福島県市長会事務局

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第174回東北市長会総会各県市長会提出議案

 
【行財政関係】
第1号  地方財政基盤の充実強化について
第2号  地方財政基盤の充実強化について
第3号  地方行財政の充実強化について
第4号  施設の統廃合に係る「補助金等に係る予算の執行適正化に関する法律」の柔軟な対応について
第5号  過疎地域自立促進特別措置法による過疎対策の継続について
第6号  過疎地域に対する支援の継続について
第7号  会計年度任用職員制度の施行に伴う財政措置について
第8号  所有者不明(不在)の空き家等への応急措置に対する支援について



【厚生関係】
第9号  福祉・医療施策の充実強化について
第10号 地域における社会保障基盤の充実・強化について
第11号 地域医療の充実強化について
第12号 地域医療の充実について
第13号 地域医療及び国民健康保険制度の充実強化について
第14号 社会保障制度の充実・強化について
第15号 国民健康保険事業の財政基盤の強化について
第16号 子どもに係る国民健康保険料(税)均等割額を軽減する制度の創設について
第17号 子育て環境の充実について
第18号 保育の必要性の有無にかかわらず公設公営の幼児教育類似施設を幼児教育・保育の無償化の対象とすることについて
第19号 福祉施策及び介護保険制度の充実強化について
 

経済・建設・交通関係】
第20号 農業政策の充実強化について 
第21号 農林水産政策の充実強化について
第22号 家電リサイクル制度の見直しについて

第23号 教育行政の充実強化について
第24号 教育環境の充実について
第25号 国土交通政策の充実強化について
第26号 地域公共交通の充実について
第27号 国土交通政策の充実強化について
第28号 道路・橋梁・港湾等の整備・維持管理に係る財政支援等の充実について
第29号 交通体系の整備促進について
第30号 交通体系の整備促進について
 

議案第1号

青森県市長会提出

地方財政基盤の充実強化について

 地方公共団体は,行政需要が増大,多様化する現状にあってなお,事務事業の見直しや職員数の抑制等による歳出削減に取り組み,行財政基盤の強化に努めてきたところであるが,景気回復局面における地域格差の拡大や人口減少,急激に進む高齢化等による社会保障費の増大など,地方財政を取り巻く環境はより一層厳しさを増している。
 地方公共団体が地方創生の実現に向けて施策を進めていくためには,持続可能で安定した財政基盤の確立が不可欠であるが,脆弱な財政基盤が合併の一因となった地方公共団体においては,合併関連事業の進捗が遅れていることに加え,行政区域の広域化に対応するための財政需要は依然として高く,大きな負担となっている。
 また,地方創生関係交付金,特に地方創生拠点整備交付金については,施設の新築や建築工事における増築・改築が要件となっていることから,更に地域の実情に応じた活用しやすい交付金とするため,地域経済の活性化に資する既存公共施設の機能強化や新規設備の導入への活用,先導性・先駆性にかかる要件の緩和等,弾力的な運用が必要である。
 よって国は,地方財政基盤の充実強化のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 地方創生の実現に向けて,地方公共団体が自主性を発揮して施策を進められるよう合併団体等の財政需要を遺漏無く地方財政計画に反映させ,臨時財政対策債の廃止に合わせた地方交付税の増額による十分な財政措置を講じること。

2 地方創生関係交付金,特に地方創生拠点整備交付金については,地域の実情に照らしながら,効果的に活用できる真に自由度の高い交付金とするため,更なる要件の緩和等を検討すること。

3 過疎地域自立促進特別措置法については令和3年3月末をもって失効することとなるが,人口減少と高齢化が特に顕著である過疎地域に対し,引き続き総合的な過疎対策の充実強化を図るため,新たな過疎対策法を制定するとともに,過疎地域市町村を含む合併があった市町村においても過疎地域の振興が図られるよう,現行法第33 条の規定による「市町村の廃置分合等があった場合の特例」を引き続き設けること。




