第185回東北市長会総会(2024/10/9) |
第185回東北市長会総会が宮城県気仙沼市で開催されました。
本県から提出した「東日本大震災からの復興及び東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議」及び「国土強靱化、防災・減災対策等の充実強化に関する決議」のほか、5件の決議が特別決議として採択されました。
本県提出の特別決議の内容は以下のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらから御覧ください。 → (特別決議・一般議案)
なお、各県から提出された議案については、東北の重要課題として、国に対して要望することとしました。
新市長紹介として、7月21日に初当選された大寺須賀川市長が挨拶を行いました。
また、令和7年度東北市長会役員として、副会長に三保二本松市長、常任委員に門馬南相馬市長、実行委員に遠藤喜多方市長がそれぞれ選任されました。
研究会では、気仙沼ベイクルーズにより気仙沼市の復興状況を視察しました。
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東日本大震災からの復興及び東京電力福島第一原子力発電所事故への
対応に関する決議
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東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和6年5月現在で、福島県民だけでも約2万6千人もの方々が避難を余儀なくされている。
東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
令和7年度で終了となる第2期復興・創生期間以降においても、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、引き続き、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
また、国は、「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた行動計画」を踏まえ、昨年8月24 日からALPS処理水の海洋放出を行っているが、今後、処理水の海洋放出による水産業等への甚大な影響が憂慮される。
よって、国は、被災地の一日も早い復旧・復興を実現するとともに原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。
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記
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1. 復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 現在未利用地となっている防災集団移転元地等については、沿岸部のハード事業及び防災集団移転促進事業による土地の買取が完了したが、埋没支障物の除去や周辺道路との高低差解消のための盛り土など、将来的に必要となる最低限の基盤整備費用が大きな負担となっており、利活用の検討が進まない要因の一つとなっていることから、未利用地活用の具体的な計画策定に積極的に取り組めるよう、防災集団移転元地等の基盤整備に活用できる新たな財政措置を講じること。
(2) 災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。
2. 被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災災害公営住宅家賃対策事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11 年目から20 年目は補助率が5/6
から2/3 と引き下げられることとなったが、今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(2) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300 万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図ること。
3. 公共施設等の復旧支援について
(1) 国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2) 津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる県道小野富岡線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3) 災害時の代替路確保や救急搬送時間のさらなる短縮、物流の向上による産業復興等に向けた円滑な道路交通ネットワークの実現は福島復興に不可欠なものであることから、令和8年度までに開通の見通しである国道13
号福島西道路の南伸を確実に行うこと。
(4) 原子力災害からの復興・再生及び避難住民の帰還を加速させるため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6
号の南相馬市内一部4 車線化のため十分な整備予算を確保するとともに、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備のための財政的・技術的支援をすること。
(5) 復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車についての福島県浜通り地方から首都圏への早朝及び夜間の運行本数の増便や更なる運行時刻の見直し、福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の新設などの利便性の向上、首都圏エリアと仙台エリアをまたぐSuica利用の早期実現、及び桃内駅にSuicaに対応できる設備の整備を行うこと。
また、福島県浜通り地方が東日本大震災及び原発事故の影響により、高齢化が急速に進展したことや復興途上であるという特殊事情を鑑み、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、小高駅及び鹿島駅について、バリアフリー法に基づき早期に駅構内にエレベーターを設置すること。なお、これらの達成状況を踏まえ、東日本旅客鉄道株式会社に対し、必要な財政支援を行うこと。
(6) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。
4. 原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 第2期復興・創生期間後においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による継続的かつ安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
(2) 放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、心のケア、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想されるため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 原子力害からの復興が成し遂げられるまで、こどもを健やかに生み育てるために行っている屋内遊び場の運営等の財源である被災者支援総合交付金の財源を確保すること。
また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12 市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、第2期復興・創生期間以降も、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12市町村から避難者を多く受け入れるなど当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
また、福島復興再生特別措置法に基づく特定事業活動に係る税の優遇措置(風評税制)について、令和8年度以降も継続すること。
(4) 原子力災害被災地域においては、住民帰還や移住・定住の促進等により震災前の暮らし取り戻すための取組を継続する一方で、急激な人口減少への対応という長期的な課題解決に向け、地域コミュニティの維持や教育施設(小学校、給食センター等)の統廃合など、現実を見据えた対応に迫られていることから、復旧・復興状況に応じた行政サービスや公共施設の再構築など、より良い地域の再生のための取組への財政支援を行うこと。
(5) 避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方から生じる、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立等の諸課題について解決に努めること。
(6) 国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで避難者名簿が正確性を欠き居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう必要な見直しを図り、実効性を確保すること。
5. 放射性物質の除染対策について
(1) 除染実施計画に基づく除染は完了したが、今後人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について継続した支援策を講じるとともに、将来的に国の責任において除染を実施すること。
(2) 農地への原状回復において、農地の機能回復が十分に図られない場合や従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における補完費用や損失について財政措置を講じること。また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、農地への原状回復を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応するとともに、返還後に補修等が必要となった場合においても、措置を継続すること。
(3) 搬出困難な現場保管除去土壌について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計及び財源確保を行うとともに、国の責任において最後まで対応すること。
6.廃炉・汚染水対策について
(1) 廃炉対策について、度重なるトラブル等により、度々重要作業の工程延期等の問題も発生していることから、国内外からの英知を結集し、国が責任を持って安全かつ確実に完遂するとともに、今後の廃炉を担うリーダー等中長期を見据えた人材の育成・確保を図ること。
(2) ALPS処理水の海洋放出については、安全かつ着実な処理水の放出完了に向け、東京電力に対する適切な指導や、放出状況の監視について、最後まで国が責任を持って取り組むこと。
また、継続して厳格な海洋モニタリングを行うなど万全な対応を行うとともに、国内外に向けて科学的根拠に基づく透明性の高い分かりやすい情報発信を実施し、国内外からの風評被害が発生しないよう、国が責任をもって「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた行動計画」を確実に実行すること。
7. 放射能教育について
国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、こどもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。
8. 原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1) ALPS処理水の海洋放出は長期間にわたる取組が必要であり、新たな風評を発生させないという強い決意の下、行動計画に基づき政府一丸となって、徹底した安全対策を始め、正確な情報発信や輸入規制の緩和・撤廃に向けた対応を行うことはもとより、厳しい環境に置かれている農林水産業や観光業、商工業を始めとする福島県内の幅広い業種に対する、万全な風評対策を徹底的に講じること。
また、新たな風評被害を最小にとどめるために自治体が実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、財政支援措置を講じること。また、それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実かつ迅速になされるよう、また、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応すること。
また、原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針や行動計画による様々な対策の実施状況を継続的に確認し、具体的な調査等により福島県の現状把握をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。
(2) 農林水産業に係る営業損害については、福島県産品に対して国内外を問わず風評被害が発生し続けている状況を踏まえ、十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、農林漁業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を円滑に行わせること。
また、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(3) 商工業等に係る一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
また、商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
また、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じことのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(4) 「中間指針第五次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応させること。また、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応させるなど、被害者優先の親身な賠償を行わせること。
また、東京電力の賠償部門の体制強化はもとより、福島県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行わせるとともに、「第四次・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守させること。
また、賠 償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行わせること。
また、東京電力に対する様々な不安感や不信感を真摯に受け止め、合意に至っていない従来の賠償請求にも誠実に対応するなど、これまで以上に被害者に寄り添った取組を徹底させること。また、被害者への迅速な賠償が行われるよう、東京電力による損害賠償に必要十分な財源を確保すること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れさせ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(6) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、同センターによる和解仲介について、改めて広く県民に周知を図り、個別の事情についても迅速かつ確実な賠償がなされるよう取り組むこと。
(7) 被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(8) 被災者が独自に行った除染費用について、東京電力が全額賠償するよう強く指導すること。
(9) 放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされていることによる平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(10) 自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。また、ALPS処理水の海洋放出は長期間にわたる取組が必要であり、新たな風評被害が発生した場合の影響を最少にとどめるために実施する風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(11) 中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償の請求受付に関し、東京電力における賠償部門の体制や周知内容の不備などにより自治体の業務に過剰な負担が生じたことから、自治体窓口の対応支援を含め、誠意を持って対応させること。
(12) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(13) 自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(14) 自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(15) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(16) 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導すること。
また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。
9. 住民の健康確保等について
(1) 原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2) 原発事故による風評の影響により医療人材が不足している被災地において、地域医療再生基金など医療人材確保のための医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。また、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、医師の高齢化に伴う医業継承者の確保に向けた財政支援を講じること。
(3) 被災地においては、原発事故の影響による医師・看護師など医療従事者の慢性的な不足や医師の高齢化により、二次救急医療機関が未だに震災前の医療提供体制の回復にいたっておらず、さらに、夜間における一次救急医療体制の確保も困難であり、その結果、夜間における二次救急医療機関への負担が増大していることから、夜間における二次救急医療機関への負担軽減を図ること。
また、より強固な一次救急体制を確立するため、一次救急体制を再構築するとともに、継続的な運営に関する財政支援など新たな支援体制を創設すること。
(4) 原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を継続すること。
(5) 全ての被災者の健康の確保、特にこどもたち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(6) 内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る機器更新などの経費や検査体制維持に係る経費は国が責任をもって負担すること。
(7) 県民健康調査における甲状腺検査では、先行検査から検査4回目までの結果に対する見解において、「甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」、「全体的に被ばく線量が低く、今後も一貫した関連は見られない可能性が高いが、特に、甲状腺等価線量が相対的に高く、かつ放射線に感受性の高い、原発事故当時乳幼児であった世代を今後しっかりとフォローしていくためにも、引き続き、見守りが必要である」と評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、引き続き検証すること。
(8) 長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(9) 原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加しているが、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じるとともに、介護報酬改定により引き下げとなった訪問介護の基本報酬を改定前に戻すことを含め早期に見直すこと。
(10) 震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、こどものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11) リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する関係自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討するとともに、その費用負担は国が責任をもって対応すること。
また、可搬型モニタリングポストについては、今後の方針が示されていないことから、早期に方針を示すとともに、リアルタイム線量測定システムと同様に関係自治体の意見を尊重すること。
