福島県市長会事務局

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原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望・要求(2023/11/17)

原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望及び要求を、復興庁、文部科学省、経済産業省及び東京電力に対し行いました。本会からは白石田村市長が参加しました。

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  ・緊急要望書(国宛)     ・緊急要求書(東京電力宛)

令和6年度県予算編成に対する要望(2023/9/12)
内堀知事に対し、令和6年度県予算編成に対する要望を行いました。
立谷会長から、特に、医療人材の確保について、避難地域市町村の医療を支えている浜通りの医療体制の確保・充実、高等学校における生徒の将来を見据えた適切な進路指導、台風13号による災害への対応について、復旧活動の迅速化、県と市が連携した線状降水帯対策、災害復旧経費等の財政支援などについて求めました。

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  ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

令和6年度県予算編成に対する要望(2023/9/5)
県議会各会派に対し、令和6年度県予算編成に対する要望を行いました。

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  ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

原子力損害賠償に係る「指針」の追加等に関する緊急要望(2022/12/2)

原子力損害に係る「指針」の追加等に関する緊急要望を、文部科学省、経済産業省、自由民主党及び公明党に対し行いました。本会からは副会長の室井会津若松市長が参加しました。

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 ・緊急要望書

第181回東北市長会総会における特別決議等に係る要望行動(2022/11/17)



 第181回東北市長会総会における特別決議7件及び緊急要望1件について、内閣府、復興庁、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省及び自由民主党に対し、要望行動を行いました。本会からは東北市長会副会長の三保二本松市長が参加しました。

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 ・要望書(特別決議)
 ・要望書(緊急要望)


令和5年度県予算編成に対する要望(2022/9/16)
内堀知事に対し、令和5年度県予算編成に対する要望を行いました。
立谷会長から、特に、新型コロナウイルス感染症について、ワクチン接種と感染確率の相関データを県レベルで取りまとめ県民への周知、原発事故への対応について、風評・偏見に結びつくことのないよう県を挙げての放射能教育、医療人材の確保、新たな市町村負担を伴う県の施設立案に係る調整などについて求めました。

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  ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望・要求活動(2022/9/13)

原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望及び要求を、復興庁、文部科学省、経済産業省及び東京電力に対し行いました。本会からは立谷会長が参加しました。


原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 こうした中、精神的損害や営業損害を始めとする賠償の枠組みが一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきたが、原子力発電所事故の影響は広範囲かつ長期に及んでおり、事故から11年半が経過した現在も、一部地域で避難指示が継続し、県内全域で根強い
風評被害が残るなどの状況に置かれている。
 特に、ALPS処理水の取扱いについては、国が昨年4月に基本方針を決定し、12月に行動計画が策定され、現在、これらに基づき情報発信等の取組が進められているが、農林水産業を始めとする県内外の関係団体や自治体等から、新たな風評が生じることへの懸念が示されている。
 また、住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、東京電力に対し、「指針」を上回る賠償を命じた複数の控訴審判決が、最高裁判所の決定により今年3月に確定したことを受け、原子力損害賠償紛争審査会において、「指針」の見直し等を含めた対応の要否が検討されている。
 国においては、ALPS処理水の処分について、行動計画に基づき政府一丸となって万全な対策を徹底的に講じるとともに、被害者の生活や事業の早期再建につなげるため、住民や地域、市町村に混乱を生じさせることがないよう、「指針」の見直しを含め適切に対応すべきである。
 さらに、損害がある限りは賠償を行うという考え方の下、被害者それぞれの立場に立った賠償が迅速かつ柔軟になされるよう、また、被害者が消滅時効によって請求の機会を失うことのないよう、東京電力への指導・監視を強化するとともに、被害者に寄り添ったきめ細かな支援策を確実に実施し、原子力政策を国策として推進してきた責任を最後まで果たすべきである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項についての確実な対応を強く要望する。

1 ALPS処理水の処分に係る風評被害への対応
(1) ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、行動計画に基づき政府一丸となって、正確な情報発信はもとより、厳しい環境に置かれている農林水産業や観光業、商工業を始めとする県内の幅広い業種に対する、万全の風評対策を徹底的に講じること。
(2) それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実になされるよう、また、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、業種別の具体的な賠償方針に基づき、それぞれの地域・業種の実情に応じた賠償基準の早期策定に向け、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応すること。
 この際、特に次の事項について確実に対応すること。
ア 損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続などを含む、客観的で分かりやすい賠償の方向性を事業者や関係団体等に説明した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
イ 原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、県内全域の様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業や観光業、商工業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
ウ 風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあり、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により対応するよう、関係団体等の意見を十分に反映した上で、事業者が納得できる明確な基準を構築させること。
(3) 原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、基本方針や行動計画による様々な対策の実施状況を継続的に確認し、具体的な調査等により当県の現状把握をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。

2 集団訴訟の判決確定を踏まえた適切な対応
(1) 住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、最高裁判所の決定により中間指針を超える損害額を認めた複数の判決が確定したことを踏まえ、原子力損害賠償紛争審査会は、これらの確定判決の内容やADR(原子力損害賠償紛争解決センター)での和解や打切りの事例等について、早急に具体的な調査・分析を進展させること。
(2) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって迅速、公平かつ適正に賠償がなされるべきとの考えの下、審査会において、当県の現状や判決の具体的な分析を踏まえた上で、混乱や不公平を生じさせないよう「指針」の見直しを含め適切に対応すること。

3 営業損害に係る賠償
(1) 農林水産業の営業損害に係る賠償
ア 農林水産業に係る営業損害については、県産品に対して国内外を問わず風評被害が発生し続けている状況を踏まえ、十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。また、農林漁業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、東京電力に対し、被害者の立場に立った賠償を円滑に行わせること。
イ 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行うこと。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応すること。
(2) 商工業等の営業損害に係る賠償
ア 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
イ 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
ウ 同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。

4 被害者や地域の実情を踏まえた賠償
(1) 被害の実態に見合った賠償
 帰還困難区域はもとより、避難指示解除区域、旧緊急時避難準備区域、旧特定避難勧奨地点等を含め、住民や事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう配慮しながら、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(2) 住居確保に係る損害の賠償
ア 被害者が生活再建の見通しを立てることができるよう、帰還、移住のいずれの場合においても、地域の状況や被害者一人一人の事情に応じた賠償が柔軟かつ迅速になされるようにすること。
イ 移住先における宅地の取得費用の算定に当たっては、地価の動向を踏まえ、柔軟に対応させること。
ウ 賠償の対象となる費用や賠償額の算定方法等について、全ての被害者に分かりやすく丁寧に説明させること。
(3) 避難生活の長期化を踏まえた柔軟な対応
 依然として多くの住民が避難を継続している被災地の実情をしっかりと受け止め、管理や使用が困難となった財物の価値の減少や喪失等について、被害者の生活や事業の再建を最優先にする観点から、被害の実態に見合った十分な賠償を確実に行わせること。
(4) 帰還や避難生活の長期化等に伴う賠償
 帰還や避難生活の長期化等により生じる様々な精神的な苦痛、生活費の増加費用、就労不能に伴う損害、家賃等の避難費用等について、地域の実情や個別具体的な事情等に応じた適切な対応を含め、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、避難指示解除から相当期間経過後も賠償の対象となる「特段の事情がある場合」については、避難指示解除後の現状をしっかりと把握した上で、個別具体的な事情に応じて柔軟に対応させること。
(5) 適時適切な「指針」の見直し
 被害者の生活や事業の再建が確実に果たされるよう、原子力損害賠償紛争審査会において、現地調査や関係市町村等からの意見聴取、原発事故に係る民事訴訟の判決内容の精査等により、被災地はもとより、当県の現状をしっかりと把握した上で、適時適切な「指針」の見直しを行うこと。

5 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 「中間指針第四次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応させること。
(2) 「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応させるなど、被害者優先の親身な賠償を行わせること。
(3) 東京電力「福島復興本社」の機能強化はもとより、当県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行わせるとともに、「第四次・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守させること。
(4) 賠償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行わせること。
(5) ALPS処理水の取扱いに関し、東京電力に対し示されている様々な不安感や不信感を真摯に受け止め、合意に至っていない従来の賠償請求にも誠実に対応するなど、これまで以上に被害者に寄り添った取組を徹底させること。

6 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介
(1) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れさせ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(2) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(3) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に「指針」として示すこと。

7 自主的避難等に係る賠償
 損害の範囲を幅広く捉え、県民それぞれの被害の実態に見合った賠償を行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。

8 地方公共団体に係る賠償
(1) 県内地方公共団体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(2) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分については、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
(3) 地方公共団体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(4) 地方公共団体の財物の賠償については、県や市町村等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の地方公共団体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

9 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導すること。
 また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。

10 賠償金の税制上の取扱い
 減収分等に対して支払われる賠償金の税制上の取扱いについては、被災地域全体における税制の在り方を踏まえながら、被害者救済の視点を十分に反映したものとすること。

11 生活再建と住民帰還に向けた政府による復興施策等の確実な実施国の全責任の下で、迅速な賠償はもとより、住宅確保や就労の支援、農林水産業及び商工業等の事業再開や転業等のための支援、教育や医療、福祉サービスの充実など、被害者に寄り添ったきめ細かな生活再建策、住民帰還に向けた支援策を確実に実施すること。


原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要求

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 こうした中、精神的損害や営業損害を始めとする賠償の枠組みが一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきたが、原子力発電所事故の影響は広範囲かつ長期に及んでおり、事故から11年半が経過した現在も、一部地域で避難指示が継続し、県内全域で根強い風評被害が残るなどの状況に置かれている。
 特に、ALPS処理水の取扱いについては、国が昨年4月に基本方針を決定し、12月に行動計画が策定され、現在、これらに基づき情報発信等の取組が進められているが、農林水産業を始めとする県内外の関係団体や自治体等から、新たな風評が生じることへの懸念が示されている。
 また、住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、東京電力に対し、「指針」を上回る賠償を命じた複数の控訴審判決が、最高裁判所の決定により今年3月に確定したことを受け、原子力損害賠償紛争審査会において、「指針」の見直し等を含めた対応の要否が検討されている。
 東京電力においては、こうした事実を踏まえ、改めて、被害者の様々な思いを真摯に受け止めるとともに、被害者が一日も早く生活や事業を再建することができるよう、また、被害者が消滅時効によって請求の機会を失うことのないよう、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、被害者それぞれの立場に立った的確、迅速な賠償を最後の一人まで貫徹し、原子力災害の原因者としての責任を全うすべきである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項についての確実な対応を強く要求する。

1 ALPS処理水の処分に係る風評被害への対応
(1) ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信や万全な風評対策はもとより、将来に向けた実効性のある事業者支援策等に、東京電力としても主体的に取り組むこと。
(2) それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、業種別の具体的な賠償方針に基づき、それぞれの地域・業種の実情に応じた賠償基準を早期に策定すること。また、被害の実態に見合った賠償を確実に行うこと。
 この際、特に次の事項について確実に対応すること。
ア 損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続などを含む、客観的で分かりやすい賠償の方向性を事業者や関係団体等に説明した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
イ 原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、県内全域の様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業や観光業、商工業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
ウ 風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあり、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により対応するよう、関係団体等の意見を十分に反映した上で、事業者が納得できる明確な基準を構築すること。

2 集団訴訟の判決確定を踏まえた適切な対応
 原子力災害の原因者としての自覚を持って、確定した判決の内容を精査し、同様の損害を受けている被害者に対しては、直接請求によって公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。また、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応すること。

3 営業損害に係る賠償
(1) 農林水産業の営業損害に係る賠償
ア 農林水産業に係る営業損害については、県産品に対して国内外を問わず風評被害が発生し続けている状況を踏まえ、十分な賠償を確実かつ迅速に行うこと。また、農林漁業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を円滑に行うこと。
イ 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行うこと。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応すること。
(2) 商工業等の営業損害に係る賠償
ア 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応すること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行うこと。
イ 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行うこと。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減すること。
ウ 同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行うこと。

4 被害者や地域の実情を踏まえた賠償
(1) 被害の実態に見合った賠償
 帰還困難区域はもとより、避難指示解除区域、旧緊急時避難準備区域、旧特定避難勧奨地点等を含め、住民や事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう配慮しながら、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行うこと。
(2) 住居確保に係る損害の賠償
ア 被害者が生活再建の見通しを立てることができるよう、帰還、移住のいずれの場合においても、地域の状況や被害者一人一人の事情に応じた賠償を柔軟かつ迅速に行うこと。
イ 移住先における宅地の取得費用の算定に当たっては、地価の動向を踏まえ、柔軟に対応すること。
ウ 賠償の対象となる費用や賠償額の算定方法等について、全ての被害者に分かりやすく丁寧に説明すること。
(3) 避難生活の長期化を踏まえた柔軟な対応
 依然として多くの住民が避難を継続している被災地の実情をしっかりと受け止め、管理や使用が困難となった財物の価値の減少や喪失等について、被害者の生活や事業の再建を最優先にする観点から、被害の実態に見合った十分な賠償を確実に行うこと。
(4) 帰還や避難生活の長期化等に伴う賠償
 帰還や避難生活の長期化等により生じる様々な精神的な苦痛、生活費の増加費用、就労不能に伴う損害、家賃等の避難費用等について、地域の実情や個別具体的な事情等に応じた適切な対応を含め、被害者の立場に立った賠償を行うこと。
 また、避難指示解除から相当期間経過後も賠償の対象となる「特段の事情がある場合」については、避難指示解除後の現状をしっかりと把握した上で、個別具体的な事情に応じて柔軟に対応すること。