議案第2号

秋田県市長会提出

地方財政基盤の充実強化について

 地方自治体には,少子高齢化に対応した保健・医療・福祉施策の推進,生活関連施設の整備,農林水産業の振興などの課題に的確に対応する役割が求められており,懸命に行財政改革に取り組んではいるものの,より自主的・主体的な地域づくりを進めるためには,なお一層の財源の充実・強化が必要不可欠となっている。
 こうした中,多くの自治体では人口減少により,地域経済の規模縮小が引き起こされ,税収減少による行政基盤の低下により行政サービスの維持が困難となることが予想されるところであり,今後とも持続的に行政サービスを提供していくためには,安定的な財源の確保が不可欠である。
 よって,国は,地方自治体の安定的な財政運営が図られるよう,次の事項について,特段の措置を講ずるよう要望する。


1 地方譲与税及び地方交付税については,地方自治体の安定的財政運営に必要な総額を確実に確保するとともに,地方交付税制度については,地域間の格差が拡大することのないよう財源調整機能と財源保障機能を堅持すること。また,地方交付税原資の安定性の向上・充実を図るため,法定率の見直しを行うなど,引き続き持続可能な制度の確立を目指すこと。

2 国庫補助負担事業の廃止等にあたっては,地方への負担転嫁とならないよう十分な財源確保措置を講じること。

3 地方債の総額を確保するとともに,起債充当率の引き上げ,貸付利率の引き下げ等地方債発行条件の改善を図ること。

4 地方分権改革の推進にあたっては権限移譲とあわせて税源移譲も確実に実施すること。




議案第3号

福島県市長会提出

地方行財政の充実強化について

 まち・ひと・しごと創生法では,地域の実情に応じた施策を展開することで,人口減少問題に一定の歯止めをかけることが期待されているが,地方自治体が「総合戦略」に基づくニーズをとらえた実効性のある各種施策を企画立案,実行するには,財源やICTのさらなる活用,各種規制緩和が必要不可欠である。
 また,「経済財政運営と改革の基本方針2018」において,地方財源については,基盤強化期間と位置付けた2021年度まで,「地方の歳出水準については,国の一般歳出の取組みと基調を合わせつつ,交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について,2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされたところであるが,地方自治体は,行政需要が増大,多様化する現状にあってなお,事業抑制や職員数削減等による歳出低減に取り組み,行財政基盤の強化に努めてきたものの,景気回復局面における地域格差の拡大や人口減少,急激に進む高齢化等による社会保障費の増大など,地方財政を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。
 よって,国は,地方行財政の充実強化のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 「まち・ひと・しごと創生総合戦略(2018改訂版)」において国は,「中枢中核都市」(82市選定。政令都市,中核市,県庁所在地,旧特例市)に対する支援を強化することとしており,また,政府の第32 次地方制度調査会では,圏域における地方公共団体の協力関係について議論が行われていることから,中枢中核都市以外の地域についても明確なビジョンを示すこと。

2 地方創生推進交付金については,人口減少克服・地域経済活性化に向けた事業などの推進のため,地方自治体の判断で自由に活用できる財源となるような制度に改めるとともに,十分かつ継続的な財源の確保に努めること。
 また,地方創生拠点整備交付金については,地方創生の充実・強化に向けて,地域経済の活性化への効果が高い施設の整備等を対象としているが,中枢中核都市の機能強化や中心市街地活性化へ寄与する拠点整備への活用などを考慮し,事業費の規模,地域の実態に合わせて効果的に活用できるように,さらなる上限額の嵩上げを図るとともに,継続的な財源の確保に努めること。