10.農林水産業への支援について
(1) 福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性や魅力をPRする広報活動を展開すること。
また、ALPS処理水の海洋放出完了まで漁業者が安心して漁業を継続できるよう、「常磐もの」の販路拡大に係る支援や後継者対策を含めた長期的な漁業者支援を講じること。
(2) ALPS処理水の海洋放出を踏まえ、福島県産農林水産物の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業に対し、長期的な財政措置を講じること。特にALPS処理水の海洋放出に関して多大な影響を受ける水産業等における各種PR事業に対する財政支援について、試食用食材についても対象とするなど支援対象を拡大するとともに、適時適切かつ効果的な事業展開にも対応できるよう指令前着手を認めるなど弾力的な運用を図ること。
(3) 原発事故に伴い農産物等の輸入停止措置を講じている6の国や地域に対し、早期の規制撤廃を求める働きかけを行うこと。また、ALPS処理水の海洋放出に伴う一部の国・地域の科学的根拠に基づかない日本産食品輸入規制措置の撤廃を求めるなど、国が積極的に対策を講じること。
(4) 有害鳥獣による被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。
特に、イノシシについては、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
(5) 原発事故の影響もあり被災地域においては、農業分野における担い手の減少や高齢化が急速に進行しているなど、営農再開に向けた取組や新たな担い手の確保が喫緊の課題となっていることから、小規模な基盤整備など営農再開に向けた支援や、担い手を確保・育成するための研修施設に対する新たな支援制度を創設すること。
また、被災地域全体における園芸作物・畑作物の振興がより一層図られるよう、一大産地化やブランド化などの事業を構築するとともに、その推進に対して財政支援を行うこと。
11.産業の流出防止と支援について
(1) 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、第14次公募が最終となったところであるが、依然として工場等の新増設が不十分な地域もあることから、同等の補助度を創設するとともに、工業団地整備及び産業集積拠点を結ぶインフラ整備に係る費用を対象とすること。
(2) ALPS処理水の海洋放出による風評被害や嫌がらせ行為に対して、福島の経済復興が後戻りすることがないよう、新たに独自の基金や交付金制度など、補償等の対策を講じること。また、風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大等の取組を拡充し、継続すること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため、ポストコロナ禍における観光誘客や観光需要回復に向けた取組、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの開催・誘致・施設整備、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。また、支援の際は、手続きを省略化し、スピーディーかつ柔軟で利用しやすい制度設計とすること。
(4) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
12.新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、ペロブスカイト太陽電池の社会実装化等の太陽光発電、小水力・バイオマス・地熱発電を始めとした再生可能エネルギーの推進、蓄電池設備やFC
バス、FCV 等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に対する支援、設置技術基準や保安検査の更なる規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに、GX及び2050年カーボンニュートラルの実現に向けた支援を行うこと。
また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。また、避難指示区域が解除された区域においては、原発事故に伴う避難指示の影響により空き地が増え、復興の過程で土地利用が定まっていく隙間をつくかたちで市街地や農地等に、太陽光発電設備が無秩序に設置され、本来であれば高圧太陽光発電設備(50KW
以上)のものが、低圧太陽光発電設備(10〜50KW 未満)として、分割して国にFIT 認定申請されていると考えられる事案が散見されており、復興の妨げになっている。
また、非FIT 案件についても令和4年4月の電気事業法施行規則の改正でFIT 法同様の分割案件に係る設置規制が設けられたものの、国に対する申請行為自体が発生しないため、FIT
案件以上に意図的な分割案件に対する規制が難しくなっている。今後、さらに非FIT 案件が増えることが見込まれることから、FIT 法及び電気事業法の分割案件について、「発電事業者」又は「登記簿上の地権者」が同一の場合に加え、産業用太陽光発電の施工販売を行う事業者が、隣接した土地などにおいて、複数の太陽光発電を販売する目的で設置する場合も分割案件の対象とするなど、FIT制度の根本的な問題点を解消するため、FIT認定に係る審査基準の見直しや審査の厳格化など実態を踏まえた対策を早急に講じること。
(2) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の更なる推進を図り、福島県全域で復興・創生を実現するため、福島の新産業創出、国際競争力強化、先導的な取組による「新生ふくしま」の創造に向けた「重点推進計画」を着実に推進するものとし、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた必要な措置を講じること。
(3) 福島イノベーション・コースト構想の実現に向け、地域の実情や特性を十分に踏まえながら、地域を取り巻く環境の変化やこれまでの成果を踏まえた施策の見直しを行い、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」において目標としている2030年頃の目指すべき姿を改めて共有した上で、第2期復興・創生期間以降も、引き続き、国が前面に立って、取組を一層加速化させるために、十分な財源を確保するとともに、継続的な支援を行うこと。
(4) 創造的復興と持続的な産業基盤の形成を実現するため、国は、福島県立医科大学や福島大学などの研究機関との連携強化及び高速交通網や福島県内の地域資源の活用を図りながら、福島国際研究教育機構(F−REI)や福島イノベーション・コースト構想の事業を浜通り地域だけでなく福島県内各地域に広く進め、関連企業の誘致や先端産業の集積を図ること。
また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(5) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、ワールドロボットサミット2025に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(6) ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」について、同様の支援内容で第2期復興・創生期間後も継続すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」など被災事業者の帰還・再建を促す支援についても、同様の支援内容で第2期復興・創生期間後も継続し十分な予算を確保すること。
(7) 福島イノベーション・コースト構想の下、産学官連携による地元企業の新たな事業展開や取引拡大、地域外からの企業・人材等の誘導、人材育成や交流人口の拡大等に向けた取組を促進させるため、ロボット・ドローン、航空宇宙など重点6分野に取り組む地元企業の活動を引き続き支援するとともに、広域的なネットワーク構築に向けた各種支援策を講じること。
また、新産業の創出等にチャレンジするベンチャービジネス、スタートアップ企業等を一層呼び込むためインキュベーション施設の整備やスタートアップ支援の拡充に取り組む自治体に対して財政支援を行うこと。
また、地域教育水準の向上とグローバルな人材の育成、新たな農業の担い手など、福島イノベーション・コースト構想を担う地域の人材育成に係る取組への支援を行うこと。
(8) 福島国際研究教育機構(F−REI)について、浜通り地域が一体となり面的な拠点形成することが重要であるとともに、新産業創出等研究開発協議会等を通じて福島県内の高等教育機関を含めた産学官との緊密な連携体制を構築するとともに、安定的な運営ができるよう国が責任を持って、引き続き先頭に立ち機構の体制充実や財源の確保など特段の配慮を講じること。
また、福島国際研究教育機構(F−REI)の効果を広域的に波及させるためには、JR常磐線の利便性向上が必須であり、東日本旅客鉄道株式会社に対し、常磐線の特急等の増便を働き掛けるとともに、必要に応じて運行に関する財政支援を検討すること。
(9) 福島国際研究教育機構(F−REI)における研究開発の産業化にあたっては、福島県内全域における研究開発成果の社会実装化や新産業創出の早期実現を図るため、対象地域を浜通りに限定することなく、中通りや会津地方を含めた福島県内各地域へのサテライトオフィスの設置や情報交換の場の設定など、技術開発・実証等に積極的に取り組む企業や自治体等との産学連携に向けた具体的な体制構築を検討すること。
(10) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。
13. 原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1) 避難指示区域等における被保険者等の一部負担金及び保険料(税)等の免除措置に係る財政支援が見直され、令和4年度を周知期間とし、令和5年度以降における保険料の免除措置に係る激変緩和措置と一部負担金等の免除期間が示されたところであるが、当該被保険者への周知に係る経費及び長期に及ぶ減免措置に伴う納税・納付や滞納整理に係る経費への財政支援を行うとともに、コールセンターの設置に係る支援について継続すること。また、一部負担金等免除措置の財政支援の見直しによる医療費等への負担増により、受診控えが生じ住民の健康維持確保が損なわれることが懸念されることから、高齢者をはじめとした被災者のヘルスケアに係る支援制度の創設及び財政支援を講じること。
(2) 原発事故による警戒区域等からの避難者に対する高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、適切に令和7年度以降も継続すること。
(3) 母子避難者等に対する高速道路無料措置に関する事務については、国が主導的に進めるべきものであることから、当該業務を自治体に実施させる場合は、明確な根拠を示し、人件費や事務費等の経費について、国が責任をもって負担すること。
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国土強靱化、防災・減災対策等の充実強化に関する決議
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我が国は、その自然条件から、地震、津波、台風、豪雨、火山噴火、豪雪、竜巻など、これまで数多くの災害に見舞われてきた。東北においても、近年、前線や台風による風水害、地震災害が頻発しており、令和元年東日本台風、令和3年2月及び令和4年3月の福島県沖を震源とする地震災害、令和4年8月の大雨災害、令和5年台風第13号、令和6年7月の大雨被害など大規模な災害の発生により、住民生活に深刻な影響を及ぼしているだけでなく、地方創生の取組等にも影を落としているところである。
これらの災害による被害等を可能な限り抑止し、住民の生命と財産を守り、地方創生の取組等を進めていくため、国土強靱化及び防災・減災に向けた取組をより一層進めていくことが急務となっており、国においては、災害時における円滑かつ迅速な避難の確保をするため、令和3年5月に災害対策基本法が改正されるとともに、令和5年6月に国土強靱化基本法が改正され、国土強靱化実施中期計画の策定が法定化されたところである。
よって、国は、国土強靱化、防災・減災対策及び被災地の復旧・復興に向けた支援の充実強化を図るため、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。
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記
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1.令和6年度能登半島地震など、近年頻発する大規模災害に鑑み、強靱な国土づくりを強力かつ継続的に進めるため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」をはじめとする取組が着実に実施できるよう、必要な予算・財源を安定的・継続的に確保すること。
また、改正国土強靱化基本法に基づき、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」完了後においても切れ目なく国土強靱化の取組を進めるため、国土強靱化実施中期計画を令和6年度内のできるだけ早い時期に策定し、当初予算を含め、必要な予算・財源を通常枠とは別枠で確保すること。
2.「緊急防災・減災事業債」、「緊急自然災害防止対策事業債」及び「緊急浚渫推進事業債」等について、着実に地域における防災・減災対策を実施するとともに、更なる対策が強化できるよう対象事業の拡充や交付税措置率の引き上げ、事業期間の延長を図り、必要な予算・財源を安定的・継続的に確保すること。
3.今後発生し得る大雨災害に備え、国管理の河川については、単なる復旧だけではなく、抜本的な河川改修、堆砂除去、流域内にあるため池や調整池等の既存ストックを活用した貯留施設への改築などの治水対策を実施するとともに、必要な予算を確保すること。
また、県や市町村が管理する河川については、河川管理者である各自治体に対し、抜本的な改修及び堆砂除去などの治水対策を実施するための財政的・技術的な支援を含めた措置を講じること。
さらに、想定以上の出水に対しても被害を最小限に抑えるため、国は流域市町村と連携し、「流域治水」による本川・支川及び流域の内水対策の更なる推進を図ること。また、「流域治水プロジェクト」において、ハード・ソフト一体での流域対策が確実かつ早期に実施されるよう、財政的・技術的な支援を行うとともに、必要な事業を計画的に執行ができるよう、十分な財政措置を講じること。
4.令和元年東日本台風からの復旧・復興について
(1) 阿武隈川緊急治水対策プロジェクトにおいて、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、堤防未整備箇所の早期整備や河道掘削、樹木伐採等に取り組むとともに、大規模災害が頻発している昨今の状況を鑑み、期間終了後も継続して河川の治水対策促進を図ること。
(2) 令和元年東日本台風の被災企業等が今後も安心して市内で事業が継続できるよう、被災企業等が同一市町村内へ移転する場合の支援制度の創設、大企業等を含めた被災事業者全てが対象となる支援制度の拡充、グループ補助金における補助対象の拡大、かさ上げなど浸水被害への自衛措置に係る支援制度の創設など、必要な支援を行うこと。
5.令和6年能登半島地震において道路等のインフラが甚大な被害を受け、集落の孤立が多発・長期化したことを踏まえ、災害時に避難経路や緊急輸送道路として安全に使用できるよう、多額の費用がかかる橋梁の耐震化について、個別に補助制度を創設するなど、必要な財政措置を講じること。
6.被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者の実態等を踏まえ、支援金の増額や対象範囲の拡大など更なる見直しを図るとともに、被災者への迅速な支給を実現し、申請に伴う被災者の負担軽減及び被災自治体の事務を軽減するため電子申請による手続きの簡素化を図ること。
7.大規模盛土造成地の安全対策については、変動予測調査の実施結果を公表することで住民の理解を深めていくとともに、危険箇所の滑動崩落防止工事を進めることが重要であるとされており、国は宅地耐震化推進事業を創設し調査や工事を行う自治体を支援しているが、変動予測調査や滑動崩落防止工事には多額の費用を要すること、住民の生命を守るとともに持続可能な経済成長を促すためには周辺に家屋が少ない工業団地などについても対策工事が必要であることから、宅地耐震化推進事業の交付率の引上げ及び交付要件の緩和を図ること。
8.山地で多く開発される大規模太陽光発電施設について、森林法の見直し以前の計画も含め、景観の破壊や土砂災害等が発生する恐れがある計画に対して、法規制を強化するとともに、設置計画等への対応については、地元住民の意見や懸念を十分に聴取し、生活環境や安全を守る対策を国と県が連携して講じることができる仕組みとすること。
9.福島空港については、平成29年10月に福島県が警視庁と「福島空港における富士山等の噴火時の退避場所確保に関する覚書」を締結するなど、防災拠点として期待が高まっており、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震への対策が急務である状況にあって、広域的な支援体制も含めた防災対策の必要性がますます高まっていることから、福島空港を中心とした周辺地域を、首都圏などの補完機能を備えた東北圏域の防災施設の中核となる基幹的拠点として位置付けること。また、広域防災拠点としての機能を、国の防災基本計画などにおいて位置付けること。
10.頻発する地震や暴風・豪雨により水道施設において送電停止や電気設備の水没等が発生するリスクが高まっており、水道施設の被災は、住民生活を始め災害からの復旧・復興全体に大きく影響するため、迅速な応急対応が求められるが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象施設に水道が追加となり施設復旧に対する財政支援は拡充されたものの、施設修繕以外は対象外であるため、災害時電源確保等の応急対応に係る財政支援制度を創設すること。
また、水道施設の耐震化を図る防災・安全交付金(水道・下水道事業)について、採択基準である資本単価の要件を緩和すること。
11.消防団員の処遇改善に係る財政支援について
災害時における消防団の役割がますます大きくなる中、団員の担い手不足が顕著となっており、各自治体や消防団では団員確保に苦慮している状況である。このような中、国は団員数の確保を目的として年額報酬の底上げや災害時出動報酬の創設などの処遇改善について各自治体へ要請したが、消防団の処遇改善や定数確保については、補助制度を創設するなど、国が責任をもって必要な財政措置を実施し、地域防災力の充実・強化に努めること。
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第184回東北市長会総会(2024/5/15) |
第184回東北市長会総会が令和6年5月15日に宮城県仙台市で開催されました。
本県から提出した「東日本大震災からの復興及び東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議」のほか、6件の決議が特別決議として採択されました。
本県提出の特別決議の内容は以下のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。 → (特別決議・一般議案)
なお、各県から提出された議案については、東北の重要課題として、国に対して要望することとしました。
また、全国市長会の役員候補者として、副会長に木幡福島市長、理事に室井会津若松市長、評議員に品川郡山市長、内田いわき市長、高松本宮市長、監事に品川郡山市長が推薦されることとなりました。
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また、研究会では、開催地である仙台市の次世代放射光施設ナノテラス及び仙台市博物館の視察等を行いました。
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東日本大震災からの復興及び
東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議
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東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和6年2月現在で、福島県民だけでも2万6千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源 の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
また、国は、「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた行動計画」を踏まえ、昨年8月24日からALPS処理水の海洋放出を行っているが、今後、処理水の海洋放出による水産業等への甚大な影響が憂慮される。
よって、国は、被災地の一日も早い復旧・復興を実現するとともに原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。