5 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 「中間指針第四次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応すること。
(2) 「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識し、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応するなど、被害者優先の親身な賠償を行うこと。
(3) 東京電力「福島復興本社」の機能強化はもとより、当県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行うとともに、「第四次・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守すること。
(4) 賠償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行うこと。
(5) ALPS処理水の取扱いに関し、東京電力に対し示されている様々な不安感や不信感を真摯に受け止め、合意に至っていない従来の賠償請求にも誠実に対応するなど、これまで以上に被害者に寄り添った取組を徹底すること。

6 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介
(1) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行うこと。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応すること。
(2) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。

7 自主的避難等に係る賠償
 損害の範囲を幅広く捉え、県民それぞれの被害の実態に見合った賠償を行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応すること。

8 地方公共団体に係る賠償
(1) 県内地方公共団体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行うこと。
 また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(2) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分については、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行うこと。
(3) 地方公共団体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行うこと。
(4) 地方公共団体の財物の賠償については、県や市町村等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応すること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の地方公共団体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。

9 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底することはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うこと。

令和5年度県予算編成に対する要望(2022/9/9)
県議会各会派に対し、令和5年度県予算編成に対する要望を行いました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

  ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

全国市長会決議要請活動(2022/6/1)

第92回全国市長会議で決定の決議6件について、内閣官房、自由民主党及び公明党に対し、要請活動を行いました。本会からは全国市長会会長の立谷相馬市長が参加しました。

決議の詳細はこちらからダウンロードください。

1.新型コロナウイルス感染症対策に関する決議
2.ポストコロナを見据えた地域経済・雇用対策の充実に関する決議
3.東日本大震災からの復興及び福島第一原子力発電所事故からの復興等に関する決議
4.国土強靱化、防災・減災対策等の充実強化に関する決議
5.デジタル社会における新たな地方創生の実現に関する決議
6.都市税財源の充実強化・地方分権改革の推進に関する決議

第180回東北市長会総会における特別決議に係る要望行動(2022/5/31)



第180回東北市長会総会における特別決議6件について、内閣府、復興庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省及び自由民主党に対し、要望行動を行いました。本会からは東北市長会副会長の三保二本松市長が参加しました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

  ・要望書

避難等に伴う「精神的損害」に係る賠償に関する緊急要望・要求行動(2022/4/19)

避難等に伴う「精神的損害」に係る賠償に関する緊急要望及び要求を文部科学省、経済産業省及び東京電力に対し行いました。本会からは木幡福島市長が参加しました。


避難等に伴う「精神的損害」に係る賠償に関する緊急要望

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 前例のない原子力発電所事故により、福島県民に広範かつ長期に及ぶ損害が生じている中、これまでに、多くの被害者への迅速かつ公平な賠償を実現するため、原子力損害賠償紛争審査会が策定した「指針」等を基に賠償の枠組みが一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきた。
 こうした中、住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、東京電力に対し、「指針」を上回る賠償を命じた複数の控訴審判決が、最高裁判所の決定により今年3月に確定したところである。
 国においては、こうした事実を踏まえ、住民や地域、市町村に混乱を生じさせることがないよう、「指針」の検証を速やかに行った上で適切に対応することはもとより、損害がある限りは賠償を行うという考え方の下、被害者それぞれの立場に立った賠償が迅速かつ柔軟になされるよう、改めて、東京電力を指導するよう求めるものである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項について早急な対応を強く要望する。

1 原子力損害賠償紛争審査会における適切な対応
(1) 住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、最高裁判所の決定により複数の控訴審判決が確定したことを受けて、早急に原子力損害賠償紛争審査会を開催し、確定した判決の内容について、「指針」における基準や東京電力がこれまでに行ってきた賠償との比較等も含めた具体的な分析を行うこと。
(2) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって迅速、公平かつ適正に賠償がなされるべきとの考えの下、審査会において、当県の現状や判決の具体的な分析を踏まえた上で、混乱や不公平を生じさせないよう「指針」の見直しを含め適切に対応すること。

2 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 確定した判決の内容を踏まえ、東京電力に対し、改めて、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応するよう指導すること。
(2) 東京電力においても、原子力災害の原因者としての自覚を持って、確定した判決の内容を精査し、同様の損害を受けている被害者に対しては、直接請求によって公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 また、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応させること。

3 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導するなど、消滅時効について適切に対応すること。


避難等に伴う「精神的損害」に係る賠償に関する緊急要求

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 前例のない原子力発電所事故により、福島県民に広範かつ長期に及ぶ損害が生じている中、これまでに、多くの被害者への迅速かつ公平な賠償を実現するため、原子力損害賠償紛争審査会が策定した「指針」等を基に賠償の枠組みが一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきた。
 こうした中、住民の方々が慰謝料等を求めた集団訴訟において、東京電力に対し、「指針」を上回る賠償を命じた複数の控訴審判決が、最高裁判所の決定により今年3月に確定したところである。
 東京電力においては、こうした事実を踏まえ、改めて、被害者の様々な思いを真摯に受け止めるとともに、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、被害の実情に応じた的確、迅速な賠償を徹底し、原子力災害の原因者としての責任を全うすべきである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項について早急な対応を強く要求する。

1 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 確定した判決の内容を踏まえ、改めて、「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識し、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応すること。
(2) 原子力災害の原因者としての自覚を持って、確定した判決の内容を精査し、同様の損害を受けている被害者に対しては、直接請求によって公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。
 また、個別具体的な事情による損害についても、誠意を持って対応すること。

2 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底することはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「第四次・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うこと。

第179回東北市長会総会における特別決議に係る要望行動(2021/11/17)


第179回東北市長会総会における特別決議6件について、復興庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省及び自由民主党に対し、要望行動を行いました。本会からは東北市長会常任委員の三保二本松市長が参加しました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

   ・要望書

令和4年度県予算編成に対する要望(2021/9/6)
内堀知事に対し、令和4年度県予算編成に対する要望を行いました。
立谷会長から、特に、新型コロナウイルス感染症について、ワクチンの円滑な配分調整やワクチン接種に関して福島としてのエビデンスに基づいた積極的な広報を求めました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

   ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

令和4年度県予算編成に対する要望(2021/8/24)
県議会各会派に対し、令和4年度県予算編成に対する要望を行いました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

   ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望・要求活動(2021/6/21)

原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望及び要求を、復興庁、文部科学省、経済産業省及び東京電力に対し行いました。本会からは立谷会長が参加しました。


原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 こうした中、精神的損害や営業損害を始めとする賠償の枠組みが一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきたが、原子力発電所事故の影響は広範囲かつ長期に及んでおり、事故から10年が経過した現在も、一部地域で避難指示が継続し、県内全域で根強い風
評被害が残るなどの状況に置かれている。その上、本年4月に、政府によりALPS処理水の処分に関する基本方針が決定され、新たな風評が生じることへの懸念が高まっている。
 国においては、被害者の生活や事業の早期再建につなげるため、被災地の実情に応じた「指針」の適時適切な見直しはもとより、損害がある限りは賠償を行うという考え方の下、被害者それぞれの立場に立った賠償が迅速かつ柔軟になされるよう、また、被害者が消滅時効によって請求の機会を失うことのないよう、東京電力への指導・監視を強化するとともに、被害者に寄り添ったきめ細かな支援策を確実に実施し、原子力政策を国策として推進してきた責任を最後まで果たすべきである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項についての確実な対応を強く要望する。

1 ALPS処理水の処分に係る風評被害への対応
(1) ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信はもとより、万全な風評対策を早急に示した上で、そうした対策や将来に向けた実効性のある事業者支援策等を確実に講じること。
(2) それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償が確実になされるよう、東京電力を指導することはもとより、国が前面に立って対応し、事業者が安心して事業や生業に取り組むことができるよう、早急に具体的な賠償の枠組みを示すこと。この際、特に次の事項について、確実に対応すること。
ア 損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続などを含む、客観的で分かりやすい賠償の枠組みを事業者や関係団体等に早急に示した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
イ 原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、県内全域の様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業、観光業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
ウ 風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあることから、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により迅速に対応するとともに、その具体的な手法を明示すること。
(3) 原子力損害賠償紛争審査会を含め、国においては、基本方針の決定による様々な状況変化を捉え、具体的な調査等により当県の現状把握をこれまで以上にしっかりと行うなど、必要な対応を適時適切に行うこと。

2 営業損害に係る賠償
(1) 農林水産業の営業損害に係る賠償
ア 農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。また、農林漁業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
イ 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(2) 商工業等の営業損害に係る賠償
ア 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
イ 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
ウ 同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。

3 被害者や地域の実情を踏まえた賠償
(1) 被害の実態に見合った賠償
 帰還困難区域はもとより、避難指示解除区域、旧緊急時避難準備区域、旧特定避難勧奨地点等を含め、住民や事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう配慮しながら、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(2) 住居確保に係る損害の賠償
ア 被害者が生活再建の見通しを立てることができるよう、帰還、移住のいずれの場合においても、地域の状況や被害者一人一人の事情に応じた賠償が柔軟かつ迅速になされるようにすること。
イ 移住先における宅地の取得費用の算定に当たっては、地価の動向を踏まえ、柔軟に対応させること。
ウ 賠償の対象となる費用や賠償額の算定方法等について、全ての被害者に分かりやすく丁寧に説明させること。
(3) 避難生活の長期化を踏まえた柔軟な対応
 依然として多くの住民が避難を継続している被災地の実情をしっかりと受け止め、管理や使用が困難となった財物の価値の減少や喪失等について、被害者の生活や事業の再建を最優先にする観点から、被害の実態に見合った十分な賠償を確実に行わせること。
(4) 帰還や避難生活の長期化等に伴う賠償
 帰還や避難生活の長期化等により生じる様々な精神的な苦痛、生活費の増加費用、就労不能に伴う損害、家賃等の避難費用等について、地域の実情や個別具体的な事情等に応じた適切な対応を含め、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、避難指示解除から相当期間経過後も賠償の対象となる「特段の事情がある場合」については、避難指示解除後の現状をしっかりと把握した上で、個別具体的な事情に応じて柔軟に対応させること。
(5) 適時適切な「指針」の見直し
 被害者の生活や事業の再建が確実に果たされるよう、原子力損害賠償紛争審査会において、現地調査や関係市町村等からの意見聴取、原発事故に係る民事訴訟の判決内容の精査等により、被災地はもとより、当県の現状をしっかりと把握した上で、適時適切な「指針」の見直しを行うこと。

4 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 「中間指針第四次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応させること。
(2) 「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応させるなど、被害者優先の親身な賠償を行わせること。
(3) 東京電力「福島復興本社」の機能強化はもとより、当県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行うとともに、「新々・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守させること。
(4) 賠償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行わせること。
(5) ALPS処理水の取扱いに関し、東京電力に対し示されている様々な不安感や不信感を真摯に受け止め、合意に至っていない従来の賠償請求にも誠実に対応するなど、これまで以上に被害者に寄り添った取組を徹底させること。

5 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介
(1) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(2) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(3) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に「指針」として示すこと。

6 自主的避難等に係る賠償
 損害の範囲を幅広く捉え、県民それぞれの被害の実態に見合った賠償を行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。

7 地方公共団体に係る賠償
(1) 県内地方公共団体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(2) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分については、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
(3) 地方公共団体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(4) 地方公共団体の財物の賠償については、県や市町村等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の地方公共団体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

8 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「新々・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導すること。
 また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。

9 賠償金の税制上の取扱い
 減収分等に対して支払われる賠償金の税制上の取扱いについては、被災地域全体における税制の在り方を踏まえながら、被害者救済の視点を十分に反映したものとすること。

10 生活再建と住民帰還に向けた政府による復興施策等の確実な実施
 国の全責任の下で、迅速な賠償はもとより、住宅確保や就労の支援、農林水産業及び商工業等の事業再開や転業等のための支援、教育や医療、福祉サービスの充実など、被害者に寄り添ったきめ細かな生活再建策、住民帰還に向けた支援策を確実に実施すること。


原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要求

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 こうした中、精神的損害や営業損害を始めとする賠償の枠組みが一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきたが、原子力発電所事故の影響は広範囲かつ長期に及んでおり、事故から10年が経過した現在も、一部地域で避難指示が継続し、県内全域で根強い風評被害が残るなどの状況に置かれている。その上、本年4月に、政府によりALPS処理水の処分に関する基本方針が決定され、新たな風評が生じることへの懸念が高まっている。
 東京電力においては、被害者が一日も早く生活や事業を再建することができるよう、また、被害者が消滅時効によって請求の機会を失うことのないよう、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、被害者それぞれの立場に立った的確、迅速な賠償を最後の一人まで貫徹し、原子力災害の原因者としての責任を全うすべきである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項についての確実な対応を強く要求する。

1 ALPS処理水の処分に係る風評被害への対応
(1) ALPS処理水の取扱いについて、新たな風評を発生させないという強い決意の下、正確な情報発信や万全な風評対策はもとより、将来に向けた実効性のある事業者支援策等に、東京電力としても主体的に取り組むこと。
(2) それでもなお、風評被害が発生する場合には、「損害がある限り最後まで賠償する」との基本的な考え方の下、被害の実態に見合った賠償を確実に行うこと。この際、特に次の事項について確実に対応し、早急に具体的な賠償の枠組みを示すこと。
ア 損害の確認方法や算定方法、具体的な請求手続などを含む、客観的で分かりやすい賠償の枠組みを事業者や関係団体等に早急に示した上で、意見を丁寧に聞き取り、理解が得られるようなものにすること。
イ 原発事故後には、直接的な損害やそうしたことに関連した間接的な被害が、県内全域の様々な分野で発生した事実を踏まえ、農林水産業、観光業のみならず、あらゆる業種において、損害の範囲を幅広く捉えた対応を行うこと。
ウ 風評被害は、発生の証明が容易ではない上、新型コロナウイルス感染症等の影響もあることから、事業者が自ら新たな風評被害による損害を立証することは非常に困難な状況にあることを認識し、賠償請求に係る損害の立証については、事業者の負担とならない簡便かつ柔軟な方法により迅速に対応するとともに、その具体的な手法を明示すること。

