること。
(5)感染症法における取扱いの変更(緩和)を視野に入れ、地域の医療機関における外来での診療体制の整備に対する財政支援を行うこと。
(6)国産ワクチン・治療薬等の一日も早い実用化に向け、研究開発を行う企業に対し、重点的な支援を行うとともに、科学的知見に基づき早期に承認し、十分な量を供給すること。
また、新たなワクチン・治療薬等に関する正確な情報の迅速な発信に努めること。
(7)感染症指定医療機関や入院協力医療機関等の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院では、病棟の一部の病床を感染症患者に充てる場合であっても、院内感染を防ぐために病棟全体を感染症患者専用とせざるを得ず、大幅な減収となってしまうため、減収分の補填のため、以下の点について引き続き地域医療の実情に応じたさらなるきめ細やかな財政措置を講じること。
 1)診療実績に応じた診療報酬の増額を十分に行うこと。
 2)新型コロナウイルス感染症患者及びその疑いのある患者を受け入れるに当たり、
   一般病床・療養病床を問わず、継続して病床を整備した時点に遡及して財源措置を
   行うこと。
 3)医療従事者への危険手当支給に対して財源措置を行うこと。
 4)診療材料等の価格高騰に対する助成を行うこと。
 5)新型コロナウイルス感染症患者のアセスメント外来における、診療報酬の十分な
   増額を行うこと。
(8)介護が必要な高齢者を受け入れた場合、防護具を着用した状態で日常生活の介助を行う必要があり、看護師の負担は非常に大きいものがある。よって国は、ADL(日常生活動作)区分に基づく診療報酬上の評価を新たに措置するなど必要な財政措置を講じること。

5.医療資器材の確保等について
(1)安全な医療提供体制維持のために、医療用マスクやガウン、手袋等の防護服や人工呼吸器等の医療用資器材に不足が生じないよう、医療機関の求めに応じて必要な数量を確保できるようにすること。
 また、医療機関が医療用資器材を適正な価格で安定的に調達できるよう供給体制を確保すること。
 特に、感染症指定医療機関に対しては、優先的かつ安定的に必要数が供給されるよう、万全の対策を講じること。
(2)救急搬送を担う救急隊等が使用するマスクや手指用消毒液、感染防止衣等の感染防止資器材については、これまで消防機関が調達し、隊員の感染防止策を講じてきたところであるが、感染拡大による対応の長期化に伴い、その経費が大きな負担となっていることから、感染防止資器材等の必要な数量確保のための財源措置を講じること。

6.社会福祉等に関する支援について
(1)新型コロナウイルス感染症に感染する等した国民健康保険被保険者に支給される傷病手当金について、支給対象をフリーランスや自営業者などにも拡大するとともに、対象期間の延長を早急に検討すること。
(2)新型コロナウイルス感染症の影響によりひとり親世帯や減収により生活が困窮するなど厳しい状況にある人が増えていることから、その現状に応じた社会保障制度の拡充を図るなど、生活支援策を講じること。
(3)新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る令和4年度の国民健康保険料及び介護保険料の減免についても、令和3年度までと同様全額国費負担とするよう、財政支援の拡充を図ること。
(4)在宅介護家庭において、介護の担い手が新型コロナウイルスに感染した際の介護サービスについて、あらかじめ協力事業者を確保するなどサービス確保に努めるとともに、事例発生時に適切な対応を行うこと。
(5)医療従事者や介護サービス従事者に対する支援を講じる際は、新型コロナウイルスの感染が拡大する状況でも、社会機能の維持に必要不可欠なものとして業務を続けている児童福祉施設、放課後児童クラブ等の職員に対しても、同様の支援及び財政措置を講じること。
(6)子育て世帯において、保護者が新型コロナウイルスに感染した際の対処について、児童相談所の機能を強化するなど体制の整備を進めるために必要な財政措置を講じること。

7.地域経済に関する支援について
(1)国は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用の有無や業種に関わらず、公平な支援策を講じること。
(2)国は、セーフティネット貸付制度の拡充、経営相談や資金繰り支援などの各種支援策により、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化と経営環境の整備を支援しているが、事業者の経営に対する影響は広範囲かつ甚大である。併せて、新型コロナウイルス感染防止を想定した「新しい生活様式」への対応やDX・GXの推進など新たな事業活動に取り組む必要があり、経済の回復には多くの時間を要することから、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
 また、新分野展開や業態転換等に取り組む事業者への充実した支援を継続すること。
(3)金融機関に対し、資金繰りに苦慮している事業者に対する速やかかつ新たな資金提供または経営改善支援を継続するとともに、融資の返済猶予・返済負担の軽減について柔軟な対応を講じるよう働きかけること。
 また、自治体が独自に実施する事業者支援策に要する経費に係る財政支援を継続すること。
(4)地域経済を立て直すため、事業復活支援金及び家賃支援給付金事業を検証し、「全国を対象とした」「事業規模に応じた」中小企業・個人事業者の事業継続を下支えする支援策を今後も講じるとともに、事業者に対する各種支援金等の充実を図ること。

8.雇用対策等について
(1)新型コロナウイルス感染症による影響の長期化を勘案し、雇用調整助成金における特例措置水準の維持と緊急対応期間の延長について、柔軟に対応すること。
 また、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症及びコロナ禍における原油価格・物価高騰等が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2)雇用を維持するため、新卒者の内定取消しや非正規労働者の雇止めを行わないよう、企業に対し要請するとともに、国による相談支援体制を強化すること。
(3)休業支援金をはじめとする国の雇用施策について、支援制度の柔軟な運用と事業主への指導の強化のほか、労働者への周知徹底を図ること。
(4)持続化給付金等、国が事業主及び労働者等の雇用維持への支援の観点から、助成する給付金等について、法人税等の非課税所得とすること。
(5)「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業」に該当し、地方自治体が家計・生活支援、事業主等への支援の観点から、住民・事業主に支給する給付金等について、所得税の非課税所得とすること。
(6)円安や不安定な世界情勢を受け、燃油価格の高騰等の影響が農林水産業、運輸業などの幅広い業種の事業者に及ぶ中、地域の中小企業の事業継続のため、事業者に対する持続化給付金等の支援の他、加工原料の輸入コストに係る支援制度の創出、電力の「最終保障供給制度」の見直しなど安定的かつ継続的なエネルギー施策を講じること。

9.観光産業等への支援について
(1)売上等に甚大な打撃を被った観光・運輸業、飲食業等を対象とした観光需要喚起策において、自治体及び事業者等の現場の意見を踏まえ、継続的な支援を行うとともに、アフターコロナにおける需要の復活から自立的な経営ができるまで、国内外の旅行喚起や観光資源の磨き上げなどに係る支援を継続すること。
(2)緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置適用などにより、不要不急の外出自粛と飲食店等への営業時間短縮の要請が出されてきたことから、キャンセル等により宿泊、飲食、土産物店等の観光関連事業者や、コンベンション関係事業者は大きな損失を受けており、事業者に対して手厚い経営支援を行うとともに、GoToトラベル事業等感染状況を踏まえた適切な入込回復支援を速やかに再開し、ワーケーションや滞在型旅行の促進など新たな旅行スタイルが定着するまで継続すること。
 また、安全・安心な観光客の受入環境を整備するとともに、デジタル技術を活用したMICEの開催に必要な施設環境整備に対する支援を行うこと。
(3)観光施策の推進であるが、地域経済の回復に向け、感染状況に応じた観光促進策を行うとともに、現在、自治体ごとの宿泊割引や、地域クーポンの支給により、観光消費額の底上げを行っているが、限られた予算の中で事業展開を行う事は難しいことから、引き続き自治体への財政支援を講じること。
 また、宿泊割などの間接支援とは別に、観光関連事業者を対象とした、直接支援となる電気、ガス、水道などの経常経費の実額補助制度を創設すること。

10.生活インフラ等に関する支援について
(1)地方においては、低迷した地域経済を回復させるために、公共事業による景気の下支えが必要であることから、道路網の整備、国土強靱化など社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
 併せて、地域経済の回復を効果的に促進するため、使途を限定せず自治体の裁量で公共事業へ充当できる交付金制度を創設すること。
(2)新型コロナウイルス感染症への対応を契機とする新しい生活様式に合わせ、行政手続きのオンライン化や行政サービス業務においてICT技術の導入を推進するとともに、建築物において接触を低減させる等、感染リスクを減らすための改修等に係る財政措置を講じること。

11.公共交通等への支援について
(1)路線バス運行事業者への支援であるが、路線バスは、モータリゼーションの進展や高齢化及び人口減少等の進行に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、リモートワークの普及等による生活様式の変化により、利用者が著しく減少している。路線バス運行事業者の経営状況は急激に悪化し、新型コロナウイルス収束後においても、事業を継続できるよう財政的な支援が必要な状況となっていることから、国は地域住民にとって必要不可欠な公共交通である路線バスの維持確保のため、路線バス運行事業者の経営支援を行なう新たな制度を構築するなどの支援体制を強化すること。
(2)利用者の減少により影響を受けているバスやタクシー、地下鉄、離島航路などの地域公共交通事業者に対して、安定経営に向けた積極的な支援を講じること。
(3)団体旅行や企画ツアーの激減の影響を受けている観光バス事業者に対し、アフターコロナを見据え、事業継続のための支援策を引き続き講じること。

12.地方財源確保及び自治体への財政支援等について
(1)新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況になることが見込まれる中、地方創生への積極的な取組をはじめ、社会保障関係経費、防災・減災対策を含めた社会資本整備経費など、自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保すること。
(2)新型コロナウイルス感染症に対して地方が機動的に施策を展開できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金における「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を含めた各種対策など自治体が必要とする財源を十分に確保するとともに、地域の実情に応じた柔軟で弾力的な運用を図ること。
 また、国は令和4年度予備費分の配分残額を、都道府県のみならず市町村に対しても早期に追加配分するとともに、令和4年度補正予算の編成により、市町村が柔軟に活用可能な新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を増額すること。
(3)地方交付税の財源である所得税、法人税等の減収が想定されることから、当該減収分については、国の責任において財源を補てんし、自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額及び地方交付税総額を確保すること。
(4)新型コロナウイルス感染症に関するワクチン接種などの緊急対応策の実行に際して必要となる地方負担はもとより、今後新たに必要となる地方負担についても、地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、適切な財政措置を講じること。特に、長期化も見据えた対応として、令和5年度以降についても継続的な財政措置を講じること。
(5)施設の利用低迷等が続いており、公共施設を運営する地方自治体の入場料収入や施設使用料の事業収入が減少していることから、事業収入減収に伴う地方自治体への財政支援措置を講じること。
(6)公平な課税等を行うため、各種給付金が課税所得とみなされる場合があることにかんがみ、当該給付金については確定申告が必要であること等について、国民に対して一層の周知を図るとともに、給付金等の原資は税であり、各種給付金の受給者情報については、課税客体となりえることから市町村と共有するなどの措置を講じること。

13.インフルエンザ予防接種費用の助成について
新型コロナウイルス感染症の治療薬は開発承認されているものの、地域の医療機関の負担軽減のために、インフルエンザの罹患者を減らし重症化を予防する必要があることから、任意接種となっている若年層のインフルエンザ予防接種費用の補助制度を創設すること。




第92回全国市長会議(2022/6/1)
第92回全国市長会議が東京都で開催され、次の6議案について決議等を行い、その他支部より提出のあった要望事項について、国に対し要請することとしました。
また、役員改選により会長に立谷相馬市長が3選されました。また、相談役に鈴木白河市長(再任)、理事に室井会津若松市長(再任)、評議員に品川郡山市長(再任)、木幡福島市長(再任)、内田いわき市長(新任)が就任いたしました。
また、永年勤続功労者(在職12年)として高松本宮市長が表彰されました。
なお、詳細については全国市長会ホームページを御覧下さい。

1.新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
2.ポストコロナを見据えた地域経済・雇用対策の充実に関する決議
3.東日本大震災からの復興及び福島第一原子力発電所事故からの復興等に関する決議
4.国土強靱化、防災・減災対策等の充実強化に関する決議
5.デジタル社会における新たな地方創生の実現に関する決議
6.都市税財源の充実強化・地方分権改革の推進に関する決議


第180回東北市長会総会(2022/5/12)

全国市長会会長挨拶をする立谷相馬市長
第180回東北市長会総会が山形県山形市で開催され、本県から提出の議案として、
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災からの復興に関する決議
3 新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
が特別決議として採択されました。

本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和4年3月現在で、福島県民だけでも3万2千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 また、国は、令和3年4月13日、汚染水から放射性物質の大部分を除去した「ALPS処理水」を2年程度の準備期間を経て、海洋放出により処分する方針を決定したが、今後、処理水が海洋放出されれば、水産業等への風評被害の発生は必至であり、甚大な影響が憂慮される。
 よって、国は、被災地の一日も早い復旧・復興を実現するとともに原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。



1.原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 避難者の帰還環境の整備に加え、新たな活力を呼び込むための福島再生加速化交付金(帰還・移住等環境整備(移住・定住促進事業))について、十分な財源を確保し、復興の進度など地域の実情に応じた柔軟かつきめ細やかな対応を行うとともに、風評払拭に向け新たに創設された福島再生加速化交付金(福島定住等緊急支援(地域魅力向上・発信支援事業))について、規模や内容等に応じた上限額の設定や地域の実情に応じた取組を幅広に対象とするなど拡充を図ること。
 また、令和8年度以降においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
(2) 放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想さるのため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金について、十分な財政措置を講じること。
 また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12 市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12市町村から避難者を多く受け入れるなど当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
(4) 原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について財政措置を講じること。
(5) 避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し課題解決に努めること。
(6) 全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで避難者名簿が正確性を欠き居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう必要な見直しを図り、実効性を確保すること。

2.放射性物質の除染対策について
(1) 福島県内においては、8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等について、埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し安全かつ早期に輸送を完了させるとともに、その計画の遅延、変更等が保管する自治体の事業運営に支障をきたす場合には、速やかに対策を講じ、搬出に係る支援や保管場所の確保等の協力を行うこと。
(2) 現在も原発事故の影響が続いている福島県において、県内自治体が実施する8,000Bq/kg以下の廃棄物の処理に対して財政支援を講じること。
(3) 住宅地から20m以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について継続した支援策を講じること。
(4) 「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づく「汚染状況重点調査地域」の指定解除後に放射性物質汚染が発見された場合や住民の放射線に対する不安払拭のため引き続き線量低減作業等が必要な場合など除染事業完了後に新たに発生した事案等に対し、国の責任において迅速かつ確実な除染等の対応ができる体制や制度の構築を図ること。
(5) 原子力災害からの復興・再生及び避難住民の帰還を加速させるため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化のため十分な整備予算を確保するとともに、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
 また、汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送により生じた仮置き場からのアクセス道路の破損に係る修繕等について確実に実施すること。
(6) 仮置場の原状回復などに必要な予算の確保に万全を期すとともに、仮置場や仮設住宅用地等での利用を終えた後、当該用地又はその近隣用地に地域住民の福祉向上に資する施設等を整備する場合について、財政措置を講じること。
 また、仮置場造成のために設置した調整池等の災害予防施設の維持管理費用について、財政措置を講じること。
 また、農地への原状回復において、従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における損失について財政措置を講じること。また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、返還後の用途が定まらない場合は、農地への原状回復を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応すること。
(7) 搬出困難な現場保管除去土壌について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計を行うこと。
(8) 除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり周知、広報等を図り制度の充実を図ること。

3.廃炉・汚染水対策について
(1) 廃炉対策について、度重なるトラブル等により、度々重要作業の工程延期等の問題も発生していることから、国内外からの英知を結集し、国が責任を持って安全かつ確実に完遂すること。
(2) 汚染水対策について、国が主体的に取り組み、実効性のある地下水対策、汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。
 また、ALPS処理水の処分については、安全性に加えて財源も含めた体制等具体的かつ万全な風評対策とその効果等を早急に明示し、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう検討すること。

4.放射能教育について
 国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
 さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。

5.原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1) 住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、最高裁判所の決定により複数の控訴審判決が確定したことを受けて、早急に原子力損害賠償紛争審査会を開催し、確定した判決の内容について、「指針」における基準や東京電力がこれまでに行ってきた賠償との比較等も含めた具体的な分析を行うこと。
 また、多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって迅速、公平かつ適正に賠償がなされるべきとの考えの下、審査会において、当県の現状や判決の具体的な分析を踏まえた上で、混乱や不公平を生じさせないよう「指針」の見直しを含め適切に対応すること。
(2) 確定した判決の内容を踏まえ、東京電力に対し、改めて、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応するよう指導すること。
 また、東京電力においても、原子力災害の原因者としての自覚を持って、確定した判決の内容を精査し、同様の損害を受けている被害者に対しては、直接請求によって公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応させること。
(3) ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信はもとより、万全な風評対策を早急に示した上で、そうした対策や将来に向けた実効性のある事業者支援策等を確実に講じること。
 それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実になされるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応し、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、早急に具体的な賠償の枠組みを示すこと。
 これに際しては、損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続きなどを含む、客観的で分かりやすい賠償の枠組みを事業者や関係団体等に早急に示した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
 また、原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、福島県内全域の様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業、観光業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
 また、風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあることから、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により迅速に対応するとともに、その具体的な手法を明示すること。
 原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針の決定による様々な状況変化を捉え、具体的な調査等により福島県の現状把握をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。
(4) 農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。また、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(5) 商工業等に係る営業損害については、一括賠償について、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
 また、商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
 また、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(6) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(7) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(8) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(9) 市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(10) 放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされたことによる平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(11) 自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(12) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
 また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(13) 自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(14) 自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(15) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(16) 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導するなど、消滅時効について適切に対応すること。
 また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。

6.住民の健康確保等について
(1) 原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2) 原発事故による風評の影響により医療人材が不足している被災地において、地域医療再生基金など医療人材確保のための医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
 また、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、医師の高齢化に伴う医業継承者の確保に向けた財政支援を講じること。
(3) 原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を継続すること。
(4) 全ての被災者の健康の確保、特に子供たち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5) 内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6) 県民健康調査における甲状腺検査では甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められないこと、国連科学委員会(UNSCEAR)が公表した市町村別推計甲状腺吸収量とがん発見率に関連がみられないこと等から、原発事故による放射線の影響とは考えにくいと評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7) 長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(8) 外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(9) 原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加し、施設の整備が進むものの、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10) 震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子供のための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11) リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。

7.農林水産業への支援について
(1) 福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性や魅力をPRする広報活動を展開すること。
(2) 福島県産農林水産物の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業に対し、長期的な財政措置を講じること。
 特に、漁業の風評被害が深刻であることから、その対策として、地産地消を目的に安全安心な魚介類をアピールするため、それらを食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。
(3) 原発被災地におけるイノシシによる被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。特に、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
 また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場の整備や弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。
(4) 原発事故によりシイタケ等の原木等の出荷が制限されている地域において、20年先を見据えた森林資源の利活用・地域再生に向け、森林整備に関する事業について十分な予算を確保するとともに、事業実施体制の維持・強化のため人的支援を行うこと。
(5) 原発事故の影響もあり耕作放棄地が増加していることから、自治体においては独自に耕作放棄地解消を目的として農業者が作付を行う場合に対する補助を行っているが、国においても支援を行うこと。
(6) 被災地域の中山間地域における農地復旧については、従来のほ場整備事業のような面積要件を満たせず、未整備のままとなっていることから、自治体が行う水田から畑地への転換に係る取組について、小規模な農地においても福島再生加速化交付金の対象とするなど十分な財政支援を行うこと。
(7) 原発事故の影響もあり浜通り地域では、全国に先んじて農業担い手の高齢化や減少が急速に進行しており、新たな農業の担い手の確保が急務であることから、日本の農業をリードする農業人材を育成するための教育・研修施設の整備も含め、農業人材育成に係る取組について十分な財政支援を行うこと。