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記
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1.復興事業の実態に即した財政支援等について
(1)現在未利用地となっている防災集団移転元地等については、沿岸部のハード事業及び防災集団移転促進事業による土地の買取が完了したが、埋没支障物の除去や周辺道路との高低差解消のための盛り土など、将来的に必要となる最低限の基盤整備費用が大きな負担となっており、利活用の検討が進まない要因の一つとなっていることから、未利用地活用の具体的な計画策定に積極的に取り組めるよう、防災集団移転元地等の基盤整備に活用できる新たな財政措置を講じること。
(2)災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度 であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれ
ば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。
2.被災者の生活再建支援等について
(1)東日本大震災災害公営住宅家賃対策事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11年目から20年目は補助率が5/6から2/3と引き下げられることとなったが、今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(2)津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。
被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図ること。
3.公共施設等の復旧支援について
(1)国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2)津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる県道小野富岡線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3)災害時の代替路確保や救急搬送時間のさらなる短縮、物流の向上による産業復興等に向けた円滑な道路交通ネットワークの実現は福島復興に不可欠なものであることから、令和8年度までに開通の見通しである国道13号福島西道路の南伸を確実に行うこと。
(4)復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車についての福島県浜通り地方から首都圏への早朝及び夜間の運行本数の増便や更なる運行時刻の見直し、福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の新設などの利便性の向上、首都圏エリアと仙台エリアをまたぐSuica利用の早期実現、及び桃内駅にSuicaに対応できる設備の整備を行うこと。
また、福島県浜通り地方が東日本大震災及び原発事故の影響により、高齢化が急速に進展したことや復興途上であるという特殊事情を鑑み、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、小高駅及び鹿島駅について、バリアフリー法に基づき早期に駅構内にエレベーターを設置すること。
なお、これらの達成状況を踏まえ、東日本旅客鉄道株式会社に対し、必要な財政支援を行うこと。
(5)東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。
4.原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1)教育環境の整備、営農再開・新規就農者支援、移住・定住促進等避難者の帰還環境の整備について、新たな制度の構築及び財源の確保など柔軟な対応を行うとともに、特に、新たな活力を呼び込むための福島再生加速化交付金(帰還・移住等環境整備(移住・定住促進事業))については、地域の特色が生かせるよう各自治体に一定の裁量をもたせること。また、できる限り早い段階において「「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針」の全部の変更または一部見直しを行い公表し、第2期復興・創生期間後においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
また、令和6年度以降、福島再生加速化交付金等を活用する大規模なハード事業などの継続事業については、第2期復興・創生期間内に完了できない可能性があるため、令和8年度以降にまたがる事業であっても交付金の事業計画及び申請手続を通常どおり認めること。
(2)放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、心のケア、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想されるため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3)原子力災害からの復興が成し遂げられるまで、国は震災復興特別交付税措置及び普通交付税の人口特例を継続するとともに、こどもを健やかに生み育てるために行っている屋内遊び場の運営等の財源である被災者支援総合交付金をはじめ、福島再生加速化交付金、福島生活環境整備・帰還再生加速事業等について、中長期にわたる財源の確保及び弾力的な運用を行うこと。
また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12市町村から避難者を多く受け入れるなど当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
また、復興特別所得税など復興財源の安定的な確保を図ること。
また、福島復興再生特別措置法に基づく特定事業活動に係る税の優遇措置(風評税制)について、令和8年度以降も継続すること。
(4)原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について財政措置を講じること。
(5)避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し課題解決に努めること。
(6)全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで避難者名簿が正確性を欠き居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう必要な見直しを図り、実効性を確保すること。
5.放射性物質の除染対策について
(1)除染実施計画に基づく除染は完了したが、今後人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について継続した支援策を講じるとともに、将来的に国の責任において除染を実施すること。
(2)原子力災害からの復興・再生及び避難住民の帰還を加速させるため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化のため十分な整備予算を確保するとともに、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備のための財政的・技術的支援をすること。
(3)農地への原状回復において、農地の機能回復が十分に図られない場合や従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における補完費用や損失について財政措置を講じること。また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、農地への原状回復を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応するとともに、返還後に補修等が必要となった場合においても、措置を継続すること。
(4)搬出困難な現場保管除去土壌について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計及び財源確保を行うとともに、国の責任において最後まで対応すること。
6.廃炉・汚染水対策について
(1)廃炉対策について、度重なるトラブル等により、度々重要作業の工程延期等の問題も発生していることから、国内外からの英知を結集し、国が責任を持って安全かつ確実に完遂するとともに、今後の廃炉を担うリーダー等中長期を見据えた人材の育成・確保を図ること。
(2)ALPS処理水の海洋放出については、安全かつ着実な処理水の放出完了に向け、東京電力に対する適切な指導や、放出状況の監視について、最後まで国が責任を持って取り組むこと。
また、継続して厳格な海洋モニタリングを行うなど万全な対応を行うとともに、処理水の海洋放出により、市民の生業が侵害されないよう、分かりやすくかつ正確な情報発信を行い、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう誠実に対応するなど、国内外の理解醸成に全力で取り組むこと。
また、国内外に向けて科学的根拠に基づく透明性の高い分かりやすい情報発信を実施し、国内外からの風評被害が発生しないよう、国が責任をもって対策を講じるとともに、処理水の海洋放出に伴う経済的被害が生じた際は十分に補償等の対策を講じるなど、「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた行動計画」を確実に実行すること。
7.放射能教育について
国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、こどもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。
8.原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1)ALPS処理水の海洋放出は長期間にわたる取組が必要であり、新たな風評を発生させないという強い決意の下、行動計画に基づき政府一丸となって、徹底した安全対策を始め、正確な情報発信や輸入規制の緩和・撤廃に向けた対応を行うことはもとより、厳しい環境に置かれている農林水産業や観光業、商工業を始めとする福島県内の幅広い業種に対する、万全な風評対策を徹底的に講じること。また、新たな風評被害を最小にとどめるために自治体が実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、財政支援措置を講じること。
また、それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実かつ迅速になされるよう、また、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応すること。
また、原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針や行動計画による様々な対策の実施状況を継続的に確認し、具体的な調査等により福島県の現状把握をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。
(2)農林水産業に係る営業損害については、福島県産品に対して国内外を問わず風評被害が発生し続けている状況を踏まえ、十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、農林漁業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を円滑に行わせること。
また、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(3)商工業等に係る一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
また、商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
また、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(4)「中間指針第五次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応させること。
また、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応させるなど、被害者優先の親身な賠償を行わせるとともに、今後も適時適切な指針の見直しに取り組むこと。
また、東京電力の賠償部門の体制強化はもとより、福島県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行わせるとともに、「第四次・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守させること。
また、賠償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行わせること。
また、東京電力に対する様々な不安感や不信感を真摯に受け止め、合意に至っていない従来の賠償請求にも誠実に対応するなど、これまで以上に被害者に寄り添った取組を徹底させること。
また、被害者への迅速な賠償が行われるよう、東京電力による損害賠償に必要十分な財源を確保すること。
(5)原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れさせ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(6)原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
また、同センターによる和解仲介について、改めて広く県民に周知を図り、個別の事情についても迅速かつ確実な賠償がなされるよう取り組むこと。
(7)被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(8)被災者が独自に行った除染費用について、東京電力が全額賠償するよう強く指導すること。
(9)放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされていることによる平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(10)自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
また、ALPS処理水の海洋放出は長期間にわたる取組が必要であり、新たな風評被害が発生した場合の影響を最少にとどめるために実施する風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(11)中間指針第五次追補等を踏まえた追加賠償の請求受付に関し、東京電力における賠償部門の体制や周知内容の不備などにより自治体の業務に過剰な負担が生じたことから、自治体窓口の対応支援を含め、誠意を持って対応させること。
(12)原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(13)自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(14)自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(15)原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(16)全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導すること。
また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。
9.住民の健康確保等について
(1)原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2)原発事故による風評の影響により医療人材が不足している被災地において、地域医療再生基金など医療人材確保のための医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
また、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、医師の高齢化に伴う医業継承者の確保に向けた財政支援を講じること。
(3)原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を継続すること。
(4)全ての被災者の健康の確保、特にこどもたち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5)内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る機器更新などの経費や検査体制維持に係る経費は国が責任をもって負担すること。
(6)県民健康調査における甲状腺検査では甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められないこと、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が公表した市町村別推計甲状腺吸収量とがん発見率に関連がみられないこと等から、原発事故による放射線の影響とは考えにくいと評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7)長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(8)外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(9)原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加しているが、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10)震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、こどものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11)リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する関係自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討するとともに、その費用負担は国が責任をもって対応すること。
また、可搬型モニタリングポストについては、今後の方針が示されていないことから、早期に方針を示すとともに、リアルタイム線量測定システムと同様に関係自治体の意見を尊重すること。
また、リアルタイム線量測定システムが設置されている施設等において、施設の建て替え等に伴い当該機器の一時移設を依頼するものの、「施設の自己都合」として原子力規制庁が費用を負担しないことが散見されることから、こうした負担を被災地に押しつけることなく、設置者である国が責任をもって丁寧に対応すること。
10.農林水産業への支援について
(1)福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性や魅力をPRする広報活動を展開すること。
また、ALPS処理水の海洋放出完了まで漁業者が安心して漁業を継続できるよう、「常磐もの」の販路拡大に係る支援や後継者対策を含めた長期的な漁業者支援を講じること。
(2)ALPS処理水の海洋放出を踏まえ、福島県産農林水産物の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業に対し、長期的な財政措置を講じること。
特にALPS処理水の海洋放出に関して多大な影響を受ける水産業等における各種PR事業に対する財政支援について、試食用食材についても対象とするなど支援対象を拡大するとともに、適時適切かつ効果的な事業展開にも対応できるよう指令前着手を認めるなど弾力的な運用を図ること。
(3)原発事故に伴い農産物等の輸入停止措置を講じている7の国や地域に対し、早期の規制撤廃を求める働きかけを行うこと。
また、ALPS処理水の海洋放出に伴う一部の国・地域の科学的根拠に基づかない日本産食品輸入規制措置の撤廃を求めるなど、国が積極的に対策を講じること。
(4)有害鳥獣による被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。特に、イノシシについては、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場の整備等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。
(5)原発事故によりシイタケ等の原木等の出荷が制限されている地域において、20年先を見据えた森林資源の利活用・地域再生に向け、森林整備に関する事業について引き続き予算を確保するとともに、事業実施体制の維持・強化のため人的支援を行うこと。12
(6)原発事故の影響もあり耕作放棄地が増加していることから、自治体においては独自に耕作放棄地解消を目的として農業者が作付けを行う場合に対する補助を行っているが、国においても支援を行うこと。
(7)被災地域の中山間地域においては、営農再開に向けた取組が漸く進められていることから、農地復旧については、被災自治体と連携を図りながら福島再生加速化交付金の対象区域を旧避難指示区域に限定せず拡充するとともに、事業期間については、令和7年度以降も対象となるよう期間の延長を行うこと。