3 社会保障・税番号制度を活用し,住民異動届等のオンライン申請や住民基本台帳ネットワークシステムの運用時間帯の延長など住民利便性の向上を図るとともに,制度の国民への周知と理解促進を図り,自治体の財政負担を軽減するよう万全の措置を講じること。
 また,電子証明書等の取得について,顔写真付身分証明書の複写の廃止や手数料無料期間の当面の期間延長など住民の利便性向上を図るとともに,地方公共団体情報システム機構から住民へ更新を促す通知を出すなど,公的個人認証サービスの事務の簡素化及び普及の促進を図ること。加えて,「個人番号カードの多目的利用に要する経費に係る特別交付税措置」については,期間を限定することなく十分かつ継続的な財源の確保に努めること。
 また,各特区制度については,当該制度における実績等を鑑み,実効性のある事業等について他自治体においても活用できるよう,速やかに規制緩和等を行うこと。
 また,各種統計調査に係る調査データについては,各種施策を企画立案する際に重要な基礎データとなるため,全ての統計調査において,市町村単位でデータの抽出を自在に行えるようにするとともに,誰もがデータを取得でき,かつデータの二次利用ができるようにすること。また,調査項目については,行政,民間問わず時代のニーズに即した項目を適宜追加し調査すること。
 また,地域間の情報格差を是正し,地域住民の生活向上や地域経済の活性化を図るため,民間事業者が光回線等を整備できるよう,情報通信利用環境整備推進事業の要件を緩和し,超高速ブロードバンド未整備地区における情報通信基盤整備に対する財政支援を行うこと。

4 社会保障など自治体の行政運営に必要な財政需要を地方財政計画に的確に反映し,2020年度以降も地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額・地方交付税総額を確保すること。
 また,普通交付税の算定について,「人口と面積」といった規模だけではなく,地方の実情に沿った算定方法に改め,地域間格差を是正するような予算の確保・充実を図ること。

5 税制改革で地方税が減額された際には,補てんする財源を確保すること。

6 法人税率の引き下げに伴う代替財源について,課税ベースのさらなる拡大等により安定的な代替財源を確保し,地方の歳入に影響を与えないよう措置を講じること。
 また,地方公共団体間の財政力格差の是正は,法人住民税などの地方税収を減ずることなく,国税からの税源移譲や地方交付税の法定率の引上げ等,地方税財源拡充の中で行うこと。

7 住民生活に直結する行政サービスに係る財政需要の急増に対応するため,偏在性の少ない安定的な財源である地方消費税の拡充を図ること。

8 地方消費税交付金の増収分が,一般財源の増加につながるよう,消費税率の10%引上げ時までに,財政力に応じて算入率を見直すこと。

9 緊急防災・減災事業及び公共施設等の老朽化対策について,継続して取り組めるよう財源の確保を図ること。
 また,公共施設の統廃合に際し,公共施設と民間病院等公益性の高い施設との複合化が推進されるよう,民間施設との複合化についても,市民の利便性を向上し街づくりに資するため,公共施設等適性管理推進事業債の対象とするなど,財政措置を拡充すること。


 


議案第4号

秋田県市長会提出

施設の統廃合等に係る「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の柔軟な対応について

 高度経済成長期に建設された公共施設が,これから大量に更新時期を迎える一方で,地方公共団体の財政は依然として厳しい状態にある。
 人口減少等により公共施設等の利用需要が変化し,未利用施設の増加等,市町村合併後の施設全体の最適化を図る必要性がある。
 公共施設等の最適な配置を実現するため,公共施設等総合管理計画を策定し,公共施設等の全体を把握するとともに,長期的な視点をもって更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行っている。
 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第22 条(財産の処分の制限)については,平成20年5月の財務省通知(補助対象財産の転用等の弾力化について)により,各省庁から「補助事業等により取得し,又は効用の増加した財産の処分等の承認基準」の通知がなされ,補助対象財産の処分手続きに関しては一定の弾力化が図られたところであるが,各省庁間で,その手続きや取扱い等に差異があり,今後,公共施設等総合管理計画によって施設の縮小を進めるにあたりその実行が困難となることもあり得る。
 よって,国は,地方公共団体が公共施設等総合管理計画に基づき実施する国庫補助対象施設の統廃合・複合化等については,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第22条(財産の処分の制限)に係る各省庁の取り扱いが,より柔軟かつ弾力的な運用が可能となる措置を講じるよう要望する。