8.産業の流出防止と支援について
(1) 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、依然として工場等の増設が不十分な地域もあることから、重点化された地域のみならず、その他の地域においても支援を継続するとともに、工業団地整備及び産業集積拠点を結ぶインフラ整備に係る費用を対象とすること。
(2) 風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大等の取組を拡充し、継続すること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの開催・誘致・施設整備、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じること。
 また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5) 復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。

9.新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うこと。
 また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
 また、避難指示区域が解除された区域においては、原発事故に伴う避難指示の影響により空き地が増え、復興の過程で土地利用が定まっていく隙間をつくかたちで市街地や農地等に、太陽光発電設備が無秩序に設置されており、復興の妨げになっている。本来であれば高圧太陽光発電設備(50KW以上)のものが、低圧太陽光発電設備(10〜50KW未満)として、分割して国にFIT認定申請されていると考えられる事案が散見されることから、現状を把握したうえで、FIT認定に係る審査基準の見直しや審査の厳格化など実態を踏まえた対策を早急に講じること。
(2) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
(3) 国はカーボンニュートラル宣言やグリーン成長戦略を策定し、脱炭素に向け再生可能エネルギーの主力電力化への取組を強化することとし、特に、風力発電については洋上風力産業ビジョン(第一次)を取りまとめ、魅力的な国内市場形成等を基本戦略として位置付けているが、中長期的に継続的な市場を形成するためには、低風速海域での市場形成が必要であることから、低風速海域である福島県沖での事業化に向け検討・開発を進めること。
(4) 創造的復興を実現するため、国は、浜通り地域だけでなく、高速交通網を生かし、より広域的に関連企業の誘致や先端産業の集積を図るとともに、福島県立医科大学や福島大学との連携を強化しながら福島イノベーション・コースト構想を推進すること。
 また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(5) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、コロナ禍においても新生活様式など感染症対策を講じたワールドロボットサミット2020の後継事業や当該競技大会に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(6) ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」など被災事業者の帰還・再建を促す支援の継続と十分な予算を確保すること。
(7) 令和4年3月に基本構想が策定され、国において同拠点の設置に本格的な検討がなされている国際教育研究拠点について、浜通り地域が一体となり面的な拠点形成することが重要であることから、福島ロボットテストフィールドとのより一層の相乗効果が期待できることや、産業ポテンシャル等効果的に活用されるとともに、この効果が地域全体に波及するよう、地域の実情に即した検討を進めること。また、安定的な運営ができるよう国が責任を持って財源を確保すること。
(8) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。

10.原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1) 避難指示区域等における国民健康保険税、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料の減免、並びに、医療費一部負担金及び介護保険の利用者負担の免除について、住民の生活が安定するまでには相当の期間を要することから、被保険者の健康維持のため、特別措置を今後も継続すること。
 また、将来的に全額免除を縮小、終了する場合は、激変緩和措置を講じるとともに、当該被保険者への十分な周知期間を確保すること。
(2) 避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、令和5年度以降も継続すること。
(3) 母子避難者等に対する高速道路無料措置に関する事務については、国が主導的に進めるべきものであることから、当該業務を市町村に実施させる場合は、明確な根拠を示し、人件費や事務費等の経費について、国が責任をもって負担するとともに、各市町村が統一して事務を進めることができるよう、具体的な手続方法及びスケジュールについて早期に示すこと。
 また、避難者が手続上の不利益を被らないよう十分配慮すること。


東日本大震災からの復興に関する決議

 東日本大震災から11年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1.復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 現在未利用地となっている防集移転元地等については、第2期復興・創生期間に入り、沿岸部のハード事業及び防集事業による土地の買取が完了したが、埋没支障物の除去や周辺道路との高低差解消のための盛り土など、将来的に必要となる最低限の基盤整備費用が大きな負担となっており、利活用の検討が進まない要因の一つとなっていることから、未利用地活用の具体的な計画策定に積極的に取り組めるよう、土地の基盤整備に活用できる新たな財政措置を講じること。
(2) 災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
 また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
 併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国おいて債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

2.被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災災害公営住宅家賃対策事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
 また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11年目から20年目は補助率が5/6から2/3と引き下げられることとなったが、今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(2) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。
 被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図ること。

3.公共施設等の復旧支援について
(1) 国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2) 津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3) 災害時の代替路確保や救急搬送時間のさらなる短縮、物流の向上による産業復興等に向けた円滑な道路交通ネットワークの実現は福島復興に不可欠なものであることから、令和8年度までに開通の見通しである国道13号福島西道路の南伸を確実に行うこと。
(4) 復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、福島県浜通り地方から首都圏への日帰り利用が可能となるよう運行本数の増便や運行時刻の見直しを行うとともに、福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の運行など、利便性の向上を図ること。また、Suicaについて、首都圏エリアと仙台エリアをまたぐ利用を可能とするとともに、桃内駅にSuica対応機器の整備を図ること。
(5) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
 また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。


新型コロナウイルス感染症対策に関する決議

 新型コロナウイルス感染症による日本経済への影響は甚大であり、未だ収束の見通しがつかない。
 我々自治体は、市民の生命と生活を守るため、ワクチン接種を迅速かつ円滑に実施することはもとより、医療提供体制を強化するとともに、介護施設、保育施設及び教育の現場等において、万全な感染症対策を講じつつ、市民に寄り添ったサービスを維持し、提供できるよう全力で取り組んでいる。
 よって、国は、市民が安心して暮らせる日常を取り戻すため、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1.地方自治体における執行に配慮した制度の構築について
 新型コロナウイルス感染症対策として講じられる様々な政策については、地方自治体が迅速かつ円滑に執行することが求められているが、国はその政策を決定する際において、地方自治体が執行するために必要な先の見通しなど具体的な情報を早急に示すとともに、できる限り地方の実情に応じた執行を可能とする制度とすること。
 また、実務を担う現場の事務負担の軽減にできる限り配慮したものとすること。

2.新型コロナワクチン接種について
 今後のスムーズな接種に向けて、ワクチンの供給見通しを明確にするとともに、ワクチンの必要量の確保と安定的な供給を行う体制の構築及び自治体の接種体制整備への積極的な支援を行うこと。

3.医療体制の確保と財政措置の充実について
(1) 十分な医療提供体制が維持できるよう、病院間の支援ネットワークや医師・看護師等の派遣などの医療人材の確保について、国・都道府県・市町村が連携した広域的な支援体制を構築するとともに、重症患者の搬送に必要な感染防止資機材や搬送に係る車両、人員等の体制強化について十分な財政措置を講じること。
(2) 受診抑制等による外来患者数の減少・手術の延期及び感染症対策等によって、公立・公的病院等の経営が圧迫されていることから、地域医療を守る公立・公的病院等の安定的経営を確保すべく、必要な財政措置を講じること。また、同様に経営面でも厳しい状況に置かれている民間医療機関や介護事業者への支援を行うこと。
(3) 感染拡大防止策を担う保健所について、保健師や臨床検査技師等の人材不足が課題となっていることから、人材確保に係る支援措置を講じるとともに、体制強化に資する十分な財政措置を講じること。
(4) 最前線で奮闘している医療・介護従事者等への給付等、引き続き必要な支援を講じること。
(5) 国産ワクチン・治療薬等の一日も早い実用化に向け、研究開発を行う企業に対し、重点的な支援を行うこと。
 また、新たなワクチン・治療薬等に関する正確な情報の迅速な発信に努めること。

4.地域経済に関する支援について
(1) 国は、セーフティネット貸付制度の拡充、経営相談や資金繰り支援などの各種支援策により、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化と経営環境の整備を支援しているが、事業者の経営に対する影響は広範囲かつ甚大である。併せて、新型コロナウイルス感染防止を想定した「新しい生活様式」に対応するため、新たな事業活動に取り組む必要があり、経済の回復には多くの時間を要することから、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2) 金融機関に、資金繰りに苦慮している事業者に対する速やかかつ新たな資金提供または経営改善支援を働きかけるとともに、融資の返済猶予について柔軟な対応を講じるよう働きかけること。
 また、自治体が独自に実施する事業者支援策に要する経費に対し、国からの財政支援を継続すること。
(3) 福島県産米は、原発事故による風評の影響もあり、主食用米の中で安価な業務用米での使用割合が高くなっているため、コロナ禍において他産地よりも一層安価で取引されるなど大きな影響を受けており、米穀周年供給・需要拡大支援事業では販売を先送りし市場に出回る米の量を一時的に抑制したに過ぎないことから、福島県の特殊事情に鑑み、コロナ禍で需要が減少したことによる過剰在庫分について、特別な隔離対策を講じること。
(4) 売上等に甚大な打撃を被った観光・運輸業、飲食業等を対象としたGoToキャンペーン事業において、自治体及び事業者等の現場の意見を踏まえ、イベント開催等に係る支援を行うこと。
 また、緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置適用などにより、不要不急の外出自粛と飲食店等への営業時間短縮の要請が出されてきたことから、キャンセル等により宿泊、飲食、土産物店等の観光関連事業者や、コンベンション関係事業者は大きな損失を受けており、事業者に対して手厚い経営支援を行うとともに、GoToトラベル事業等感染状況を踏まえた適切な入込回復支援を速やかに再開し、ワーケーションや滞在型旅行の促進など新たな旅行スタイルが定着するまで継続すること。
 また、安全・安心な観光客の受入環境を整備するとともに、デジタル技術を活用したMICEの開催に必要な施設環境整備に対する支援を行うこと。

5.雇用の維持について
(1) 雇用調整助成金の特例措置の延長など、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2) 雇用を維持するため、新卒者の内定取消しや非正規労働者の雇止めを行わないよう、企業に対し要請するとともに、国による相談支援体制を強化すること。

6.生活インフラ等に関する支援について
(1) 地方においては、低迷した地域経済を回復させるために、公共事業による景気の下支えが必要であることから、道路網の整備、国土強靱化など社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
 併せて、地域経済の回復を効果的に促進するため、使途を限定せず自治体の裁量で公共事業へ充当できる交付金制度を創設すること。
(2) 新型コロナウイルス感染症への対応を契機とする新しい生活様式に合わせ、行政手続きのオンライン化や行政サービス業務においてICT技術の導入を推進するとともに、建築物において接触を低減させる等、感染リスクを減らすための改修等に係る財政措置を講じること。

7.社会福祉に関する支援について
(1)新型コロナウイルス感染症に感染した国民健康保険被保険者に支給される傷病手当金について、支給対象をフリーランスや自営業者などにも拡大するとともに、対象期間の延長を早急に検討すること。
(2) 新型コロナウイルス感染症の影響によりひとり親世帯や減収により生活が困窮するなど厳しい状況にある人が増えていることから、その現状に応じた社会保障制度の拡充を図るなど、生活支援策を講じること。

8.新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方財源の確保について
(1) 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況になることが見込まれる中、地方創生への積極的な取組をはじめ、社会保障関係経費、防災・減災対策を含めた社会資本整備経費など、自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保すること。
(2) 新型コロナウイルス感染症に対して地方が機動的に施策を展開できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など自治体が必要とする財源を十分に確保するとともに、柔軟で弾力的な運用を図ること。





第179回東北市長会総会(2021/10/19)
第179回東北市長会総会が書面表決により開催され、本県から提出の議案として、
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災からの復旧に関する決議
3 新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
が特別決議として採択されました。

本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和3年8月現在で、福島県民だけでも3万4千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 令和3年度から令和7年度までの第2期復興・創生期間においても、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 また、国は、令和3年4月13日、汚染水から放射性物質の大部分を除去した「ALPS処理水」を2年程度の準備期間を経て、海洋放出により処分する方針を決定したが、今後、処理水が海洋放出されれば、水産業等への風評被害の発生は必至であり、甚大な影響が憂慮される。
 よって、国は、被災地の一日も早い復旧・復興を実現するとともに原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。


1.原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1)被災地の一日も早い復旧・復興を実現するため、風評・偏見の解消とそれに対する心の復興に関する対策や健康管理対策、被災市町村の状況に即した切れ目のない財政支援等について、特段の措置を講じること。
 また、賑わいの再生・創出に係る取組や地方創生と連動した施策展開を図るため、被災地が必要と考える地域の実情に応じた取組を幅広に対象とするような交付金制度を構築すること。
 また、避難者の帰還環境の整備に加え、新たな活力を呼び込むための福島再生加速化交付金(帰還・移住等環境整備(移住・定住促進事業))について、十分な財源を確保し、復興の進度など地域の実情に応じた柔軟かつきめ細やかな対応を行うとともに、風評払拭に向け新たに創設された福島再生加速化交付金(福島定住等緊急支援(地域魅力向上・発信支援事業))の拡充を図ること。
 また、第2期復興・創生期間以降においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
(2)放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想されるため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3)子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金について、十分な財政措置を講じること。
 また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12市町村から避難者を多く受け入れるなど当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
(4)原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について財政措置を講じること。
(5)避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し課題解決に努めること。
(6)全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで避難者名簿が正確性を欠き居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう必要な見直しを図り、実効性を確保すること。

2.放射性物質の除染対策について
(1)福島県内においては、8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等について、埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し安全かつ早期に輸送を完了させるとともに、その計画の遅延、変更等が保管する自治体の事業運営に支障をきたす場合には、速やかに対策を講じ、搬出に係る支援や保管場所の確保等の協力を行うこと。
(2)住宅地から20m以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について継続した支援策を講じること。
(3)「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づく「汚染状況重点調査地域」の指定解除後に放射性物質汚染が発見された場合や住民の放射線に対する不安払拭のため引き続き線量低減作業等が必要な場合など除染事業完了後に新たに発生した事案等に対し、国の責任において迅速かつ確実な除染等の対応ができる体制や制度の構築を図ること。
(4)除染の進捗や中間貯蔵施設への安全かつ円滑な輸送のため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化のため十分な整備予算を確保するとともに、原子力災害からの復興・再生、避難住民の帰還を加速させるため(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
 また、汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送による更なる道路の破損等が懸念されることから、路面破損時の修繕等仮置き場からのアクセス道路の環境整備について確実に実施すること。
(5)仮置場や仮設住宅用地等での利用を終えた後、当該用地又はその近隣用地に地域住民の福祉向上に資する施設等を整備する場合について、財政措置を講じること。
 また、仮置場造成のために設置した調整池等の災害予防施設の維持管理費用について、財政措置を講じること。
 また、農地への原状回復において、従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における損失について財政措置を講じること。また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、返還後の用途が定まらない場合は、農地への原状回復を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応すること。
(6)除去土壌等の適正管理・搬出については、地域の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じるとともに、除去土壌の搬出困難案件について将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計を行うこと。
(7)除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり周知、広報等を図り制度の充実を図ること。

3.廃炉・汚染水対策について
(1)廃炉対策について、度重なるトラブル等により、度々重要作業の工程延期等の問題も発生していることから、国内外からの英知を結集し、国が責任を持って安全かつ確実に完遂すること。
(2)汚染水対策について、国が主体的に取り組み、実効性のある地下水対策、汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。
 また、ALPS処理水の処分については、福島を前提とすることなく、安全性に加えて財源も含めた体制等具体的かつ万全な風評対策とその効果等を早急に明示し、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう検討すること。

4.放射能教育について
 国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
 さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。

5.原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1)ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信はもとより、万全な風評対策を早急に示した上で、そうした対策や将来に向けた実効性のある事業者支援策等を確実に講じること。
 それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実になされるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応し、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、早急に具体的な賠償の枠組みを示すこと。
 これに際しては、損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続きなどを含む、客観的で分かりやすい賠償の枠組みを事業者や関係団体等に早急に示した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
 また、原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、福島県内全域の様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業、観光業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
 また、風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあることから、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により迅速に対応するとともに、その具体的な手法を明示すること。
 原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針の決定による様々な状況変化を捉え、具体的な調査等により福島県の現状把握をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。
(2)農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。また、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(3)商工業等に係る営業損害については、一括賠償について、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
 また、商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
 また、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(4)原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(5)原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(6)多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(7)市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(8)放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされたことによる平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(9)自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(10)原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
 また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(11)自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(12)自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(13)原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(14)全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「新々・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導すること。
 また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。

6.住民の健康確保等について
(1)原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2)原発事故の影響により医療人材が流出し、人手不足が深刻化していることから、医師、看護師等確保のための人件費補助など医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
(3)原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を継続すること。
(4)全ての被災者の健康の確保、特に子供たち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5)内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6)県民健康調査における甲状腺検査では甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められないこと、国連科学委員会(UNSCEAR)が公表した市町村別推計甲状腺吸収量とがん発見率に関連がみられないこと等から、原発事故による放射線の影響とは考えにくいと評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7)長期にわたり18歳までの医療費無料化を行うこと。
(8)外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(9)原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加し、施設の整備が進むものの、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10)震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子供のための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11)リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。

7.農林水産業への支援について
(1)福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性や魅力をPRする広報活動を展開すること。
(2)福島県産農林水産物の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業に対し、長期的な財政措置を講じること。
特に、漁業の風評被害が深刻であることから、その対策として、地産地消を目的に安全安心な魚介類をアピールするため、それらを食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。
(3)地元農産物の流通・供給拠点となる卸売市場等の関連施設の整備について、福島再生加速化交付金などを活用できるよう財政支援を図ること。
(4)原発被災地におけるイノシシによる被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。特に、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
 また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場における弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。
8.産業の流出防止と支援について
(1)津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、依然として工場等の増設が不十分な地域もあることから、重点化された地域のみならず、その他の地域においても支援を継続すること。
(2)風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大等の取組を拡充し、継続すること。
(3)風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの開催・誘致・施設整備、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4)風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じるとともに、新たな企業誘致に繋がる工業団地の整備に際し必要となる用地費用、造成工事の整備費用など財政措置を講じること。
 また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5)復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。

9.新たな産業と雇用創出の支援について
(1)福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに、FITやFIPの適正な運用に努めること。
 また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
(2)福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の第2期復興・創生期間において更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
 また、風力関連産業について、課題となる風車の積み降ろしに係る港湾の整備を行うこと。
(3)創造的復興を実現するため、国は、浜通り地域だけでなく、高速交通網を生かし、より広域的に関連企業の誘致や先端産業の集積を図るとともに、福島県立医科大学や福島大学との連携を強化しながら福島イノベーション・コースト構想を推進すること。
 また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(4)福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、コロナ禍においても新生活様式など感染症対策を講じたワールドロボットサミット2020に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(5)ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」など被災事業者の帰還・再建を促す支援の継続と十分な予算を確保すること。
(6)令和2年12月の復興推進会議において、「創造的復興の中核拠点」として日本の産業競争力強化や、日本・世界に共通する課題解決に資するイノベーションの創出を目指すものと明記された国際教育研究拠点について、浜通り地域が一体となり知の拠点化を図っていくことが重要であることから、福島ロボットテストフィールドとのより一層の相乗効果が期待できることや、産業集積などの都市基盤、高等教育機関などのネットワーク等の地域資源がしっかりと活用されるとともに、この効果が地域全体に波及するよう、地域の実情に即した検討を進めること。また、安定的な運営ができるよう国が責任を持って財源を確保すること。
(7)福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。