2 営業損害に係る賠償
(1) 農林水産業の営業損害に係る賠償
ア 農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償を確実に継続すること。また、農林漁業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行うこと。
イ 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行うこと。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応すること。
(2) 商工業等の営業損害に係る賠償
ア 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応すること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行うこと。
イ 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行うこと。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減すること。
ウ 同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行うこと。

3 被害者や地域の実情を踏まえた賠償
(1) 被害の実態に見合った賠償
 帰還困難区域はもとより、避難指示解除区域、旧緊急時避難準備区域、旧特定避難勧奨地点等を含め、住民や事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう配慮しながら、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行うこと。
(2) 住居確保に係る損害の賠償
ア 被害者が生活再建の見通しを立てることができるよう、帰還、移住のいずれの場合においても、地域の状況や被害者一人一人の事情に応じた賠償を柔軟かつ迅速に行うこと。
イ 移住先における宅地の取得費用の算定に当たっては、地価の動向を踏まえ、柔軟に対応すること。
ウ 賠償の対象となる費用や賠償額の算定方法等について、全ての被害者に分かりやすく丁寧に説明すること。
(3) 避難生活の長期化を踏まえた柔軟な対応
 依然として多くの住民が避難を継続している被災地の実情をしっかりと受け止め、管理や使用が困難となった財物の価値の減少や喪失等について、被害者の生活や事業の再建を最優先にする観点から、被害の実態に見合った十分な賠償を確実に行うこと。
(4) 帰還や避難生活の長期化等に伴う賠償
 帰還や避難生活の長期化等により生じる様々な精神的な苦痛、生活費の増加費用、就労不能に伴う損害、家賃等の避難費用等について、地域の実情や個別具体的な事情等に応じた適切な対応を含め、被害者の立場に立った賠償を行うこと。
 また、避難指示解除から相当期間経過後も賠償の対象となる「特段の事情がある場合」については、避難指示解除後の現状をしっかりと把握した上で、個別具体的な事情に応じて柔軟に対応すること。

4 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 「中間指針第四次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応すること。
(2) 「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識し、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応するなど、被害者優先の親身な賠償を行うこと。
(3) 東京電力「福島復興本社」の機能強化はもとより、当県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行うとともに、「新々・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守すること。
(4) 賠償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行うこと。
(5) ALPS処理水の取扱いに関し、東京電力に対し示されている様々な不安感や不信感を真摯に受け止め、合意に至っていない従来の賠償請求にも誠実に対応するなど、これまで以上に被害者に寄り添った取組を徹底すること。

5 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介
(1) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行うこと。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応すること。
(2) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。

6 自主的避難等に係る賠償
 損害の範囲を幅広く捉え、県民それぞれの被害の実態に見合った賠償を行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応すること。

7 地方公共団体に係る賠償
(1) 県内地方公共団体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行うこと。
 また、ALPS処理水の取扱いに関し、新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に係る費用についても、賠償の対象とすること。
(2) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分については、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行うこと。
(3) 地方公共団体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行うこと。
(4) 地方公共団体の財物の賠償については、県や市町村等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応すること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の地方公共団体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。

8 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底することはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、「新々・総合特別事業計画」に明記したとおり将来にわたり消滅時効を援用せず、損害がある限り最後まで賠償を行うこと。

原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望・要求活動(2020/12/1)


原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望及び要求を、復興庁、文部科学省、経済産業省及び東京電力に対し行いました。


原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要望

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 こうした中、精神的損害や営業損害を始めとする賠償の枠組が一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきたが、原子力発電所事故の影響は広範囲かつ長期に及んでおり、事故から10年が経過しようとしている現在も、一部地域で避難指示が継続し、県内全域で根強い風評被害が残るなどの状況に置かれている。
 国においては、被害者の生活や事業の早期再建につなげるため、被災地の実情に応じた「指針」の適時適切な見直しはもとより、損害がある限りは賠償を行うという考え方の下、被害者それぞれの立場に立った賠償が迅速かつ柔軟になされるよう、また、被害者が消滅時効によって請求の機会を失うことのないよう、東京電力への指導・監視を強化するとともに、被害者に寄り添ったきめ細かな支援策を確実に実施し、原子力政策を国策として推進してきた責任を最後まで果たすべきである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項についての確実な対応を強く要望する。

1 営業損害に係る賠償
(1) 農林水産業の営業損害に係る賠償
ア 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
イ 避難指示区域外における農林業の風評賠償について、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
ウ 農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
(2) 商工業等の営業損害に係る賠償
ア 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行わせること。
イ 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
ウ 同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。

2 被害者や地域の実情を踏まえた賠償
(1) 被害の実態に見合った賠償
 帰還困難区域はもとより、避難指示解除区域、旧緊急時避難準備区域、旧特定避難勧奨地点等を含め、住民や事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう配慮しながら、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(2) 住居確保に係る損害の賠償
ア 被害者が生活再建の見通しを立てることができるよう、帰還、移住のいずれの場合においても、地域の状況や被害者一人一人の事情に応じた賠償が柔軟かつ迅速になされるようにすること。
イ 移住先における宅地の取得費用の算定に当たっては、地価の動向を踏まえ、柔軟に対応させること。
ウ 賠償の対象となる費用や賠償額の算定方法等について、全ての被害者に分かりやすく丁寧に説明させること。
(3) 避難生活の長期化を踏まえた柔軟な対応
 依然として多くの住民が避難を継続している被災地の実情をしっかりと受け止め、管理や使用が困難となった財物の価値の減少や喪失等について、被害者の生活や事業の再建を最優先にする観点から、被害の実態に見合った十分な賠償を確実に行わせること。
(4) 帰還や避難生活の長期化等に伴う賠償
 帰還や避難生活の長期化等により生じる様々な精神的な苦痛、生活費の増加費用、就労不能に伴う損害、家賃等の避難費用等について、地域の実情や個別具体的な事情等に応じた適切な対応を含め、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
 また、避難指示解除から相当期間経過後も賠償の対象となる「特段の事情がある場合」については、避難指示解除後の現状をしっかりと把握した上で、個別具体的な事情に応じて柔軟に対応させること。
(5) 適時適切な「指針」の見直し
 被害者の生活や事業の再建が確実に果たされるよう、原子力損害賠償紛争審査会において、現地調査や関係市町村等からの意見聴取、原発事故に係る民事訴訟の判決内容の精査等により、被災地はもとより、本県の現状をしっかりと把握した上で、適時適切な「指針」の見直しを行うこと。

3 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 「中間指針第四次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応させること。
(2) 「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識させ、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応させるなど、被害者優先の親身な賠償を行わせること。
(3) 東京電力「福島復興本社」の機能強化はもとより、本県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行うとともに、「新々・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守させること。
(4) 賠償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行わせること。

4 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介
(1) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(2) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(3) 多くの被害者に共通する損害については、類型化による「指針」への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に「指針」として示すこと。

5 自主的避難等に係る賠償
 損害の範囲を幅広く捉え、県民それぞれの被害の実態に見合った賠償を行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。

6 地方公共団体に係る賠償
(1) 県内地方公共団体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(2) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分については、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。
(3) 地方公共団体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行わせること。
(4) 地方公共団体の財物の賠償については、県や市町村等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の地方公共団体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

7 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、東京電力に対し、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底させることはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、将来にわたり消滅時効を援用しないことを総合特別事業計画に明記するなどの方法により具体的かつ明確に示し、損害がある限り最後まで賠償を行うよう指導すること。
 また、国においても、原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介手続等の一層の周知や、更なる法制度の見直しも含め必要な対応を行うこと。

8 賠償金の税制上の取扱い
 減収分等に対して支払われる賠償金の税制上の取扱いについては、被災地域全体における税制の在り方を踏まえながら、被害者救済の視点を十分に反映したものとすること。

9 生活再建と住民帰還に向けた政府による復興施策等の確実な実施
 国の全責任の下で、迅速な賠償はもとより、住宅確保や就労の支援、農林水産業及び商工業等の事業再開や転業等のための支援、教育や医療、福祉サービスの充実など、被害者に寄り添ったきめ細かな生活再建策、住民帰還に向けた支援策を確実に実施すること。


原子力損害賠償の完全実施に関する緊急要求

 福島の復興・再生には原子力発電所事故による損害が最後まで確実に賠償されることが不可欠であることから、これまで幾度にもわたり、国及び東京電力に対し、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償が確実かつ迅速になされるよう強く求めてきたところである。
 こうした中、精神的損害や営業損害を始めとする賠償の枠組が一つ一つ構築され、賠償請求手続が進められてきたが、原子力発電所事故の影響は広範囲かつ長期に及んでおり、事故から10年が経過しようとしている現在も、一部地域で避難指示が継続し、県内全域で根強い風評被害が残るなどの状況に置かれている。
 東京電力においては、被害者が一日も早く生活や事業を再建することができるよう、また、被害者が消滅時効によって請求の機会を失うことのないよう、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、被害者それぞれの立場に立った的確、迅速な賠償を最後の一人まで貫徹し、原子力災害の原因者としての責任を全うすべきである。
 よって、福島県民の総意として、原子力損害賠償の完全実施と、次の事項についての確実な対応を強く要求する。

1 営業損害に係る賠償
(1) 農林水産業の営業損害に係る賠償
ア 避難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行うこと。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応すること。
イ 避難指示区域外における農林業の風評賠償について、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行うこと。
ウ 農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償を確実に継続すること。
(2) 商工業等の営業損害に係る賠償
ア 商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応すること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化を踏まえた的確な賠償を行うこと。
イ 商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについても、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を確実かつ迅速に行うこと。
 また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減すること。
ウ 同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行うこと。

2 被害者や地域の実情を踏まえた賠償
(1) 被害の実態に見合った賠償
帰還困難区域はもとより、避難指示解除区域、旧緊急時避難準備区域、旧特定避難勧奨地点等を含め、住民や事業者の置かれている状況を十分に踏まえ、混乱や不公平を生じさせないよう配慮しながら、被害の実態に見合った賠償を確実かつ迅速に行うこと。
(2) 住居確保に係る損害の賠償
ア 被害者が生活再建の見通しを立てることができるよう、帰還、移住のいずれの場合においても、地域の状況や被害者一人一人の事情に応じた賠償を柔軟かつ迅速に行うこと。
イ 移住先における宅地の取得費用の算定に当たっては、地価の動向を踏まえ、柔軟に対応すること。
ウ 賠償の対象となる費用や賠償額の算定方法等について、全ての被害者に分かりやすく丁寧に説明すること。
(3) 避難生活の長期化を踏まえた柔軟な対応
 依然として多くの住民が避難を継続している被災地の実情をしっかりと受け止め、管理や使用が困難となった財物の価値の減少や喪失等について、被害者の生活や事業の再建を最優先にする観点から、被害の実態に見合った十分な賠償を確実に行うこと。
(4) 帰還や避難生活の長期化等に伴う賠償
 帰還や避難生活の長期化等により生じる様々な精神的な苦痛、生活費の増加費用、就労不能に伴う損害、家賃等の避難費用等について、地域の実情や個別具体的な事情等に応じた適切な対応を含め、被害者の立場に立った賠償を行うこと。
 また、避難指示解除から相当期間経過後も賠償の対象となる「特段の事情がある場合」については、避難指示解除後の現状をしっかりと把握した上で、個別具体的な事情に応じて柔軟に対応すること。

3 被害者の視点に立った親身・迅速な賠償
(1) 「中間指針第四次追補」の基本的な考え方に明記されたとおり、被害者からの賠償請求を真摯に受け止め、被害者の心情にも配慮し誠実に対応すること。
(2) 「指針」は賠償範囲の最小限の基準であることを深く認識し、被害者の視点に立った柔軟な解釈の下で、賠償請求へ迅速に対応するなど、被害者優先の親身な賠償を行うこと。
(3) 東京電力「福島復興本社」の機能強化はもとより、本県の実情や被害者の声をしっかりと把握した上で、誠意を持って迅速に賠償を行うとともに、「新々・総合特別事業計画」に掲げられた「最後の一人まで賠償貫徹」、「迅速かつきめ細やかな賠償の徹底」及び「和解仲介案の尊重」の「3つの誓い」を厳守すること。
(4) 賠償請求手続については、被害者の負担軽減を進めるとともに、全ての被害者が確実に賠償請求をすることができるよう、必要な相談体制をしっかりと確保し、賠償請求未了者への手続の一層の周知や、個別訪問等による手続の支援、相談窓口等での誠意ある丁寧な対応を徹底して行うこと。
4 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解の仲介
(1) 原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行うこと。
 また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応すること。
(2) 原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。

5 自主的避難等に係る賠償
 損害の範囲を幅広く捉え、県民それぞれの被害の実態に見合った賠償を行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応すること。

6 地方公共団体に係る賠償
(1) 県内地方公共団体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行うこと。
(2) 原子力発電所事故によって生じた税収の減少分については、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行うこと。
(3) 地方公共団体が民間事業者と同等の立場で行う事業については、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った十分な賠償を行うこと。
(4) 地方公共団体の財物の賠償については、県や市町村等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産等の取扱いを含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応すること。
(5) 原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の地方公共団体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行うこと。