議案第5号

秋田県市長会提出

過疎地域自立促進特別措置法による過疎対策の継続について

 過疎地域においては,若年層の流出を中心とした深刻な人口減少と高齢化の進行に直面し,地域医療の弱体化,路線バスの廃止,耕作放棄地の増加及び森林の荒廃等の生活・生産基盤の弱体化が進んでおり,また地域によっては存続が危ぶまれる集落が増加するなど,地域の抱える課題は一層深刻さを増している。
 このような状況のもと,住民にとって安全・安心な暮らしを確保する公共施設等の整備や集落維持を目的とした,きめ細かな施策及び活性化のための積極的な取り組みが,人口減少の歯止めとして期待されている。
 過疎関係市町村は,一般的に財政力が脆弱で人口減少,高齢化が全国に先行して進んでいることから,地域の活力を維持し,自立して発展を続けるためには過疎対策の継続が必要である。
 よって,国は,期限が令和3年3月31日となっている過疎地域自立促進特別措置法の期限延長,あるいは引き続き,過疎地域の振興が図られるよう新たな過疎対策法を制定するとともに,財政基盤の強化として地方交付税措置による財源保証機能を伴う過疎対策事業債制度を存続し,必要額の確保について特段の措置を講じるよう要望する。





議案第6号

宮城県市長会提出

過疎地域に対する支援の継続について

 過疎地域は,我が国の国土の過半を占め,豊かな自然や歴史・文化を有する地域であり,都市に対する食糧・水・エネルギーの供給,国土・自然環境の保全,いやしの場の提供,災害の防止,森林による地球温暖化の防止などに多大な貢献をしている。
 しかしながら,過疎地域においては,多くの集落が消滅の危機に瀕するなど,極めて深刻な状況に直面している。人口減少に歯止めをかけるには,大都市から地方へ,人・企業 などを分散することが重要であり,そのためにも過疎地域が安心・安全に暮らせる,活力と魅力ある地域として健全に維持されていくことが必要である。
 よって,国は,令和3年3月末をもって失効する現行の「過疎地域自立促進特別措置法」の期限終了後も,過疎地域が果たしている多面的・公益的機能を今後も維持できるよう,引き続き過疎地域に対して総合的かつ積極的な支援を継続し,住民の暮らしを支えていく政策を推進するため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 継続的に過疎地域の振興が図られるよう,令和3 年度以降における新たな過疎対策法を制定すること。

2 現行過疎法の期限終了後も,過疎市町村が取り組む事業が円滑に実施できるよう過疎対策事業債及び各種支援制度の維持を図ること。

3 過疎地域市町村を含む合併があった市町村において,過疎地域の振興が図られるよう現行法第33 条の規定による「市町村の廃置分合等があった場合の特例」を引き続き設けること。


議案第7号

宮城県市長会提出

会計年度任用職員制度の施行に伴う財政措置について

 

 平成29年5月の地方公務員法及び地方自治法の改正に伴い,会計年度任用職員制度が創設された。この改正は,地方自治体の臨時・非常勤職員の任用の適正化を図るものであるが,月額の給与・報酬のほか,新たに常勤職員の取扱いとの権衡等を踏まえて期末手当の支給が可能となるなど,厳しい財政状況にある地方自治体にとって,大きな負担となるものと予想されているところである。
 このような中,各自治体においては,令和2 年4 月の施行に向け,制度導入の準備を進めているが,国からは,平成29年8月23日付け通知において「地方財政措置についても適切に検討を進めていく予定」とされているものの,平成30年10月18日付け通知においても,未だその具体な内容は示されておらず,各自治体の制度設計に影響が生じている状況である。
 よって,国は,各自治体が法改正の趣旨に則った適切な対応を進められるよう,早期に
地方財政措置の詳細を示すとともに,十分な財政措置を講ずるよう要望する。