10.原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1)避難指示区域等における国民健康保険税、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料の減免、並びに、医療費一部負担金及び介護保険の利用者負担の免除について、住民の生活が安定するまでには相当の期間を要することから、被保険者の健康維持のため、特別措置を今後も継続すること。
 また、将来的に全額免除を縮小、終了する場合は、激変緩和措置を講じるとともに、当該被保険者への十分な周知期間を確保すること。
(2)避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、令和4年度以降も継続すること。
(3)母子避難者等に対する高速道路無料措置に関する事務については、国が主導的に進めるべきものであることから、当該業務を市町村に実施させる場合は、明確な根拠を示し、人件費や事務費等の経費について、国が責任をもって負担するとともに、各市町村が統一して事務を進めることができるよう、具体的な手続方法及びスケジュールについて早期に示すこと。
 また、避難者が手続上の不利益を被らないよう十分配慮すること。


東日本大震災からの復興に関する決議

 東日本大震災から10年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 令和3年度から令和7年度までの第2期復興・創生期間においても、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1.復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1)現在未利用地となっている防集移転元地等については、第2期復興・創生期間に入り、沿岸部のハード事業及び防集事業による土地の買取が完了したが、埋没支障物の除去や周辺道路との高低差解消のための盛り土など、将来的に必要となる最低限の基盤整備費用が大きな負担となっており、利活用の検討が進まない要因の一つとなっていることから、未利用地活用の具体的な計画策定に積極的に取り組めるよう、土地の基盤整備に活用できる新たな財政措置を講じること。
(2)災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
 た、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
 併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国おいて債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

2.被災者の生活再建支援等について
(1)東日本大震災災害公営住宅家賃対策事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
 また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11年目から20年目は補助率が5/6から2/3と引き下げられることとなったが、今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(2)津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図ること。

3.公共施設等の復旧支援について
(1)国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等と連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2)津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3)災害時の代替路確保や救急搬送時間のさらなる短縮、物流の向上による産業復興等に向けた円滑な道路交通ネットワークの実現は福島復興に不可欠なものであることから、令和8年度までに開通の見通しである国道13号福島西道路の南伸を確実に行うこと。
(4)復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、福島県浜通り地方から首都圏への日帰り利用が可能となるよう運行本数の増便や運行時刻の見直しを行うとともに、福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の運行など、利便性の向上を図ること。また、Suicaについて、首都圏エリアと仙台エリアをまたぐ利用を可能とするとともに、すべての駅にSuica対応機器の整備を図ること。
(5)東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
 また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。


新型コロナウイルス感染症対策に関する決議

 新型コロナウイルス感染症による日本経済への影響は甚大であり、未だ収束の見通しがつかない。
 我々自治体は、市民の生命と生活を守るため、ワクチン接種を迅速かつ円滑に実施することはもとより、医療提供体制を強化するとともに、介護施設、保育施設及び教育の現場等において、万全な感染症対策を講じつつ、市民に寄り添ったサービスを維持し、提供できるよう全力で取り組んでいる。
 よって、国は、市民が安心して暮らせる日常を取り戻すため、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1.新型コロナワクチン接種について
 令和4年度以降のスムーズな接種に向けてワクチンの供給体制や接種体制の構築を行うこと。

2.医療体制の確保と財政措置の充実について
(1)十分な医療提供体制が維持できるよう、病院間の支援ネットワークや医師・看護師等の派遣などの医療人材の確保について、国・都道府県・市町村が連携した広域的な支援体制を構築するとともに、重症患者の搬送に必要な感染防止資機材や搬送に係る車両、人員等の体制強化について十分な財政措置を講じること。
(2)受診抑制等による外来患者数の減少・手術の延期及び感染症対策等によって、公立・公的病院等の経営が圧迫されていることから、地域医療を守る公立・公的病院等の安定的経営を確保すべく、必要な財政措置を講じること。また、同様に経営面でも厳しい状況に置かれている民間医療機関や介護事業者への支援を行うこと。
(3)感染拡大防止策を担う保健所について、保健師や臨床検査技師等の人材不足が課題となっていることから、人材確保に係る支援措置を講じるとともに、体制強化に資する十分な財政措置を講じること。
(4)最前線で奮闘している医療・介護従事者等への給付等、引き続き必要な支援を講じること。
(5)国産ワクチン・治療薬等の一日も早い実用化に向け、研究開発を行う企業に対し、重点的な支援を行うこと。

3.新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方財源の確保について
(1)新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況になることが見込まれる中、地方創生への積極的な取組をはじめ、社会保障関係経費、防災・減災対策を含めた社会資本整備経費など、自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保すること。
(2)新型コロナウイルス感染症に対して地方が機動的に施策を展開できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など自治体が必要とする財源を十分に確保するとともに、柔軟で弾力的な運用を図ること。

4.地域経済に関する支援について
(1)国は、セーフティネット貸付制度の拡充、経営相談や資金繰り支援などの各種支援策により、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化と経営環境の整備を支援しているが、事業者の経営に対する影響は広範囲かつ甚大である。併せて、新型コロナウイルス感染防止を想定した「新しい生活様式」に対応するため、新たな事業活動に取り組む必要があり、経済の回復には多くの時間を要することから、持続化給付金及び家賃支援給付金と同様の給付金制度の創設など、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2)金融機関に、資金繰りに苦慮している事業者に対する速やかかつ新たな資金提供または経営改善支援を働きかけるとともに、融資の返済猶予について柔軟な対応を講じるよう働きかけること。
また、自治体が独自に実施する事業者支援策に要する経費に対し、国からの財政支援を継続すること。
(3)人口の過度の集中による感染リスクを低減するため、地方への新しいひとの流れを生み出し、ひいては移住・定住を促進するため、企業の本社機能の地方移転やサテライトオフィスの設置、地域における創業の促進等、時代の変化を捉えた新しい地方創生の実現に向けた施策を強力に推進すること。
(4)福島県産米は、原発事故による風評の影響もあり、主食用米の中で安価な業務用米での使用割合が全国でも最も高くなっているため、他産地に増して大きな影響を受けることが懸念されることから、福島県の特殊事情に鑑み、コロナ禍における業務用米の需要減少分について、臨時的に米の市場隔離を行うなど、特別な対策を講じること。
(5)売上等に甚大な打撃を被った観光・運輸業、飲食業等を対象としたGoToキャンペーン事業において、自治体及び事業者等の現場の意見を踏まえ、イベント開催等に係る支援を行うこと。
 また、GoToトラベル事業等の延期や、緊急事態宣言発出、併せて宣言発令区域外においても、不要不急の外出自粛と飲食店等への営業時間短縮の要請が出されているため、キャンセル等により宿泊、飲食、土産物店等の観光関連事業者や、コンベンション関係事業者は大きな損失を受けており、事業者に対して手厚い経営支援及び感染状況を踏まえた適切な入込回復支援を行うこと。
 また、安全・安心な観光客の受入環境を整備するとともに、デジタル技術を活用したMICEの開催に必要な施設環境整備に対する支援を行うこと。

5.雇用の維持について
(1)雇用調整助成金の助成率引上げなど、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2)雇用を維持するため、新卒者の内定取消しや非正規労働者の雇止めを行わないよう、企業に対し要請するとともに、国による相談支援体制を強化すること。

6.生活インフラ等に関する支援について
(1)地方においては、低迷した地域経済を回復させるために、公共事業による景気の下支えが必要であることから、道路網の整備、国土強靱化など社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
 併せて、地域経済の回復を効果的に促進するため、使途を限定せず自治体の裁量で公共事業へ充当できる交付金制度を創設すること。
(2)新型コロナウイルス感染症への対応を契機とする新しい生活様式に合わせ、行政手続きのオンライン化や行政サービス業務においてICT技術の導入を推進するとともに、建築物において接触を低減させる等、感染リスクを減らすための改修等に係る財政措置を講じること。

7.社会福祉に関する支援について
(1)新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した国民健康保険被保険者に係る保険料(税)の減免に対する財政支援については、全額国費による支援を継続すること。
(2)新型コロナウイルス感染症に感染した国民健康保険被保険者に支給される傷病手当金について、支給対象をフリーランスや自営業者などにも拡大するとともに、対象期間の延長を早急に検討すること。
(3)新型コロナウイルス感染症の影響によりひとり親世帯や減収により生活が困窮するなど厳しい状況にある人が増えていることから、その現状に応じた社会保障制度の拡充を図るなど、生活支援策を講じること。

第178回東北市長会総会(2021/5/14)
第178回東北市長会総会が書面表決により開催され、本県から提出の議案として、
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災及び令和3年福島県沖地震からの復旧・復興に関する決議
3 新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
が特別決議として採択されました。

本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和3年2月現在で、福島県民だけでも3万5千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 国においては、令和2年3月に復興庁設置法等を改正し、復興庁の設置期間を10年間延長して、引き続き内閣直属の組織とし、その事務を総轄する等のため復興大臣を置き、復興事業予算の一括要求などの現行の総合調整機能を維持するとした。第2期復興・創生期間の令和3年度以降も、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 よって、国は、原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに、正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。



1 原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 「『第2期復興・創生期間』以降における東日本大震災からの復興の基本方針」において、被災者支援、産業・生業の再生及び風評払拭などの継続した支援の方向性が示され、福島の復興・再生には中長期的な対応が必要であり、第2期復興・創生期間以降も引き続き国が前面に立って取り組むこととされたが、風評・偏見の解消とそれに対する心の復興に関する対策や健康管理対策、被災市町村の状況に即した切れ目のない財政支援等について、特段の措置を講じること。
 また、当面10 年間、復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズにきめ細かく対応しつつ、本格的な復興・再生に向けた取組を行うこととされたが、第2期復興・創生期間以降においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
(2) 第2期復興・創生期間において放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想されるため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金を継続するとともに、十分な財政措置を講じること。
 また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12 市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12 市町村から避難者を多く受け入れるなど、当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
(4) 原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について、財政措置を講じること。
(5) 避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し、課題解決に努めること。
(6) 全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで、避難者名簿が正確性を欠き、居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう、必要な見直しを図り、実効性を確保すること。

2 放射性物質の除染対策について
(1) 福島県内においては、8,000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の飛灰等について、埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し、安全かつ早期に輸送を完了させるとともに、その計画の遅延、変更等が、保管する自治体の事業運営に支障をきたす場合には、速やかに必要な対応や協力を行うこと。
(2) 住宅地から20m 以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で、人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について、継続した支援策を講じること。
(3) 「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づく「汚染状況重点調査地域」の指定解除後に放射性物質汚染が発見された場合や住民の放射線に対する不安払拭のため引き続き線量低減作業等が必要な場合など、除染事業完了後に新たに発生した事案等に対し、国の責任において迅速かつ確実な除染等の対応ができる体制や制度の構築を図ること。
(4) 除染の進捗や中間貯蔵施設への安全かつ円滑な輸送のため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6 号の南相馬市内一部4車線化のため、十分な整備予算を確保するとともに、原子力災害からの復興・再生、避難住民の帰還を加速させるため、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
 また、汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送による更なる道路の破損等が懸念されることから、路面破損時の修繕等仮置き場からのアクセス道路の環境整備について、確実に実施すること。
(5) 仮置場や仮設住宅用地等での利用を終えた後、当該用地又はその近隣用地に地域住民の福祉向上に資する施設等を整備する場合について、財政措置を講じること。
 また、仮置場造成のために設置した調整池等の災害予防施設の維持管理費用について、財政措置を講じること。
 また、農地への原形復旧について、従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における損失について、財政措置を講じること。また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、返還後の用途が定まらない場合は、農地への原形復旧を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応すること。
(6) 除去土壌等の適正管理・搬出については、地域の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じるとともに、除去土壌の搬出困難案件について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計を行うこと。
(7) 除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について、一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については、累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず、全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり、周知、広報等を図り、制度の充実を図ること。

3 廃炉・汚染水対策について
(1) 廃炉対策について、平成25 年9月に国が前面に出て汚染水対策を実行していくという基本方針を発表しているが、その後も流出が疑われる事態が判明していることから、事業者に任せることなく国が前面に立ち、具体的工程を示すとともに、国内外からの英知を結集し、燃料デブリの取り出しを含め、安全かつ確実に完遂すること。
(2) 汚染水対策について、国が主体的に取り組み、実効性のある地下水対策、汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。
 また、トリチウムを含んだ処理水の処分については、福島を前提とすることなく、風評被害を発生させないという決意のもと、安全性に加えて財源も含めた体制等具体的な風評対策とその効果等を明示し、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう検討すること。

4 放射能教育について
 国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
 さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。

5 原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1) 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
 また、避難指示区域外における農林業の風評賠償について、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
(2) 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
(3) 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
(4) 商工業等に係る営業損害について、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(6) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(7) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(8) 市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24 年10 月1 日以降の期間も対象とすること。
(9) 放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされたことによる平成24 年9 月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(10) 自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(11) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
 また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(12) 自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(13) 自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱い含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(14) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

6 住民の健康確保等について
(1) 原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。
 また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2) 原発事故の影響により医療人材が流出し、人手不足が深刻化していることから、医師、看護師等確保のための人件費補助など医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
(3) 原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を講じること。
(4) 全ての被災者の健康の確保、特に子どもたち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5) 内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6) 県民健康調査における甲状腺検査では、甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められないこと、国連科学委員会(UNSCEAR)が公表した市町村別推計甲状腺吸収量とがん発見率に関連がみられないこと等から、原発事故による放射線の影響とは考えにくいと評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7) 長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(8) 外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(8) 原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加し、施設の整備が進むものの、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(9) 震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子どものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(10) リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。

7 農林水産業への支援について
(1) 福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性をPRする広報活動を展開すること。
(2) モニタリング体制の維持・充実と併せ、地域の安全性に係る正確な情報を積極的に発信するとともに、福島県で生産された農林水産物のPRへの支援など、地域と連携した取組を推進すること。
 特に、漁業の風評被害が深刻であることから、その対策として、地産地消を目的に安全安心な魚介類をアピールするため、クルーズ船の誘致やそれらを食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。
(3) 地元農産物の流通・供給拠点となる卸売市場等の関連施設の整備について、福島再生加速化交付金などを活用できるよう財政支援を図ること。
(4) 原発被災地におけるイノシシによる被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。特に、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
 また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場における弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。

8 産業の流出防止と支援について
(1) 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、依然として工場等の増設が不十分な地域もあることから、重点化された地域のみならず、その他の地域においても支援を継続すること。
(2) 風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大、国際会議等コンベンションの開催・誘致、必要な施設の整備等幅広い施策を講じること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの誘致、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じるとともに、新たな企業誘致に繋がる工業団地の整備に際し必要となる用地費用、造成工事の整備費用など、財政措置を講じること。
 また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5) 復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。
(6) 東日本大震災及び原発事故からの復興途上にある福島県の特殊性に鑑み、令和元年東日本台風の被災企業等が今後も安心して市内で事業が継続できるよう、被災企業等が同一市町村内へ移転する場合の支援制度の創設、大企業等を含めた被災事業者全てが対象となる支援制度の拡充、かさ上げなど浸水被害への自衛措置に係る支援制度の創設など、必要な支援を行うこと。

9 新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFC バス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに、FITやFIPの適正な運用に努めること。
 また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
(2) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の第2期復興・創生期間において更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
 また、風力関連産業について、課題となる風車の積み降ろしに係る港湾の整備を行うこと。
(3) 創造的復興を実現するため、国は、浜通り地域だけでなく、高速交通網を生かし、より広域的に関連企業の誘致や先端産業の集積を図るとともに、福島県立医科大学や福島大学との連携を強化しながら福島イノベーション・コースト構想を推進すること。
 また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(4) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、コロナ禍においても新生活様式など感染症対策を講じたワールドロボットサミット2020に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(5) ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、被災事業者の帰還・再建を促す支援「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」の継続と十分な予算を確保すること。
(6) 福島イノベーション・コースト構想の核として検討が進められている浜通り地域の国際教育研究拠点について、浜通り地域が一体となり知の拠点化を図っていくことが重要であることから、産業集積などの都市基盤や高等教育機関などのネットワーク等の地域資源がしっかりと活用されるとともに、この効果が地域全体に波及するよう、地域の実情に即した検討を進めること。また、安定的な運営ができるよう国が責任を持って財源を確保すること。
(7) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。

10 原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1) 避難指示区域等における国民健康保険税、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料の減免、並びに、医療費一部負担金及び介護保険の利用者負担の免除について、住民の生活が安定するまでには相当の期間を要することから、被保険者の健康維持のため、特別措置を今後も継続し、所得制限を廃止すること。
 また、免除の縮小、終了に向けては当該被保険者への十分な周知期間を確保すること。
(2) 避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、今後も継続すること。


東日本大震災及び令和3年福島県沖地震からの復旧・復興に関する決議

 東日本大震災から10年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 国においては、令和2年3月に復興庁設置法等を改正し、復興庁の設置期間を10年間延長して、引き続き内閣直属の組織とし、その事務を総轄する等のため復興大臣を置き、復興事業予算の一括要求などの現行の総合調整機能を維持するとした。第2期復興・創生期間の令和3年度以降も、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 また、令和3年2月13日に発生した福島県沖を震源とする地震は、東日本大震災の余震と考えられ、福島県内では、最大震度6強を記録し、公共土木施設をはじめ多数の住家被害等甚大な被害が発生した。被災地では、復旧・復興に全力で取り組んでいるところであるが、被災地の住民が一日も早く日常の生活を取り戻すためには、国による復旧・復興に向けた財政支援など、迅速かつ丁寧な対応が不可欠である。
 よって、国は、被災自治体が東日本大震災及び令和3年福島県沖地震からの復旧・復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


 

1 復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 震災復興特別交付税制度について、各自治体の復興が果たされるまで継続すること。
(2) 心のケア等の被災者支援に係るソフト事業については、地域の実情に応じた事業が実施できるよう、適切な財政措置を行うとともに、採択要件の緩和等、柔軟な運用を行うこと。
(3) 防集移転元地の具体的利用計画がない段階においても利活用に際し必ず必要となる最小限の基盤整備にも活用できるよう財政支援など必要な措置を講じること。
(4) 災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
 また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
 併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国おいて債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