7 消滅時効への対応
 全ての被害者が賠償請求の機会を失うことのないよう、賠償請求未了者の掘り起こしや周知活動を徹底することはもとより、「指針」に明記されていない損害への対応を含め、将来にわたり消滅時効を援用しないことを総合特別事業計画に明記するなどの方法により具体的かつ明確に示し、損害がある限り最後まで賠償を行うこと。

第177回東北市長会総会における特別決議に係る要望行動(2020/11/11)




第177回東北市長会総会における特別決議7件について、内閣府、復興庁、総務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省及び自由民主党に対し、要望行動を行いました。本会からは東北市長会常任委員の三保二本松市長が参加いたしました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

  ・要望書

令和3年度県予算編成に対する要望(2020/9/7)

内堀知事に対し、令和3年度県予算編成に対する要望を行いました。
立谷会長から、特に、インフルエンザ流行期における新型コロナウイルス感染症対策として発熱外来への抗原検査キットの供給、感染患者や医療関係者への「励ます文化」の推進と県民の感染症への怯えの解消、外国人材受入れに際しての事業者負担の軽減、及び、県外医師を確保し派遣する災害医療支援講座の継続について求めました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

   ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

令和3年度県予算編成に対する要望(2020/9/3)

県議会各会派に対し、令和3年度県予算編成に対する要望を行いました。

要望の詳細はこちらからダウンロードください。

   ・要望書(word版)    ・要望書(PDF版)

第176回東北市長会総会における特別決議に係る要望行動(2020/5/29、6/2)
第176回東北市長会総会における特別決議7件について、内閣府、復興庁、総務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省及び自由民主党に対し、要望行動を行いました。

東日本大震災からの復興に関する決議

 東日本大震災から9年が経過し、被災した自治体が懸命の取組を続ける中、それぞれの自治体は、復旧・復興に応じた種々の課題に引き続き直面している。
 国においては、令和元年12月に「『復興・創生期間』後における復興の基本方針」を閣議決定したところであるが、被災自治体において地域の実情に応じた被災者の生活再建や地域の復興に向けた取組を継続していくためには、復興財源の確保はもとより、復興事業に係る専門的知識を有する人材の確保、予算制度の拡充・強化、柔軟な運用等の取組が必要である。
 よって、国は、被災自治体が東日本大震災からの復旧・復興を主体的かつ早期に実現できるよう、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 復旧・復興事業の実態に即した財政支援等について
(1) 震災からの復興を成し遂げるために必要な事業について、今後とも復興の進捗に応じ、財源を確実に措置すること。また、復興事業の加速化を進めているところであるが、今後はハード事業に加え、コミュニティの再生など新たなまちづくりの諸課題への対応が重要となることから、被災規模や地域の実情に応じた復興まちづくりを実現するため、復興交付金の柔軟な運用を図るとともに、災害復旧事業並びに震災復興事業に係る震災復興特別交付税等の地方財政措置について、復興事業が完了するまでの間、継続的な措置を講ずること。
(2) 復興交付金について、防集移転元地の具体的利用計画がない段階においても利活用に際し必ず必要となる最小限の基盤整備にも活用できるよう柔軟に対応すること。
(3) 復興・創生期間後における財政支援については、「地震・津波被災地域」「原子力災害被災地域」を区分して、支援期間や対象地域を一律に設定するのではなく、地域の実情を勘案し、被災地が必要と考える取組を幅広に対象とするような新たな交付金制度の構築を図ること。
(4) 復興事業の実施にあたり、震災記憶の風化や各地での災害の影響から、各支援自治体では人員派遣が困難となる状況が見受けられることから、復興を遂げるまでの間、被災市町村への職員派遣を主体的に進めるとともに、財政支援の継続など必要な措置を講じること。
(5) 災害援護資金制度の申請期限は令和3年3月31日となっているが、借用事由の多くは、復興公営住宅入居時の家財購入や住宅建築に要する費用など、自力再建に関するものであり、今後も本制度を必要としているものであることから、災害援護支援金制度の申請期限を延長すること。
(6) 災害援護資金の貸付は、所得が一定に満たない世帯の世帯主を対象としている制度であることから、震災から期間が経過した現在においても依然として生活困窮の状況から抜け出せず約定による償還が困難な者が存在している状況である。よって、国は、自治体が災害援護資金の支払猶予を適用し、借受人の償還期間を延長した場合には、自治体の国に対する償還期間を延長すること。
 また、災害弔慰金の支給等に関する法律等に規定されている償還免除について、自治体と協議の上、具体的な基準を明示すること。併せて、破産手続きが開始されたものに対する償還免除など一部免除要件が緩和されたものの、強制執行を行い回収できない場合においても免除の対象にならないなど、実態を踏まえれば不十分であることから、地方自治法による徴収停止や、地方税法による滞納処分の執行停止に合致するような、回収困難な案件については償還免除にできるよう免除要件を改めること。
 併せて、債権回収に向けた自治体個々の取組に係る経費について助成を行うとともに、国において債権回収機構等を設置し、専門的かつ専属的に債権回収を実施すること。
(7) 復興特区法に基づく地方税の課税免除等を行った自治体に対する減収補てん措置について、復興・創生期間終了後の投資に係る地方税減収分についても、これまでと同様の措置とすること。
 また、令和2年度末までとされている復興特区における税制上の特例措置の期限を、令和3年度以降についても延長すること。
 なお、復興・創生期間後の基本方針で、復興特区税制や規制の特例、復興整備計画、金融の特例については対象地域を重点化することとされたが、重点化にあたっては、それぞれの地域の状況の把握に努め、延長が必要な地域は確実に指定すること。

2 被災者の生活再建支援等について
(1) 東日本大震災特別家賃低減事業について、建物管理開始後6年目以降は災害公営住宅の入居者の家賃の負担割合が段階的に増え、国の補助額は低減することとなっているが、収入の増加の見込めない高齢者世帯など、入居者の状況に応じ自治体独自に減免を行った場合において財政措置を講じるとともに、事業期間を延長し、自治体が11年目以降も減免を行う場合には同様の措置を講じること。また、復興・創生期間後において、災害公営住宅家賃低廉化事業及び東日本大震災特別家賃低減事業について、少なくとも現状の制度を堅持し、継続すること。
(2) 災害公営住宅の家賃軽減に活用してきた「災害公営住宅家賃低廉化事業」及び「東日本大震災特別家賃低減事業」は、復興・創生期間後において支援水準の見直しを行うとしているが、被災者および被災地支援のため、今後においても補助額や補助期間を減じることなく、事業を着実に継続すること。
(3) 地域医療機関への医師派遣や被災地域での健康調査の実施等、これまで東北メディカル・メガバンク機構が被災地域で果たした役割は非常に大きい。各被災地においては、今後も継続した医療支援が必要なことから、令和3年度以降も被災者の健康面での復興に支障をきたさないよう特段の措置を講じること。
(4) 震災以降の心のケアが必要な児童生徒に対して、よりきめ細かな教育を実現し、豊かな教育環境を整備するため、小中学校全学年の35人以下学級早期実現など弾力的な学級編制が可能となるよう、加配教員の継続した配置及び教育復興加配終了後の特段の措置を図ること。
(5) 震災によるPTSDを抱える児童・生徒への対応等について、長期的な支援が必要不可欠であることから養護教諭や就学援助の増加等に対応する事務職員も含めた加配の充実を図ること。
(6) 被災児童生徒就学支援等事業について、令和2年度以降も全額国費による支援を継続すること。
(7) 被災者の孤立防止のための地域での見守りやコミュニティの活性化、心のケアを含む健康支援等の各種支援施策を被災自治体や被災者支援団体等が継続的、安定的に実施できるよう、被災者支援総合交付金の交付期間の延長またはそれに変わる補助金等の新設等、必要かつ十分な財政支援を長期的に行うこと。
(8) 東日本大震災等の影響による医療費の増加は、今後も続くことが想定されることから、医療費増加に伴う負担増分として財政支援を継続すること。
(9) 津波により広域かつ甚大な被害を受けた沿岸地域において、全壊家屋の再建等に対し最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度があるものの、被災者の中には高齢者や生活困窮者など自宅再建が困難な方もいることや半壊家屋については対象外となっていることがあり、住宅の再建状況が依然として低い状況にある。このため、被災者が自らの望む生活再建を果たせるよう、被災者の生活状況や被災地の実態等を踏まえ、被災者生活再建支援制度の総合的な見直しを図ること。

3 地域産業の復興・再生及び公共施設等の復旧支援について
(1) 復興のリーディングプロジェクトである「復興道路、復興支援道路及び復興関連道路については、財源を十分確保し、早期に全線開通すること。
(2) 中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業について、今後も制度を継続するとともに、従前地以外の場所に仮復旧を行うなど、段階的な復旧を行った事業者には、その補助対象枠を拡大するなど柔軟な制度運用を行うこと。
(3) 避難者の生活支援など被災地域の確実な復興再生を図るためには、更なる幹線道路網の充実強化や地域の復興に寄与する道路整備を促進する必要があることから、重要物流道路について、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保できるよう、指定された道路の機能強化や整備に重点支援を行うとともに、災害時の拠点施設等とを連結する県道や市道などの基幹道路や、地域の骨格となる事業中・計画中の路線を確実に指定すること。
(4) 防災集団移転元地の活用について、多額の財源調達が必要となり復興・創生期間終了後の課題であることから、防災集団移転元地の土地利用を推進できる新たな補助制度を創設するなど、令和3年度以降の財政措置を検討すること。
(5) 被災地の自立に向けて、先進技術の導入や地域資源の活用等により産業・生業や教育・研究を振興し、交流人口・関係人口や移住者の拡大を図り、魅力あふれる地域を創造するため、被災地への新産業の集積や教育・研究機関の誘致について、特段の措置を講じること。
(6) 復興を加速化させていくため、東日本旅客鉄道株式会社と連携し、鉄道の利便性の向上を図ること。また、線形改良や道路との立体交差等による高速化などの基盤強化を図ること。
(7) 港湾は、景気浮揚、雇用確保、環境問題への対応など、住民生活や産業振興を支える大変重要な社会基盤であり、安全性の確保を図るとともに、経済基盤となる港湾の利用拡大が必要不可欠であることから、湾口防波堤の確実な予算確保と着実な整備を図るとともに、真に必要なふ頭用地の造成や岸壁整備など、港湾機能の強化を図ること。
(8) 震災以後、大雨時に、地盤沈下や地下水位の変動などに起因していると考えられる公共下水道(汚水)マンホールからの溢水が見受けられ、公衆衛生や市民の健康への影響が懸念されていることから、早急な対応、解決のため必要かつ十分な財政支援を講じること。
(9) 東日本大震災により沿岸部においては地盤沈下が発生し、広範囲にわたって浸水したことから、住民の生活基盤再建のため、雨水排水のためのポンプ場をはじめ震災からの復旧に不可欠な施設を整備したところであるが、これら施設の維持管理費について、基準財政需要額に算入し交付税措置を講じること。また、これら施設は恒久的に活用するものであり、将来老朽化に伴う更新費用も必要となるため、改築・更新に対する財政支援についても、今後検討すること。
(10) 農業集落排水事業の廃止に係る農業集落排水施設の撤去及び充填処理等を国費で対応するとともに、廃止に伴い滅失を行う施設について残存する債務の償還を免除する制度の創設を検討すること。
(11) 東日本大震災の被災地域では、復興事業で整備した多くの防災基盤の維持管理費が大きな負担となっている。特にも、今次災害において多くの消防団員らが犠牲となった経験から県内統一で遠隔自動化した水門や陸閘及び適切な避難行動を誘導するための避難路の維持管理費について、震災後の新たな財政負担となり、被災自治体の財政を圧迫している。
 よって、国は、こうした被災自治体の財政事情を考慮し、水門や陸閘及び避難路の維持管理費に関する交付税措置などの財政支援措置など対応策を講じること。
(12) 再生可能エネルギーの導入推進は、被災自治体の多くが復興計画における重点施策に掲げ取り組んでいることから、より一層の拡大に向け国の主導により送電網の積極的な増強策を進めるとともに、再生可能エネルギー導入及びエネルギーの地産地消などに取り組む自治体への支援策の一層の充実を図ること。また、再生可能エネルギーの連携可能量を拡大するため、「日本版コネクト&マネージ」を早急に推進すること。

4 政府主催の東日本大震災追悼式の継続について
 これまで、東日本大震災追悼式は、未曽有の大災害による多くの犠牲者を国として追悼し、また、被災者に寄り添う気持ちを将来にわたって持ち続ける意思を表す役割を果たしてきた。
 このたび、国は、政府主催の追悼式について、発災から10年となる2021年までとする方針を示したが、被災者の心の復興には時間が必要であり、10年を区切りとすることは被災者の心情に合わないと考える。
 よって、復興創生期間後においても、被災地域に整備される国営の追悼・祈念施設等を活用して、引き続き政府主催の追悼式を開催すること。


東京電力福島第一原子力発電所事故への対応に関する決議

 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響により、令和2年3月現在で、福島県民だけでも3万8千人余もの方々が避難を余儀なくされている。
 東京電力福島第一原子力発電所事故は、放射線被ばくによる健康被害への不安、風評による観光客の激減など様々な影響を及ぼしている。
 よって、国は、原発事故の早期収束へ向け、自らの責任のもと着実な取組を強力に推進するとともに、正確な情報の迅速な公表に努め、次の事項について、特段の措置を講じるよう要望する。