また、営農再開に向けた耕作支援や、新たな担い手を確保するための仕組みなど十分な財政支援を行うこと。
また、被災地域全体の園芸作物・畑作物の振興が図られるよう、一大産地化やブランド化などの事業を構築するとともに、その推進に対して十分な財政支援を行うこと。
(8)原発事故の影響もあり浜通り地域では、全国に先んじて農業の担い手の高齢化や減少が急速に進行しており、新たな農業の担い手の確保が急務であることから、浜通り地域全体における農業人材を育成するための研修機関の運営体制等に対する財政支援を行うこと。
(9)原発事故の影響により、営農を休止していた旧避難指示区域等の地域においては、現在営農の再開に向けて生産基盤の再生や担い手の確保などに取り組んでいるところであるが、営農再開に取り組む過程で農地除染やほ場整備により作土の入替えが行われたことなどにより、飼料用米の作付けが多くなり、かつ主食用米の作付けが3割に満たない厳しい状況にあっても、全国一律のルールで飼料用米の複数年契約に対する産地交付金の減額・廃止が行われ、復興の妨げになっていることから、原子力被災地域の実情に応じた制度設計とすること。
また、原子力被災地域の農業再生の観点から、具体的なビジョンやロードマップ等を早急に策定するとともに、ビジョンやロードマップに基づき、農業人材育成に係る取組や営農再開に取り組む農業者の経営基盤が確立されるまでの所得支援など、原子力被災地域に寄り添った新たな支援制度の創設やそれらに伴う必要な財源を確保するなど、あらゆる面で前面に立ち、責任をもって取り組むこと。
11.産業の流出防止と支援について
(1)津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、第14次公募が最終となる見込みであるが、依然として工場等の新増設が不十分な地域もあることから、当初の支援を継続するとともに、工業団地整備及び産業集積拠点を結ぶインフラ整備に係る費用を対象とすること。
(2)ALPS処理水の海洋放出による風評被害や嫌がらせ行為に対して、福島の経済復興が後戻りすることがないよう、新たに独自の基金や交付金制度など、補償等の対策を講じること。
また、風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大等の取組を拡充し、継続すること。
(3)風評により落ち込む観光客の回復を図るため、ポストコロナ禍における観光誘客や観光需要回復に向けた取組、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの開催・誘致・施設整備、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
また、支援の際は、手続きを省略化し、スピーディーかつ柔軟で利用しやすい制度設計とすること。
(4)風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5)復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。
12.新たな産業と雇用創出の支援について
(1)福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、ペロブスカイト太陽電池の社会実装化等の太陽光発電、小水力・バイオマス・地熱発電を始めとした再生可能エネルギーの推進、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に対する支援、設置技術基準や保安検査の更なる規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに、GX及び2050年カーボンニュートラルの実現に向けた支援を行うこと。
また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
また、避難指示区域が解除された区域においては、原発事故に伴う避難指示の影響により空き地が増え、復興の過程で土地利用が定まっていく隙間をつくかたちで市街地や農地等に、太陽光発電設備が無秩序に設置され、本来であれば高圧太陽光発電設備(50KW以上)のものが、低圧太陽光発電設備(10〜50KW未満)として、分割して国にFIT認定申請されていると考えられる事案が散見されており、復興の妨げになっている。また、非FIT案件についても令和4年4月の電気事業法施行規則の改正でFIT法同様の分割案件に係る設置規制が設けられたものの、国に対する申請行為自体が発生しないため、FIT案件以上に意図的な分割案件に対する規制が難しくなっている。今後、さらに非FIT案件が増えることが見込まれることから、FIT法及び電気事業法の分割案件について、「発電事業者」又は「登記簿上の地権者」が同一の場合に加え、産業用太陽光発電の施工販売を行う事業者が、隣接した土地などにおいて、複数の太陽光発電を販売する目的で設置する場合も分割案件の対象とするなど、FIT制度の根本的な問題点を解消するため、FIT認定に係る審査基準の見直しや審査の厳格化など実態を踏まえた対策を早急に講じること。
(2)福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の更なる推進を図り、福島県全域で復興・創生を実現するため、福島の新産業創出、国際競争力強化、先導的な取組による「新生ふくしま」の創造に向けた「重点推進計画」を着実に推進するものとし、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた必要な措置を講じること。
(3)国は再生可能エネルギーの主力電力化の切り札として、洋上風力産業ビジョン(第一次)を取りまとめ、魅力的な国内市場形成等に取り組むとしており、福島県においても、復興施策として風力発電の導入拡大と、原発産業に代わる基幹産業のひとつとすべく風力関連産業の育成・集積に取り組んできたところであり、今後、風力発電の拡大と福島の復興を進めるためには、低風速海域での市場形成が必要であることから、洋上風力の競争力強化に向けた技術開発ロードマップに基づき、技術開発を進めること。
また、漁業者との共生や地域産業界との連携を前提としながら、具体的なプロジェクトの形成を進めること。
(4)創造的復興と持続的な産業基盤の形成を実現するため、国は、福島県立医科大学や福島大学などの研究機関との連携強化及び高速交通網や福島県内の地域資源の活用を図りながら、福島国際研究教育機構(F−REI)や福島イノベーション・コースト構想の事業を浜通り地域だけでなく福島県内各地域に広く進め、関連企業の誘致や先端産業の集積を図ること。
また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(5)福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、ワールドロボットサミット2020の後継事業や当該競技大会に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(6)ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッ14
チング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」など被災事業者の帰還・再建を促す支援の継続と十分な予算を確保すること。
また、被災地域の創造的復興の実現に向けては、引き続き、幅広い業種において設備投資や雇用等を支援する必要があるため、東日本大震災復興特別区域法に基づく税制上の特例措置の適用期限の更なる延長を検討すること。
(7)福島国際研究教育機構(F−REI)について、浜通り地域が一体となり面的な拠点形成することが重要であるとともに、新産業創出等研究協議会等を通じて福島県内の高等教育機関を含めた産学官との緊密な連携体制を構築するとともに、安定的な運営ができるよう国が責任を持って、引き続き先頭に立ち機構の体制充実や財源の確保など特段の配慮を講じること。
また、福島国際研究教育機構(F−REI)の効果を広域的に波及させるためには、JR常磐線の利便性向上が必須であり、東日本旅客鉄道株式会社に対し、常磐線の特急等の増便を働き掛けるとともに、必要に応じて運行に関する財政支援を検討すること。
(8)福島国際研究教育機構(F−REI)における研究開発の産業化にあたっては、福島県内全域における研究開発成果の社会実装化や新産業創出の早期実現を図るため、対象地域を浜通りに限定することなく、中通りや会津地方を含めた福島県内各地域へのサテライトオフィスの設置や情報交換の場の設定など、技術開発・実証等に積極的に取り組む企業や自治体等との産学連携に向けた具体的な体制構築を検討すること。
(9)福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。
13.原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1)避難指示区域等における被保険者等の一部負担金及び保険料(税)等の免除措置に係る財政支援が見直され、令和4年度を周知期間とし、令和5年度以降における保険料の免除措置に係る激変緩和措置と一部負担金等の免除期間が示されたところであるが、当該被保険者への周知に係る経費及び長期に及ぶ減免措置に伴う納税・納付や滞納整理に係る経費への財政支援を行うとともに、コールセンターの設置に係る支援について継続すること。
また、一部負担金等免除措置の財政支援の見直しによる医療費等への負担増により、受診控えが生じ住民の健康維持確保が損なわれることが懸念されることから、高齢者をはじめとした被災者のヘルスケアに係る支援制度の創設及び財政支援を講じること。
(2)原発事故による警戒区域等からの避難者に対する高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、適切に令和6年度以降も継続すること。
(3)母子避難者等に対する高速道路無料措置に関する事務については、国が主導的に進めるべきものであることから、当該業務を自治体に実施させる場合は、明確な根拠を示し、人件費や事務費等の経費について、国が責任をもって負担すること。
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第183回東北市長会総会において採択した特別決議5件に特別決議と共に採択した要望事項を加え集約した6項目について、こども家庭庁、復興庁、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び自由民主党を訪問し、東北市長会長の木幡・福島県福島市長、同副会長の菅原・宮城県気仙沼市長、同常任委員の佐藤・岩手県一関市長、青森県市長会から山本・むつ市長、山形県市長会から山本・天童市長が参加し大臣等に要望を行いました。
要望の詳細はこちらからダウンロードしてください。
・決議書及び要望書 |
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第183回東北市長会総会を福島市において開催しました。
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始めに会長の木幡福島市長から挨拶があり、その後、来賓の立谷全国市長会長、福島県知事代理の鈴木副知事及び萩原福島市議会議長から御祝辞を頂きました。
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次に永年在職表彰が行われ、橋本須賀川市長(在職15年以上)、志布村山市長(在職10年以上)及び8年以上在職し職を辞された3名の前市長が受賞されました。
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議事では、木幡会長の議事進行の下、東北各県から提出された5件の特別決議と30件の一般議案が全会一致で採択されました。採択された特別決議等については、全国市長会へ提出するとともに、後日、関係省庁等に対して要望を行います。
(採択された特別決議・一般議案)
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また、令和6年度東北市長会役員として、会長に郡仙台市長、副会長に倉成奥州市長、山本天童市長及び若生富谷市長が選任されたほか、常任委員、監事、実行委員がそれぞれ選任された旨役員選考委員長の立谷相馬市長より報告があり、新役員を代表して次期会長の郡仙台市長が挨拶を行いました。
(令和6年度東北市長会役員名簿)
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総会に併せて行われた研究会では、総務省自治税務局から「地方税制の動向と課題」について、内閣府地方創生推進事務局から「地方創生SDGs達成への取組」について説明を受けました。
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閉会後には、開催地となった福島市の防災対策等の取組について視察を行いました。
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第182回東北市長会総会における特別決議7件について、内閣府、復興庁、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省及び自由民主党を訪問し、東北市長会長の木幡・福島県福島市長、同副会長の菅原・宮城県気仙沼市長、青森県市長会から長尾・平川市長、岩手県市長会から野田・釜石市長、山形県市長会から内谷・長井市長が参加し大臣等に要望を行いました。
要望の詳細はこちらからダウンロードしてください。
・決議書及び要望書 |
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第182回東北市長会総会を相馬市において開催しました。
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総会の冒頭、会長の木幡福島市長挨拶の後、来賓の立谷全国市長会長、内堀福島県知事及び石橋相馬市議会議長から御祝辞を頂きました。
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次に永年在職表彰が行われ、野田釜石市長(在職15年以上)、品川郡山市長(在職10年以上)及び8年以上在職し職を辞された5名の市長が受賞されました。
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議事では、立谷相馬市長の議事進行の下、令和5年度の東北市長会事業計画及び歳入歳出予算が原案のとおり可決され、東北各県から提出された7件の特別決議と30件の一般議案が全会一致で採択されました。採択された特別決議等については、全国市長会へ提出するとともに、後日、関係省庁等に対して要望を行います。
(採択された特別決議・一般議案)
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また、総会に併せて行われた研究会では、総務省自治財政局から「地方財政の現状と課題」について、総務省自治税務局から「地方税制の動向と課題」について説明を受けました。
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その後、開催地となった相馬市の取組を視察するため、相馬市防災備蓄倉庫や相馬復興市民市場(浜の駅松川浦)等を訪問し、見聞を深めました。
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第181回東北市長会総会が令和4年10月19日に山形県山形市で開催され、本県から提出した次の議案が特別決議として採択されました。
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災からの復興に関する決議
3 新型コロナウイルス感染症対策の充実に関する決議
本県提出の特別決議の内容は以下のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議・一般議案)
なお、各県から提出された議案については、東北の重要課題として、国に対し要望するとともに、加えて、昨今の原油価格の高騰及び急激な円安等によるエネルギー価格の高騰により、新電力事業者の経営破綻や新規契約受入が停止となっていることを鑑み、電力の安定供給と電気料金の抑制について、国が直接、主体的に取り組むように緊急要望することとしました。
また、役員改選においては、来年度の東北市長会会長に木幡福島市長(新任)、副会長に三保二本松市長(再任)、常任委員に門馬南相馬市長(再任)、監事に白石田村市長(新任)、実行委員に遠藤喜多方市長(再任)の就任が満場一致で承認されました。
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東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議
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東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和4年8月現在で、福島県民だけでも2万9千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
また、国は、令和3年4月13日、汚染水から放射性物質の大部分を除去した「ALPS処理水」を2年程度の準備期間を経て、海洋放出により処分する方針を決定したが、今後、処理水が海洋放出されれば、水産業等への風評被害の発生は必至であり、甚大な影響が憂慮される。
よって、国は、被災地の一日も早い復旧・復興を実現するとともに原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。 |
記 |
1.原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1)避難者の帰還環境の整備に加え、新たな活力を呼び込むための福島再生加速化交付金(帰還・移住等環境整備(移住・定住促進事業))について、十分な財源を確保し、復興の進度など地域の実情に応じた柔軟かつきめ細やかな対応を行うこと。
また、令和8年度以降においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
(2)放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、心のケア、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想さるのため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3)子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金について、十分な財政措置を講じること。
また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12市町村から避難者を多く受け入れるなど当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
(4)原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について財政措置を講じること。
(5)避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し課題解決に努めること。
(6)全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで避難者名簿が正確性を欠き居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう必要な見直しを図り、実効性を確保すること。
2.放射性物質の除染対策について
(1)福島県内においては、8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等について、埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し安全かつ早期に輸送を完了させるとともに、その計画の遅延、変更等が保管する自治体の事業運営に支障をきたす場合には、速やかに対策を講じ、搬出に係る支援や保管場所の確保等の協力を行うこと。
(2)指定廃棄物の長期保管に伴い、放射性物質濃度が8,000?/kg以下に減衰しても、これまで国の指示のもと長期保管を強いられてきた地域感情を考慮し、指定解除することなく国が責任を持って最終処分するとともに、市町村が実施する8,000Bq/kg以下の廃棄物の再資源化及び通常の埋立方法を可能とする中間処理に対して、柔軟な対応と財政支援を講じること。
(3)除染実施計画に基づく除染は完了したが、今後人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について継続した支援策を講じるとともに、将来的に国の責任において除染を実施すること。
(4)「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づく「汚染状況重点調査地域」に指定され、除染対象とされた区域から生じた除去土壌の処分基準を定める省令の早期策定とともに、その処分先の確保について、国が主体的に責任を持って対応すること。