2 被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災特別家賃低減事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11 年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
 また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11年目から20年目は補助率が5/6から2/3と引き下げられることとなったが、今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(2) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。
 被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図るとともに、被災者への迅速な支給を実現し、申請に伴う被災者の負担軽減及び被災自治体の事務を軽減するため電子申請による手続きの簡素化を図ること。
 また、自助を強化する観点から、災害に関する公的支援と保険のあり方を総合的に検討し、災害への備えを充実させること。
(3) 東日本大震災の復興途上である福島県においても、近年水害等の大規模災害が頻発する状況にあることから、災害救助法に基づく住宅応急修理制度について、水害による応急修理の場合については、これまでの実績を基に、修理内容を標準化することにより、自治体の審査事務の省力化を図るとともに、完了報告時に応急修理の費用を確認することとし、修理業者からの見積書の提出を不要とすること。
 また、手続き前に修理を完了し費用を支払った場合についても、公平性を図る観点から、制度の対象とすること。
 また、現在の基準額では、日常生活を営むために必要な最小限の修理も完了しない住宅が多いことから、基準額を引き上げること。

3 公共施設等の復旧支援について
(1) 国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2) 津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399 号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3) 復興道路・復興支援道路である東北中央自動車道相馬・福島道路については、相双地域から福島県立医科大学付属病院への搬送時間を大幅に短縮するなど、福島復興大きく貢献することが期待されているが、国道13 号福島西道路の南伸により、その搬送時間はさらに大きく短縮することが期待され、災害時の代替路を確保できる効果や物流の向上による産業復興も期待できることから、福島西道路の南伸事業を復興に不可欠なものとして、確実に実施すること。
(4) 復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、福島県浜通り地方から首都圏への日帰り利用が可能となるよう運行時刻の見直しを行うとともに、福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の運行など、利便性の向上を図ること。また、Suicaについて、首都圏エリアと仙台エリアをまたいだ利用を可能とするとともに、すべての駅にSuica対応機器の整備を図ること。
(5) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
 また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。

4 東日本大震災の余震とされる令和3年福島県沖地震による災害からの復旧・復興について
(1) 被災地は東日本大震災、関東東北豪雨、令和元年東日本台風と度重なる災害で疲弊していることから、被災地、被災者に寄り添った手厚い財政支援措置を講じること。
(2) 道路、公共施設等の全面的な早期復旧に向け、財政的・技術的な支援を含め特段の措置を継続すること。
(3) 被災者が安全で安心な日常を取り戻せるよう、被災家屋の早期復旧に向け、十分な支援措置を講じるとともに、被災者に対する生活再建、生業再建、災害ごみ処理等に関する特例的財政支援措置を講じること。
(4) 被災自治体において生じる復旧・復興対策、被災者の支援等に係る特別な財政需要について、被災自治体の行財政運営に支障が生じることのないよう、国庫補助負担金や特別交付税をはじめとした地方財政措置による必要かつ十分な財政支援策を講じること。


新型コロナウイルス感染症対策に関する決議

 新型コロナウイルス感染症による日本経済への影響は甚大であり、その長期化も懸念されている。
 国は、国民の生命と健康を守るため、爆発的な感染拡大を防ぎつつ、社会経済活動との両立を図るため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめ、医療・雇用・経済等にわたるあらゆる対策を講じている。
 このような中、我々都市自治体は、感染症に対応する医療提供体制等の整備や「新しい生活様式」の普及・実践に向けた感染防止対策に資する対応等に万全を期するとともに、子どもたちの健やかな学びの保障や地域経済の力強い再生などの様々な課題に対し、地域住民に寄り添った支援策を講じながら、ワクチン接種の安全かつスピーディーな実施を含め、全力で取り組んでいるところである。
 特に、「全国民を対象にしたワクチン接種」を円滑に進めるためには、全国各地で十分な人材、資材、接種場所等の確保など万全の体制で行う必要があり、接種に当たっては、これまでのワクチン接種はもとより、新型コロナ対策における経験を踏まえつつ、接種体制、システム、副反応や医療機関の負担軽減など、「国民の安全・安心を第一に進めていく」との基本姿勢に立ち、しっかり検証を行いながら、丁寧に進めることが不可欠である。
 よって、国は、市民が安心して暮らせる日常を取り戻すため、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 新型コロナウイルスワクチン接種について
(1) 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が安全かつ円滑に実施できるよう、自治体に対し、必要な財政措置とワクチン接種体制やシステムの構築・維持に係る支援を行うこと。
 また、ワクチン承認後の供給体制の構築・維持やワクチン接種に関する有効性や安全性など十分な情報を提供すること。
(2) 地域的偏在による医師不足が恒常化している地域では、1日当たりのワクチン接種の限界による遅れ、通常医療への影響、中山間地に居住する高齢者等の交通弱者の接種指定場所への移動の困窮などが懸念されることから、地域の実情に合った体制が構築できるよう弾力的な運用を認めるとともに、その費用についても全額国費で措置すること。
(3) ワクチン接種後の副反応が生じた方への救済が必要であることから、「無過失補償」の視点での救済制度を導入すること。
(4) ワクチンの安定した供給体制を確立しなければならないが、現在、ワクチンの獲得競争は激化している状況で、海外製は日本への出荷量が不安定になるリスクもあるため、国内の治験が進み、国産ワクチンの実用化が期待されており、早急に国産ワクチンの開発を加速化させること。
 また、治療薬のない状況が市民を不安にしていることから、一日も早い新型コロナウイルスに係る治療薬の開発と実用化を進めること。

2 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充・継続について
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、地域の実情に応じてきめ細やかな対応や即効性のある事業展開を可能にするため、また、感染症拡大防止対策や「新しい生活様式」を定着させ、地域経済を回復に向けて長期的に取り組むため、必要となる額を確保するとともに、地方単独事業充当分を中心とした拡充を図ること。また、令和3年度以降においても新型コロナウイルス感染症が収束までの間は継続するなど、自由度が高く、継続的な支援制度の拡充を図ること。

3 医療体制の確保と財政措置の充実について
(1) 新型コロナウイルス感染症に対応する地域における安全・安心な医療体制の確保・充実を図るため、病院間の支援ネットワーク、医師・看護師の派遣、感染拡大時に専門的な知見のある医師の派遣等の医療人材の確保や、医療を維持するために必要な医療用資機材の安定供給をはじめ、ワクチン接種の対応に向けた医療現場に寄り添った支援策を講じること。
(2) 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、患者の受診控えや入院の延期による収入源、感染拡大防止対策への経費増大など、経営を圧迫する状況が続いていることから、地域医療を守るため、医療機関の収入減少に対する支援等、医療機関の経営基盤の安定化を図るための助成制度を創設するとともに、介護事業者への支援、最前線で奮闘している医療・介護従事者等への給付等、必要な支援を講じること。
(3) り患者の早期発見は感染拡大防止の基本となるものであることから、PCR検査について、検査体制をさらに強化・拡大し、希望するすべての市民が検査を受けられるように措置するとともに、措置に係る費用については国が全額負担すること。

4 国民健康保険制度について
 新型コロナウイルス感染症に感染した被保険者に支給される疾病手当金について、支給対象をフリーランスや自営業者などにも拡大するとともに、対象期間の延長を早急に検討すること。

5 地域経済対策について
(1) 新型コロナウイルス感染症により深刻な状況に陥っている雇用の維持と地域経済の回復については、今後もその状況を的確に捉え、迅速かつ必要な支援策を展開することとし、持続化給付金について継続及び複数回支給、家賃支援給付金について継続及び実態に即した増額、雇用調整助成金について緊急対応期間の延長及び日額上限の引上げ、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について対象期間の延長など、各支援制度について柔軟な対応を図ること。
 また、これらの支援制度の申請等については、手続きの簡素化を図り、速やかな給付を行うこと。
(2) 国は、セーフティネット貸付制度の拡充、経営相談や資金繰り支援などの各種支援策により、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化と経営環境の整備を支援しているが、事業者の経営に対する影響は広範囲かつ甚大である。併せて、新型コロナウイルス感染防止を想定した「新しい生活様式」に対応するため、新たな事業活動に取り組む必要があり、経済の回復には多くの時間を要することから、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
 また、金融機関に、資金繰りに苦慮している事業者に対する速やかな資金提供を働きかけるとともに、融資の返済猶予について柔軟な対応を講じるよう働きかけること。
 また、自治体が独自に実施する事業者支援策に要する経費に対し、国からの財政支援を継続すること。
(3) 売上等に甚大な打撃を被った観光・運輸業、飲食業等を対象としたGoToキャンペーン事業において、都市自治体及び事業者等の現場の意見を踏まえ、イベント開催等に係る支援を行うこと。
 また、GoToトラベル事業等の延期や、2度目の緊急事態宣言発出、併せて宣言発令区域外においても、不要不急の外出自粛と飲食店等への営業時間短縮の要請が出されているため、キャンセル等により宿泊、飲食、土産物店等の観光関連事業者や、コンベンション関係事業者は大きな損失を受けており、事業者に対して手厚い経営支援及び感染状況を踏まえた適切な入込回復支援を行うこと。
(4) 地方においては、低迷した地域経済を回復させるために、公共事業による景気の下支えが必要であることから、道路網の整備、国土強靱化など社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
 併せて、地域経済の回復を効果的に促進するため、使途を限定せず都市自治体の裁量で公共事業へ充当できる交付金制度を創設すること。
(5) 福島県産米は、原発事故による風評の影響もあり、主食用米でもより安価な業務用での使用割合が全国でも最も高くなっており、新型コロナウイルス感染症による自粛が長引くことにより、一層の業務用米の需要の低下及び価格の下落が懸念されることから、福島県の特殊事情に鑑み、一定期間、コロナ禍における業務用米の需要減少分について、備蓄米の都道府県優先枠のうち、福島県枠を優先的に増加させるなど、特別な対策を講じること。

6 地方財源の確保について
(1) 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況になることが見込まれる中、社会保障関係経費など、都市自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額及び地方交付税総額を確保すること。
(2) 新型コロナウイルス感染症が収束する時期は不明であり、長期化することが考えられるため、新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響を注視し、都市自治体が必要な施策を講じるための財政支援等を継続すること。

7 新型コロナウイルス感染症に強い社会の形成について
(1) 新型コロナウイルス感染症への対応を契機とする新しい生活様式に合わせ、行政手続きのデジタル化や行政サービス業務においてICT技術の導入を推進するとともに、建築物において接触を低減させる等、感染リスクを減らすための改修等に係る財政措置を講じること。
(2) 人口の過度の集中による感染リスクを低減するため、地方への新しいひとの流れを生み出し、ひいては移住・定住を促進するため、企業の地方移転やサテライトオフィス等による機能移転、地域における創業の促進等、時代の変化を捉えた新しい地方創生の実現に向けた施策を強力に推進すること。
(3) 新型コロナウイルス感染者は全国的に増加の一途をたどり、感染者や濃厚接触者、医療従事者等に対するいわれのない誹謗中傷や不当な差別は深刻さを増していることから、感染症への不当な差別を許さない強い決意を表明するとともに、偏見や差別が起きないような取組を強化すること。
 また、インターネット上に蔓延する誹謗中傷に対し、被害を受けた個々人が対応することは困難であることから、プロバイダーやサイト管理者に対し、当該誹謗中傷の削除要請までを伴走型で支援する専門知識と経験を有した特設窓口を設置すること。
 また、継続的な教育・啓発、相談窓口の充実、並びに適正な報道のあり方について、必要な対策を講じること。
(4) ひとり親世帯や減収により生活が困窮するなど、厳しい状況にある人が増えていることから、その現状に応じた社会保障制度の拡充を図るなど、生活支援策を講じること。

第177回東北市長会総会(2020/11/5)
第177回東北市長会総会が書面表決により開催され、本県から提出の議案として、
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災からの復興に関する決議
3 災害に対する住民の安全・安心の確立に関する決議
4 新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
5 新たな過疎法の制定等に関する決議
が特別決議として採択されました。

本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和2年9月現在で、福島県民だけでも3万7千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 国においては、令和元年12 月に「『復興・創生期間』後における復興の基本方針」を閣議決定し、復興庁の設置期間を10 年間延長して、引き続き内閣直属の組織とし、その事務を総轄する等のため復興大臣を置き、復興事業予算の一括要求などの現行の総合調整機能を維持するとした。復興・創生期間後の令和3年度以降も、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 よって、国は、原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに、正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。


1.原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1)「『復興・創生期間』後における東日本大震災からの復興の基本方針」において、被災者支援、産業・生業の再生及び風評払拭などの継続した支援の方向性が示されたが、復興・創生期間後も、ふくしま復興に関する特段の対策が必要であり、その計画的な推進を図るためにも、風評・偏見の解消とそれに対する心の復興に関する対策を講じるなど被災市町村の状況に即した切れ目のない財政支援について、特段の措置を講じること。
(2)復興・創生期間において放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、長期に及ぶことが予想されるため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3)子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金を継続するとともに、十分な財政措置を講じること。
 また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12 市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12 市町村から避難者を多く受け入れるなど、当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
(4)原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について、財政措置を講じること。
(5)避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し、課題解決に努めること。
(6)全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで、避難者名簿が正確性を欠き、居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう、必要な見直しを図り、実効性を確保すること。

2.放射性物質の除染対策について
(1)中間貯蔵施設の早期完成に努めること。また、中間貯蔵施設への輸送の早期完了に向け各自治体の要望に対して柔軟な対応に努めること。
 また、除去土壌等の適正管理・搬出、積込場の整備、仮置場の原状回復などについて、地域の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
 また、除去土壌の搬出困難案件について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計を行うこと。
(2)福島県内においては、8,000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の飛灰等について、埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し、安全かつ早期に輸送を完了させること。また、100,000Bq/kg を超える指定廃棄物について、処理のスケジュールを早期に示すとともに、その計画の遅延、変更等が、保管する自治体の事業運営に支障をきたす場合には、速やかに必要な対応や協力を行うこと。
(3)住宅地から20m 以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で、人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について、継続した支援策を講じること。
(4)除染の進捗や中間貯蔵施設への安全かつ円滑な輸送のため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化、相馬福島道路の早期完成のため、十分な整備予算を確保するとともに、原子力災害からの復興・再生、避難住民の帰還を加速させるため、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
 また、汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送による更なる道路の破損等が懸念されることから、路面破損時の修繕等仮置き場からのアクセス道路の環境整備について、確実に実施すること。
(5)除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく、長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については、累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず、全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり、周知、広報等を図り、制度の充実を図ること。

3.廃炉・汚染水対策について
(1)廃炉対策について、平成25 年9月に国が前面に出て汚染水対策を実行していくという基本方針を発表しているが、その後も流出が疑われる事態が判明していることから、事業者に任せることなく国が前面に立ち、具体的工程を示すとともに、国内外からの英知を結集し、燃料デブリの取り出しを含め、安全かつ確実に完遂すること。
(2)汚染水対策について、国が主体的に取り組み、実効性のある地下水対策、汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。
 また、トリチウムを含んだ処理水の処分については、福島を前提とすることなく、風評被害を発生させないという決意のもと、安全性に加えて財源も含めた体制等具体的な風評対策とその効果等を明示し、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう検討すること。

4.放射能教育について
 国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
 さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。

5.原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1)避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、営農・林業再開に支障が出ないよう、農林業者や関係団体の意向を十分に踏まえたうえで、賠償基準を早急に確定させるとともに、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
 また、平成31 年1月以降の避難指示区域外における農林業の風評賠償について、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、賠償請求手続きの変更に伴う被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
(2)商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化があれば、的確な賠償を行わせること。
(3)商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を的確かつ迅速に行わせること。また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
(4)商工業等に係る営業損害について、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(5)原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(6)原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(7)多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(8)市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24 年10 月1日以降の期間も対象とすること。
(9)放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされたことによる平成24 年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(10)自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(11)原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
 また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(12)自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産や山林、利用再開が見込めない財物の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(13)原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

6.住民の健康確保等について
(1)原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明及び意見交換を行うこと。
(2)原発事故の影響により医療人材が流出し、人手不足が深刻化していることから、医師、看護師等確保のための人件費補助など医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
(3)原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を講じること。
(4)全ての被災者の健康の確保、特に子どもたち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5)内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人デー
タの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6)県民健康調査における甲状腺検査では、甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められず、原発事故による放射線の影響とは考えにくいとされていることから、この調査結果を実証するため、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7)長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(8)外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(9)原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加し、施設の整備が進むものの、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10)震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子どものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11)リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。

7.農林水産業への支援について
(1)福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性をPRする広報活動を展開すること。
(2)モニタリング体制の維持・充実と併せ、地域の安全性に係る正確な情報を積極的に発信するとともに、福島県で生産された農林水産物のPRへの支援など、地域と連携した取組を推進すること。
 特に、漁業の風評被害が深刻であることから、その対策として、地産地消を目的に安全安心な魚介類をアピールするため、クルーズ船の誘致やそれらを食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。
(3)地元農産物の流通・供給拠点となる卸売市場等の関連施設の整備について、福島再生加速化交付金などを活用できるよう財政支援を図ること。
(4)原発被災地におけるイノシシによる被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。
 また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場における弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。

8.産業の流出防止と支援について
(1)津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、対象地域の重点化が図られ、これまでの復興状況等を踏まえ、区画整理事業等による環境整備に時間を要し、企業立地等が進んでいない地域に限定されたが、福島県経済の自立的発展のためには、浜通り地方と連携した全県的な地域振興策が必要であることから、浜通り以外の地域においても、原発事故の影響により工業団地の整備が進まなかった土地のみならず工業団地計画未策定の土地などを対象とすること。
(2)風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大、国際会議等コンベンションの開催・誘致、必要な施設の整備等幅広い施策を講じること。
(3)風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの誘致、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4)風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じるとともに、新たな企業誘致に繋がる工業団地の整備に際し必要となる用地費用、造成工事の整備費用など、財政措置を講じること。
 また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5)復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。
(6)令和3年度税制改正において、福島特措法を改正し福島イノベーション・コースト構想の推進及び風評被害対策に係る特例の規定を設け課税の特例を踏まえた税制措置を講じることとしているが、福島イノベーション・コースト構想においては県内の高等教育機関やICT 関連企業等との連携による取組が不可欠であることから、重点化に当たっては、福島県の継続的かつ均衡ある発展が図られるよう配慮すること。

9.新たな産業と雇用創出の支援について
(1)福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFC バス、FCV 等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに、FIT やFIP の適正な運用に努めること。
 また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
(2)福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の復興・創生期間後の更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
 また、風力関連産業について、課題となる風車の積み降ろしに係る港湾の整備を行うとともに、実証海域を含む福島県沖における洋上風力発電について、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」に基づく促進区域の指定の手続きを進めるなど事業化に向け、特段の措置を講じること。
(3)福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、ワールドロボットサミット2020に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(4)ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、被災事業者の帰還・再建を促す支援「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」の継続と十分な予算を確保すること。
(5)福島イノベーション・コースト構想の核として検討が進められている浜通り地域の国際教育研究拠点について、浜通り地域が一体となり知の拠点化を図っていくことが重要であることから、産業集積などの都市基盤や高等教育機関などのネットワーク等の地域資源がしっかりと活用されるとともに、この効果が地域全体に波及するよう、地域の実情に即した検討を進めること。また、安定的な運営ができるよう国が責任を持って財源を確保すること。
(6)福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。

10.原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1)避難指示区域等における国民健康保険税、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料の減免、並びに、医療費一部負担金及び介護保険の利用者負担の免除について、住民の生活が安定するまでには相当の期間を要することから、被保険者の健康維持のため、特別措置を今後も継続し、所得制限を廃止すること。
 また、免除の縮小、終了に向けては当該被保険者への十分な周知期間を確保すること。
(2)避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、今後も継続すること。