1 復興・創生期間後の復興の体制について
 「復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針」(令和元年12月20日閣議決定)において、復興庁設置期間の10年間延長、復興大臣の設置、現行の総合調整機能を維持すること等が盛り込まれたが、復興・創生期間後においても、切れ目なく安心感を持って復興を進めることができるよう、十分な体制及び復興の進度に応じた柔軟な制度を講じるとともに、今後新たに顕在化する課題に対しても引き続き国が前面に立って取り組むこと。

2 原子力発電所事故に関する対応への財政支援等について
(1) 「復興・創生期間後における東日本大震災からの復興の基本方針」において、被災者支援、産業・生業の再生及び風評払拭などの継続した支援の方向性が示されたが、復興・創生期間後も、ふくしま復興に関する特段の対策が必要であり、その計画的な推進を図るためにも、財政支援の枠組みを早期に示すとともに、風評・偏見の解消とそれに対する心の復興に関する対策を講じるなど被災市町村の状況に即した切れ目のない財政支援について、避難指示が出された区域以外も含めて特段の措置を講じること。
(2) 復興・創生期間において放射能災害として実施する除染・放射線のモニタリング、健康管理、食品の放射線量測定、風評被害対策など、原発事故由来の事業については、復興・創生期間後も長期に及ぶことが予想されるため、全額国費による財政措置を長期的に継続すること。
(3) 30km圏外の地域に対する原子力防災対策の基準や対策の具体的内容を早急に明らかにするとともに、対策実施段階での具体的な手順や方法を提示し、対策に要する費用について十分な財政措置を講じること。特にモニタリングポストの設置等、防護対策のための資機材の整備・維持管理に係る財源措置を講じること。
(4) 子どもを健やかに生み育てるために行っている個人積算線量計の配布や給食の線量検査、屋内遊び場の運営等の財源である福島再生加速化交付金及び被災者支援総合交付金を継続するとともに、十分な財政措置を講じること。また、避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域12市町村から多くの避難者を受け入れている周辺地域においては、共に復興に向けて取り組んでいるところであり、一日も早い復興・再生を成し遂げるため、福島再生加速化交付金事業のうち当該12市町村のみが対象となっている事業について、浜通り全体で活用できるよう周辺地域においても活用できるよう対象地域の拡充を図ること。
(5) 原発事故に伴う固定資産税等の減収分の全額について、財政措置を講じること。
(6) 避難指示区域等からの長期避難者の住民票の取扱いについて、税負担の公平性はもとより、地方自治制度の根幹に関わる課題であり、避難者への適切な行政サービス提供や避難者と受入れ自治体住民の交流促進、地域コミュニティの確立の観点、さらに住民意向調査では帰還する意思のない避難者もいることなどから、見直すこと。
(7) 全国避難者情報システムに基づく避難者登録制度について、避難の終了や変更が生じているものの、避難者からその旨の届出がないことで、避難者名簿が正確性を欠き、居住実態が把握できない世帯が多い状況では、避難先・避難元の自治体が行っている避難者への支援に支障が生じることとなるため、避難の実態を十分に把握できるよう、必要な見直しを図り、実効性を確保すること。

3 放射性物質の除染対策について
(1) 放射性物質で汚染された廃棄物や土壌、焼却灰等の管理・中間処理・最終処分などの処理のプロセスや仮置場・長期管理施設の設置等について、国が主体的に責任を持って住民に説明するとともに、基準を超える廃棄物の処理及び必要な施設の管理について、国が迅速に責任をもって対応すること。
(2) 中間貯蔵施設の早期完成に努めること。また、中間貯蔵施設への輸送の早期完了に向け各自治体の要望に対して柔軟な対応に努めること。除去土壌等の適正管理・搬出、積込場の整備、仮置場の原状回復などについて、地域の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
(3) 農林業系汚染廃棄物の適切な処理加速化事業をその処理が終了まで継続するとともに、農林業系汚染廃棄物の適切な処理の促進と最終処分までの適切な保管を継続するため、現場の実態に応じて財政的・技術的支援を継続すること。
(4) 除染事業により発生した除染廃棄物や除去土壌の処分については、住民の強い不安感、拒絶感により進まない状況であることから、国が主体的に責任を持って説明するとともに、財政的、技術的支援に止まらず、国の責任において処分すること。
(5) 汚染状況重点調査地域に指定され、除染対象とされた区域から生じた除去土壌の処分基準を定める省令の早期策定を求めるとともに、その処分先の確保について、国が主体的に責任を持って対応すること。
(6) 福島県内においては、8,000Bq/kgを超え100,000Bq/kg以下の飛灰等を埋立処理する特定廃棄物セメント固型化施設への輸送スケジュールを厳守し、早期に輸送を完了させるとともに、100,000Bq/kgを超える指定廃棄物について、処理のスケジュールを早期に示すこと。
(7) 宮城県においては、8,000Bq/kg以下の一般廃棄物扱いとなる汚染廃棄物について、市町村が処理に取組む場合は、国は柔軟な対応と十分な負担を行うこと。
(8) 住宅地から20m以上離れた森林など除染の枠組から外れた箇所等で、人への健康影響等が懸念されると思われる箇所が判明した場合は、リスクコミュニケーションによる不安解消や線量低減化をはじめとした環境回復措置について、継続した支援策を講じること。
(9) 親水空間として多くの市民が利用している河川等の除染対策の方針を早急に示すとともに、適切な措置が講じられるまでは、測定ポイントを河川毎に適切に選定の上、空間放射線量の測定を継続的に実施し公表する等、十分な情報提供を行うこと。
(10) 除染の進捗や中間貯蔵施設への安全かつ円滑な輸送のため重要となる県内の基幹的な道路の整備、特に、常磐自動車道の早期全線4車線化、国道6号の南相馬市内一部4車線化、相馬福島道路の早期完成のため、十分な整備予算を確保するとともに、原子力災害からの復興・再生、避難住民の帰還を加速させるため、(仮称)小高スマートインターチェンジの早期整備を支援すること。また、汚染土壌の中間貯蔵施設への輸送による更なる道路の破損等が懸念されることから、道路の拡幅及び路面破損時の修繕等を併せた仮置き場からのアクセス道路の環境整備について、現場の実情に即した柔軟な対応とそれに伴う安定的な財政措置を講じること。
(11) 除染等業務従事者等被ばく線量登録管理制度は、除染等事業者等が事業に携わる業務従事者の被ばく線量について、一人ひとりの累積被ばく線量等を確実に把握できる制度で、登録することにより被ばく線量等を散逸することなく長期間保管することが可能になるが、当該制度開始前に業務が完了していた事業については、累積被ばく線量等を確認できない状況となっていることから、当該制度について、運用開始前後にかかわらず、全ての除染等事業者が速やかに登録するよう、国が主体となり、周知、広報等を図り、制度の充実を図ること。

4 廃炉・汚染水対策について
(1) 廃炉対策について、平成25年9月に国が前面に出て汚染水対策を実行していくという基本方針を発表しているが、その後も流出が疑われる事態が判明していることから、事業者に任せることなく国が前面に立ち、具体的工程を示すとともに、国内外からの英知を結集し、燃料デブリの取り出しを含め、安全かつ確実に完遂すること。
(2) 汚染水対策について、国が主体的に取り組み、実効性のある地下水対策、汚染水流出阻止対策及び正確で迅速な情報発信など風評被害防止に関する措置を可及的速やかに実施すること。

5 放射能教育について
 国民の間で放射能に関する理解が進んでいないことから、高等学校の入学試験や国が関わる試験に放射能に関する設問を検討するなど、子どもから大人まで幅広い年齢層が放射能に関する正しい知識を習得するとともに、これに基づき適切に行動する能力の向上を図るためのあらゆる施策を国を挙げて取り組むこと。
 さらに、国内外に対し、福島県の現状に関する正しい情報を発信し、風評を払拭すること。

6 食品の安全確保対策への支援について
(1) 風評被害対策として、国内外に向けた福島県産農林水産物の安全性をPRする広報活動を国の主導により展開すること。
(2) 原発事故の影響により、漁業の風評被害が深刻であることから、安全安心な魚介類をアピールするため、クルーズ船の誘致や魚介類を食するイベント等を行うことに対する支援策を講じること。
(3) モニタリング体制の維持・充実と併せ、地域の安全性に係る正確な情報を積極的に発信するとともに、福島県で生産された農林水産物のPRへの支援など、地域と連携した取組を推進すること。

7 原子力発電所事故に伴う損害賠償の適正な実施及び迅速化について
(1)難指示区域内や出荷制限等に係る農林業の一括賠償後の取扱いについて、営農・林業再開に支障が出ないよう、農林業者や関係団体の意向を十分に踏まえたうえで、賠償基準を早急に確定させるとともに、農林業者等へ丁寧な周知・説明を行い、被害の実態に見合った賠償を確実に行わせること。また、風評被害はもとより、地域に特別な状況や被害者に個別具体的な事情がある場合には、被害者の立場に立って柔軟に対応させること。
(2)平成31年1月以降の避難指示区域外における農林業の風評賠償について、農林業者や関係団体からの意見・要望に柔軟に対応し、賠償請求手続きの変さらに伴う被害者の負担軽減を進めながら、被害者の立場に立った賠償を行わせること。
(3)農林水産業に係る営業損害については、依然として県内全域で風評被害が発生している状況を踏まえ、十分な賠償が確実に継続されるようにすること。
(4)商工業等に係る営業損害の一括賠償については、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たり、個別訪問等による実態把握に努め、定性的要因を積極的に採用するなど、簡易な手法で柔軟に行うとともに、個別具体的な事情による損害についても誠意を持って対応させること。
 また、一括賠償で年間逸失利益の2倍相当額の賠償を受けられなかった被害者からの相談や請求についても相談窓口等で丁寧に対応し、状況の変化があれば、的確な賠償を行わせること。
(5)商工業等に係る営業損害の一括賠償後の取扱いについて、被害者からの相談や請求に丁寧に対応し、表面的・形式的に判断することなく、地域の状況や事業の特殊性、個別具体的な事情をしっかりと把握した上で、損害の範囲を幅広く捉え、被害の実態に見合った賠償を的確かつ迅速に行わせること。また、原子力発電所事故との相当因果関係の確認に当たっては、一括賠償請求時の提出書類を最大限活用するなど、手続の簡素化に取り組みながら柔軟に対応し、被害者の負担を軽減させること。
(6)商工業等に係る営業損害について、同様の損害を受けている被害者が請求の方法や時期によって賠償の対応に相違が生じることのないよう、風評被害の相当因果関係の類型、判断根拠、東京電力の運用基準や個別事情に対応した事例を公表・周知するとともに、書面で理由を明示するなど被害者への分かりやすい丁寧な説明を徹底して行わせること。
(7)原子力損害賠償紛争解決センターが提示する「総括基準」や「和解仲介案」を原子力災害の原因者としての自覚を持って積極的に受け入れ、確実かつ迅速に賠償を行わせること。また、同様の損害を受けている被害者に対しては、和解仲介の手続によらず、直接請求によって一律に対応させること。
(8)原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介実例を被害の状況が類似している地域等において同様に生じている損害に適用し、直接請求により全ての被害者への公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。
(9)多くの被害者に共通する損害については、類型化による原子力損害賠償紛争審査会中間指針への反映によって確実かつ迅速に賠償がなされるべきものであることから、住民や地域、市町村に混乱を生じさせないよう、審査会における審議を通し、賠償の対象となる損害の範囲を具体的かつ明瞭に指針として示すこと。また、被災者に対する損害賠償を円滑に行うため、手続きを簡略化させるよう指導するとともに、総合的な判断ができる総括責任者を福島原子力補償相談室に常駐させること。
(10)市民や企業が自ら行った除染費用については、東京電力が全額賠償するよう強く指導するとともに、対象期間について、平成24年10月1日以降の期間も対象とすること。
(11)放射能による不安や精神的苦痛を抱えたまま生活を余儀なくされている現状を受け止め、平成24年9月以降の精神的損害に対して、迅速かつ誠実に賠償を行わせること。
(12)自治体が住民の安全・安心を守るために行っている様々な検査等に要する費用や地域の復興のために実施している風評被害対策などの事業に要する費用等は、その実施体制に要する費用を含め、政府指示の有無に関わらず事故との因果関係が明らかであることから、賠償請求手続を簡素化するとともに、確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(13)原子力発電所事故によって生じた税収の減少分について、目的税はもとより固定資産税を含む普通税も確実に賠償を行わせること。また、自主避難者の発生に伴う水道使用料金の減収や原子力発電所事故の風評により観光客が減少したことによる公立観光施設における逸失収入について、全て確実かつ迅速に賠償を行わせること。
(14)自治体の財物の賠償については、自治体等の意向を十分に踏まえ、迅速に賠償を行うとともに、インフラ資産や山林、利用再開が見込めない財物の取扱い含め、個別具体的な事情による損害についても柔軟に対応させること。
(15)原子力損害賠償紛争解決センターによる県や市町村の和解仲介実例を被害の状況が類似している他の自治体における損害にも適用し、直接請求により公平な賠償を確実かつ迅速に行わせること。