議案第8号

山形県市長会提出

所有者不明(不在)の空き家等への応急措置に対する支援について

 

 空き家・空き地については,全国的にも増加している状況にあり,中でも,所有者が死亡し相続人不在となった空き家や,廃業し管理責任者不在の大規模建築物については,その老朽化に伴い,建物の一部が周辺民家近くに落下したり,不審者が出入りしたりするなどの問題が発生している。
 このように,管理不十分な空き家や大規模建築物は,防災・防犯をはじめ衛生・景観の面でも住民生活に悪影響をもたらしている。
 県内の自治体では,住民の人身・財産に危険が切迫している場合,空家等管理条例に基づき応急措置を行っているが,特に大規模建築物に関しては繰り返し応急措置を行う必要が生じており,費用負担は増える一方,所有者不在等の理由により回収の目途が立たない現状となっている。また,応急措置を行う際,建物の構造や建材に関する知見がなく,対応するまで時間を要するケースがある。
 よって,国は,このような課題を解決するため,応急措置に関する法整備と市町村が実施する応急措置への技術的・財政的支援を講じるよう要望する。


      

議案第9号

青森県市長会提出

福祉・医療施策の充実強化について

 全国における民生委員・児童委員の充足率が年々低下し,欠員の増加に歯止めがかからない状況にあり,高齢化も進んでいる中,国では「我が事・丸ごと」の地域福祉社会推進の理念が示され,地域住民の身近な相談相手,地域コミュニティにおける福祉の中心的な担い手として民生委員・児童委員への期待がこれまでにも増して高まっている。
 一方で,住民の生活課題,福祉課題は多様化,複雑化しており,民生委員・児童委員の負担の拡大,担い手不足等が深刻化し,制度自体の根幹を揺るがしかねない危機的な状況となっている。
 更には,連携する地域支援者間における個人情報の共有に係る取扱いの指針が示されておらず,民生委員・児童委員の活動に支障をきたしている。
 また,全国的に地域病院における医師不足が問題となっている中,特に産科医及び麻酔科医の不足は,急性期医療や周産期医療の充実を困難にしており,医師確保は少子化に歯止めをかけるためにも欠かせないものとなっている。
 よって,国は,どこにいても誰もが健康で安心して生活できる福祉・医療制度の確立を推進するため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。




1 民生委員・児童委員については,地域の意見を聞きながら,拡大する役割に応じた報酬制度の創設や活動に応じた費用弁償の支給など,ボランティアを原則とする制度の根本的な見直しを図り,持続可能な制度を確立すること。また,守秘義務については,町内会等と連携した地域の個別支援活動が円滑に行われるよう,地域支援者間における個人情報の共有に係る取扱いの指針を示すこと。

2 産科医,麻酔科医の確保は喫緊の課題となっていることから,緊急医師確保対策を早期に実現し,医師の養成並びに地域偏在及び専門科目の偏りの解消等に取り組むこと。




議案第10号

秋田県市長会提出

地域における社会保障基盤の充実・強化について

 人口減少,高齢化が進む中にあって地域に住み続けるためには,医療及び介護の安定的供給が必要不可欠となっている。
 しかしながら,現状では医師の地域及び診療科間の偏在が大きな課題となっており,また人口減少地域における病院経営を支援する措置等による医療機関の堅持が求められている。
 また,介護保険については,高齢化の進展にともない実情に即した運営を安定的に提供することが困難になっている。
 よって,国は,医療及び介護の安定的な供給のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 いのちを守る緊急の課題として医師養成を図るとともに,医師の偏在をなくし,全国均等な専門医の配置など医療提供体制の整備について,国の制度や方針を確立すること。