東日本大震災からの復興に関する決議

 東日本大震災から9年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 国においては、令和元年12 月に「『復興・創生期間』後における復興の基本方針」を閣議決定し、復興庁の設置期間を10 年間延長して、引き続き内閣直属の組織とし、その事務を総轄する等のため復興大臣を置き、復興事業予算の一括要求などの現行の総合調整機能を維持するとした。復興・創生期間後の令和3年度以降も、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興に向けた取組を継続していくためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
 よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復旧・復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1.復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1)震災復興特別交付税制度について、各自治体の復興が果たされるまで継続すること。
(2)心のケア等の被災者支援に係るソフト事業については、地域の実情に応じた事業が実施できるよう適切な財政措置を行うとともに、採択要件の緩和等、柔軟な運用を行うこと。
(3)任期付職員の採用及び他自治体からの職員派遣に係る人件費の財政措置を継続すること。
(4)防集移転元地の具体的利用計画がない段階においても利活用に際し必ず必要となる最小限の基盤整備にも活用できるよう財政支援など必要な措置を講じること。
(5)災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。
 よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
 また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
 併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

2.被災者の生活再建支援等について
(1)東日本大震災特別家賃低減事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11 年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
 また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10 年間は現行制度のまま継続され、11 年目から20 年目は補助率が5/6 から2/3 と引き下げられることとなったが、後年になって自治体の財政負担が増加するような制度変更により、今後、新たな災害発生時に速やかな災害公営住宅の建設を躊躇する自治体が出てくることが危惧され、被災者の迅速な生活再建に支障をきたす恐れがあることから、当初の計画どおり管理開始11 年目から20 年目についても補助率5/6 を堅持すること。
(2)東日本大震災等の影響による医療費の増加は、今後も続くことが想定されることから、医療費増加に伴う負担増分として財政支援を継続すること。
(3)津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大 300 万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの、被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。このため、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、被災者生活再建支援制度の総合的な見直しを図ること。

3.公共施設等の復旧支援について
(1)復興道路・復興支援道路の供用までには期間を要することから、事業を確実に実施すること。
 また、東北中央自動車道相馬・福島道路については、相双地域から福島県立医科大学付属病院への搬送時間を大幅に短縮するなど、福島復興に大きく貢献することが期待されているが、国道13 号福島西道路の南伸により、その搬送時間はさらに大きく短縮することが期待され、災害時の代替路を確保できる効果や物流の向上による産業復興も期待できることから、福島西道路の南伸事業を復興に不可欠なものとして、確実に実施すること。
(2)国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(3)津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399 号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(4)復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、福島県浜通り地方から首都圏への日帰り利用が可能となるよう運行時刻の見直しを行うとともに、福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の運行など、利便性の向上を図ること。また、Suicaについて、首都圏エリアと仙台エリアをまたいだ利用を可能とするとともに、すべての駅にSuica対応機器の整備を図ること。
(5)東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、基準財政需要額に算入し交付税措置を講じること。
 また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。


災害に対する住民の安全・安心の確立に関する決議

 我が国は、地震、津波、台風、豪雨など、数多くの自然災害に見舞われてきた。さらに近年、我が国で発生する災害は頻発化・激甚化しており、令和元年度も九州北部豪雨、令和元年房総半島台風による暴風・停電被害、令和元年東日本台風及び台風21 号による河川氾濫、更に令和2年7月豪雨による河川氾濫等の様々な災害が発生し、住民の生活基盤に深刻な影響を与えており、全国的に災害に対する危険性が増している。
 これらの激甚化、頻発化する自然災害に対し、住民の生命と財産を守るためには、これまで取り組まれてきた災害対策を、継続的かつ加速的に実施し、全国的にインフラの再整備をする必要がある。また、被災地の住民が一日も早く日常生活を取り戻すためには、被災者に対する支援を強化する必要がある。
 さらに、令和元年の台風や豪雨の際、これまで整備してきたインフラが防災効果を発揮した事例も多く見受けられた。インフラが適切に機能するためには、日々の点検や維持修繕が必要不可欠であるが、一方で、基礎自治体の財源は限られており、必要となる点検や維持修繕の実施がままならない。
 よって、国は、災害に対する住民の安全・安心の確立のため、次の事項について迅速かつ万全の措置を講じるよう要望する。



1.国土強靭化に向けた取組の充実強化について
近年頻発化、激甚化する自然災害に鑑み、防災・減災、国土強靭化の事業について、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に続き、事業期間を5カ年とした計画を立て、令和3年度以降も中長期的に実施すること。その際、高速道路の4車線化やダブルネットワークの構築等、老朽化対策等も対象とするなど制度拡充し、当初予算規模の大幅な拡大のうえ、必要となる予算を通常予算とは別枠で確保すること。
 同様に、「防災・減災・国土強靭化緊急対策事業債」、「緊急防災・減災事業債」及び「緊急自然災害防止対策事業債」に続く地方財政措置を、対象事業拡大等の制度拡充及び当初予算規模の大幅な拡大のうえ、令和3年度以降も中長期的に実施し、国と地方が一体となって、防災・減災、国土強靭化の取り組みを加速させること。

2.生活・経済を支え、安全・安心を確保するためのインフラの機能確保について
 橋梁、トンネル、河川施設、下水道、公園、港湾施設等の構造物について、機能に支障が生じる可能性があり、早急に措置を講ずべき施設の短期集中的な対策及び安全性の確保に必要な予算を確保すること。
 また、基礎自治体が管理する膨大な量の構造物をはじめ、国や県等が管理する構造物を含めたインフラの予防保全への本格転換を促進し、適切に予防保全型の点検や修繕を持続的に実施できるよう、インフラの整備に影響を与えず、必要となる予算・財源を継続的かつ充分に確保すること。

3.道路ネットワークの機能強化について
 災害時においても、早期に交通機能を確保し、物資等を運搬できるよう、高速道路のミッシングリンクの解消、4車線化やダブルネットワークの構築等による道路ネットワークの機能強化、無電柱化等の実施による災害に強い道路整備を実現すること。

4.都市部の浸水対策の充実強化について
 激甚化する豪雨や土砂災害に対応するため、抜本的な治水対策も含めた河川改修、雨水幹線や排水ポンプ場等の整備、排水ポンプ車の配備等により、都市部の浸水対策の充実を図ること。
 また、社会資本整備総合交付金について、今後想定される大規模災害への内水被害対策として、補助基準の緩和措置を検討すること。

5.港湾における災害対策の充実強化について
防波堤の耐震・耐津波補強やガントリークレーン整備等、港湾施設の災害対策の充実強化を図ること。

6.災害時などの自治体支援の充実強化について
(1)発災直後において、被災自治体からの要請を踏まえた、TEC−FORCE 等の災害時などの自治体支援の充実を図ること。
(2)災害復旧、復興段階における、国からの継続的な人的・技術的支援による、早期の復旧・復興の実現のための支援を行うことができるよう、平常時からホットラインの確立や地方整備局等の人員の継続的な増員、資機材等の確保を図ること。
(3)平常時においても、事前防災の観点等から、橋梁等の構造物の点検・修繕代行等の技術的支援の充実を図ること。

7.被災者支援の強化について
(1)被災者が安全で安心な日常を取り戻せるよう、被災者生活再建支援法による支援について、支援金の増額や適用範囲の拡大等、制度の充実を図ること。
 また、災害に対する備えを強化していくためには、公的資金ばかりでなく個人の備えの強化が不可欠であることから、災害に関する公的支援と保険のあり方を総合的に検討し、災害の備えを充実させること。
(2)災害救助法に基づく住宅応急修理制度について、水害による応急修理の場合については、これまでの実績を基に、修理内容を標準化することにより、自治体の審査事務の省力化を図るとともに、完了報告時に応急修理の費用を確認することとし、修理業者からの見積書の提出を不要とすること。
 また、手続き前に修理を完了し費用を支払った場合についても、公平性を図る観点から、制度の対象とすること。

8.災害復旧に関する制度について
 被災した施設等を、従前よりも災害に強い構造で復旧できるよう、改良復旧事業の積極的な推進を図ること。また、現行構造基準へ適合した復旧を災害復旧事業とすることを認め、さらに、改良復旧事業の要件緩和を行うなど、地域の実態を踏まえた制度改正を実施すること。

9.農業用ため池の維持管理への支援について
 農業用ため池は、田畑の農業用水源としてだけでなく、降雨時には雨水を一時的にためる洪水調整や土砂流出防止の機能を果たすなど、最も重要な農業水利施設であるが、営農者の高齢化や担い手不足等により、ため池の管理組織が弱体化し、適正な維持管理が困難となっていることから、ため池の土砂浚渫に係る財政措置を講じること。

10.令和元年東日本台風及び台風21号による災害からの復旧・復興について
(1)今後発生し得る大雨災害に備え、国管理の河川については、単なる復旧だけではなく、抜本的な河川改修及び堆砂除去などの治水対策を実施するとともに、必要な予算を確保すること。
 また、県や市町村が管理する河川については、河川管理者である各自治体に対し、抜本的な改修及び堆砂除去などの治水対策を実施するための財政的・技術的な支援を含めた措置を講じること。
(2)一級河川である阿武隈川からの背水の影響、また同水系の指定区間である県管理の支川の増水により、大規模な被害に至った地域において、既存の制度・慣例等にとらわれない、早期復旧に向けた予算の確保及び必要に応じた改良復旧を図るとともに、上流部における遊水地整備等の抜本的な治水対策について、迅速かつ万全の措置を講じること。
 また、「阿武隈川緊急治水対策プロジェクト」について、地域における防災・減災対策が完了するまで継続すること。
(3)災害関連地域防災がけ崩れ対策事業について、採択要件に合致しない箇所において被災者自らが復旧費用を負担しなければならず、復旧が進まない被災者が数多くいることから、東日本大震災時に適用となった特例措置や採択要件の緩和などの措置を講じること。
(4)国の権限代行により災害復旧に着手している国道289 号について、被災区間の早期復旧を図ること。
(5)東日本大震災及び原発事故からの復興途上にある福島県の特殊性に鑑み、被災企業等が今後も安心して市内で事業が継続できるよう、被災企業等が同一市町村内へ移転する場合の支援制度の創設、大企業等を含めた被災事業者全てが対象となる支援制度(グループ補助金など)の拡充、グループ補助金の定額補助要件の緩和、かさ上げなど浸水被害への自衛措置に係る支援制度の創設など、必要な支援を行うこと。
(6)被災自治体において生じる復旧・復興対策等に係る特別な財政需要について、被災自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう支援を講じること。


新型コロナウイルス感染症対策に関する決議

 新型コロナウイルス感染症によって、国民生活や経済活動に甚大な被害が生じており、国は、国民の生命と健康を護るため、様々な対策に取り組むとともに、補正予算を編成して機動的に経済対策及び各般の支援措置を実施している。
 地方自治体においても、外出自粛等による地域経済の縮小など、様々な課題に直面し、対応に苦慮しつつも、独自の支援策を講じるなど、全力で対策に取り組んでいるところである。
 よって、国は、市民が安心して暮らせる日常を取り戻すため、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1.国と地方の緊密な連携について
 都市自治体が感染拡大防止に必要な施策を主体的かつ迅速に実施できるよう、迅速な情報提供に努めること。

2.新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充・継続について
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、地域の実情に応じてきめ細やかな対応や即効性のある事業展開を可能にするため、また、第2波に備えた感染症拡大防止対策や「新しい生活様式」を定着させ、地域経済を回復に向けて長期的に取り組むため、地方単独事業充当分を中心とした拡充を図るとともに、令和3年度以降においても継続するなど、ハード事業を含めた自由度の高い支援制度の拡充を図ること。

3.必要な物資等の調達について
 マスクやアルコール消毒液等が不足し、供給が滞っている現状を踏まえ、ニーズに適切に応えられるよう、速やかに都市自治体に供給できる体制を構築するとともに、今後危惧されている第2波に備え、備蓄及びその更新に対する財政措置を拡充すること。

4.医療体制の確保と財政措置の充実について
(1)新型コロナウイルス感染症に対応する地域における安全・安心な医療体制の確保・充実を図るため、感染拡大時に専門的な知見のある医師の派遣や、医療を維持するために必要な医療用資機材の安定供給などの医療現場に寄り添った支援策を講じること。
(2)感染症への感染が疑われる患者等への検査を正確かつ迅速に実施するため、抗原、PCR検査の活用の流れを明確化するなど、身近な地域で短時間に着実に受けられるよう、民間の検査機関も含む広域的な検査体制の構築を図ること。
(3)新型コロナウイルス感染症対策の地域医療体制の確保の骨格をなす発熱外来において診療にあたる医師は、自医院を休業しながら住民のためにその運営に協力していることから、休業補償制度の確立や設置自治体への財源措置を講じること。
(4)新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた、新たな感染症対策にもつながる地域医療体制の構築に向けて、国が主体となり実効性のある制度設計や財政支援を図ること。
(5)新型コロナウイルス感染症の影響により閉院に追い込まれる病院が発生した場合、人口に対する医師数が少なく、医師の高齢化が進んでいる地域においては適切な診療が不可能となり、医療崩壊が危惧されることから、医療機関の経営基盤の安定化を図るための助成制度を創設すること。
(6)治療薬やワクチンの早期開発及び供給に全力で取り組み、社会的不安の解消に努めること。

5.国民健康保険制度について
 新型コロナウイルス感染症に感染した被保険者に支給される疾病手当金について、支給対象をフリーランスや自営業者などにも拡大するとともに、対象期間の延長を早急に検討すること。

6.地域経済対策について
(1)国は、セーフティネット貸付制度の拡充、経営相談や資金繰り支援などの各種支援策により、中小企業者の経営基盤の強化と経営環境の整備を支援しているが、事業者の経営に対する影響は広範囲かつ甚大である。併せて、新型コロナウイルス感染防止を想定した「新しい生活様式」に対応するため、新たな事業活動に取り組む必要があり、経済の回復には多くの時間を要することから、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が終息するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2)新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、国内外の牛肉の需要が減少し、枝肉価格が下落したことから、令和2年度3月販売分について、肉用牛肥育経営の標準的販売価格が生産費を下回った場合に差額の9割を国及び生産者積立金により補填する制度である肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)が全都道府県で発動され、生産者積立金の財源が枯渇し積立金から補填できない地域が発生していることから、生産者積立金へ国から補填するなど制度の改正や財源拡充を図ること。
(3)売上等に甚大な打撃を被った観光・運輸業、飲食業等を対象に行うGoToキャンペーン事業の実施に当たっては、都市自治体及び事業者等の現場の意見を踏まえ、イベント開催等に係る支援を行うとともに、風評被害対策を実施すること。
(4)地方においては、低迷した地域経済を回復させるために、公共事業による景気の下支えが必要であることから、道路網の整備、国土強靱化など社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
 併せて、地域経済の回復を効果的に促進するため、使途を限定せず都市自治体の裁量で公共事業へ充当できる交付金制度を創設すること。
(5)各都市自治体においては、様々な施策を講じて地域経済の活性化を図っているが、雇用情勢の悪化は、経済の回復にも水を差すことになることから、失業した労働者の雇用を確保するため、緊急雇用創出事業を創設すること。

7.地方財源の確保について
(1)令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況になることが見込まれる中、社会保障関係経費など、都市自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額及び地方交付税総額を確保すること。
 また、恒常的な地方交付税の財源不足については、臨時財政対策債によることなく、地方交付税法定率の引き上げを含め抜本的な改革を行うこと。
(2)新型コロナウイルス感染症が終息する時期は不明であり、長期化することが考えられるため、新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響を注視し、都市自治体が必要な施策を講じるための財政支援等を継続すること。
(3)新型コロナウイルス感染症の影響による収入減世帯を対象に行う水道料金及び下水道使用料の減免に伴う財政負担について、財政措置を講じること。

8.新型コロナウイルス感染症に強い社会の形成について
(1)新型コロナウイルス感染症への対応を契機とする新しい生活様式に合わせ、Society5.0における技術の進展を最大限活用し、行政手続きのデジタル化や行政サービス業務におけるICT技術の導入を推進するとともに、デジタル行政推進法の施行により地方自治体の努力義務となったオンライン化への取組について、十分な財政支援を行うこと。
(2)多くの住民が利用する施設等について、「接触」や「飛沫」による感染リスクを低減するため、器具類への非接触を基本とし、気密性と通気性のバランス等に配慮した建築・設備様式の普及を推進する啓発や補助制度等の創設について検討すること。
(3)人口の過度の集中による感染リスクを低減するため、地方への新しいひとの流れを生み出し、ひいては移住・定住を促進するため、企業誘致やサテライトオフィス等による企業の機能移転、ワーケーションの一層の推進を図ること。


新たな過疎対策法の制定等に関する決議

 過疎地域は、我が国の国土の過半を占め、豊かな自然や歴史・文化を有するふるさとの地域であり、都市に対する食料・水・エネルギーの供給、国土・自然環境の保全、いやしの場の提供、災害の防止、森林による地球温暖化の防止などに多大な貢献をしている。
 しかしながら、過疎地域では人口減少や少子高齢化が急速に進行し、多くの集落が消滅の危機に瀕し、また、森林管理の放置による森林の荒廃や度重なる豪雨・地震等の発生による林地崩壊、河川の氾濫など、極めて深刻な状況に直面している。
 よって、国は、現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は、令和3年3月をもって失効することから、引き続き、総合的な過疎対策を充実・強化し、過疎地域の振興・過疎地域の存続が図られるよう新たな過疎対策法の制定等、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1.過疎地域等の振興については、実効性のある対策を中長期的観点に立ち、計画的・継続的に講じる必要があることから、引き続き、過疎地域の振興が図られるよう新たな過疎対策法を制定すること。

2.新たな過疎法においても、現行法第33 条の規定による「市町村の廃置分合等があった場合の特例」を存置すること。
 また、過疎地域の要件と単位については、現行の過疎地域を引き続き対象とすることを基本としつつ、過疎地域の特性を的確に反映したものとすること。

3.過疎市町村の財政基盤の確立のため、地方交付税を充実し過疎市町村の財政基盤を強化するとともに、過疎対策事業債の対象事業を拡大すること。

第90回全国市長会議(2020/6/3)
第90回全国市長会議がweb会議で開催され、次の7議案について決議等を行い、その他各支部より提出のあった要望事項について、国に対し要請することとしました。
また、役員改選により会長に立谷相馬市長が再選されました。また、相談役に鈴木白河市長(新任)、理事に室井会津若松市長(新任)、評議員に品川郡山市長(再任)、清水いわき市長(再任)、木幡福島市長(再任)が就任いたしました。
また、永年勤続功労者(在職12年)として橋本須賀川市長が表彰されました。
なお、詳細については全国市長会ホームページをご覧下さい。

1.新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
2.東日本大震災からの復旧・復興及び福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議
3.国土強靱化、防災・減災対策等の充実強化に関する決議
4.地方創生の推進・分権型社会の実現に関する決議
5.都市税財源の充実強化に関する決議
6.行政のデジタル化及び学校教育のICT化の推進に関する決議
7.参議院議員選挙制度改革に関する決議