8 住民の健康確保等について
(1)原発事故に伴う健康管理対策に関して、国は責任をもって主体的に取り組むこと。また、福島県内の自治体に今後の方針等を説明、及び意見交換を行うこと。
(2)原発事故の影響により医療人材が流出し、人手不足が深刻化していることから、医師、看護師等確保のための人件費補助など医療機関等への支援や自治体への財政措置を継続すること。
(3)原発事故による人口移動に伴う公立病院の経営悪化に対して自治体が行っている多額の財政支援に係る財政措置を講じること。
(4)放射線による健康影響調査について、国の責任と判断において、調査実施の必要性や対応方針に関する明確な基準を早急に示し、必要があると認められた場合は、国の責任において調査を実施すること。
(5)全ての被災者の健康の確保、特に子どもたち、高齢者等の心と体のケアや学校現場での対応への人的及び財政的措置を講じること。
(6)内部被ばく検査・外部被ばく検査に係る経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用や検査機器購入費用について財政措置を講じるとともに、健康に関する個人データの管理運用に対する新たな財政支援を行うこと。
(7)県民健康調査における甲状腺検査では、甲状腺がん発症率に福島県内における地域差は認められず、原発事故による放射線の影響とは考えにくいとされていることから、この調査結果を実証するため、被ばくと甲状腺がんの因果関係を検証すること。
(8)長期にわたり18 歳までの医療費無料化を行うこと。
(9)原発事故の影響により、要支援・要介護認定者が増加し、施設の整備が進むものの、スタッフ不足により施設定員に達するまでの入所ができない状況が発生していることや、保育士が確保できず待機児童が発生している施設があるなど十分な福祉サービスが提供できない状況にあり、避難者の帰還を妨げる要因となっていることから、障がい者支援施設及び介護施設従事者、並びに、保育士及び幼稚園教諭の確保に向けた財政支援を講じること。
(10)震災と原発事故の影響により多くの住民が避難・転出し人口減少が著しい地域において、魅力ある教育・保育内容を実現できる民間施設の運営体制を確保するため、子どものための教育・保育給付費の公定価格に特別な地域区分を創設するとともに、公立施設に対しても同様に財源を確保することにより、この地域における幼児期の教育・保育の安定的な提供を積極的に支援すること。
(11)リアルタイム線量測定システムについては、安全安心を確保するためのモニタリング体制に関する各自治体の意見を尊重し、国としてあり方を検討すること。

9 産業の流出防止と支援について
(1) 津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金については、対象地域の重点化が図られるが、福島県経済の自立的発展のためには、浜通り地方と連携した全県的な地域振興策が必要であることから、浜通り以外の地域においても、原発事故の影響により工業団地の整備が進まなかった土地のみならず工業団地計画未策定の土地などを対象とすること。
(2) 風評払拭のため、国内外への情報提供や販路拡大、国際会議等コンベンションの開催・誘致、必要な施設の整備等幅広い施策を講じること。
(3) 風評により落ち込む観光客の回復を図るため、国内外への多角的な観光情報の発信、外国人旅行者の誘客、MICEの誘致、観光資源の開発、観光地のハード整備などの各種施策に対する財政措置、訪日外国人も含めた受入のための宿泊施設の整備・改修等にかかる補助制度の充実など、国内外からの観光誘客に資するあらゆる施策を講じること。
(4) 復興特区制度について、より一層の企業活動の活性化や雇用促進を図るため、人口30 万人以上の都市等において課税することとなっている事業所税についても、税制優遇措置の対象税目とすること。
(5) ふくしま産業復興投資促進特区制度について、復興特区法を改正し、対象地域を重点化するための規定を設け、課税の特例を踏まえた適用期限の延長等を行うこととしているが、福島県の持続的かつ均衡ある発展を図るため、県内全域を適用対象とした現行制度を継続すること。
(6) 風評も含めあらゆる分野において厳しい状況が続いていることから、地域経済の活性化と安定した雇用の創出を図るため、企業誘致等に必要な土地利用に関する規制緩和及び財政措置を講じるとともに、新たな企業誘致に繋がる工業団地の整備に際し必要となる用地費用、造成工事の整備費用など、財政措置を講じること。また、空き店舗等の解消に係る財政措置、税制や融資・助成などを含めた中小企業への総合的な支援策、及び被災地における先進的な取組を行っている企業等に対する支援策を講じること。
(7) 原発被災地におけるイノシシによる被害については、野生動物肉の出荷制限に起因する狩猟者の減少等により、農作物被害が広域化かつ深刻化していることから、被害防止体制の強化が図れるよう、復興財源の活用も含めて十分な財源を確保するとともに、国と県とが連携して対策を強化すること。また、狩猟者が不足しその育成・確保が急務であることから、射撃場における弾丸の補助等狩猟技術向上のための経費について支援措置を講じること。
(8) 原木しいたけ産地の再生のため、ほだ場の落葉層除去によって発生した落葉層の最終処分方法を早期に提示し、その処理に関する全面的な支援を行うこと。

10 新たな産業と雇用創出の支援について
(1) 福島県を再生可能エネルギー先駆けの地とする福島新エネ社会構想の実現に向け、太陽光発電、蓄電池設備やFCバス、FCV等の普及拡大、水素ステーションなどの供給体制の整備、水素エネルギーシステムの開発等に係る支援、設置技術基準や保安検査の規制緩和など総合的かつ積極的な支援を行うとともに、固定価格買取制度の適正な運用に努めること。また、広域的な系統利用システムの構築や送電網強化に関して電力会社と連携して、国が主体的に取り組むこと。
(2) 福島・国際研究産業都市構想(福島イノベーション・コースト構想)の復興・創生期間後の更なる推進を図るため、「福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真」を踏まえ取組の柱として掲げた「あらゆるチャレンジが可能な地域」「地域の企業が主役」「構想を支える人材育成」の具体的な取組を促進し、産業振興に向けた創業・進出・成長支援、そのための規制緩和、資金調達の円滑化、深刻な人材不足の解消等に向けた措置を講じること。また、浜通り地域に整備される様々な研修施設や実証設備が、進出企業と地元企業の連携や地域人材の育成につながるなど、地域にしっかりと根付き、永続できるよう、国が主体的に自治体及び関係機関と一体となって取り組むこと。
(3) 福島ロボットテストフィールド・国際産学官共同利用施設が国内外のロボット関連企業に活用されるよう情報発信を強化するとともに、福島ロボットテストフィールドを核とした産業に必要な人材誘導に向けた取組を支援すること。
(4) ロボット産業を集積させるため、企業立地を促す「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」や企業の技術革新を促す「地域復興実用化開発等促進事業費補助金」の期間を延長すること。また、マッチング促進支援など既存企業への支援を強化するとともに、被災事業者の帰還・再建を促す支援「福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金」の継続と十分な予算を確保すること。
(5) 福島復興再生特別措置法に基づく福島復興再生基本方針に則して、内閣総理大臣の認定を受けた重点推進計画において「常磐自動車道のインターチェンジから各拠点へのアクセス機能、及び各拠点間を結ぶアクセス道路網の強化を図る」とされたことを踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現を図るため、福島ロボットテストフィールドと南相馬インターチェンジを結ぶインターアクセス道路(主要地方道原町川俣線)について、早期整備のため十分な支援を講じること。

11 原子力被災地域の被災者支援の充実について
(1) 避難指示区域等における国民健康保険税、後期高齢者医療制度保険料及び介護保険料の減免、並びに、医療費一部負担金及び介護保険の利用者負担の免除について、住民の生活が安定するまでには相当の期間を要することから、被保険者の健康維持のため、特別措置を今後も継続し、所得制限を廃止すること。また、免除の縮小、終了に向けては当該被保険者への十分な周知期間を確保すること。
(2) 避難指示区域等における高速道路無料措置について、一時帰宅を含めてふるさとを往来する避難者の経済的な負担を軽減し、家族や地域との関係性を維持し、帰還を促進するため、今後も継続すること。


災害に対する住民の安全・安心の確立に関する決議

 我が国は、地震、津波、台風、豪雨など、数多くの自然災害に見舞われてきた。さらに近年、我が国で発生する災害は頻発化・激甚化しており、令和元年度も九州北部豪雨、令和元年房総半島台風による暴風・停電被害、令和元年東日本台風及び台風21号による河川氾濫等の様々な災害が発生し、住民の生活基盤に深刻な影響を与えており、全国的に災害に対する危険性が増している。
 これらの激甚化、頻発化する自然災害に対し、住民の生命と財産を守るためには、これまで取り組まれてきた災害対策を、継続的かつ加速的に実施し、全国的にインフラの再整備をする必要がある。また、被災地の住民が一日も早く日常生活を取り戻すためには、被災者に対する支援を強化する必要がある。
 さらに、令和元年の台風や豪雨の際、これまで整備してきたインフラが防災効果を発揮した事例も多く見受けられた。インフラが適切に機能するためには、日々の点検や維持修繕が必要不可欠であるが、一方で、基礎自治体の財源は限られており、必要となる点検や維持修繕の実施がままならない。
 よって、国は、災害に対する住民の安全・安心の確立のため、次の事項について迅速かつ万全の措置を講じるよう要望する。



1 防災・減災、国土強靭化の推進について
 近年頻発化、激甚化する自然災害に鑑み、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」、「緊急防災・減災事業」及び「緊急自然災害防止対策事業」など、防災・減災、国土強靭化の事業について、老朽化対策等も対象とするなど制度拡充のうえ、財源を十分に確保し、令和3年度以降も継続することとし、当初予算において、必要な予算を通常予算とは別枠で確保すること。また、省庁の垣根を超えた総合的な防災対策による災害に強いまちづくりを推進すること。

2 国土強靱化に関する計画策定等の財政支援について
(1) 国土強靱化基本法に基づき自治体が策定する国土強靱化地域計画により、多方面にわたる施策を総合的かつ計画的に実施し、大規模自然災害に備えて強靱な地域づくりを推進するためには、気候変動や社会情勢に応じた柔軟な計画策定・改定が必要となることから、策定・改定に係る補助制度を創設するなど十分な財政措置を講じること。
(2) 緊急防災・減災事業は、国の地方財政計画において、令和3年度以降も現行同様の地方財政措置を講じることとされたが、条件として令和2年度までに建設工事着手が必要とされている。国においては更なる即効性のある事業実施が促進されるよう、事業着手時期に関わらず、今後も引き続き確実な財源措置を講じること。

3 生活・経済を支え、安全・安心を確保するためのインフラの機能確保について
 橋梁、トンネル、河川施設、下水道、公園、港湾施設等の構造物について、機能に支障が生じる可能性があり、早急に措置を講ずべき施設の短期集中的な対策および安全性の確保に必要な予算を確保すること。さらに、基礎自治体が管理する膨大な量の構造物をはじめ、国や県等が管理する構造物を含めたインフラの予防保全への本格転換を促進し、適切に点検、維持管理・更新するため、インフラの整備に影響を与えず、必要となる財源を継続的かつ充分に確保すること。

4 被災自治体支援の充実強化について
(1) 発災直後において、被災自治体からの要請を踏まえた、TEC-FORCE等の迅速な派遣及び支援を実施するとともに、災害復旧、復興段階における、国からの継続的な人的・技術的支援による早期の復旧・復興の実現のための支援を行うことができるよう、平常時からホットラインの確立や地方整備局等の必要な人員・資機材等の確保をさらに図るなど、防災・減災のための自治体に対する支援体制の強化を来年度以降も継続的に図ること。
(2) 平常時においても、事前防災の観点等から、橋梁等の構造物の点検・修繕代行等の技術的支援の充実を図ること。

5 道路ネットワークの機能強化について
 災害時においても物資等を運搬できるよう、高規格幹線道路網のダブルネットワーク化、暫定2車線区間の4車線化等の道路ネットワークの機能強化、無電柱化等の実施による災害に強い道路整備を実現すること。

6 都市部の浸水対策の充実強化について
 激甚化する豪雨や土砂災害に対応するため、抜本的な治水対策も含めた河川改修、雨水幹線や排水ポンプ場等の整備、排水ポンプ車の配備等により、都市部の浸水対策の充実を図ること。

7 港湾における災害対策の充実強化について
 防波堤の耐震・耐津波補強やガントリークレーン整備等、港湾施設の災害対策の充実強化を図ること。

8 令和元年東日本台風及び台風21号による災害からの復旧・復興 について
(1) 被災地の早期復旧を図るため、国等による被災自治体への支援職員等の派遣措置や財政的・技術的な支援策等を講じること。
(2) 災害復旧事業については、早期完了に向けて十分な財政措置を講じること。
(3) 被災した施設等を災害に強い構造で復旧する改良復旧を積極的に推進すること。 また、現行構造基準への適合に必要となる費用は災害復旧事業で計上することを認め、さらに改良復旧事業の適用範囲を拡充するなど、必要となる制度改正を実施すること。
(4) 今後発生し得る大雨災害に備え、国管理の河川については、単なる復旧だけではなく、抜本的な河川改修及び堆砂除去などの治水対策を実施するとともに、必要な予算を確保すること。また、県や市町村が管理する河川については、河川管理者である各自治体に対し、抜本的な改修及び堆砂除去などの治水対策を実施するための財政的・技術的な支援を含めた措置を講じること。
(5) 一級河川からの背水の影響及び同水系の指定区間である県管理の支川の増水により、大規模な被害に至った地域において、既存の制度・慣例等にとらわれない、早期復旧に向けた予算の確保及び必要に応じた改良復旧を図るとともに、上流部における遊水池整備等の抜本的な治水対策について、迅速かつ万全の措置を講じること。
(6) 災害関連地域防災がけ崩れ対策事業について、採択要件に合致しない箇所において復旧が進まず二次災害が発生する恐れがあることから、東日本大震災時に適用となった特例措置や採択要件の緩和などの措置を講じること。
(7) 国の権限代行により災害復旧に着手している国道について、被災区間の早期復旧を図ること。
(8) 東日本大震災及び原発事故からの復興途上にある福島県の特殊性に鑑み、被災企業等が今後も安心して市内で事業が継続できるよう、被災企業等が同一市町村内へ移転する場合の支援制度の創設、大企業等を含めた被災事業者全てが対象となる支援制度(グループ補助金など)の拡充、グループ補助金の定額補助要件の緩和、かさ上げなど浸水被害への自衛措置に係る支援制度の創設など、必要な支援を行うこと。
(9) 被災自治体において生じる応急対策や被災者の救援、復旧・復興対策等に係る特別な財政需要について、被災自治体の行財政運営に支障が生じることがないよう、国庫補助負担金や特別交付税をはじめとした地方財政措置による必要かつ十分な財政支援策を講じること。