2 国が実施する医師確保対策の強化により,地域住民に良質な医療を効果的かつ持続的に提供できる医療環境を早急に構築すること。

3 関係機関の連携のもと,医療機関への医師配置に関する調整機能を確保し,医師の地域偏在を是正すること。

4 現在の地域医療の窮状を解決するため,医師の地域偏在が是正されるまでの間,緊急臨時的な措置として短期間交替制の常勤医師の派遣制度を創設すること。

5 産科,麻酔科及び小児科の救急医療について,国の責任において地域への均衡ある医師配置に取り組むなど,医療体制の整備と財政措置の継続を図ること。

6 地域性や患者の必要度に応じた安全で質の高い看護を持続的に提供できるよう,看護師確保に対する諸施策を積極的に行うこと。
 また,医師・看護師と同様に薬剤師確保に対する諸施策を実施すること。

7 安全・安心して出産できる体制を構築するため,総合周産期母子医療センター,地域周産期医療センターの機能と二次病院・地域周産期医療施設の連携を強化するとともに,地域の分娩取扱機関が可能な限り存続できるような施策を講じること。

8 消費税率引上げ対策として診療報酬大幅プラス改定と,医療材料や医療品などの仕入 
れに係る消費税負担の軽減措置を講ずること。

9 介護及び介護予防に係る給付費の国庫負担割合を,現行の20%から引き上げるとともに,調整交付金は従来どおり別途配分するなど,更なる財政基盤の強化と介護保険料上昇の抑制に努めること。


議案第11号

岩手県市長会提出

地域医療の充実強化について

 市民一人ひとりの生命を守り,医療格差のない安心・安全な医療サービス等が提供される地域医療の充実が求められている。
 しかしながら,医師が都市部に集中し,地方で不足する「地域偏在」と,産科医や外科医等のなり手が少ないことによる「診療科偏在」を要因として,地域においては必要な医療体制の確保が難しい状況にある。
 特に,岩手県においては,平成31年2月,厚生労働省が公表した「医師偏在指数」において,全国最下位となるなど,医師不足は深刻な状況であり,一刻も早い解消が求められている。
 よって,国は,次の事項について,特段の措置を講じるよう要望する。



1 医師の地域偏在,診療科偏在や,看護教員を含めた看護職員の不足等の実態を踏まえ,医師の偏在や不在の状況が是正されるまでの間,国による医師派遣等,即効性のある施策及び十分な財政措置を早急に講じること。また,二次医療圏域を越えた“広域医療”の構築及び円滑な連携体制整備に対し,財政支援を講じること。

2 医師に一定期間,地域医療従事を義務付けるなど,地方が医師を確保できる仕組みを早急に構築すること。

3 医師,看護師確保対策について,県による取組みが円滑に行われるよう,引き続き実効性のある医療環境の改善策,財政支援の増強を講じること。



議案第12号

宮城県市長会提出

地域医療の充実について

 安全で安心な生活を送るためには,地域医療の充実が不可欠であり,中でも,自治体病院は地域の中心的な病院として,一般医療や救急医療等で重要な役割を担っており,地域医療に欠かせない存在である。
 また,高齢化に伴う疾病構造の変化,事故や災害の多発傾向,医療技術の進歩,住民意識の変化などにより,救急医療及び高度専門医療に対する住民のニーズが拡大してきているが,医師や看護師等の医療従事者の不足が深刻化している上,本県における救急医療施設及び高度専門医療施設の設置状況は県内二次医療圏毎に見ると必ずしも十分とは言えない。各圏域内でのこれら施設の設置等だけでなく,医療法の規定に基づき,五疾病(がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病,精神疾患)や五事業(救急医療,災害時医療,へき地医療,周産期医療,小児医療),在宅医療に対応した医療分担及び地域医療連携体制の構築が強く望まれている。
 一方で,医療費助成制度に目を向けると,乳幼児医療費助成制度は,乳幼児の健全な発育を促進し,子育て家庭の経済的負担を軽減する重要施策として,都道府県の補助を受け,市町村事業として実施しているが,その内容は都道府県により異なっている。市町村においては,少子化が進む中で,独自に対象年齢を引き上げるなどの上乗せ助成が行われていることから,少子化対策に関する地域間格差が懸念される。
 よって,国は,地域医療の充実や医療費助成制度の充実のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 経営環境の厳しい自治体病院に対する経営安定化のため,救急医療を始めとする不採算部門への支援,公立病院特例債の復活,独自補助制度の創設等,財政支援措置を拡充すること。また,平成15年度から病院事業債の繰出基準を2分の1に減じているが,自治体病院の経営安定化を図るため,3分の2に復元して地方交付税に算入する等,財政支援措置を拡充すること。