第176回東北市長会総会(2020/5/14)
第176回東北市長会総会が書面表決により開催され、本県から提出の議案として、
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災からの復興に関する決議
3 災害に対する住民の安全・安心の確立に関する決議
が特別決議として採択されました。

本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和2年3月現在で、福島県民だけでも3万8千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 よって、国は、原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに、正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。



1 復興・創生期間後の復興の体制について
 「『復興・創生期間』後における東日本大震災からの復興の基本方針」(令和元年12月20日閣議決定)において、復興庁設置期間の10年間延長、復興大臣の設置、現行の総合調整機能を維持すること等が盛り込まれたが、復興・創生期間後においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制及び復興の進度に応じた柔軟な制度を講じるとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組むこと。

2 原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 「『復興・創生期間』後における東日本大震災からの復興の基本方針」において、被災者支援、産業・生業の再生及び風評払拭などの継続した支援の方向性が示されたが、復興・創生期間後も、ふくしま復興に関する特段の対策が必要であり、その計画的な推進を図るためにも、財政支援の枠組みを早期に示すとともに、風評・偏見の解消とそれに対する心の復興に関する対策を講じるなど被災市町村の状況に即した切れ目のない財政支援について、避難指示が出された区域以外も含めて特段の措置を講じること。
(2) 復興・創生期間において放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、復興・創生期間後も長期に及ぶことが予想されるため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金を継続するとともに、十分な財政措置を講じること。
 また、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12市町村から多くの避難者を受け入れている周辺地域においては、共に復興に向けて取り組んでいるところであり、一日も早い復興・再生を成し遂げるため、福島再生加速化交付金事業のうち当該12市町村のみが対象となっている事業について、浜通り全体で活用できるよう対象地域の拡充を図ること。
(4) 原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について、財政措置を講じること。
(5) 避難指示区域等からの長期避難者の住民票の取扱いについて、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、見直すこと。
(6) 全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで、避難者名簿が正確性を欠き、居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう、必要な見直しを図り、実効性を確保すること。

3 放射性物質の除染対策について
(1) 中間貯蔵施設の早期完成に努めること。
  また、中間貯蔵施設への輸送の早期完了に向け各自治体の要望に対して柔軟な対応に努めること。
 また、除去土壌等の適正管理・搬出、積込場の整備、仮置場の原状回復などについて、地域の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
(2) 福島県内においては、8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等を埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し、早期に輸送を完了させるとともに、100,000Bq/kgを超える指定廃棄物について、処理のスケジュールを早期に示すこと。
(3) 住宅地から20m以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で、人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について、継続した支援策を講じること。
(4) 除染の進捗や中間貯蔵施設への安全かつ円滑な輸送のため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化、相馬福島道路の早期完成のため、十分な整備予算を確保するとともに、原子力災害からの復興・再生、避難住民の帰還を加速させるため、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
 また、汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送による更なる道路の破損等が懸念されることから、道路の拡幅及び路面破損時の修繕等を併せた仮置き場からのアクセス道路の環境整備について、現場の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
(5) 除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について、一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については、累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず、全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり、周知、広報等を図り、制度の充実を図ること。

4 廃炉・汚染水対策について
(1)  廃炉対策について、平成25年9月に国が前面に出て汚染水対策を実行していくという基本方針を発表しているが、その後も流出が疑われる事態が判明していることから、事業者に任せることなく国が前面に立ち、具体的工程を示すとともに、国内外からの英知を結集し、燃料デブリの取り出しを含め、安全かつ確実に完遂すること。
(2)  汚染水対策について、国が主体的に取り組み、実効性のある地下水対策、汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。

5 放射能教育について
  国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
 さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。

6 食品の安全確保対策への支援について
(1) 風評被害対策として、国内外に向けた福島県産農林水産物の安全性をPRする広報活動を国の主導により展開すること。
(2) モニタリング体制の維持・充実と併せ、地域の安全性に係る正確な情報を積極的に発信するとともに、福島県で生産された農林水産物のPRへの支援など、地域と連携した取組を推進すること。
 特に、漁業の風評被害が深刻であることから、その対策として、地産地消を目的に安全安心な魚介類をアピールするため、クルーズ船の誘致やそれらを食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。

7 原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1) 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、営農・林業再開に支障が出ないよう、農林業者や関係団体の意向を十分に踏まえたうえで、賠償基準を早急に確定させるとともに、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
 また、平成31年1月以降の避難指示区域外における農林業の風評賠償について、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、賠償請求手続きの変更に伴う被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
(2) 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化があれば、的確な賠償を行わせること。
(3) 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を的確かつ迅速に行わせること。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
(4) 商工業等に係る営業損害について、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(6) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(7) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(8) 市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(9) 放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされている現状を受け止め、平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(10) 自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(11) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
 また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(12) 自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産や山林、利用再開が見込めない財物の取扱い含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(13) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

8 住民の健康確保等について
(1) 原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2) 原発事故の影響により医療人材が流出し、人手不足が深刻化していることから、医師、看護師等確保のための人件費補助など医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
(3) 原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を講じること。
(4) 全ての被災者の健康の確保、特に子どもたち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5) 内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6) 県民健康調査における甲状腺検査では、甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められず、原発事故による放射線の影響とは考えにくいとされていることから、この調査結果を実証するため、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7) 長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(8) 原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加し、施設の整備が進むものの、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(9) 震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子どものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(10) リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。

9 産業の流出防止と支援について
(1) 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、対象地域の重点化が図られるが、福島県経済の自立的発展のためには、浜通り地方と連携した全県的な地域振興策が必要であることから、浜通り以外の地域においても、原発事故の影響により工業団地の整備が進まなかった土地のみならず工業団地計画未策定の土地などを対象とすること。
(2) 風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大、国際会議等コンベンションの開催・誘致、必要な施設の整備等幅広い施策を講じること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの誘致、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じるとともに、新たな企業誘致に繋がる工業団地の整備に際し必要となる用地費用、造成工事の整備費用など、財政措置を講じること。
 また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5) 復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目とすること。
(6) ふくしま産業復興投資促進特区制度について、復興特区法を改正し、対象地域を重点化するための規定を設け、課税の特例を踏まえた適用期限の延長等を行うこととしているが、福島県の持続的かつ均衡ある発展を図るため、県内全域を適用対象とした現行制度を継続すること。
(7) 原発被災地におけるイノシシによる被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。
 また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場における弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。

10 新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに、固定価格買取制度の適正な運用に努めること。
 また、広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に関して電力会社と連携して、国が主体的に取り組むこと。
(2) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の復興・創生期間後の更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
 また、浜通り地域に整備される様々な研修施設や実証設備が、進出企業と地元企業の連携や地域人材の育成につながるなど、地域にしっかりと根付き、永続できるよう、国が主体的に自治体及び関係機関と一体となって取り組むこと。
(3) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導に向けた取組を支援すること。
(4) ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、被災事業者の帰還・再建を促す支援「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」の継続と十分な予算を確保すること。
(5) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。

11 原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1) 避難指示区域等における国民健康保険税、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料の減免、並びに、医療費一部負担金及び介護保険の利用者負担の免除について、住民の生活が安定するまでには相当の期間を要することから、被保険者の健康維持のため、特別措置を今後も継続し、所得制限を廃止すること。
 また、免除の縮小、終了に向けては当該被保険者への十分な周知期間を確保すること。
(2) 避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、今後も継続すること。


東日本大震災からの復興に関する決議

 東日本大震災から9年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 国においては、令和元年12月に「『復興・創生期間』後における復興の基本方針」を閣議決定したところであるが、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興に向けた取組を継続していくためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等の取組が必要である。
 よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復旧・復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 復興・創生期間後における財政支援については、「地震・津波被災地域」「原子力災害被災地域」を区分して、支援期間や対象地域を一律に設定するのではなく、地域の実情を勘案し、被災地が必要と考える取組を幅広に対象とするような新たな交付金制度の構築を図ること。
(2) 復興交付金について、防集移転元地の具体的利用計画がない段階においても利活用に際し必ず必要となる最小限の基盤整備にも活用できるよう柔軟に対応すること。
(3) 災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
 また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
 併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国おいて債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

2 被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災特別家賃低減事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
 また、復興・創生期間後において、災害公営住宅家賃低廉化事業及び東日本大震災特別家賃低減事業について、少なくとも現状の制度を堅持し、継続すること。
(2) 東日本大震災等の影響による医療費の増加は、今後も続くことが想定されることから、医療費増加に伴う負担増分として財政支援を継続すること。
(3) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大 300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの、被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。このため、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、被災者生活再建支援制度の総合的な見直しを図ること。

3 公共施設等の復旧支援について
(1) 復興道路・復興支援道路の供用までには期間を要することから、事業を確実に実施すること。
 また、東北中央自動車道相馬・福島道路については、相双地域から福島県立医科大学付属病院への搬送時間を大幅に短縮するなど、福島復興に大きく貢献することが期待されているが、国道13号福島西道路の南伸により、その搬送時間はさらに大きく短縮することが期待され、災害時の代替路を確保できる効果や物流の向上による産業復興も期待できることから、福島西道路の南伸事業を復興に不可欠なものとして、確実に実施すること。
(2) 国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(3) 津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(4) 復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、福島県浜通り地方からの早朝出発便や東京からの夜間到着便の設定及び増便を図るとともに、普通列車の増便や福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の運行など、利便性の向上を図ること。また、線形改良や道路との立体交差等による高速化などの基盤強化を図ること。
(5) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、基準財政需要額に算入し交付税措置を講じること。
 また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新費用も必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても今後検討すること。


災害に対する住民の安全・安心の確立に関する決議

 我が国は、地震、津波、台風、豪雨など、数多くの自然災害に見舞われてきた。さらに近年、我が国で発生する災害は頻発化・激甚化しており、令和元年度も九州北部豪雨、令和元年房総半島台風による暴風・停電被害、令和元年東日本台風及び台風21号による河川氾濫等の様々な災害が発生し、住民の生活基盤に深刻な影響を与えており、全国的に災害に対する危険性が増している。
 これらの激甚化、頻発化する自然災害に対し、住民の生命と財産を守るためには、これまで取り組まれてきた災害対策を、継続的かつ加速的に実施し、全国的にインフラの再整備をする必要がある。また、被災地の住民が一日も早く日常生活を取り戻すためには、被災者に対する支援を強化する必要がある。
 さらに、令和元年の台風や豪雨の際、これまで整備してきたインフラが防災効果を発揮した事例も多く見受けられた。インフラが適切に機能するためには、日々の点検や維持修繕が必要不可欠であるが、一方で、基礎自治体の財源は限られており、必要となる点検や維持修繕の実施がままならない。
 よって、国は、災害に対する住民の安全・安心の確立のため、次の事項について迅速かつ万全の措置を講じるよう要望する。



1 継続的な災害対策の実施について
 近年頻発化、激甚化する自然災害に鑑み、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」、「緊急防災・減災事業」及び「緊急自然災害防止対策事業」など、防災・減災、国土強靭化の事業について、老朽化対策等も対象とするなど制度拡充のうえ、令和3年度以降も継続するとともに、当初予算において、必要な予算を通常予算とは別枠で確保すること。

2 道路ネットワークの機能強化について
 災害時においても物資等を運搬できるよう、高規格幹線道路網のダブルネットワーク化、暫定2車線区間の4車線化等の道路ネットワークの機能強化、無電柱化等の実施による災害に強い道路整備を実現すること。

3 都市部の浸水対策の充実強化について
 激甚化する豪雨や土砂災害に対応するため、抜本的な治水対策も含めた河川改修、雨水幹線や排水ポンプ場等の整備、排水ポンプ車の配備等により、都市部の浸水対策の充実を図ること。

4 生活・経済を支え、安全・安心を確保するためのインフラの機能確保について
 橋梁、トンネル、河川施設、下水道、公園、港湾施設等の構造物について、機能に支障が生じる可能性があり、早急に措置を講ずべき施設の短期集中的な対策および安全性の確保に必要な予算を確保すること。さらに、基礎自治体が管理する膨大な量の構造物をはじめ、国や県等が管理する構造物を含めたインフラの予防保全への本格転換を促進し、適切に点検、維持管理・更新するため、インフラの整備に影響を与えず、必要となる財源を継続的かつ充分に確保すること。

5 港湾における災害対策の充実強化について
 防波堤の耐震・耐津波補強やガントリークレーン整備等、港湾施設の災害対策の充実強化を図ること。

6 災害時などの自治体支援の充実強化について
(1) 発災直後において、被災自治体からの要請を踏まえた、TEC−FORCE等の災害時などの自治体支援の充実を図ること。
(2) 災害復旧、復興段階における、国からの継続的な人的・技術的支援による、早期の復旧・復興の実現のための支援を行うことができるよう、平常時からホットラインの確立や地方整備局等の人員の継続的な増員、資機材等の確保を図ること。
(3) 平常時においても、事前防災の観点等から、橋梁等の構造物の点検・修繕代行等の技術的支援の充実を図ること。

7 国土強靱化に関する計画策定等の財政支援について
 国土強靱化基本法に基づき自治体が策定する国土強靱化地域計画により、多方面にわたる施策を総合的かつ計画的に実施し、大規模自然災害に備え、強靱な地域づくりを推進するためには、気候変動や社会情勢に応じた柔軟な計画策定・改定が必要となることから、策定・改定に係る補助制度を創設するなど、充分な財政措置を講じること。

8 被災者支援の強化について
(1) 被災者が安全で安心な日常を取り戻せるよう、被災者生活再建支援法による支援について、支援金の増額や適用範囲の拡大等、制度の充実を図ること。
 また、災害に対する備えを強化していくためには、公的資金ばかりでなく個人の備えの強化が不可欠であることから、災害に関する公的支援と保険のあり方を総合的に検討し、災害の備えを充実させること。
(2) 災害救助法に基づく住宅応急修理制度について、水害による応急修理の場合については、これまでの実績を基に、修理内容を標準化することにより、自治体の審査事務の省力化を図るとともに、完了報告時に応急修理の費用を確認することとし、修理業者からの見積書の提出を不要とすること。
 また、手続き前に修理を完了し費用を支払った場合についても、公平性を図る観点から、制度の対象とすること。

9 災害復旧に関する制度について
 被災した施設等を災害に強い構造で復旧し、強靭な地域づくりに繋げるため、現行構造基準への適合に必要となる費用は災害復旧事業で計上することを認め、さらに改良復旧事業の適用範囲を拡充するなど、必要となる制度改正を実施すること。

10 令和元年東日本台風及び台風21号による災害からの復旧・復興について
(1) 今後発生し得る大雨災害に備え、国管理の河川については、単なる復旧だけではなく、抜本的な河川改修及び堆砂除去などの治水対策を実施するとともに、必要な予算を確保すること。
 また、県や市町村が管理する河川については、河川管理者である各自治体に対し、抜本的な改修及び堆砂除去などの治水対策を実施するための財政的・技術的な支援を含めた措置を講じること。
(2) 一級河川である阿武隈川からの背水の影響、また同水系の指定区間である県管理の支川の増水により、大規模な被害に至った地域において、既存の制度・慣例等にとらわれない、早期復旧に向けた予算の確保及び必要に応じた改良復旧を図るとともに、上流部における遊水池整備等の抜本的な治水対策について、迅速かつ万全の措置を講じること。
(3) 災害関連地域防災がけ崩れ対策事業について、採択要件に合致しない箇所において復旧が進まず二次災害が発生する恐れがあることから、東日本大震災時に適用となった特例措置や採択要件の緩和などの措置を講じること。
(4) 国の権限代行により災害復旧に着手している国道289号について、被災区間の早期復旧を図ること。
(5) 東日本大震災及び原発事故からの復興途上にある福島県の特殊性に鑑み、被災企業等が今後も安心して市内で事業が継続できるよう、被災企業等が同一市町村内へ移転する場合の支援制度の創設、大企業等を含めた被災事業者全てが対象となる支援制度(グループ補助金など)の拡充、グループ補助金の定額補助要件の緩和、かさ上げなど浸水被害への自衛措置に係る支援制度の創設など、必要な支援を行うこと。
(6) 被災自治体において生じる復旧・復興対策等に係る特別な財政需要について、被災自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう支援を講じること。

第175回東北市長会総会(2019/10/16ホテルシティプラザ北上)

全国市長会会長挨拶をする立谷相馬市長
第175回東北市長会総会が宮城県石巻市で開催され、本県から提出の議案として、
1 復興庁後継組織のあり方に関する決議
2 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
3 東日本大震災からの復興に関する決議
4 災害に対する住民の安全・安心の確立に関する決議
5 令和元年台風第19号の暴風雨による災害に関する緊急決議

が特別決議として採択されました。

本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。


復興庁後継組織のあり方に関する決議

 国は, 平成31年3月に「「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針」を見直し, 復興庁の後継組織として, 復興庁と同じような司令塔として各省庁の縦割りを排し, 政治の責任とリーダーシップの下で東日本大震災からの復興を成し遂げるための組織を置くとしたところである。
 東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故から8年が経過したものの,東日本大震災復興基本法に規定された基本理念である, 被災者による自発的な協働や新たな地域社会の構築に至るまでの地域住民の絆の維持及び強化には未だ至っていない。
 よって, 国は, 原子力災害の影響が未だ残る深刻な状況からの着実な復興を成し遂げるためには, 中・長期的な対応が必要であることに鑑み,令和3年度以降においても, 専任の担当大臣を置くなど, 大臣のリーダーシップのもと司令塔機能及び予算を含めた総合調整機能を有する被災地の課題に迅速に対応できる復興庁後継組織を構築し, 全省庁体制で復興及び諸課題解決に取り組むよう要望する。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議


 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により,令和元年9月現在で,福島県民だけでも4 万2 千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は,放射線被ばくによる健康被害への不安,風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 よって,国は,原発事故の早期収束へ向け,自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに,正確な情報の迅速な公表に努め,次の事項について,特段の措置を講じるよう要望する。



1 原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 全国的に景気の回復・拡大基調が強まる中で,原子力災害による風評,除染・復興関連事業のピークアウトなどから,福島県経済については今後の推移が懸念される状況にある。このため,復興・創生期間終了後も,ふくしま復興に関する特段の対策が必要であり,その計画的な推進を図るためにも,財政支援の枠組みを早期に示すとともに,農業の復興に必要なため池の放射性物質対策,農林水産物に係る風評の払拭,観光の再生に関する補助制度など,福島県経済の自立的発展を可能とするような特別対策,並びに,風評・偏見の解消とそれに対する心の復興に関する対策及び避難者の受入れ自治体が適切にサービス提供ができる財政措置を講じるなど被災市町村の状況に即した切れ目のない財政支援について,避難指示が出された区域以外も含めて特段の措置を講じること。
(2) 復興・創生期間において放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング,健康管理,食品の放射線量測定,風評被害対策など,原発事故由来の事業については,復興・創生期間以後も長期に及ぶことが予想されるため,全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 福島再生加速化交付金について,「個人線量管理・線量低減活動支援事業」「相談員育成・配置事業」「農山村地域復興基盤総合整備事業のうち,ため池の底泥流入・拡散防止対策」について,今後もこれまで同様,地域の実情に応じた柔軟な対応と十分な財源の確保を継続すること。
 また,避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12 市町村から多くの避難者を受け入れている周辺地域においては,共に復興に向けて取り組んでいるところであり,一日も早い復興・再生を成し遂げるため,当該12 市町村のみが対象となっている事業について,浜通り全体で活用できるよう対象地域の拡充を図ること。
(4) 原子力災害に伴う固定資産税等の減収分の全額について,財政措置を講じること。
(5) 避難指示区域等からの長期避難者の住民票の扱いについて,税負担の公平性はもとより,避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進の観点,さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから,見直すこと。
(6) 全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について,避難の終了や変更が生じているものの,避難者からその旨の届出がないことで,避難者名簿が正確性を欠き,居住実態が把握できない世帯が多い状況では,避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため,避難の実態を十分に把握できるよう,必要な見直しを図り,実効性を確保すること。