また、指定解除後に放射性物質汚染が発見された場合や住民の放射線に対する不安払拭のため引き続き線量低減作業等が必要な場合など除染事業完了後に新たに発生した事案等に対し、国の責任において迅速かつ確実な除染等の対応ができる体制や制度の構築を図ること。
また、学校施設の校庭などに埋設一時保管している除染土の処理基準を早急に明らかにすること。
(5)原子力災害からの復興・再生及び避難住民の帰還を加速させるため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化のため十分な整備予算を確保するとともに、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
(6)仮置場の原状回復などに必要な予算の確保に万全を期すとともに、仮置場や仮設住宅用地等での利用を終えた後、当該用地又はその近隣用地に地域住民の福祉向上に資する施設等を整備する場合について、財政措置を講じること。
また、仮置場造成のために設置した調整池等の災害予防施設の維持管理費用について、財政措置を講じること。
また、農地への原状回復において、従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における損失について財政措置を講じること。
また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、返還後の用途が定まらない場合は、農地への原状回復を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応すること。
(7)搬出困難な現場保管除去土壌について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計を行うとともに、国の責任において最後まで対応すること。
(8)除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり周知、広報等を図り制度の充実を図ること。
3.廃炉・汚染水対策について
(1)廃炉対策について、度重なるトラブル等により、度々重要作業の工程延期等の問題も発生していることから、国内外からの英知を結集し、国が責任を持って安全かつ確実に完遂すること。
(2)ALPS処理水の処分については、海洋放出の方針について、海洋放出以外の処分方法も引き続き検討するとともに、安全性に加えて財源も含めた体制等具体的かつ水産業をはじめとした関係各産業への新たな万全な風評対策とその効果等を早急に明示し、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう検討すること。
(3)ALPS処理水からトリチウムを分離する技術の確立に向けて積極的に検証を進めること。
また、放射性物質の測定にかかる費用については、令和4年度以降も国の予算措置を継続すること。
4.放射能教育について
(1)国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策について国を挙げて取り組むこと。
(2)国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。
5.原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1)住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、最高裁判所の決定により複数の控訴審判決が確定したことを受けて、早急に原子力損害賠償紛争審査会を開催し、確定した判決の内容について、「指針」における基準や東京電力がこれまでに行ってきた賠償との比較等も含めた具体的な分析を行うこと。
また、多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって迅速、公平かつ適正に賠償がなされるべきとの考えの下、審査会において、当県の現状や判決の具体的な分析を踏まえた上で、混乱や不公平を生じさせないよう「指針」の見直しを含め適切に対応すること。
(2)確定した判決の内容を踏まえ、東京電力に対し、改めて、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応するよう指導すること。
また、東京電力においても、原子力災害の原因者としての自覚を持って、確定した判決の内容を精査し、同様の損害を受けている被害者に対しては、直接請求によって公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
また、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応させること。
(3)原発被害を県境で区別せず、適切な損害賠償・費用負担を行うことともに、市町村からの賠償請求に対し、迅速に支払いに応じるよう、国が東京電力に強く指導監督すること。
また、ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信はもとより、万全な風評対策を早急に示した上で、そうした対策や将来に向けた実効性のある事業者支援策等を確実に講じること。それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実になされるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応し、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、早急に具体的な賠償の枠組みを示すこと。
これに際しては、損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続きなどを含む、客観的で分かりやすい賠償の枠組みを事業者や関係団体等に早急に示した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
また、原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業、観光業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
また、風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあることから、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により迅速に対応するとともに、その具体的な手法を明示すること。
原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針の決定による様々な状況変化を捉え、具体的な調査等をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。
(4)農林水産業に係る営業損害については、依然として風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
また、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
また、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。
また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(5)商工業等に係る営業損害については、一括賠償について、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
また、商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。
また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
また、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(6)原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(7)原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(8)多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(9)市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(10)放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされたことによる平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(11)自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(12)原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(13)自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(14)自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(15)原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(16)全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導するなど、消滅時効について適切に対応すること。
また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。
6.住民の健康確保等について
(1)原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。
また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2)原発事故による風評の影響により医療人材が不足している被災地において、地域医療再生基金など医療人材確保のための医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
また、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、医師の高齢化に伴う医業継承者の確保に向けた財政支援を講じること。
(3)原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を継続すること。
(4)全ての被災者の健康の確保、特に子供たち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5)内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6)県民健康調査における甲状腺検査では甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められないこと、国連科学委員会(UNSCEAR)が公表した市町村別推計甲状腺吸収量とがん発見率に関連がみられないこと等から、原発事故による放射線の影響とは考えにくいと評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7)長期にわたり18歳までの医療費無料化を行うこと。
(8)外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(9)原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加しているが、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10)震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子供のための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11)リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。
また、リアルタイム線量測定システムが設置されている施設等において、施設の建て替え等に伴い当該機器の一時移設を依頼するものの、「施設の自己都合」として原子力規制庁が費用を負担しないことが散見されることから、こうした負担を被災地に押しつけることなく、設置者である国が責任をもって丁寧に対応すること。
7.農林水産業への支援について
(1)福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性や魅力をPRする広報活動を展開すること。
(2)福島県産農林水産物の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業に対し、長期的な財政措置を講じること。
(3)原発被災地におけるイノシシによる被害については、年々拡大し、イノシシ自体が生息域を広げながら繁殖を続けている状況下においては、単一の市町村だけでの対策では限界があることから、国が主体となり、広域的な対策(駆除、防除及び処分等)を行うこと。
また、「有害鳥獣捕獲事業」についても、捕獲したイノシシの放射性物質の濃度が基準値を超えているとして未だに出荷制限の対象となっており、埋設あるいは解体を経ての焼却処理をしなければならない状況にあることから、年々増加する捕獲頭数に比例して、解体後の処理の費用も増加しているため、解体せずに処分可能な減量化処理施設への全額補助など、猟友会や農業者をはじめとした地域住民の負担軽減に向けた施策に加え、出荷制限の解除を行うこと。
また、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。特に、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場の整備等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。
(4)原発事故によりシイタケ等の原木等の出荷が制限されている地域において、20年先を見据えた森林資源の利活用・地域再生に向け、森林整備に関する事業について十分な予算を確保するとともに、事業実施体制の維持・強化のため人的支援を行うこと。
また、東京電力ホールディングス株式会社に対し、地元産原木が利用できないことにより生じた原木購入費の掛り増しについて、新規参入者と規模拡大意向者への賠償範囲の拡大、立木等にかかる財物補償の実施及び山菜・野生きのこ類の出荷制限による損害を受けた産直組織等が行う請求事務について、簡素化等により、生産者の負担にならない賠償請求事務が行えるよう強く指導すること。
(5)原発事故の影響もあり耕作放棄地が増加していることから、自治体においては独自に耕作放棄地解消を目的として農業者が作付を行う場合に対する補助を行っているが、国においても支援を行うこと。
(6)被災地域の中山間地域における農地復旧については、従来のほ場整備事業のような面積要件を満たせず、未整備のままとなっていることから、小規模な農地においても福島再生加速化交付金の対象とするなど被災自治体と連携を図りながら十分な財政支援を行うこと。
また、原子力被災地域においては、園芸作物・畑作物の振興を推進しているところであるが、担い手不足や風評被害対策、出口戦略など、課題が山積している状況であることから、被災地域全体の園芸作物・畑作物の振興が図られるよう、被災自治体とも連携を図りながら、十分な財政支援を行うこと。
(7)農林業系汚染廃棄物の処理加速化事業をその処理が終了するまで継続するとともに、農林業系汚染廃棄物の適切な処理の促進と最終処分までの適切な保管を継続するため、現場の実態に応じて財政的・技術的支援を継続すること。
(8)原発事故の影響もあり浜通り地域では、全国に先んじて農業担い手の高齢化や減少が急速に進行しており、新たな農業の担い手の確保が急務であることから、日本の農業をリードする農業人材を育成するための教育・研修施設の整備も含め、農業人材育成に係る取組について十分な財政支援を行うこと。
(9)原発事故の影響により、営農を休止していた旧避難指示区域等の地域においては、現在営農の再開に向けて生産基盤の再生や担い手の確保などに取り組んでいるところであるが、営農再開に取り組む過程で農地除染やほ場整備により作土の入替えが行われたことなどにより、飼料用米の作付けが多くなり、かつ主食用米の作付けが3割に満たない厳しい状況にあっても、全国一律のルールで飼料用作物等への更なる転換を求められている。
また、福島県において令和3年度の飼料用作物等への転換が大幅に拡大したにも関わらず、令和4年度の県への配分額を据え置き、結果として原子力被災地域への産地交付金の配分額が大幅に減額され、復興の妨げになっていることから、原子力被災地域への配分額が減額とならないよう交付単価を引き下げないこと。
また、原子力被災地域の農業再生を成し遂げるため、具体的なビジョンやロードマップ等を早急に策定するとともに、ビジョンやロードマップに基づき、原子力被災地域の農業再生に向けて、農業人材育成に係る取組や営農再開に取り組む農業者の経営基盤が確立されるまでの所得支援など、被災自治体とも連携を図りながら、原子力被災地域に寄り添った新たな支援制度の創設やそれらに伴う必要な財源を確保するなど、あらゆる面で前面に立ち、責任をもって取り組むこと。
8.産業の流出防止と支援について
(1)津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、依然として工場等の増設が不十分な地域もあることから、重点化された地域のみならず、その他の地域においても支援を継続するとともに、工業団地整備及び産業集積拠点を結ぶインフラ整備に係る費用を対象とすること。
(2)風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大等の取組を拡充し、継続すること。
(3)風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの開催・誘致・施設整備、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4)風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じること。
また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5)復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。
9.新たな産業と雇用創出の支援について
(1)福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うこと。
また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
また、系統連携に必要となる系統の容量確保のため、系統増強に必要な発電事業者及び一般配送電事業者が負担すべき費用に対する財政支援を行うこと。
また、避難指示区域が解除された区域においては、原発事故に伴う避難指示の影響により空き地が増え、復興の過程で土地利用が定まっていく隙間をつくかたちで市街地や農地等に、太陽光発電設備が無秩序に設置され、本来であれば高圧太陽光発電設備(50KW以上)のものが、低圧太陽光発電設備(10〜50KW未満)として、分割して国にFIT認定申請されていると考えられる事案が散見されており、復興の妨げになっている。
また、非FIT案件についても令和4年4月の電気事業法施行規則の改正でFIT法同様の分割案件に係る設置規制が設けられたものの、国に対する申請行為自体が発生しないため、FIT案件以上に意図的な分割案件に対する規制が難しくなっている。
今後、さらに非FIT案件が増えることが見込まれることから、FIT法及び電気事業法の分割案件について、「発電事業者」又は「登記簿上の地権者」が同一の場合に加え、産業用太陽光発電の施工販売を行う事業者が、隣接した土地などにおいて、複数の太陽光発電を販売する目的で設置する場合も分割案件の対象とするなど、FIT制度の根本的な問題点を解消するため、FIT認定に係る審査基準の見直しや審査の厳格化など実態を踏まえた対策を早急に講じること。
(2)福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
(3)国はカーボンニュートラル宣言やグリーン成長戦略を策定し、脱炭素に向け再生可能エネルギーの主力電力化への取組を強化することとし、特に、風力発電については洋上風力産業ビジョン(第一次)を取りまとめ、魅力的な国内市場形成等を基本戦略として位置付けているが、中長期的に継続的な市場を形成するためには、低風速海域での市場形成が必要であることから、低風速海域である福島県沖での事業化に向け検討・開発を進めること。
(4)創造的復興を実現するため、国は、浜通り地域だけでなく、高速交通網を生かし、より広域的に関連企業の誘致や先端産業の集積を図るとともに、福島県立医科大学や福島大学との連携を強化しながら福島イノベーション・コースト構想を推進すること。
また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(5)福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、コロナ禍においても新生活様式など感染症対策を講じたワールドロボットサミット2020の後継事業や当該競技大会に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(6)ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。