2 現行の消費税制度において,診療報酬が非課税である反面,医薬品や医療機器等の購入に係る消費税は病院が負担することになり,病院経営に対する影響は大きいものがあるため,これに係る税制度の抜本的改正をすること。また,自治体病院の経営安定化に繋がるよう地域医療に係る診療報酬体系の見直しを図ること。

3 県内の二次医療圏毎に医療機関の機能分担による整備を行い,高度専門医療機能を持つ病院及び小児科・産科医師を集約化した拠点病院の整備を早期に行うとともに,救命救急センターの設置等,確実に救急患者の受入れができる体制の確立を図ること。また,地域の中核的病院及び災害拠点病院の整備・強化を図ること。

4 救急医療体制を維持・確保するため,二次救急患者の転院体制を構築するなどにより,二次救急医療体制の充実強化を図るとともに,救命救急センター運営に対する財政支援を行うなどにより,三次救急医療体制の充実強化を図ること。また,夜間及び休日における適正受診を促すよう,更なる啓発を行うこと。

5 医師,看護師,薬剤師,理学療法士等の医療従事者の人員の確保及び地域偏在の是正等が図られるよう,医師派遣体制を充実させるとともに,自治医科大学等の入学定員の増員や医師に一定期間地域医療従事を義務付ける等のシステムを早急に構築する等,各種支援措置を講じること。また,「働き方改革」が叫ばれている中,医師をはじめとする医療従事者の労働環境の整備が喫緊の課題と捉えた上で,不足している小児科・麻酔科・産婦人科等の診療科の医師や救急医の確保,医療従事者の離職防止対策,養成制度の充実・支援及び復職支援対策等,医療体制の一層の整備を図ること。

6 現行の医師臨床研修制度による影響分析と特定診療科目からの医師離れへの対策を講じるとともに,新専門医制度の導入により地方にバランスよく若手医師,女性医師が配置されるような仕組みを構築し,勤務医の地域偏在,診療科偏在が是正されるよう進めること。更に,地域包括ケアを支える人材として,総合診療専門医の養成を図ること。また,医師が地方で安心して働ける環境整備への支援を行うこと。

7 医療が高度化,専門化する中で,高い水準の知識と技術を有する看護職員が求められ,所定の研修を受講した看護師の配置が,多くの診療報酬の要件となっているにも関わらず,地方においては研修機会が少なく,更に研修受講のためには,長期間,遠方への研修派遣により負担を余儀なくされている現状を鑑み,地方における看護師の教育体制整備及び財政措置を含めた養成教育への支援施策について,早急に実施すること。

8 夜間急患センターを含む医療施設,設備等設置に要する費用について,財政措置を講じるとともに,同施設の運営に要する経費として措置されている特別交付税について,算定条件である合計診療時間を段階的なものに改め,その区分に応じた算定額とすること。

9 自治体病院における電子カルテシステムの整備に伴うクラウド利用料などの情報処理費用に対する操出金の制度化と交付税措置を講じること。

10 全国一律の「子どもの医療費助成制度」の創設,健康保険の患者負担軽減措置対象年齢の拡大など,地域間格差のないよう少子化対策としての子どもの医療費支援措置を国の責任で行うこと。また,国民健康保険に係る国庫負担金について,基本交付額から地方単独事業波及増額分を減額して交付する療養給付費負担金減額措置を廃止するなど,財政支援の充実を図ること。