2 放射性物質の除染対策について
(1) 放射性物質汚染廃棄物の最終処分までの計画を早期に示すこと。
(2) 中間貯蔵施設の早期完成に努めること。
また,中間貯蔵施設への輸送について,国は令和3 年度までに,県内に仮置きされている除去土壌等(帰還困難区域を除く)の概ね輸送完了を目指すとする方針を示したが,各自治体に対して令和2・3 年度別輸送量を早期かつ明確に示すとともに,輸送の早期完了に向け各自治体の要望に対して柔軟な対応に努めること。
 除去土壌等の適正管理・搬出,積込場の整備,仮置場の原状回復などについては,地域の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
(3) 福島県内においては,8,000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の飛灰等を埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し,早期に輸送を完了させるとともに,100,000Bq/kg を超える指定廃棄物について,処理のスケジュールを早期に示すこと。
 また,8,000Bq/kg 以下の一般廃棄物扱いとなる汚染廃棄物について,民間の技術を活用した再資源化処理を行う場合に必要な費用に対する補助制度の期間を延長すること。
(4) 住宅地から20m 以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で,人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は,リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について,継続した支援策を講じること。
(5) 除染の進捗や中間貯蔵施設への安全かつ円滑な輸送のため重要となる県内の基幹的な道路の整備,特に,常磐自動車道の早期全線4 車線化,国道6 号の南相馬市内一部4 車線化,相馬福島道路の早期完成のため,十分な整備予算を確保するとともに,原子力災害からの復興・再生,避難住民の帰還を加速させるため,(仮称)小高スマートインターチェンジを設置すること。
 また,汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送による更なる道路の破損や交通量の増加等が懸念されることから,道路の拡幅及び路面破損時の修繕等を併せた仮置き場からのアクセス道路の環境整備について,現場の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
(6) 除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は,除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について,一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で,登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが,当該制度開始前に業務が完了していた事業については,累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから,当該制度について,運用開始前後にかかわらず,全ての除染等事業者が速やかに登録するよう,国が主体となり,周知,広報等を図り,制度の充実を図ること。

3 廃炉・汚染水対策について
(1) 廃炉対策について,平成25 年9 月に国が前面に出て汚染水対策を実行していくという基本方針を発表しているが,その後も流出が疑われる事態が判明していることから,事業者に任せることなく国が前面に立ち,具体的工程を示すとともに,国内外からの英知を結集し,燃料デブリの取り出しを含め,安全かつ確実に完遂すること。
(2) 汚染水対策について,国が主体的に取り組み,実効性のある地下水対策,汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。

4 放射能教育について
 国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから,高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど,子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに,これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。

5 食品の安全確保対策への支援について
(1) 風評被害対策として,国内外に向けた福島県産農林水産物の安全性をPRする広報活動を国の主導により展開すること。
 また,東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会において,GAP(農業生産工程管理)やMEL(マリン・エコラベル・ジャパン)等の認証を受けた福島県産農林水産物を積極的に活用すること。
(2) モニタリング体制の維持・充実と併せ,地域の安全性に係る正確な情報を積極的に発信するとともに,福島県で生産された農林水産物のPRへの支援など,地域と連携した取組を推進すること。
 特に,漁業の風評被害が深刻であることから,その対策として,地産地消を目的に安全安心な魚介類をアピールするため,クルーズ船の誘致やそれらを食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。

6 原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1) 平成31 年1 月以降の避難指示区域外における農林業の風評賠償について,円滑な移行に向けて農林業者等へ丁寧な説明を行うとともに,関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し,被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また,避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて,賠償の考え方を早急に示すとともに,農林業者や関係団体の意見を十分に踏まえた対応をさせること。
 農林水産業に係る営業損害については,依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ,十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
(2) 商工業等に係る営業損害の一括賠償については,原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり,個別訪問等による実態把握に努め,定性的要因を積極的に採用するなど,簡易な手法で柔軟に行うとともに,個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また,一括賠償で年間逸失利益の2 倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し,状況の変化があれば,的確な賠償を行わせること。
(3) 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて,被害者からの相談や請求に丁寧に対応し,形式的に判断することなく,地域の状況や事業の特殊性,個別具体的な事情をしっかりと把握した上で,損害の範囲を幅広く捉え,被害の実態に見合った賠償を的確かつ迅速に行わせること。
 また,原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては,一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど,手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し,被害者の負担を軽減させること。
(4) 商工業等に係る営業損害について,同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう,風評被害の相当因果関係の類型,判断根拠,東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに,書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ,確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また,同様の損害を受けている被害者に対しては,和解仲介の手続によらず,直接請求によって一律に対応させること。
(6) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し,直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(7) 多くの被害者に共通する損害については,類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから,住民や地域,市町村に混乱を生じさせないよう,審査会における審議を通し,賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また,被災者に対する損害賠償を円滑に行うため,手続きを簡略化させるよう指導するとともに,総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(8) 市民や企業が自ら行った除染費用については,東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに,対象期間について,平成24 年10 月1 日以降の期間も対象とすること。
(9) 放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされている現状を受け止め,平成24 年9 月以降の精神的損害に対して,迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(10) 自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は,その実施体制に要する費用を含め,政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから,賠償請求手続を簡素化するとともに,確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(11) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について,目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
また,自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収について全て確実に賠償を行わせること。
(12) 自治体の財物の賠償については,自治体等の意向を十分に踏まえ,迅速に賠償を行うとともに,インフラ資産や山林,利用再開が見込めない財物の取扱い含め,個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(13) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し,直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

7 住民の健康確保等について
(1) 原子力災害に伴う健康管理対策に関して,国は責任をもって主体的に取り組むこと。
 また,福島県内の自治体に今後の方針等を説明,及び意見交換を行うこと。
(2) 原発事故の影響により医療人材が流出し,人手不足が深刻化していることから,医師,看護師等確保のための人件費補助など医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
(3) 全ての被災者の健康の確保,特に子どもたち,高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(4) 内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに,健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(5) 県民健康調査における甲状腺検査では,甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められず,原発事故による放射線の影響とは考えにくいとされていることから,この調査結果を実証するため,被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(6) 長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(7) 原子力災害の影響により,要支援・要介護認定者が増加し,施設の整備が進むものの,スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや,保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり,避難者の帰還を妨げる要因となっていることから,障がい者支援施設及び介護施設従事者,並びに,保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(8) 震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において,魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため,子どものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに,公立施設に対しても同様に財源を確保することにより,この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(9) リアルタイム線量測定システムについては,安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し,国としてあり方を検討すること。

8 産業の流出防止と支援について
(1) 福島県経済の自立的発展のためには,浜通り地方のみならず全県的な地域振興策が必要であることから,全県を対象とした,津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金に代わる新たな補助制度を設けること。
(2) 風評払拭のため,国内外への情報提供や販路拡大,国際会議等コンベンションの開催・誘致,必要な施設の整備等幅広い施策を講じること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため,国内外への多角的な観光情報の発信,外国人旅行者の誘客,MICEの誘致,観光資源の開発,観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置,2020 年東京オリンピック・パラリンピック等による訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の創設など,国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから,地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため,企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じるとともに,新たな企業誘致に繋がる工業団地の整備に際し必要となる用地費用,造成工事の整備費用など,財政措置を講じること。
 また,空き店舗等の解消に係る財政措置,税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策,及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5) 復興特区制度について,より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため,人口30 万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても,税制優遇措置の対象税目に加えること。
(6) 原発被災地におけるイノシシによる被害については,野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により,農作物被害が広域化かつ深刻化していることから,被害防止体制の強化が図れるよう,復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに,国と県とが連携して対策を強化すること。
 また,狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから,射撃場における弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。

9 新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け,太陽光発電,蓄電池設備やFCバス,FCV等の普及拡大,水素ステーションなどの供給体制の整備,水素エネルギーシステムの開発等に係る支援,設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに,固定価格買取制度の適正な運用に努めること。
 また,広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に関して電力会社と連携して,国が主体的に取り組むこと。
(2) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の復興・創生期間後の更なる推進を図るため,「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を市町村等関係機関の意見を踏まえ作成するとともにとともに,浜通り地域等を意欲ある企業等の「あらゆるチャレンジが可能な地域」とし,産業振興に向けた創業・進出・成長支援,そのための規制緩和,資金調達の円滑化等の措置を講じること。
 また,浜通り地域に整備される様々な研修施設や実証設備が,進出企業と地元企業の連携や地域人材の育成につながるなど,地域にしっかりと根付き,永続できるよう,国が主体的に自治体及び関係機関と一体となって取り組むこと。
(3) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに,福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導に向けた取組を支援すること。
(4) ロボット産業を集積させるため,企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また,マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに,被災事業者の帰還・再建を促す支援「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」の継続と十分な予算を確保すること。
(5) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して,内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能,及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ,福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため,福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(都市計画道路下高平北長野線)について,早期整備のため十分な支援を講じること。

10 事故の影響を受けた地域における治安維持のための支援について
復旧・復興事業が進捗する一方で,住民が移転した復興住宅団地や帰還先などで新たな地域コミュニティを形成するとともに,防犯体制を再構築して安心できる居住環境をつくる必要があることから,各自治体が実施する治安の維持向上に向けたパトロール等治安維持への取組,防犯カメラの設置及び児童・生徒に対する防犯ブザーの配付などに対する制度的・財政的支援を講じること。



東日本大震災からの復興に関する決議


 東日本大震災から8 年が経過し,被災した自治体が懸命の取組を続ける中,それぞれの自治体は,復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 国においては,平成28 年3 月に平成28 年度からの5 年間を「復興・創生期間」と位置付けた復興の基本方針を決定したところであるが,被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興に向けた取組を一層加速していくためには,復興財源の確保はもとより,復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保,予算制度の拡充・強化,柔軟な運用等,更なる取組が必要である。
 よって,国は,被災自治体が東日本大震災からの復旧・復興を主体的かつ早期実現できるよう,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 震災からの復興を成し遂げるために必要な事業について,復興・創生期間後も復興完遂まで,復興交付金や震災復興特別交付税などの財源を確実に措置すること。
 また,復興交付金や福島再生加速化交付金などの財政支援については,被災地が実情を勘案し必要と認める事業が着実に実施できるよう制度を弾力的に運用するとともに,防集移転元地の具体的利用計画がない段階においても利活用に際し必ず必要となる最小限の基盤整備など,被災地が必要と考える取組に柔軟に対応すること。
(2) 被災地で勤務する職員及び元派遣職員を含めた派遣職員に対するメンタルヘルス対策は極めて重要であることから,平成28 年度から実施されている「東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策5 か年事業」について,被災自治体の要望を踏まえつつ,確実に実施すること。
(3) 災害援護資金の貸付は,所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから,震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって,国は,自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し,借受人の償還期間を延長した場合には,自治体の国に対する償還期間を延長すること。
 また,災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について,破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの,強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど,実態を踏まえれば不十分であることから,地方自治法による徴収停止や,地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような,回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
 併せて,債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに,国おいて債権回収機構等を設置し,専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。

2 被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災特別家賃低減事業について,建物管理開始後6 年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え,国の補助額は低減することとなっているが,収入の増加の見込めない高齢者世帯など,入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに,事業期間を延長し,自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
(2) 復興財源で行われている緊急スクールカウンセラー等活用事業及びスクールソーシャルワーカー緊急派遣事業について,財政支援を継続すること。
(3) 東日本大震災等の影響による医療費の増加は,今後も続くことが想定されることから,医療費増加に伴う負担増分として財政支援を継続すること。
(4) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において,全壊家屋の再建等に対し最大 300 万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの,被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっているなど課題が明らかとなったことから,被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう,被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ,被災者生活再建支援制度の総合的な見直しを図ること。

3 公共施設等の復旧支援について
(1) 復興道路・復興支援道路の供用までには期間を要することから,事業を確実に実施するために,完成まで継続的に財源を確保するとともに早期供用を図ること。
 また,東北中央自動車道相馬・福島道路については,相双地域から福島県立医科大学付属病院への搬送時間を大幅に短縮するなど,福島復興に大きく貢献することが期待されているが,国道13 号福島西道路の南伸により,その搬送時間はさらに大きく短縮することが期待され,災害時の代替路を確保できる効果や物流の向上による産業復興も期待できることから,福島西道路の南伸事業を復興に不可欠なものとして,更なる事業の加速化を図ること。
(2) 国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが,避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには,更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから,重要物流道路について,平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう,指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに,災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や,地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(3) 津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため,福島県が戦略的に取り組んでいる国道399 号,県道小野富岡線,県道吉間田滝根線,小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(4) 復興を加速化させていくためには,JR常磐線の全線再開及び利便性の向上は必須であり,双葉地区の方々の早期帰還をはじめ,福島県の復興を強く印象づけることによる観光やビジネスの復興,国内外からの交流人口の拡大,福島第一原子力発電所の廃炉作業の加速化,福島・国際研究産業都市構想(イノベーション・コースト構想)の実現,2020 年東京オリンピック・パラリンピックにおけるインバウンド促進等につながることから,東日本旅客鉄道株式会社と緊密に連携し1日も早い全線開通実現に向けた取組に努めること。
 また,福島県浜通り地方と東京を直通で結ぶ特急列車の着実な運行に取り組むとともに,福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の運行など,利便性の向上を図ること。更には,線形改良や道路との立体交差等による高速化など,単なる復旧にとどまらない基盤強化を図ること。
(5) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し,広範囲にわたって浸水したことから,住民の生活基盤再建のため,雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災からの復旧に不可欠な施設を整備したところであるが,これら施設の維持管理費について,基準財政需要額に算入し交付税措置を講じること。
 また,これら施設は恒久的に活用するものであり,将来老朽化に伴う更新費用も必要となるため,改築・更新に対する財政支援についても今後検討すること。


災害に対する住民の安全・安心の確立に関する決議

 我が国は,その自然条件から,地震,津波,台風,豪雨,火山噴火,豪雪,竜巻など,これまで数多くの自然災害に見舞われてきた。さらに近年,我が国で発生する災害は頻発化・激甚化しており,昨年度発生した大阪府北部地震,平成30年7月豪雨,平成30年北海道胆振東部地震に留まらず,今年度も,新潟・山形地震,九州北部豪雨,台風15号による暴風・停電被害等の様々な災害が発生し,住民の生活基盤に深刻な影響を与えており,全国的に災害に対する危険性が増している。
 これらの激甚化,頻発化する自然災害に対し,住民の生命と財産を守るためには,これまで取り組まれてきた災害対策を,継続的かつ加速的に実施し,全国的にインフラの再整備をする必要がある。
 よって,国は,災害に対する住民の安全・安心の確立のために,次の事項について迅速かつ万全の措置を講じるよう要望する。



1 継続的な災害対策の実施について
(1) 近年頻発化,激甚化する自然災害に鑑み,令和2年度までとされる「防災・減災,国土強靭化のための3 か年緊急対策」に留まらず,令和3年度以降も防災・減災対策を継続的かつ計画的に実施すること。
(2)道路,河川,上下水道,港湾等の社会資本整備を継続的に推進するため,防災・安全交付金,社会資本整備総合交付金等をはじめとする,防災・減災対策を加速させるための制度を整えることなどにより,別枠で予算を確保すること。

2 道路ネットワークの機能強化について
(1)災害時においても物資等を運搬できるよう,高規格幹線道路網のダブルネットワーク化および,高規格幹線道路網の暫定2 車線区間については,早期に4 車線化を実現すること。
(2)平時・災害時を問わず機能する道路ネットワークの確保のため,一般道も含め,重要物流道路の指定拡大を実施し,道路ネットワークの機能強化を実現すること。

3 橋梁等の構造物の安全性確保について
(1)道路ネットワークの機能確保のため,橋梁等の構造物の耐震化を網羅的に実施すること。
(2)橋梁,トンネル,河川護岸や水門,下水道,公園,港湾施設等の構造物の本格的な老朽化に備え,予防保全を実施し,計画的な維持修繕および構造物の安全性を確保すること。

4 都市部の浸水対策の充実強化について
(1)激甚化する豪雨や土砂災害に対応するため,抜本的な治水対策も含めた河川改修を実施するとともに,河川内の堆砂除却等の適切な維持管理等を実施すること。
(2)雨水貯留管や排水ポンプ場等の整備により,都市部の排水機能を強化すること。

5 港湾における災害対策の充実強化について
(1)災害復旧時の早期の港湾活用のため,耐震岸壁や津波・高波等に粘り強い防波堤の整備を促進すること。
(2)ガントリークレーン等の物資荷揚げ設備の耐震化のための県への財政的・技術的支援を行うこと。

6 災害時などの自治体支援の充実強化について
(1)発災直後において,被災自治体からの要請を踏まえた,TEC−FORCE等の迅速な派遣および支援を実施すること。
(2)災害復旧,復興段階における,国からの継続的な人的・技術的支援による,早期の復旧・復興の実現のための支援を行うことができるよう,平常時からホットラインの確立や必要な人員・資機材等の確保を図ること。


令和元年台風第19号の暴風雨による災害に関する緊急決議

 令和元年10月12日から13日にかけて、1都12県に特別警報が発せられた大型の台風第19号は、これまでに経験したことのないような記録的な大雨や暴風をもたらし、北日本から西日本の広範囲にわたり、河川の氾濫や大規模な浸水、土砂崩れなどが起こり、人的被害や、多くの住宅が床上・床下浸水に見舞われるとともに、家屋が倒壊又は損壊する等の建物被害のほか、道路、河川、水道等のライフライン、農林水産業施設や工場、商店などに甚大な被害が発生し、被災地に深刻な影響を及ぼしている。
 こうした中、被災地では被災者支援を行うとともに、被災状況の把握と応急的な対応に全力を挙げて取り組んでいるところであるが、被災地の住民が一日も早く日常の生活を取り戻すためには、国による復旧・復興に向けた財政支援など、迅速かつ丁寧な対応が不可欠である。
 よって、国においては、被災地の一日も早い復旧・復興に向けた取組みを強化、加速するとともに、次の事項について、既存の制度等にとらわれることなく、迅速かつ万全の措置を講じるよう強く要望する。


第89回全国市長会議(2019/6/12ホテルニューオータニ)