9 被災自治体の災害廃棄物の広域処理等について
 大量の災害廃棄物が発生しているため、被災自治体が実施する災害等廃棄物処理事業について、最終処分場の確保や広域処理体制の整備等を図るとともに、処理費用に対する国の予算を確保すること。

10 被災者支援の強化について
(1) 被災者が安全で安心な日常を取り戻せるよう、被災者生活再建支援法による支援について、支援金の増額や適用範囲の拡大等、制度の充実を図ること。 また、災害に対する備えを強化していくためには、公的資金ばかりでなく個人の備えの強化が不可欠であることから、災害に関する公的支援と保険のあり方を総合的に検討し、災害の備えを充実させること。
(2) 災害救助法に基づく住宅応急修理制度について、水害による応急修理の場合、これまでの実績を基に修理内容を標準化することにより、自治体の審査事務の省力化を図るとともに、完了報告時に応急修理の費用を確認することとし、修理業者からの見積書の提出を不要とすること。また、手続き前に修理を完了し費用を支払った場合についても、公平性を図る観点から、制度の対象とすること。

11 防災意識と防災力向上等の推進について
(1) 被災自治体のレジリエンス(回復力)向上を図るためにも、平時における市民の災害への備え、公務員の防災制度の習得を促進するなど更なる防災力強化に取り組むこと。
(2) 災害時におけるSNS等の活用や多言語による災害情報の発信など、被災エリアの全ての人々の命を守る行動を支援する仕組みづくりを構築すること。

12 新たなり災判定基準の確立について
 現行の水害におけるり災判定の基準は、浸水の深度を基準としており、わずか数センチメートルの差によって、被災者が受ける各種支援策等に大きな差が生じていることから、被害の実態に即した判定基準を早期に確立し、なおかつ迅速な判定ができる判断基準を設計すること。

13 ボランティアセンターの運営経費への財政支援について
 災害時のボランティアセンター運営に要した経費の大半は、最終的に被災自治体が負担することとなっているが、これらの経費については、国等による直接的な財政支援策がなく、その負担は看過できないものとなっていることから、ボランティアセンターに要した経費への財政支援策を講じ、被災自治体の負担を軽減すること。


新型コロナウイルス感染症対策に関する決議

 国は、本年2月25日には「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を、4月7日には「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を決定し、様々な対策等を打ち出している。
 これを受け、全国の市町村においては、教育現場はもちろん、子どもを持つ家庭をはじめ、医療・保育・介護等の現場における様々な課題に対応すべく全力で取り組んでいるところである。
 しかしながら、全国各地で感染者が拡大する中、マスク・アルコール消毒液等の不足、風評被害、流言飛語による日用品買占めなど、喫緊の課題が発生している。
 また、国内外の観光客の減少、文化・スポーツ等のイベントの中止による経済活動の急速な縮小に伴い、地方の中小規模事業者や労働者は、その経営基盤や生活基盤が失われるなど、多大な影響を受けている。
 そのため、住民に最も近い行政機関である市町村が果たすべき役割は大きく、医療・雇用・経済等の各分野における大胆かつ総合的な対策が必要となっている。
 よって、国は、次の事項について特段の措置を講じるよう強く要望する。



1 物資不足への対応について
(1) マスク、アルコール消毒液等が全国的に不足し、供給が滞っている現状を踏まえ、生産・供給体制を強化するとともに、特に医療機関や福祉・介護施設及び教育や保育の現場のニーズに適切に応えられるよう、速やかに必要数を確保し市町村に供給すること。
(2) 各地方公共団体が独自に行う新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策についても、国において財政措置等の支援を講じること。
(3) 現状を踏まえ、地方自治体においてマスク等の衛生用品を備蓄することは必要であることから、備蓄や更新に対し地方財政措置を拡充すること。

2 医療提供体制の強化について
(1) 医療機関において、医療用マスクやガウン、手袋、フェースガード等の感染防具や人工呼吸器等の医療用資器材の不足が顕著になっており、医療崩壊も懸念されていることから、医療機関に対して必要な数量を速やかに配布できるよう医療用資器材の適正な価格での安定的な供給体制を構築すること。また、十分な医療体制が維持できるよう病院間の支援ネットワークや看護師派遣などの医療人材の確保について、広域的な医療関係機関の支援体制の整備を図ること。
(2) 今後の患者発生状況を踏まえ、二次医療圏等で病床を確保できない場合、軽症患者の療養先として宿泊施設等を活用する体制を速やかに整備するなど、病床を確保すること。

3 治療薬等の開発加速について
(1) 現在、治療薬やワクチンがないという先の見えない状態から、市民は強い不安感を持ち、虚偽の情報に振り回される恐れがあることから、治療薬及びワクチンの開発を早急に進めるとともに、開発後における供給体制の構築について特段の措置を講ずること。
(2) 検査時間の短縮や検査実施可能数の拡大、さらには、より身近で検査できることが重要であることから、「簡易検査キット」の開発促進、PCR検査試薬の確実な供給など、市民に身近な地域において短時間でより多くの検査ができる体制の構築について特段の措置を講ずること。

4 情報発信の充実について
(1) 大学等の休校措置やテレワークの拡大に伴い、感染拡大地域の住民が地方へ帰省する機会が増加することが想定されることから、転出入者を対象とした外出自粛等に係る広報の強化を図ること。
(2) 感染の封じ込めを行うためには、国・県・市町村間での情報共有が必須であることから、市町村への情報提供は速やかに行うこと。

5 生活に困っている世帯や個人への支援について
(1) 給付金制度については、速やかに給付出来る仕組みを構築するとともに、給付まで時間を要する場合は、給付までの間、地方公共団体が独自に行うつなぎ支援に対し、財政措置を講じること。また、交付事務費については全額国費で対応すること。また、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、郵送やオンラインによる申請を基本としつつ、添付書類等の確認方法についても極力簡便な方法によるものとし、地方公共団体の窓口に混乱や過度な負担が生じないように対応すること。
(2) 継続的な経済対策を講じることはもとより、生活困窮や社会保障制度を必要とする状況にある国民に対しては、長期的な生活の保障を前提とする新たな制度を創設すること。

6 小・中学校等の一斉休業への対応について
(1) 放課後児童クラブ等の体制強化、学校給食休止への対応など、学校の臨時休業に伴って生じる課題・経費について、十分な財政措置を講ずること。
(2) 放課後児童クラブは、保育所等と同様、保護者が昼間家庭にいない児童を対象としている事業であることから、放課後児童クラブに係る保護者負担についても、保育所等を臨時休園した場合における保護者等の利用者負担額軽減措置と同様の措置を講ずること。

7 雇用の維持について
(1) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、各種経済活動の自粛要請を発する際には、休業補償や雇用維持等の対策を同時に公表又は実施すること。
(2) 今般の感染拡大に係る経済活動への影響は非常に多岐の業種にわたってきているとともに、経営基盤が特に脆弱な小規模事業者(フリーランスを含む)にとって、資金繰りの悪化は、事業資金にとどまらず生活資金の枯渇にもつながる喫緊の問題であることから、支援対象を特定しない、かつ即効性の高い支援対策を早急に講じること。
(3) 雇用調整助成金について、より一層の周知を図るとともに、対象となる事業者等が利用しやすくなるよう、窓口相談体制の強化と手続きの簡素化を行うこと。また、助成率については、中小企業・小規模事業者の手元資金の確保と雇用維持に向けて、中小企業、大企業に関わらず、10/10に引き上げ、速やかに交付すること。
 なお、生産指標要件(売上高等1か月5%以上低下)の算定にあたっては、新規に設置した店舗または新規事業を含めることなく既存店舗または既存事業のみを対象とすること。

8 事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援について
(1) 持続化給付金(仮称)については、事業規模(売上げ)が事業者ごとに異なることから、給付上限額や給付対象者の線引きを一律とするのではなく、事業規模や減収の幅に応じた給付金を交付すること。また、制度設計を含め速やかな対応を行うとともに、事業者にいち早く支援が届くよう簡便な手続きとし、速やかに交付すること。
(2) 倒産の危機に直面している事業者に対しては更なる経済対策を検討するなど、より手厚い支援を実施すること。
(3) 緊急事態宣言による休業要請により休業を余儀なくされた事業者に対しては、全国で統一的な方針の下で十分な補償を講じること。

9 民間事業者等に対する支援について
(1) 中小企業者等に対する間接的支援として、消費者の消費マインドを向上させるため、キャッシュレス決済の還元期間を延長すること。
(2) すでに融資を受けている資金の貸付返還期限の延長及び返済期限を延長したことに対し、市が手数料、金利及び保証料を負担した場合、国が助成措置を講ずること。
(3) 中小・小規模事業者の更なる負担軽減のため、企業側の社会保険料の負担分について、一定期間の減免措置などの負担軽減措置を講ずること。
(4) 小学校等の臨時休業に伴う個人事業主・フリーランス等の収入減に対し、企業への保護者休暇取得支援制度と同様の支援を講ずること。
(5) テレワークや時差出勤など柔軟な働き方や従業員が休みやすい環境整備への支援について拡充すること。
(6) 償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の負担を2分の1又はゼロとする減免措置については、すでに厳しい経営状況にある中小事業者等の現状に鑑み、令和2年度についても適用すること。また、この減免措置の拡大に伴う自治体の減収に対しても、全額国費で補填すること。

10 観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテイメント事業等に対する支援について
(1) 経済的に大打撃を受ける観光業、飲食業、旅客業等や中小企業や個人事業主への融資、助成や家賃負担の軽減措置などの大胆な支援策を講じること。
(2) 感染症の流行収束後の対策として、観光、飲食業向けの「Go Toキャンペーン事業」を予定しているが、収束までの事業継続が困難となることから、現在実施している事業者への支援策の他に、観光、飲食業に向けた特別な緊急支援対策を構築すること。
(3) 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い人や物の流れが停滞していることから、観光産業その他様々な事業所に対して、中長期的な経済支援措置を実施すること。
(4) 観光客と接する機会の多い観光関連事業者に対し、感染症拡散予防のためマスクや消毒液の安定供給を図ること。

11 地域経済の活性化について
(1) 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、各市が実施する営業自粛に伴う事業者に対する協力金に充当されることが想定される。このため、臨時交付金の総額の大幅な増額を行い、地方が地域の実情に応じて必要となる事業を実施できるよう自由度の高いものとすること。
 また、当該交付金の充当対象は、地方公共団体が策定する実施計画に掲載された事業とされているが、計画策定前に先行実施した新型コロナウイルス感染症対策についても対象とすること。
(2) 新型コロナウイルスの影響により売上げが減少している商店会等を支援するため、商店会等が、自ら発行する商品券にプレミアム分を上乗せする場合、そのプレミアム分について国の助成措置を講ずること。
(3) 売上が大幅に減少している観光関連事業者へのつなぎ資金の貸付実行までの迅速化を図るとともに、感染症の収束を見越し各種キャンペーンを実施すること。

12 農林水産業等第一次産業に対する支援について
(1) 農林水産業等第一次産業の経営体と加工業者に対する持続化給付金の支給を迅速に行うこと。
(2) 農家の経営安定に向け、経営資金無利子貸付制度の無利子期間を10年程度に延長すること。
(3) 消毒薬、マスク、手袋等の生産資材の調達が滞ることで事業の継続に支障がでないようサプライチェーンを確保すること。
(4) 国産ブランド牛肉の消費低迷により、ブランド牛産地の崩壊を招くことが懸念されることから、外食産業全体における国産ブランド牛肉の使用拡大に向けた普及と使用に対する助成制度を講ずること。また、肉用牛肥育経営安定特別対策における補填割合を10割とし、国の拠出割合を拡充するとともに、子牛購入に係る費用の一部を補助する支援制度を創設するなど、生産者が持続可能で意欲をもって経営するための措置を講ずること。
(5) その他、国産農畜産物の消費拡大について、具体的な対策を講じること。

13 地方自治体の負担に対する適切な財政措置について
(1) 新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策の実行に際して必要となる地方負担はもとより、今後新たに必要となる地方負担についても、地方自治体の財政運営に支障が生じることのないよう、適切な財政措置を講ずること。
(2) 市税等の徴収猶予や軽減措置によって、市税等の収入の落ち込みが想定されることから、市町村の運営に支障が生じることのないよう、特段の財政措置を講じることはもとより、地方税法第323条に基づく所得激減者に対する減免措置を行ったことにより生じる個人住民税の減収額についても、全額を国費により補填する措置を新たに講ずること。また、徴収猶予や軽減措置にかかる事務については、市町村に過度の負担が生じないよう申請等の手続きを簡素化する方策等を国において検討するとともに、新型コロナウイルス感染症対策のためのシステム開発費用など、感染症対策のため、特に市町村が支弁した事務経費については全額国費により措置すること。
(3) 国からのイベント等自粛要請を踏まえ、市主催の事業等は中止又は延期としている。また、貸館利用のキャンセルが多数発生しており、公共施設を運営する地方自治体の入場料収入や施設使用料の事業収入が減収していることから、事業収入減収に伴う地方自治体への財政支援措置を講ずること。
(4) 地方自治体の全額負担により実施している就学援助(準要保護)については、新型コロナウイルス感染症の影響により認定者が増加し財政負担が増加することが予想されることから、感染症の影響により増加した新規認定者について、財政支援措置を講ずること。
(5) 小学校臨時休校に伴う放課後児童健全育成事業に対する財政措置(特例措置分)については、全額国費により措置すること。
(6) 感染症指定病院や協力病院等の新型コロナウイルス感染患者を受け入れる病院では、病棟の一部の病床を感染患者に充てる場合であっても、院内感染を防ぐために病棟全体を感染症患者専用とせざるを得ない。また、新型コロナウイルス感染患者を診療したことによる風評被害のため患者が減少し、大幅な減収となってしまう。したがって、国は減収分の補填のため特段の措置を講じること。