また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」など被災事業者の帰還・再建を促す支援の継続と十分な予算を確保すること。
また、浜通り地域の創造的復興の実現に向けては、引き続き、幅広い業種において設備投資や雇用等を支援する必要があるため、福島復興再生特別措置法に基づく、避難指示解除から7年以内とされている事業再開や企業立地促進に係る税の優遇措置(企業立地促進税制)の認定・確認期限を延長すること。
(7)令和4年3月に基本構想が策定され、国において組織・運営、施設・立地の具体的な内容や機構の設立や研究開発等、機構及び立地に係る今後のスケジュールが示された福島国際研究教育機構について、浜通り地域が一体となり面的な拠点形成することが重要であることから、福島ロボットテストフィールドとのより一層の相乗効果が期待できることや、産業ポテンシャル等効果的に活用されるとともに、この効果が地域全体に波及するよう、地域の実情に即した検討を進めること。
また、安定的な運営ができるよう国が責任を持って財源を確保すること。
(8)福島国際研究教育機構における研究開発の産業化にあたっては、福島県内全域における研究開発成果の社会実装化や新産業創出の早期実現を図るため、対象地域を浜通りに限定することなく、中通りや会津地方を含めた福島県内各地域へのサテライトオフィスの設置や情報交換の場の設定など、技術開発・実証等に積極的に取り組む企業や自治体等との産学連携に向けた具体的な体制構築を検討すること。
(9)福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。
10.原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1)避難指示区域等における被保険者等の一部負担金及び保険料(税)等の免除措置に係る財政支援が見直され、令和4年度を周知期間とし、令和5年度以降における保険料の免除措置に係る激変緩和措置と一部負担金等の免除期間が示されたところであるが、一部負担金等免除措置の財政支援の見直しによる医療費等への負担増により、受診控えが生じ住民の健康維持確保が損なわれることが懸念されることから、高齢者をはじめとした被災者のヘルスケアに係る支援制度の創設及び財政支援を講じること。
(2)避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、令和5年度以降も継続すること。
(3)母子避難者等に対する高速道路無料措置に関する事務については、国が主導的に進めるべきものであることから、当該業務を市町村に実施させる場合は、明確な根拠を示し、人件費や事務費等の経費について、国が責任をもって負担すること。
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東日本大震災からの復興に関する決議
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東日本大震災から11 年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。 |
記 |
1.復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1)現在未利用地となっている防集移転元地等については、第2期復興・創生期間に入り、沿岸部のハード事業及び防集事業による土地の買取が完了したが、埋没支障物の除去や周辺道路との高低差解消のための盛り土など、将来的に必要となる最低限の基盤整備費用が大きな負担となっており、利活用の検討が進まない要因の一つとなっていることから、未利用地活用の具体的な計画策定に積極的に取り組めるよう、土地の基盤整備に活用できる新たな財政措置を講じること。
(2)災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。
2.被災者の生活再建支援等について
(1)震災以降の心のケアが必要な児童生徒に対して、よりきめ細かな教育を実現し、豊かな教育環境を整備するため、加配教員による支援を継続すること。
(2)震災によるPTSDを抱える児童生徒への対応等について、長期的な支援が必要不可欠であることから養護教諭も含めた加配の充実を図ること。
(3)被災児童生徒就学支援等事業について、令和5年度以降も全額国費による支援を継続すること。
(4)被災者の孤立防止のための地域での見守りやコミュニティの活性化、心のケアを含む健康支援等の各種支援施策を被災自治体や被災者支援団体等が継続的、安定的に実施できるよう、被災者支援総合交付金の交付期間の延長またはそれに代わる補助金等の新設等、必要かつ十分な財政支援を長期的に行うこと。
(5)東日本大震災災害公営住宅家賃対策事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11年目から20年目は補助率が5/6から2/3と引き下げられることとなったが今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(6)津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図ること。
3.地域産業の復興・再生及び公共施設等の復旧支援について
(1)避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2)津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3)災害時の代替路確保や救急搬送時間のさらなる短縮、物流の向上による産業復興等に向けた円滑な道路交通ネットワークの実現は福島復興に不可欠なものであることから、令和8年度までに開通の見通しである国道13号福島西道路の南伸を確実に行うこと。
(4)復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、運行本数の増便や運行時刻の見直しを行うとともに、Suicaについて、首都圏エリアと仙台エリアをまたぐ利用を可能とすること。
(5)東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。
(6)農業集落排水事業の廃止に伴い滅失を行う施設について残存する債務の償還を免除する制度の創設を検討すること。
(7)防災集団移転元地の活用について、多額の財源調達が必要となり、第2期復興・創生期間の課題であることから、復興庁の「ハンズオン型ワンストップ土地活用推進事業」等の支援策を継続するとともに、防災集団移転元地の土地利用を推進できる新たな補助制度を創設するなどの財政措置を検討すること。
(8)被災地の自立に向けて、先進技術の導入や地域資源の活用等により産業・生業や教育・研究を振興し、交流人口・関係人口や移住者の拡大を図り、魅力あふれる地域を創造するため、被災地への新産業の集積や教育・研究機関の誘致について、国が主体となって特段の措置を講じること。
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新型コロナウイルス感染症対策の充実に関する決議
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新型コロナウイルス感染症は、日本の社会経済活動に大きな影響を及ぼしており、感染の収束は未だ見通せない状況にある。
地域経済においては、コロナ禍に加え、原油価格や原材料価格など様々な物価が高騰し、飲食業、宿泊業、旅客運送業など、事業者においては深刻な経営状況が継続しており、更なる支援策が必要となっている。
また、地域医療においては、受診控えによる患者数の減少や院内感染防止対策等の対応により経営への影響が生じており、地域医療の継続性にも課題が出てきている。
このような中、各自治体においては、感染対策の決め手となるワクチン接種の迅速かつ円滑な実施に努めるとともに、地域経済の維持・回復と、市民の安全安心な暮らしの確保に最大限取り組んでいるところであるが、今後においても、重ねて感染再拡大が予測されるところであり、コロナ対策は最優先に取り組むべき課題である。
よって、国においては、新型コロナウイルス感染症対策に関し、更なる感染症予防対策とともに、社会経済活動の着実な回復に向け、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。 |
記 |
1.新型コロナウイルス感染症への対応について
新型コロナウイルス感染症への対応については、これまでの経過や今後の予測についての分析を踏まえ検討すること。
2.地方自治体における執行に配慮した制度の構築について
新型コロナウイルス感染症対策として講じられる様々な政策については、地方自治体が迅速かつ円滑に執行することが求められているが、国はその政策を決定する際において、地方自治体が執行するために必要な先の見通しなど具体的な情報を早急に示すとともに、できる限り地方の実情に応じた執行を可能とする制度とすること。
また、実務を担う現場の事務負担の軽減にできる限り配慮したものとすること。
3.新型コロナウイルスワクチン接種の円滑な実施について
(1)ワクチンの供給スケジュールや接種対象者等、計画策定や体制整備に必要な情報を具体的かつ早期に明示するとともに、自治体に財政負担が生じないよう、引き続き全額国費による財政措置を講じること。
特に、オミクロン株に対応したワクチン接種が開始となることから、事務運用に混乱が生じることのないよう特段の配慮を行うこと。
(2)自治体が求めるワクチンの必要量を確実に確保し、安定的に遅滞なく供給すること。
特に、住民が希望するファイザー社ワクチンの供給が見合っていないことから、国において必要な対策を講じること。
(3)数次にわたる新型コロナワクチン接種事業において、ワクチンの種類や接種対象者等の取扱いが接種毎に異なることにより、自治体に混乱が生じていることを踏まえ、今後のワクチンの接種事業の在り方に係る方針等を早期に示すこと。
(4)接種者が安心して接種を受けることができるよう、国民に対してワクチンに関する正確な情報提供を通じて接種勧奨を図るとともに、国民の生命及び健康を守るために主体的に取り組むこと。特に、小児接種に使用するワクチン及び追加接種における交互接種の有効性・安全性に関する情報を分かりやすく積極的に提供すること。
(5)新型コロナワクチン接種の副反応による健康被害が生じた際は、接種の過失の有無に関わらず国の責任により、速やかに救済すること。
また、現在、健康被害救済措置について判定に至らない事例があることから、症状とワクチンとの因果関係の疑いが否定できないものも含め、接種を推進する国の責任として速やかに幅広く救済すること。
4.地域医療体制の確保と財政措置等の充実について
(1)十分な医療提供体制が維持できるよう、病院間の支援ネットワークや医師・看護師等の派遣などの医療人材の確保について、国・都道府県・市町村が連携した広域的な支援体制を構築するとともに、重症患者の搬送に必要な感染防止資機材や搬送に係る車両、人員等の体制強化について十分な財政措置を講じること。
(2)受診抑制等による外来患者数の減少・手術の延期及び感染症対策等によって、公立・公的病院等の経営が圧迫されていることから、地域医療を守る公立・公的病院等の安定的経営を確保すべく、必要な財政措置を講じること。
また、同様に経営面でも厳しい状況に置かれている民間医療機関や介護事業者への支援を行うこと。
(3)感染拡大防止策を担う保健所について、保健師や臨床検査技師等の人材不足が課題となっていることから、人材確保に係る支援措置を講じるとともに、体制強化に資する十分な財政措置を講じること。
(4)最前線で奮闘している医療・介護従事者等への給付等、引き続き必要な支援を講じるとともに、支援策の拡大など医療現場に寄り添った施策を講じること。
(5)感染症法における取扱いの変更(緩和)を視野に入れ、地域の医療機関における外来での診療体制の整備に対する財政支援を行うこと。
(6)国産ワクチン・治療薬等の一日も早い実用化に向け、研究開発を行う企業に対し、重点的な支援を行うとともに、科学的知見に基づき早期に承認し、十分な量を供給すること。
また、新たなワクチン・治療薬等に関する正確な情報の迅速な発信に努めること。
(7)感染症指定医療機関や入院協力医療機関等の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院では、病棟の一部の病床を感染症患者に充てる場合であっても、院内感染を防ぐために病棟全体を感染症患者専用とせざるを得ず、大幅な減収となってしまうため、減収分の補填のため、以下の点について引き続き地域医療の実情に応じたさらなるきめ細やかな財政措置を講じること。
1)診療実績に応じた診療報酬の増額を十分に行うこと。
2)新型コロナウイルス感染症患者及びその疑いのある患者を受け入れるに当たり、
一般病床・療養病床を問わず、継続して病床を整備した時点に遡及して財源措置を
行うこと。
3)医療従事者への危険手当支給に対して財源措置を行うこと。
4)診療材料等の価格高騰に対する助成を行うこと。
5)新型コロナウイルス感染症患者のアセスメント外来における、診療報酬の十分な
増額を行うこと。
(8)介護が必要な高齢者を受け入れた場合、防護具を着用した状態で日常生活の介助を行う必要があり、看護師の負担は非常に大きいものがある。よって国は、ADL(日常生活動作)区分に基づく診療報酬上の評価を新たに措置するなど必要な財政措置を講じること。
5.医療資器材の確保等について
(1)安全な医療提供体制維持のために、医療用マスクやガウン、手袋等の防護服や人工呼吸器等の医療用資器材に不足が生じないよう、医療機関の求めに応じて必要な数量を確保できるようにすること。
また、医療機関が医療用資器材を適正な価格で安定的に調達できるよう供給体制を確保すること。
特に、感染症指定医療機関に対しては、優先的かつ安定的に必要数が供給されるよう、万全の対策を講じること。
(2)救急搬送を担う救急隊等が使用するマスクや手指用消毒液、感染防止衣等の感染防止資器材については、これまで消防機関が調達し、隊員の感染防止策を講じてきたところであるが、感染拡大による対応の長期化に伴い、その経費が大きな負担となっていることから、感染防止資器材等の必要な数量確保のための財源措置を講じること。
6.社会福祉等に関する支援について
(1)新型コロナウイルス感染症に感染する等した国民健康保険被保険者に支給される傷病手当金について、支給対象をフリーランスや自営業者などにも拡大するとともに、対象期間の延長を早急に検討すること。
(2)新型コロナウイルス感染症の影響によりひとり親世帯や減収により生活が困窮するなど厳しい状況にある人が増えていることから、その現状に応じた社会保障制度の拡充を図るなど、生活支援策を講じること。
(3)新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る令和4年度の国民健康保険料及び介護保険料の減免についても、令和3年度までと同様全額国費負担とするよう、財政支援の拡充を図ること。
(4)在宅介護家庭において、介護の担い手が新型コロナウイルスに感染した際の介護サービスについて、あらかじめ協力事業者を確保するなどサービス確保に努めるとともに、事例発生時に適切な対応を行うこと。
(5)医療従事者や介護サービス従事者に対する支援を講じる際は、新型コロナウイルスの感染が拡大する状況でも、社会機能の維持に必要不可欠なものとして業務を続けている児童福祉施設、放課後児童クラブ等の職員に対しても、同様の支援及び財政措置を講じること。
(6)子育て世帯において、保護者が新型コロナウイルスに感染した際の対処について、児童相談所の機能を強化するなど体制の整備を進めるために必要な財政措置を講じること。
7.地域経済に関する支援について
(1)国は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用の有無や業種に関わらず、公平な支援策を講じること。
(2)国は、セーフティネット貸付制度の拡充、経営相談や資金繰り支援などの各種支援策により、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化と経営環境の整備を支援しているが、事業者の経営に対する影響は広範囲かつ甚大である。併せて、新型コロナウイルス感染防止を想定した「新しい生活様式」への対応やDX・GXの推進など新たな事業活動に取り組む必要があり、経済の回復には多くの時間を要することから、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
また、新分野展開や業態転換等に取り組む事業者への充実した支援を継続すること。
(3)金融機関に対し、資金繰りに苦慮している事業者に対する速やかかつ新たな資金提供または経営改善支援を継続するとともに、融資の返済猶予・返済負担の軽減について柔軟な対応を講じるよう働きかけること。
また、自治体が独自に実施する事業者支援策に要する経費に係る財政支援を継続すること。
(4)地域経済を立て直すため、事業復活支援金及び家賃支援給付金事業を検証し、「全国を対象とした」「事業規模に応じた」中小企業・個人事業者の事業継続を下支えする支援策を今後も講じるとともに、事業者に対する各種支援金等の充実を図ること。
8.雇用対策等について
(1)新型コロナウイルス感染症による影響の長期化を勘案し、雇用調整助成金における特例措置水準の維持と緊急対応期間の延長について、柔軟に対応すること。
また、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症及びコロナ禍における原油価格・物価高騰等が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2)雇用を維持するため、新卒者の内定取消しや非正規労働者の雇止めを行わないよう、企業に対し要請するとともに、国による相談支援体制を強化すること。
(3)休業支援金をはじめとする国の雇用施策について、支援制度の柔軟な運用と事業主への指導の強化のほか、労働者への周知徹底を図ること。
(4)持続化給付金等、国が事業主及び労働者等の雇用維持への支援の観点から、助成する給付金等について、法人税等の非課税所得とすること。
(5)「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業」に該当し、地方自治体が家計・生活支援、事業主等への支援の観点から、住民・事業主に支給する給付金等について、所得税の非課税所得とすること。
(6)円安や不安定な世界情勢を受け、燃油価格の高騰等の影響が農林水産業、運輸業などの幅広い業種の事業者に及ぶ中、地域の中小企業の事業継続のため、事業者に対する持続化給付金等の支援の他、加工原料の輸入コストに係る支援制度の創出、電力の「最終保障供給制度」の見直しなど安定的かつ継続的なエネルギー施策を講じること。
9.観光産業等への支援について
(1)売上等に甚大な打撃を被った観光・運輸業、飲食業等を対象とした観光需要喚起策において、自治体及び事業者等の現場の意見を踏まえ、継続的な支援を行うとともに、アフターコロナにおける需要の復活から自立的な経営ができるまで、国内外の旅行喚起や観光資源の磨き上げなどに係る支援を継続すること。
(2)緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置適用などにより、不要不急の外出自粛と飲食店等への営業時間短縮の要請が出されてきたことから、キャンセル等により宿泊、飲食、土産物店等の観光関連事業者や、コンベンション関係事業者は大きな損失を受けており、事業者に対して手厚い経営支援を行うとともに、GoToトラベル事業等感染状況を踏まえた適切な入込回復支援を速やかに再開し、ワーケーションや滞在型旅行の促進など新たな旅行スタイルが定着するまで継続すること。
また、安全・安心な観光客の受入環境を整備するとともに、デジタル技術を活用したMICEの開催に必要な施設環境整備に対する支援を行うこと。
(3)観光施策の推進であるが、地域経済の回復に向け、感染状況に応じた観光促進策を行うとともに、現在、自治体ごとの宿泊割引や、地域クーポンの支給により、観光消費額の底上げを行っているが、限られた予算の中で事業展開を行う事は難しいことから、引き続き自治体への財政支援を講じること。
また、宿泊割などの間接支援とは別に、観光関連事業者を対象とした、直接支援となる電気、ガス、水道などの経常経費の実額補助制度を創設すること。
10.生活インフラ等に関する支援について
(1)地方においては、低迷した地域経済を回復させるために、公共事業による景気の下支えが必要であることから、道路網の整備、国土強靱化など社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
併せて、地域経済の回復を効果的に促進するため、使途を限定せず自治体の裁量で公共事業へ充当できる交付金制度を創設すること。
(2)新型コロナウイルス感染症への対応を契機とする新しい生活様式に合わせ、行政手続きのオンライン化や行政サービス業務においてICT技術の導入を推進するとともに、建築物において接触を低減させる等、感染リスクを減らすための改修等に係る財政措置を講じること。
11.公共交通等への支援について
(1)路線バス運行事業者への支援であるが、路線バスは、モータリゼーションの進展や高齢化及び人口減少等の進行に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、リモートワークの普及等による生活様式の変化により、利用者が著しく減少している。路線バス運行事業者の経営状況は急激に悪化し、新型コロナウイルス収束後においても、事業を継続できるよう財政的な支援が必要な状況となっていることから、国は地域住民にとって必要不可欠な公共交通である路線バスの維持確保のため、路線バス運行事業者の経営支援を行なう新たな制度を構築するなどの支援体制を強化すること。