全国市長会会長挨拶をする立谷相馬市長
第89回全国市長会議が東京都で開催され、次の5議案について決議等を行い、その他各支部より提出のあった要望事項について、国に対し要請することとしました。
また、役員改選により副会長に鈴木白河市長(新任)、理事に橋本須賀川市長(新任)、評議員に品川郡山市長(再任)、清水いわき市長(新任)、木幡福島市長(再任)が就任いたしました。
また、永年勤続功労者(在職12年)として鈴木白河市長及び三保二本松市長が表彰されました。なお、詳細については全国市長会ホームページをご覧下さい。

1.東日本大震災からの復旧・復興及び福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議
2.国土強靱化、防災・減災対策等の充実強化に関する決議
3.地方創生の推進・分権型社会の実現に関する決議
4.都市税財源の充実強化に関する決議
5.持続可能な社会保障制度の構築等に関する決議



第174回東北市長会総会(2019/5/15ホテルメトロポリタン盛岡 NEW WING)

全国市長会会長挨拶をする立谷相馬市長
第174回東北市長会総会が宮城県石巻市で開催され、本県から提出の議案として、
1 復興庁後継組織のあり方に関する決議
2 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
3 東日本大震災からの復興に関する決議

が特別決議として採択されました。

また、全国市長会副会長候補に鈴木白河市長を推薦することとしました。

本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議一般議案

各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。

復興庁後継組織のあり方に関する決議

 国は, 平成31年3月に「「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針」を見直し, 復興庁の後継組織として, 復興庁と同じような司令塔として各省庁の縦割りを排し, 政治の責任とリーダーシップの下で東日本大震災からの復興を成し遂げるための組織を置くとしたところである。
 東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故から8年が経過したものの,東日本大震災復興基本法に規定された基本理念である, 被災者による自発的な協働や新たな地域社会の構築に至るまでの地域住民の絆の維持及び強化には未だ至っていない。
 よって, 国は, 原子力災害の影響が未だ残る深刻な状況からの着実な復興を成し遂げるためには,中・長期的な対応が必要であることに鑑み, 令和3年度以降においても, 専任の担当大臣を置くなど, 被災地の課題に迅速に対応できる復興庁後継組織を構築し, 全省庁体制で復興及び諸課題解決に取り組むよう要望する。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により,平成31年4月現在で,福島県民だけでも3万9千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は,放射線被ばくによる健康被害への不安,風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 よって,国は,原発事故の早期収束へ向け,自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに,正確な情報の迅速な公表に努め,次の事項について, 特段の措置を講じるよう要望する。



1 原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 全国的に景気の回復・拡大基調が強まる中で,原子力災害による風評,除染・復興関連事業のピークアウトなどから,福島県経済だけは唯一,回復の動きが鈍化しており,今後の推移が懸念される状況にある。このため,復興・創生期間終了後も,ふくしま復興に関する特段の対策が必要であり,その計画的な推進を図るためにも,財政支援の枠組みを早期に示すとともに,農業の復興に必要なため池の放射性物質対策,農林水産物に係る風評の払拭,観光の再生に関する補助制度,企業立地に関する特別な補助制度など,福島県経済の自立的発展を可能とするような特別対策,並びに,風評・偏見の解消とそれに対する心の復興に関する対策及び避難者の受入れ自治体が適切にサービス提供ができる財政措置を講じるなど被災市町村の状況に即した切れ目のない財政支援について,避難指示が出された区域以外も含めて特段の措置を講じること。
(2) 復興・創生期間において放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング,健康管理,食品の放射線量測定,風評被害対策など,原発事故由来の事業については,復興・創生期間以後も長期に及ぶことが予想されるため,全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 福島再生加速化交付金について,「個人線量管理・線量低減活動支援事業」「相談員育成・配置事業」「農山村地域復興基盤総合整備事業のうち,ため池の底泥流入・拡散防止対策」について,今後もこれまで同様,地域の実情に応じた柔軟な対応と十分な財源の確保を継続すること。
 また,避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12市町村から多くの避難者を受け入れている周辺地域においては,共に復興に向けて取り組んでいるところであり,一日も早い復興・再生を成し遂げるため,当該12市町村のみが対象となっている事業について,浜通り全体で活用できるよう対象地域の拡充を図ること。
(4) 原子力災害に伴う固定資産税等の減収分の全額について,財政措置を講じること。
(5) 避難指示区域等からの長期避難者については住民票を「避難元自治体に置いたままで差し支えない」とされているが,避難者への適切な行政サービス提供の観点や住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから,住民票の扱いについて見直すこと。
(6) 全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について,避難の終了や変更が生じているものの,避難者からその旨の届出がないことで,避難者名簿が正確性を欠き,居住実態が把握できない世帯が多い状況では,避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため,避難の実態を十分に把握できるよう,更新制とし,有効期限を記載した避難証明書を発行するなど見直しを図り,実効性を確保すること。

2 放射性物質の除染対策について
(1) 放射性物質汚染廃棄物の最終処分までの計画を早期に示すこと。
(2) 中間貯蔵施設の早期完成に努めること。
 また,中間貯蔵施設への輸送について,国は令和3年度までに,県内に仮置きされている除去土壌等(帰還困難区域を除く)の概ね輸送完了を目指すとする方針を示したが,各自治体に対して令和2・3年度別輸送計画を早期かつ明確に示すとともに,輸送の早期完了に向け各自治体の要望に対して柔軟な対応に努めること。
 除去土壌等の適正管理・搬出,積込場の整備,仮置場の原状回復などについては,地域の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
(3) 福島県内においては,8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等を埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し,早期に輸送を完了させるとともに,100,000Bq/kgを超える指定廃棄物について,処理のスケジュールを早期に示すこと。
 8,000Bq/kg以下の一般廃棄物扱いとなる汚染廃棄物について,民間の技術を活用した再資源化処理を行う場合に必要な費用について財政支援を講じるとともに,市における処分は処理期間の問題や処理施設周辺住民の強い拒絶感があることから,中間貯蔵施設へ搬入すること。
 また,8,000Bq/kg以下の道路等側溝堆積物について,国の責任により処理すること。
(4) 住宅地から20m以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で,人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は,リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について,継続した支援策を講じること。
(5) 除染の進捗や中間貯蔵施設への安全かつ円滑な輸送のため重要となる県内の基幹的な道路の整備,特に,常磐自動車道の早期全線4車線化,国道6号の南相馬市内一部4車線化を含む早期整備完了,国道49号及び399号の早期整備完了,相馬福島道路の早期完成のため,十分な整備予算を確保するとともに,原子力災害からの復興・再生,避難住民の帰還を加速させるため,(仮称)小高スマートインターチェンジを設置すること。
 また,汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送による更なる道路の破損や交通量の増加等が懸念されることから,道路の拡幅及び路面破損時の修繕等を併せた仮置き場からのアクセス道路の環境整備について,現場の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。

3 廃炉・汚染水対策について
 廃炉対策について,事業者に任せることなく国が前面に立ち,具体的工程を示すとともに,国内外からの英知を結集し,燃料デブリの取り出しを含め,安全かつ確実に完遂すること。
 汚染水対策について,国が主体的に取り組み,実効性のある地下水対策, 汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。

4 放射能教育について
 国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから,高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど,子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに,これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。

5 食品の安全確保対策への支援について
(1) 風評被害対策として,国内外に向けた福島県産農林水産物の安全性をPRする広報活動を国の主導により展開すること。
 また,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会において,GAP(農業生産工程管理)やMSC(海のエコラベル)等の認証を受けた福島県産農林水産物を積極的に活用すること。
(2) 原発事故の影響により,特に漁業の風評被害が深刻であることから,その対策として,地産地消を目的に第三セクター等が市場を整備し,イベント等を行うことに対する支援策を講じること。
(3) モニタリング体制の維持・充実と併せ,地域の安全性に係る正確な情報を積極的に発信するとともに,福島県で生産された農林水産物のPRへの支援など, 地域と連携した取組を推進すること。

6 原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1) 平成31年1月以降の避難指示区域外における農林業の風評賠償について,円滑な移行に向けて農林業者等へ丁寧な説明を行うとともに,関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し,被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また,避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて,賠償の考え方を早急に示すとともに,農林業者や関係団体の意見を十分に踏まえた対応をさせること。
 農林水産業に係る営業損害については,依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ,十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
(2) 商工業等に係る営業損害の一括賠償については,原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり,個別訪問等による実態把握に努め,定性的要因を積極的に採用するなど,簡易な手法で柔軟に行うとともに,個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また,一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し,状況の変化があれば, 的確な賠償を行わせること。
(3) 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて,被害者からの相談や14
請求に丁寧に対応し,形式的に判断することなく,地域の状況や事業の特殊性,個別具体的な事情をしっかりと把握した上で,損害の範囲を幅広く捉え,被害の実態に見合った賠償を的確かつ迅速に行わせること。
 また,原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては,一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど,手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し,被害者の負担を軽減させること。
(4) 商工業等に係る営業損害について,同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう,風評被害の相当因果関係の類型,判断根拠,東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに,書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ,確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また,同様の損害を受けている被害者に対しては,和解仲介の手続によらず,直接請求によって一律に対応させること。
(6) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し,直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(7) 多くの被害者に共通する損害については,類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから,住民や地域,市町村に混乱を生じさせないよう,審査会における審議を通し,賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
 また,被災者に対する損害賠償を円滑に行うため,手続きを簡略化させるよう指導するとともに,総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(8) 市民や企業が自ら行った除染費用については,東京電力が全額賠償するよう強
く指導するとともに,対象期間について,平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(9) 放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされている現状を受け止め,平成24年9月以降の精神的損害に対して,迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
 また,旧屋内退避区域と旧緊急時避難準備区域における精神的損害にかかる賠償期間の公平な取扱いを行うとともに,旧屋内退避区域に係る財物賠償を早期決定すること。
(10) 自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は,その実施体制に要する費用を含め,政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから,賠償請求手続を簡素化するとともに,確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(11) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について,目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
 また,自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収について全て確実に賠償を行わせること。
(12) 自治体の財物の賠償については,自治体等の意向を十分に踏まえ,迅速に賠償を行うとともに,インフラ資産や山林,利用再開が見込めない財物の取扱い含め,個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(13) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し,直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

7 住民の健康確保等について
(1) 原子力災害に伴う健康管理対策に関して,国は責任をもって主体的に取り組むこと。また,福島県内の自治体に今後の方針等を説明,及び意見交換を行うこと。
(2) 原発事故の影響により医療・介護人材が流出し,人手不足が深刻化していることから,医師,看護師,介護職員等確保のための人件費補助など医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
(3) 全ての被災者の健康の確保,特に子どもたち,高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(4) 内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに,健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(5) 県民健康調査における甲状腺検査では,甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められず,原発事故の影響ではないとされていることから,この調査結果を実証するため,被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(6) 長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(7) 原子力災害の影響により,要支援・要介護認定者が増加しているにも関わらずスタッフ不足により全面稼働できない施設があることや,保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり,避難者の帰還を妨げる要因となっていることから,障がい者支援施設及び介護保険施設従事者,並びに,保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(8) 原子力災害による避難地域において魅力ある教育・保育内容を実現できる運営体制を確保するため,子どものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに,公立施設に対しても同様に財源を確保することにより,この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(9) リアルタイム線量測定システムについては,安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し,国としてあり方を検討すること。

8 産業の流出防止と支援について
(1) 原子力災害の影響,除染・復興関連事業のピークアウトなどに伴い,福島県経済だけが景気の回復基調が弱くなっている。このため,企業立地を促進し地域経済の自立的発展を可能とするよう,平成31年4月以降も企業立地に対する特別な補助制度を設けること。
(2) 風評払拭のため,国内外への情報提供や販路拡大国際会議等コンベンションの開催・誘致,必要な施設の整備等幅広い施策を講じること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため,観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置,2020年東京オリンピック・パラリンピック等による訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の創設など,国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから,地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため,企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じるとともに,新たな企業誘致に繋がる工業団地の整備に際し必要となる用地費用,造成工事・アクセス道路の整備費用など,財政措置を講じること。
 また,空き店舗等の解消に係る財政措置,税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策,及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5) 復興特区制度について,より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため,人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても,税制優遇措置の対象税目に加えること。
(6) 原発被災地におけるイノシシによる被害については,野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により,農作物被害が広域化かつ深刻化していることから,被害防止体制の強化が図れるよう,復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに,国と県とが連携して対策を強化すること。
 また,狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから,射撃場における弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。

9 新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け,再生可能エネルギーや新エネルギーの企業や家庭での導入も重要であることから,太陽光発電,蓄電池設備やFCバス,FCV等の普及拡大,水素ステーションなどの供給体制の整備,水素エネルギーシステムの開発等に係る支援,設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うこと。
(2) 再生可能エネルギーに係る事業化検討に当たり,固定価格買取制度の適正な運用に努めるとともに,既存送電網に空き容量が不十分な地域においては, 系統増強の費用が莫大となるため事業化に踏み切れない発電事業者が多いことから,国が主導して系統増強を推進するとともに,発電事業者及び一般配送電事業者が負担すべき費用に対する財政支援を行うなど,広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に関して電力会社と連携して,国が主体的に取り組むこと。
(3) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の各種施策の実施における十分な支援を講じること。
(4) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに,福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導に向けた取組を支援すること。
(5) ロボット産業を集積させるため,企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに,被災事業者の帰還・再建を促す支援「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」の継続と十分な予算を確保すること。
(6) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して,内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能,及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ,福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため, 福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(都市計画道路下高平北長野線)について,早期整備のため十分な支援を講じること。

10 事故の影響を受けた地域における治安維持のための支援について
 復旧・復興事業が進捗する一方で,住民が移転した復興住宅団地や帰還先などで新たな地域コミュニティを形成するとともに,防犯体制を再構築して安心できる居住環境をつくる必要があることから,各自治体が実施する治安の維持向上に向けたパトロール等治安維持への取組,防犯カメラの設置及び児童・生徒に対する防犯ブザーの配付などに対する制度的・財政的支援を講じること。


東日本大震災からの復興に関する決議

 東日本大震災は,広範囲にわたり甚大な被害をもたらした大規模な災害であり,その影響は被災地域のみならず,全国規模に及ぶ未曾有の事態となり,その被害への対応は自治体のみでは困難なほど甚大なものである。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 震災からの復興を成し遂げるために必要な事業や福島復興再生特別措置法等の法律に基づく減収への補てんについて,今後とも復興の進捗に応じ,復興交付金(特に市街地復興効果促進事業),社会資本整備総合交付金(復興枠)等復興関連の交付金制度及び震災復興特別交付税による財政支援等について,柔軟な対応や予算規模の拡充を図るとともに,復旧・復興が完了するまで継続すること。
 また,復興交付金を,地方創生のモデルとなる取組にも活用できるよう被災地の自立につながる取組や避難解除等区域等と連携して取り組む事業,防集移転元地の具体的利用計画がない段階においても利活用に際し必ず必要となる最小限の基盤整備など,被災地が必要と考える取組に柔軟に対応するとともに,復興交付金(特に一括配分された交付金)や福島再生加速化交付金のほか,防災関連事業については,被災地が実情を勘案し必要と認める事業が着実に実施できるよう制度を弾力的に運用すること。
(2) 被災地で勤務する職員及び元派遣職員を含めた派遣職員に対するメンタルヘルス対策は極めて重要であることから,平成28年度から実施されている「東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策5か年事業」について,被災自治体の要望を踏まえつつ,確実に実施すること。
(3) 災害援護資金貸付金の償還について,多額の未収金の発生が想定されることから,国・県主導により回収体制を整備するとともに,回収に係る費用について地方交付税措置を講じること。
 また,地方自治法による徴収停止や,地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような,「所在不明」や「滞納処分ができる財産がない場合」などの回収困難な案件については償還免除とできるよう免除要件を改めること。
 また,自治体が貸付金に係る債権を免除又は放棄することが適当であると判断する場合に国が自治体に対する債権を免除するよう規定を整備すること。
(4) 被災地の仮設店舗等の撤去について,独立行政法人中小企業基盤整備機構が整備し,市町村に譲渡した仮設店舗等については,当該機構において仮設施設有効活用等支援事業の撤去費用への助成要件は嵩上工事等の復興関連事業,土地所有者等の事情又は集約化で5事業者以上が移動する場合に限られており,対象事業者の状況の変化等に伴い要件を満たさなくなり,市単費による対応となるものがあることから,要件の緩和を働きかけること,又は国による支援制度を創設すること。

2 被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災特別家賃低減事業について,建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え,国の補助額は低減することとなっているが,収入の増加の見込めない高齢者世帯など,入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに,事業期間を延長し,自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
(2) 東日本大震災等の影響による医療費の増加は,今後も続くことが想定されることから,医療費増加に伴う負担増分として財政支援を継続すること。
(3) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において,全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの,被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっているなど課題が明らかとなったことから,被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう,被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ, 被災者生活再建支援制度の上限額や適用範囲などの拡充を図ること。

3 公共施設等の復旧支援について
(1) 復興道路・復興支援道路の供用までには期間を要することから,事業を確実に実施するために,完成まで継続的に財源を確保するとともに早期供用を図ること。
 また,東北中央自動車道相馬・福島道路については,相双地域から福島県立医科大学付属病院への搬送時間を大幅に短縮するなど,福島復興に大きく貢献することが期待されているが,国道13号福島西道路の南伸により,その搬送時間はさらに大きく短縮することが期待され,災害時の代替路を確保できる効果や物流の向上による産業復興も期待できることから,福島西道路の南伸事業を復興に不可欠なものとして,更なる事業の加速化を図ること。
(2) 国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが,避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには,更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから,重要物流道路について,常磐自動車道,磐越自動車道,一般国道6号・49号はもとより,主要物流拠点や災害時の拠点施設とを接続する基幹道路等を指定し,平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう,指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うこと。
(3) 地方特定道路整備事業の廃止は,地方自治体の負担の著しい増大をもたらしていることから,計画的な道路整備事業の実施のため,代替措置を講じるなど財政支援を行うこと。
(4) 復興を加速化させていくためには,JR常磐線全線の全線再開及び利便性の向上は必須であり,双葉地区の方々の早期帰還をはじめ,福島県の復興を強く印象づけることによる観光やビジネスの復興,国内外からの交流人口の拡大,福島第一原子力発電所の廃炉作業の加速化,福島・国際研究産業都市構想(イノベーション・コースト構想)の実現,2020年東京オリンピック・パラリンピックにおけるインバウンド促進等につながることから,東日本旅客鉄道株式会社と緊密に連携し,令和元年度末までの全線開通実現に向けた取組に努めるとともに,全線再開に当たり,福島県浜通り地方と東京を直通で結ぶ特急列車や,福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車など,震災前より利便性の向上を図り,更には,線形改良や道路との立体交差等による高速化など,単なる復旧にとどまらない基盤強化を図るようJR東日本に対する助言・指導を講じること
(5) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し,広範囲にわたって浸水したことから,住民の生活基盤再建のため,雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災からの復旧に不可欠な施設を整備したところであるが,これら施設の維持管理費について基準財政需要額に算入し,交付税措置を講じること。
 また,これら施設は恒久的に活用するものであり,将来老朽化に伴う更新費用も必要となるため,改築・更新に対する財政支援を今後検討すること。






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