地域医療体制の確保に関する決議

 厚生労働省は、各都道府県において地域医療構想の実現に必要な協議を促進させるためとして、昨年9月26日に、再編や統合の検討を要する全国の病院を公表した。
 さらに、本年1月17日には、各都道府県に対して、公立・公的病院の再編や統合に向けた議論を行うよう求めた「公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について」を通知した。
 昨年9月の病院名公表後、全国の自治体から多くの抗議があり、全国的に批判されたにも関わらず、集計データの誤りを修正しただけで再検証等を要請したことは、地域医療の実態を考慮していないやり方であると言わざるを得ない。
 医療資源が不足している地方において、住民の命を守る砦としての役割を果たしている病院は、立地条件としても再編・統合の対象にはなり得ないものである。
 将来にわたって必要な医療を持続的に確保していくための議論とその行動が必要であることについて異論はないものの、医療資源が乏しい地域において、住民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう懸命に取組を進めている中で、再編や統合の検討を要するとした病院名の公表や再検証の要請は、関係住民にあらためて過度の不安を与えるものである。
 よって、国は、次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 地域医療構想の実現に必要な協議に際しては、地域の実態を最大限に考慮した慎重な対応をすること。

2 真に医療を必要としている地域に対する適切な医療提供体制が構築、確保されるよう、医師不足や医師偏在を解消するための抜本的な改善策を検討すること。


過疎対策の積極的推進に関する決議

 過疎地域は、我が国の国土の過半を占め、豊かな自然や歴史・文化を有するふるさとの地域であり、都市に対する食料・水・エネルギーの供給、国土・自然環境の保全、いやしの場の提供、災害の防止、森林による地球温暖化の防止などに多大な貢献をしている。
 過疎地域が果たしているこのような多面的・公益的機能は国民共有の財産であり、それは過疎地域の住民によって支えられてきたものである。
 急速な人口減少と少子・高齢化という我が国が直面している大きな問題に対し、地方創生に向け政府は本格的な取り組みを行っているところであるが、過疎地域では、多くの集落が消滅の危機に瀕するなど、極めて深刻な状況に直面している。
 人口減少に歯止めをかけるには、大都市から地方へ、人・企業などを分散することが重要であり、そのためにも過疎地域が安心・安全に暮らせる、活力と魅力ある地域として健全に維持されていくことが必要である。
 現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は、令和3年3月末をもって期限終了となるが、過疎地域が果たしている多面的・公益的機能を今後も維持していくためには引き続き、過疎地域に対して総合的かつ積極的な支援を充実・強化し、住民の暮らしを支えていく政策を確立・推進することが重要である。
 よって、国は、次の事項について積極的かつ適切な措置を講じるよう要望する。



1 現行過疎法の期限終了後も、引き続き過疎地域の振興が図られるよう、現行法の延長または新たな過疎対策法を制定すること。

2 現行過疎法の期限終了後も、過疎市町村が取り組む事業が円滑に実施できるよう、過疎対策事業債及び各種支援制度の維持・拡充を図ること。

3 現行過疎法の期限終了後も、現行法第33条の規定による「市町村の廃置分合等があった場合の特例」を引き続き設け、現行過疎地域を継続して指定対象とすること。

4 現行過疎法における過疎地域の指定要件を狭めないこと。

5 過疎地域の自立促進、雇用拡大を図るため、事業用資産の買替えの場合の課税の特例措置や事業用設備に係る特別償却について、実情を踏まえ、更なる拡充を行うなど必要な措置を講じること。


国際リニアコライダーの誘致実現に関する決議

 国際リニアコライダー(ILC)は、我が国が標榜する科学技術創造立国と科学外交の実現、高度な技術力に基づくものづくりの競争力強化、さらには、人づくり革命等を促し、我が国の成長戦略に貢献する極めて重要な計画である。
 国内建設候補地とされる東北では、加速器関連技術を用いたプロジェクトが順次計画されており、今後、関連産業の集積が進み、その集大成としてILCの建設が実現すれば、高度な技術力に基づくモノづくり産業を更に成長発展させ、日本再興に大きく寄与するばかりではなく、国際的なイノベーション拠点の形成等が進み、世界に開かれた地方創生の実現が期待される。
 さらには、ILC計画は、東日本大震災からの創造的産業復興、ひいては日本の成長にも大きな役割を果たすものと確信している。
 東北は、今後とも、国内の他地域との連携を一層深め、産学官民が一体となり、ILCの実現に向けて最大限の努力をしていくものである。
 よって、国は、ILCの早期実現に向けて、次の事項に取り組むよう要望する。



1 ILCの実現に向け、国際プロジェクトを主導する立場として、各国との資金の分担や研究参加に関する国際調整等の早期合意を目指し、確実な実現を図ること。

2 ILC実現に向けた政産官学及び地域社会での様々な取組を海外政府に情報発信すること。

3 ILC計画を我が国の科学技術の進展、さらに地方をつなぐ産業・情報・技術のネットワークの形成、震災復興、民間の力を伸ばす成長戦略、地方創生の柱に位置付けること。


新型コロナウイルス感染症の第二波に備える福島県医療体制についての提案(2020/5/27)
公益大学法人福島県立医科大学の竹之下学長と連名で、福島県新型コロナウイルス感染症医療調整本部本部長の井出副知事に対し、新型コロナウイルス感染症の第二波に備える福島県医療体制についての提案を行いました。

第二波に備える福島県医療体制についての提案

 福島県及び県内医療機関の総力により現在までの新型コロナウイルスによる感染の第一波の影響を最小限にとどめることが出来た。これは県内の医療体制と保健所をはじめとする行政対応によりコロナ軍にスキを与えなかった結果と考えられる。しかし今後懸念される第二波、第三波による感染拡大リスクに対しては気を緩めることなく、「常在戦場」の心構えでこの非常事態に備え、さらに高いレベルで警戒を強めるべきである。そのためにはクラスター発生リスクの高い施設等での感染者発生を想定し、経験を積んだ医大支援チームの派遣体制を整備した上で、図上訓練や実働訓練を積み重ねる必要がある。以上の観点から下記について提案する。


【1】医療基本体制
①選択(医大病院をはじめ高度医療対応機関を重症例に特化)と集中(中・軽症対応実稼働病床を40床程度に集約)の考え方のもと、実働対応病床を残し、他の現在対応病院のコロナ病棟はスタッフを置かない休病棟状態にする。すなわち看護師・医師が3日以内に再起動できるよう配慮しつつ、病棟全体を無人準備状態にして備える。その際は休病棟補償が必要である。
②急患で来院し入院対応した患者が、後日PCR検査陽性と判明する事態を想定し、救急指定病院においては一般入院患者と別に隔離治療する病床を用意する必要がある。そのための技術指導(医大経験チームによる)と経費補助措置が必要である。
③発熱外来体制は第二波襲来の時にすぐ稼働できるよう、準備を進めるべきである。感染者が少ない状況で、休止状態にするか継続するかは各自治体及び地域医師会の判断とする。

【2】検査体制の整備について
①抗原検査、抗体検査の精度がともにPCR検査に及ばないことを踏まえ、クラスター懸念に対してはPCR検査を周辺接触者全員に可及的広範に速やかに検査すべきである。そのためにはPCR検査処理能力を充分に高める必要がある。
②病院、老人施設、学校、工場、オフィス等多人数施設での感染者発生の場合、1日1施設で200検体以上の検査施行が想定される。従ってPCR検査機設置施設の整備と地域間の協力連携体制が必要である。またその際の運搬手段を考えておくべきである。
③唾液での検体採取が開発されようとしているが、実用化までには期間がかかることから、現在の採取方法による処理能力の大幅な向上を図らなくてはならない。人材と場所の確保に留意のこと。
④保険診療または自費によるPCR検査施行は県民の不安解消のために有効である。具体的方法と対応医療機関を明示すべきである。

新型コロナウイルス感染症対策に関する医療管理体制及び搬送体制構築に係る緊急提案(2020/5/6)
公益大学法人福島県立医科大学の竹之下学長と連名で、福島県新型コロナウイルス感染症医療調整本部本部長の井出副知事に対し、新型コロナウイルス感染症対策に関する医療管理体制及び搬送体制構築に係る緊急提案を行いました。

緊急提案

 新型コロナウイルス感染症対策に関する医療管理体制及び搬送体制構築について下記のとおり提案します。


1. 医療管理体制の確立について
(1) 県内全感染者の管理と治療及び病状判断と措置指示を福島県立医科大学学長以下の医大チームに一元化(症状全般の目安は医大が指示)すること。

(2) 重症者は全て、医大専用病床又は学長が指名・依頼する、高次医療機能を有し、スタッフも含めて感染対策が完全実施されている医療機関に集約化する。

(3) 地域の感染症指定病院及び協力する中核的病院は、中等症及び軽症者を入院加療する。今後感染者が増加を見込む対策として、地域の二次救急病院のうち、病棟ごとの感染者入院対策の取れる病院にも軽症者を中心に中等症患者受け入れを依頼する。(また、令和2年5月15日現在の受け入れ病院・病床数を、支援予算も踏まえて確認し明確化する。)

(4) (2)及び(3)によるコロナ感染者受け入れ病院は、病棟ごとの対応が必要となる為、最低10床を確保する事とし、コロナ対応一病床につき最低でも二床を目安として休床補償をルール化すること。

(5) コロナ感染者受け入れ病棟勤務者、及び当該医療機関の放射線技師、検査技師、その他関連する医療職には、感染防止の為の充分な防止措置を取る事とする。従って必要量の防護服、消毒用剤等を県において調達のうえ不足の不安が現場に生じないようにすること。

(6) 無症状者及び回復者は、県の指定する宿泊施設に一定期間滞在させる。一定期間とはPCR検査後の再度陰性化が確認されることとする。軽症は医療機関において管理すべきである。

(7) 県内各地域ごとに発熱外来を設置すること。県市長会として各市に設置要請しているが、運用に際しては費用及び防護服等必要物資を支援すること。

(8) 県内保健所と発熱外来との緊密な協力体制を構築し、検体採取をお願いする協力病院とも連携を密にすること。

(9) 医大とコロナ感染者受け入れ病院との患者情報共有はキビタンネットで行い県内のすべての患者情報を医大が管理すること。今後の参入可能性病院についてもこの原則に従い準備を進めること。

(10) 各病院においてすでに設定、給付されている危険手当に加えて、医大においては県が、民間病院においても県が、市町村立病院においては市町村が医療スタッフの危険手当を追加で給付すべきである。その財源については県として適切に対応して、ひっ迫する医療現場に速やかに周知すべきである。

(11) コロナ感染対応病床看護師及び関連スタッフが、帰宅できない場合の宿泊場所をあらかじめ確保し、その費用を県が負担すること。

2. 搬送体制について
(1) 重症者の搬送については県および医大において情報を集約し医大の指示のもと県が責任を持って行うこと。その際には医大が最大限支援を行うこと。また、医大において症状が回復した患者の対応病院等への搬送は、県移送車両にて行うこと。
以上の為、県は県立医大内に専用者運転要員を必要数常駐させること。また、搬送にあたり必要な医師、看護師は医大において適切に対応する。県はその為の必要な感染防護資機材を医大に提供すること。

(2) 各地域の感染者発生の際、重傷者以外の搬送は各地域の消防救急隊において担当すること。その為に県は、救急車両が不足する場合は専用車両の借り上げの措置を、さらに改装費用、救急隊員の防護服、N95マスク等機材を提供すること。

新型コロナウイルス感染症対策に関する要望(2020/4/16)
新型コロナウイルス感染症対策に関する要望を内堀知事に対し行いました。

新型コロナウイルス感染症対策に関する要望

 令和2年4月16日に開催された福島県市長会議において出された意見に基づき、県は、新型コロナウイルス感染症から住民の安全・安心の確立のため、次の事項について万全の措置を講じるよう要望する。



1 今後の感染者増加予測に基づいた感染症対策の体制構築
 新型コロナウイルス感染症患者の増加が懸念され、その際の医療体制が適切に保たれるよう準備すべきとの意見が出された。ついては、感染者数の増加とステージ分類を速やかに予測し、感染者のステージに応じた医療提供体制を速やかに構築すること。

2 事前調整を行った上での体制構築
 1の構築のためには、治療に協力する医療機関の開設者に対する財政的、物資的、医大専門家による技術的支援を踏まえて県より依頼・調整を行う必要があること。
 また、医療機関の開設者は、医療機関スタッフの協力と地域の理解を得る必要があることから、十分な事前調整の上、体制を構築すること。

3 濃厚接触者等に対する偏見、差別を防止するための県による情報発信
 感染者の濃厚接触者は症状が出なければPCR検査を行わないとされているが、地域の中で偏見、差別の対象となっており、人権が著しく損なわれていることから、県として、PCR検査不要の裏付けを明確に示すこと。

4 県と市町村との情報共有
 地域の新型コロナ感染症対策に当たり、感染者の具体的な情報提供等について、福島県新型コロナウイルス感染症医療調整本部との情報共有を図ること。