(2)利用者の減少により影響を受けているバスやタクシー、地下鉄、離島航路などの地域公共交通事業者に対して、安定経営に向けた積極的な支援を講じること。
(3)団体旅行や企画ツアーの激減の影響を受けている観光バス事業者に対し、アフターコロナを見据え、事業継続のための支援策を引き続き講じること。
12.地方財源確保及び自治体への財政支援等について
(1)新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況になることが見込まれる中、地方創生への積極的な取組をはじめ、社会保障関係経費、防災・減災対策を含めた社会資本整備経費など、自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保すること。
(2)新型コロナウイルス感染症に対して地方が機動的に施策を展開できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金における「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」を含めた各種対策など自治体が必要とする財源を十分に確保するとともに、地域の実情に応じた柔軟で弾力的な運用を図ること。
また、国は令和4年度予備費分の配分残額を、都道府県のみならず市町村に対しても早期に追加配分するとともに、令和4年度補正予算の編成により、市町村が柔軟に活用可能な新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を増額すること。
(3)地方交付税の財源である所得税、法人税等の減収が想定されることから、当該減収分については、国の責任において財源を補てんし、自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額及び地方交付税総額を確保すること。
(4)新型コロナウイルス感染症に関するワクチン接種などの緊急対応策の実行に際して必要となる地方負担はもとより、今後新たに必要となる地方負担についても、地方公共団体の財政運営に支障が生じることのないよう、適切な財政措置を講じること。特に、長期化も見据えた対応として、令和5年度以降についても継続的な財政措置を講じること。
(5)施設の利用低迷等が続いており、公共施設を運営する地方自治体の入場料収入や施設使用料の事業収入が減少していることから、事業収入減収に伴う地方自治体への財政支援措置を講じること。
(6)公平な課税等を行うため、各種給付金が課税所得とみなされる場合があることにかんがみ、当該給付金については確定申告が必要であること等について、国民に対して一層の周知を図るとともに、給付金等の原資は税であり、各種給付金の受給者情報については、課税客体となりえることから市町村と共有するなどの措置を講じること。
13.インフルエンザ予防接種費用の助成について
新型コロナウイルス感染症の治療薬は開発承認されているものの、地域の医療機関の負担軽減のために、インフルエンザの罹患者を減らし重症化を予防する必要があることから、任意接種となっている若年層のインフルエンザ予防接種費用の補助制度を創設すること。
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第92回全国市長会議が東京都で開催され、次の6議案について決議等を行い、その他支部より提出のあった要望事項について、国に対し要請することとしました。
また、役員改選により会長に立谷相馬市長が3選されました。また、相談役に鈴木白河市長(再任)、理事に室井会津若松市長(再任)、評議員に品川郡山市長(再任)、木幡福島市長(再任)、内田いわき市長(新任)が就任いたしました。
また、永年勤続功労者(在職12年)として高松本宮市長が表彰されました。
なお、詳細については全国市長会ホームページを御覧下さい。
1.新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
2.ポストコロナを見据えた地域経済・雇用対策の充実に関する決議
3.東日本大震災からの復興及び福島第一原子力発電所事故からの復興等に関する決議
4.国土強靱化、防災・減災対策等の充実強化に関する決議
5.デジタル社会における新たな地方創生の実現に関する決議
6.都市税財源の充実強化・地方分権改革の推進に関する決議
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全国市長会会長挨拶をする立谷相馬市長 |
第180回東北市長会総会が山形県山形市で開催され、本県から提出の議案として、
1 東京電力福島第一発電所事故への対応に関する決議
2 東日本大震災からの復興に関する決議
3 新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
が特別決議として採択されました。
本県提出の特別決議の内容は次のとおりでありますが、東北各県からの提出議案の詳細については、こちらからご覧ください。→(特別決議・一般議案)
各県からの提出議案については、東北の重要課題として、国に対し要望することとしました。 |
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東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議
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東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和4年3月現在で、福島県民だけでも3万2千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
また、国は、令和3年4月13日、汚染水から放射性物質の大部分を除去した「ALPS処理水」を2年程度の準備期間を経て、海洋放出により処分する方針を決定したが、今後、処理水が海洋放出されれば、水産業等への風評被害の発生は必至であり、甚大な影響が憂慮される。
よって、国は、被災地の一日も早い復旧・復興を実現するとともに原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。
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記
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1.原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 避難者の帰還環境の整備に加え、新たな活力を呼び込むための福島再生加速化交付金(帰還・移住等環境整備(移住・定住促進事業))について、十分な財源を確保し、復興の進度など地域の実情に応じた柔軟かつきめ細やかな対応を行うとともに、風評払拭に向け新たに創設された福島再生加速化交付金(福島定住等緊急支援(地域魅力向上・発信支援事業))について、規模や内容等に応じた上限額の設定や地域の実情に応じた取組を幅広に対象とするなど拡充を図ること。
また、令和8年度以降においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制、復興の進度に応じた柔軟な制度、現行と同様の枠組による安定的な財源を確保するとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても、引き続き国が前面に立って取り組むこと。
(2) 放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、市民の安全・安心のため長期に及ぶことが予想さるのため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金について、十分な財政措置を講じること。
また、原発事故からの時間の経過とともに変化する被災地の状況等を踏まえながら、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12 市町村の枠組みを超えた浜通り全体として捉えた財政支援が必要であるため、福島再生加速化交付金事業をはじめとした支援について、当該12市町村から避難者を多く受け入れるなど当該区域の復興を支える周辺地域を含め、浜通りを一体として捉えた特段の措置を講じること。
(4) 原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について財政措置を講じること。
(5) 避難指示区域等からの長期避難者の居住地の帰属のあり方等について、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、改めて方向性を示し課題解決に努めること。
(6) 全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで避難者名簿が正確性を欠き居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう必要な見直しを図り、実効性を確保すること。
2.放射性物質の除染対策について
(1) 福島県内においては、8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等について、埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し安全かつ早期に輸送を完了させるとともに、その計画の遅延、変更等が保管する自治体の事業運営に支障をきたす場合には、速やかに対策を講じ、搬出に係る支援や保管場所の確保等の協力を行うこと。
(2) 現在も原発事故の影響が続いている福島県において、県内自治体が実施する8,000Bq/kg以下の廃棄物の処理に対して財政支援を講じること。
(3) 住宅地から20m以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について継続した支援策を講じること。
(4) 「放射性物質汚染対処特別措置法」に基づく「汚染状況重点調査地域」の指定解除後に放射性物質汚染が発見された場合や住民の放射線に対する不安払拭のため引き続き線量低減作業等が必要な場合など除染事業完了後に新たに発生した事案等に対し、国の責任において迅速かつ確実な除染等の対応ができる体制や制度の構築を図ること。
(5) 原子力災害からの復興・再生及び避難住民の帰還を加速させるため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化のため十分な整備予算を確保するとともに、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。
また、汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送により生じた仮置き場からのアクセス道路の破損に係る修繕等について確実に実施すること。
(6) 仮置場の原状回復などに必要な予算の確保に万全を期すとともに、仮置場や仮設住宅用地等での利用を終えた後、当該用地又はその近隣用地に地域住民の福祉向上に資する施設等を整備する場合について、財政措置を講じること。
また、仮置場造成のために設置した調整池等の災害予防施設の維持管理費用について、財政措置を講じること。
また、農地への原状回復において、従前と比較して農作物等の減収等が生じた場合における損失について財政措置を講じること。また、仮置場の提供の経緯等を踏まえ、地権者の意向や地域実情に応じて、返還後の用途が定まらない場合は、農地への原状回復を前提とせず、用地返還後に農地以外の用途に利用する場合に必要となる農地法及び農業振興地域の整備に関する法律による所定の手続きを含め弾力的に対応すること。
(7) 搬出困難な現場保管除去土壌について、将来的に搬出が可能となった際に柔軟に対応できるよう制度設計を行うこと。
(8) 除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり周知、広報等を図り制度の充実を図ること。
3.廃炉・汚染水対策について
(1) 廃炉対策について、度重なるトラブル等により、度々重要作業の工程延期等の問題も発生していることから、国内外からの英知を結集し、国が責任を持って安全かつ確実に完遂すること。
(2) 汚染水対策について、国が主体的に取り組み、実効性のある地下水対策、汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。
また、ALPS処理水の処分については、安全性に加えて財源も含めた体制等具体的かつ万全な風評対策とその効果等を早急に明示し、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう検討すること。
4.放射能教育について
国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。
5.原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1) 住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、最高裁判所の決定により複数の控訴審判決が確定したことを受けて、早急に原子力損害賠償紛争審査会を開催し、確定した判決の内容について、「指針」における基準や東京電力がこれまでに行ってきた賠償との比較等も含めた具体的な分析を行うこと。
また、多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって迅速、公平かつ適正に賠償がなされるべきとの考えの下、審査会において、当県の現状や判決の具体的な分析を踏まえた上で、混乱や不公平を生じさせないよう「指針」の見直しを含め適切に対応すること。
(2) 確定した判決の内容を踏まえ、東京電力に対し、改めて、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応するよう指導すること。
また、東京電力においても、原子力災害の原因者としての自覚を持って、確定した判決の内容を精査し、同様の損害を受けている被害者に対しては、直接請求によって公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応させること。
(3) ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信はもとより、万全な風評対策を早急に示した上で、そうした対策や将来に向けた実効性のある事業者支援策等を確実に講じること。
それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実になされるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応し、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、早急に具体的な賠償の枠組みを示すこと。
これに際しては、損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続きなどを含む、客観的で分かりやすい賠償の枠組みを事業者や関係団体等に早急に示した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
また、原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、福島県内全域の様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業、観光業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
また、風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあることから、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により迅速に対応するとともに、その具体的な手法を明示すること。
原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、ALPS処理水の処分に関する基本方針の決定による様々な状況変化を捉え、具体的な調査等により福島県の現状把握をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。
(4) 農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。また、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
また、避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(5) 商工業等に係る営業損害については、一括賠償について、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
また、商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
また、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(6) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(7) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(8) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。
また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(9) 市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(10) 放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされたことによる平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(11) 自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(12) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(13) 自治体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(14) 自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(15) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(16) 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導するなど、消滅時効について適切に対応すること。
また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。
6.住民の健康確保等について
(1) 原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2) 原発事故による風評の影響により医療人材が不足している被災地において、地域医療再生基金など医療人材確保のための医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
また、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、医師の高齢化に伴う医業継承者の確保に向けた財政支援を講じること。
(3) 原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を継続すること。
(4) 全ての被災者の健康の確保、特に子供たち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(5) 内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(6) 県民健康調査における甲状腺検査では甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められないこと、国連科学委員会(UNSCEAR)が公表した市町村別推計甲状腺吸収量とがん発見率に関連がみられないこと等から、原発事故による放射線の影響とは考えにくいと評価されているが、より詳細な推定甲状腺被ばく線量を用いた検討をするなど、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(7) 長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(8) 外国人労働者の受入れについて、就労までに多額の委託費が必要なことから、技能実習及び特定技能による介護人材を受け入れる介護事業者の経済的な負担を軽減するため、監理団体への監理費や登録支援機関への委託費の軽減に繋がる支援策を講じること。
(9) 原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加し、施設の整備が進むものの、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10) 震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子供のための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11) リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。
7.農林水産業への支援について
(1) 福島県産農林水産物について、風評被害対策として、国の主導により継続的な風評の払拭及び新たな風評を生まないためのあらゆる施策を講じるとともに、国内外に向けた安全性や魅力をPRする広報活動を展開すること。
(2) 福島県産農林水産物の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業に対し、長期的な財政措置を講じること。
特に、漁業の風評被害が深刻であることから、その対策として、地産地消を目的に安全安心な魚介類をアピールするため、それらを食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。
(3) 原発被災地におけるイノシシによる被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。特に、その捕獲に係る助成金について、成獣・幼獣の区別なく、捕獲頭数に応じた十分な財政支援を行うこと。
また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場の整備や弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。
(4) 原発事故によりシイタケ等の原木等の出荷が制限されている地域において、20年先を見据えた森林資源の利活用・地域再生に向け、森林整備に関する事業について十分な予算を確保するとともに、事業実施体制の維持・強化のため人的支援を行うこと。
(5) 原発事故の影響もあり耕作放棄地が増加していることから、自治体においては独自に耕作放棄地解消を目的として農業者が作付を行う場合に対する補助を行っているが、国においても支援を行うこと。
(6) 被災地域の中山間地域における農地復旧については、従来のほ場整備事業のような面積要件を満たせず、未整備のままとなっていることから、自治体が行う水田から畑地への転換に係る取組について、小規模な農地においても福島再生加速化交付金の対象とするなど十分な財政支援を行うこと。
(7) 原発事故の影響もあり浜通り地域では、全国に先んじて農業担い手の高齢化や減少が急速に進行しており、新たな農業の担い手の確保が急務であることから、日本の農業をリードする農業人材を育成するための教育・研修施設の整備も含め、農業人材育成に係る取組について十分な財政支援を行うこと。
8.産業の流出防止と支援について
(1) 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、依然として工場等の増設が不十分な地域もあることから、重点化された地域のみならず、その他の地域においても支援を継続するとともに、工業団地整備及び産業集積拠点を結ぶインフラ整備に係る費用を対象とすること。
(2) 風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大等の取組を拡充し、継続すること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの開催・誘致・施設整備、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じること。
また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(5) 復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目に加えること。
9.新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うこと。
また、電力会社と連携して、国が主体的に広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に取り組むこと。
また、避難指示区域が解除された区域においては、原発事故に伴う避難指示の影響により空き地が増え、復興の過程で土地利用が定まっていく隙間をつくかたちで市街地や農地等に、太陽光発電設備が無秩序に設置されており、復興の妨げになっている。本来であれば高圧太陽光発電設備(50KW以上)のものが、低圧太陽光発電設備(10〜50KW未満)として、分割して国にFIT認定申請されていると考えられる事案が散見されることから、現状を把握したうえで、FIT認定に係る審査基準の見直しや審査の厳格化など実態を踏まえた対策を早急に講じること。
(2) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。
(3) 国はカーボンニュートラル宣言やグリーン成長戦略を策定し、脱炭素に向け再生可能エネルギーの主力電力化への取組を強化することとし、特に、風力発電については洋上風力産業ビジョン(第一次)を取りまとめ、魅力的な国内市場形成等を基本戦略として位置付けているが、中長期的に継続的な市場を形成するためには、低風速海域での市場形成が必要であることから、低風速海域である福島県沖での事業化に向け検討・開発を進めること。
(4) 創造的復興を実現するため、国は、浜通り地域だけでなく、高速交通網を生かし、より広域的に関連企業の誘致や先端産業の集積を図るとともに、福島県立医科大学や福島大学との連携を強化しながら福島イノベーション・コースト構想を推進すること。
また、福島県内全域において、移住・定住等の促進に資する取組を強力に推進すること。
(5) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、コロナ禍においても新生活様式など感染症対策を講じたワールドロボットサミット2020の後継事業や当該競技大会に代表されるような大規模イベントの開催を通じて、広く一般の認知度向上に繋げることで、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導や産業の活性化に向けた取組を支援すること。
(6) ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」など被災事業者の帰還・再建を促す支援の継続と十分な予算を確保すること。
(7) 令和4年3月に基本構想が策定され、国において同拠点の設置に本格的な検討がなされている国際教育研究拠点について、浜通り地域が一体となり面的な拠点形成することが重要であることから、福島ロボットテストフィールドとのより一層の相乗効果が期待できることや、産業ポテンシャル等効果的に活用されるとともに、この効果が地域全体に波及するよう、地域の実情に即した検討を進めること。また、安定的な運営ができるよう国が責任を持って財源を確保すること。
(8) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。
10.原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1) 避難指示区域等における国民健康保険税、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料の減免、並びに、医療費一部負担金及び介護保険の利用者負担の免除について、住民の生活が安定するまでには相当の期間を要することから、被保険者の健康維持のため、特別措置を今後も継続すること。
また、将来的に全額免除を縮小、終了する場合は、激変緩和措置を講じるとともに、当該被保険者への十分な周知期間を確保すること。
(2) 避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、令和5年度以降も継続すること。
(3) 母子避難者等に対する高速道路無料措置に関する事務については、国が主導的に進めるべきものであることから、当該業務を市町村に実施させる場合は、明確な根拠を示し、人件費や事務費等の経費について、国が責任をもって負担するとともに、各市町村が統一して事務を進めることができるよう、具体的な手続方法及びスケジュールについて早期に示すこと。
また、避難者が手続上の不利益を被らないよう十分配慮すること。
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東日本大震災からの復興に関する決議
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東日本大震災から11年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
令和7年度までの第2期復興・創生期間において、被災自治体が地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興を進めるためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等を図ることが必要である。また、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組む必要がある。
よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。
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記
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1.復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 現在未利用地となっている防集移転元地等については、第2期復興・創生期間に入り、沿岸部のハード事業及び防集事業による土地の買取が完了したが、埋没支障物の除去や周辺道路との高低差解消のための盛り土など、将来的に必要となる最低限の基盤整備費用が大きな負担となっており、利活用の検討が進まない要因の一つとなっていることから、未利用地活用の具体的な計画策定に積極的に取り組めるよう、土地の基盤整備に活用できる新たな財政措置を講じること。
(2) 災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国おいて債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。
2.被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災災害公営住宅家賃対策事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。
また、災害公営住宅家賃低廉化事業について、令和3年度より、管理開始から10年間は現行制度のまま継続され、11年目から20年目は補助率が5/6から2/3と引き下げられることとなったが、今後、更なる補助の引下げを行わないよう見直し後の補助水準を維持し、安定的な財政支援を継続すること。
(2) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。
被災者生活再建支援制度については、令和2年12月の改正により「中規模半壊」区分が追加され、対象範囲が拡大したものの、災害時における生活再建等に係る資金確保には十分ではないことから、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、更なる見直しを図ること。
3.公共施設等の復旧支援について
(1) 国は復興道路・復興支援道路の緊急整備など被災地域の早期復旧・復興に全力で取り組むとしているが、避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(2) 津波被災地である浜通りの復興加速化を図るため、福島県が戦略的に取り組んでいる国道399号、県道小野富岡線、県道吉間田滝根線、小名浜道路等の浜通りと中通りを結ぶふくしま復興再生道路の整備促進を図ること。
(3) 災害時の代替路確保や救急搬送時間のさらなる短縮、物流の向上による産業復興等に向けた円滑な道路交通ネットワークの実現は福島復興に不可欠なものであることから、令和8年度までに開通の見通しである国道13号福島西道路の南伸を確実に行うこと。
(4) 復興を加速化させていくため、JR常磐線の利便性向上は必須であることから、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、特急列車について、福島県浜通り地方から首都圏への日帰り利用が可能となるよう運行本数の増便や運行時刻の見直しを行うとともに、福島県浜通り地方と仙台を結ぶ快速列車の運行など、利便性の向上を図ること。また、Suicaについて、首都圏エリアと仙台エリアをまたぐ利用を可能とするとともに、桃内駅にSuica対応機器の整備を図ること。
(5) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災対応に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、特別交付税の措置率の嵩上げを講じること。
また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新に多額の費用が必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても検討すること。
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新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
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新型コロナウイルス感染症による日本経済への影響は甚大であり、未だ収束の見通しがつかない。
我々自治体は、市民の生命と生活を守るため、ワクチン接種を迅速かつ円滑に実施することはもとより、医療提供体制を強化するとともに、介護施設、保育施設及び教育の現場等において、万全な感染症対策を講じつつ、市民に寄り添ったサービスを維持し、提供できるよう全力で取り組んでいる。
よって、国は、市民が安心して暮らせる日常を取り戻すため、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。
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記
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1.地方自治体における執行に配慮した制度の構築について
新型コロナウイルス感染症対策として講じられる様々な政策については、地方自治体が迅速かつ円滑に執行することが求められているが、国はその政策を決定する際において、地方自治体が執行するために必要な先の見通しなど具体的な情報を早急に示すとともに、できる限り地方の実情に応じた執行を可能とする制度とすること。
また、実務を担う現場の事務負担の軽減にできる限り配慮したものとすること。
2.新型コロナワクチン接種について
今後のスムーズな接種に向けて、ワクチンの供給見通しを明確にするとともに、ワクチンの必要量の確保と安定的な供給を行う体制の構築及び自治体の接種体制整備への積極的な支援を行うこと。
3.医療体制の確保と財政措置の充実について
(1) 十分な医療提供体制が維持できるよう、病院間の支援ネットワークや医師・看護師等の派遣などの医療人材の確保について、国・都道府県・市町村が連携した広域的な支援体制を構築するとともに、重症患者の搬送に必要な感染防止資機材や搬送に係る車両、人員等の体制強化について十分な財政措置を講じること。
(2) 受診抑制等による外来患者数の減少・手術の延期及び感染症対策等によって、公立・公的病院等の経営が圧迫されていることから、地域医療を守る公立・公的病院等の安定的経営を確保すべく、必要な財政措置を講じること。また、同様に経営面でも厳しい状況に置かれている民間医療機関や介護事業者への支援を行うこと。
(3) 感染拡大防止策を担う保健所について、保健師や臨床検査技師等の人材不足が課題となっていることから、人材確保に係る支援措置を講じるとともに、体制強化に資する十分な財政措置を講じること。
(4) 最前線で奮闘している医療・介護従事者等への給付等、引き続き必要な支援を講じること。
(5) 国産ワクチン・治療薬等の一日も早い実用化に向け、研究開発を行う企業に対し、重点的な支援を行うこと。
また、新たなワクチン・治療薬等に関する正確な情報の迅速な発信に努めること。
4.地域経済に関する支援について
(1) 国は、セーフティネット貸付制度の拡充、経営相談や資金繰り支援などの各種支援策により、中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化と経営環境の整備を支援しているが、事業者の経営に対する影響は広範囲かつ甚大である。併せて、新型コロナウイルス感染防止を想定した「新しい生活様式」に対応するため、新たな事業活動に取り組む必要があり、経済の回復には多くの時間を要することから、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2) 金融機関に、資金繰りに苦慮している事業者に対する速やかかつ新たな資金提供または経営改善支援を働きかけるとともに、融資の返済猶予について柔軟な対応を講じるよう働きかけること。
また、自治体が独自に実施する事業者支援策に要する経費に対し、国からの財政支援を継続すること。
(3) 福島県産米は、原発事故による風評の影響もあり、主食用米の中で安価な業務用米での使用割合が高くなっているため、コロナ禍において他産地よりも一層安価で取引されるなど大きな影響を受けており、米穀周年供給・需要拡大支援事業では販売を先送りし市場に出回る米の量を一時的に抑制したに過ぎないことから、福島県の特殊事情に鑑み、コロナ禍で需要が減少したことによる過剰在庫分について、特別な隔離対策を講じること。
(4) 売上等に甚大な打撃を被った観光・運輸業、飲食業等を対象としたGoToキャンペーン事業において、自治体及び事業者等の現場の意見を踏まえ、イベント開催等に係る支援を行うこと。
また、緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置適用などにより、不要不急の外出自粛と飲食店等への営業時間短縮の要請が出されてきたことから、キャンセル等により宿泊、飲食、土産物店等の観光関連事業者や、コンベンション関係事業者は大きな損失を受けており、事業者に対して手厚い経営支援を行うとともに、GoToトラベル事業等感染状況を踏まえた適切な入込回復支援を速やかに再開し、ワーケーションや滞在型旅行の促進など新たな旅行スタイルが定着するまで継続すること。
また、安全・安心な観光客の受入環境を整備するとともに、デジタル技術を活用したMICEの開催に必要な施設環境整備に対する支援を行うこと。
5.雇用の維持について
(1) 雇用調整助成金の特例措置の延長など、業種を問わず、新型コロナウイルス感染症が収束するまで長期的かつ継続的に経済対策及び事業者への支援を行うこと。
(2) 雇用を維持するため、新卒者の内定取消しや非正規労働者の雇止めを行わないよう、企業に対し要請するとともに、国による相談支援体制を強化すること。
6.生活インフラ等に関する支援について
(1) 地方においては、低迷した地域経済を回復させるために、公共事業による景気の下支えが必要であることから、道路網の整備、国土強靱化など社会資本整備を強力に推進し、地域経済の活性化を図ること。
併せて、地域経済の回復を効果的に促進するため、使途を限定せず自治体の裁量で公共事業へ充当できる交付金制度を創設すること。
(2) 新型コロナウイルス感染症への対応を契機とする新しい生活様式に合わせ、行政手続きのオンライン化や行政サービス業務においてICT技術の導入を推進するとともに、建築物において接触を低減させる等、感染リスクを減らすための改修等に係る財政措置を講じること。
7.社会福祉に関する支援について
(1)新型コロナウイルス感染症に感染した国民健康保険被保険者に支給される傷病手当金について、支給対象をフリーランスや自営業者などにも拡大するとともに、対象期間の延長を早急に検討すること。
(2) 新型コロナウイルス感染症の影響によりひとり親世帯や減収により生活が困窮するなど厳しい状況にある人が増えていることから、その現状に応じた社会保障制度の拡充を図るなど、生活支援策を講じること。
8.新型コロナウイルス感染症の影響に伴う地方財源の確保について
(1) 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況になることが見込まれる中、地方創生への積極的な取組をはじめ、社会保障関係経費、防災・減災対策を含めた社会資本整備経費など、自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保すること。
(2) 新型コロナウイルス感染症に対して地方が機動的に施策を展開できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など自治体が必要とする財源を十分に確保するとともに、柔軟で弾力的な運用を図ること。
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