議案第13号

福島県市長会提出

地域医療及び国民健康保険制度の充実強化について

 東北地方においては,地域的偏在による医師不足が恒常化し,地域に必要な医療体制の確保が難しい状況となっており,安心して子どもを生み育てることができないといった不安を住民に与え,少子化に拍車をかける要因にもなっている。
 また,国民皆保険制度の基礎となる国民健康保険制度は,他の医療保険制度と比較して高齢者や低所得者の割合が高いなどの構造的な問題を抱えており,財政基盤は極めて脆弱である。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 産科及び小児科,並びに二次救急医療機関について,国は緊急医師確保対策を早期に実現し,医師の養成や地域偏在及び専門科目の偏りの解消に取り組むなど医療体制の整備を図ること。
 また,医師の確保・調整については,都道府県の取組みが円滑に進むよう引き続き財政支援を行うことはもとより,都道府県域を超えた医師偏在の調整や,国による医師派遣システムの構築等,医師派遣制度の更なる拡大に実効性のある措置を講じるなど医師が不足している地方病院が医師を確保できるシステムを早急に構築すること。

2 医師,病院等の偏在による医療サービスの格差を埋めるべく,自治体が取り組む地域医療の確保・充実のための施策に対し,十分な財政支援措置を講じること。
 また,医療機関の偏在を是正するため,休床している病床を偏在是正に活用できる制度を創設すること。

3 医師,看護師,薬剤師,理学療法士等の医療従事者の人員の確保及び地域偏在の是正等が図られるよう,医師派遣体制を充実させるとともに,自治医科大学等の入学定員の増員や医師に一定期間地域医療従事を義務付ける等のシステムを早急に構築する等,各種支援措置を講じること。
 また,特定の診療科に偏らないような医師育成制度を構築するとともに,新専門医制度の導入により都市部や大病院等への更なる医師の偏在を加速させないよう対策を講じること。

4 自治体からの公的病院等への各種助成に対する特別交付税措置は,地域医療の確保の上で貴重な財源であり,救急医療提供体制を維持する上で今後も必要であるため,交付税措置を継続するとともに措置額の縮小等を行わないこと。
 特に,救急告示病院に関しては,公的病院と私的病院の格差を是正すること。

5 新たなワクチンの定期予防接種化に当たっては,自治体の財政基盤や被接種者の経済状況によらず,財源を全額保障すること。
 また,任意の予防接種であるおたふくかぜ及びロタウイルスワクチン接種費用についても,財政措置を講じること。

6 風しんに関する追加的対策については,自治体に財政負担が生じることがないよう,国の責任において必要な財源を確保するとともに,事務負担の増加に伴う人件費やシステム改修経費をはじめ,円滑な事務処理に必要となる経費に対しても同様の財政措置を講じること。
 また,居住地のみならず居住地以外の医療機関等においても,抗体検査及び予防接種を受けることができる全国規模の広域性を持った内容であることから,抗体検査及び予防接種に係る標準単価の設定の他,休日・夜間における実施体制の整備等,国の責任において実施体制の整備を行うこと。
 また,自治体及び関係機関が,対象者に対して新制度を確実に周知でき,混乱なく円滑に業務を運営するために必要な準備作業に着手できるよう,事務処理要領の策定を急ぎ,早急に各種様式のひな形等を示すこと。

7 新たな運営体制となった国民健康保険制度について,安定的かつ持続的な運営ができるよう,国庫補助を増額するなど,更なる財政基盤の拡充強化を図ること。
 また,国民皆保険制度を堅持するため,将来的には,全ての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向けた抜本的改革を実施すること。
 更に,国民健康保険制度改革に合わせて市町村の事務処理の標準化・効率化を図るために,国が開発し,各自治体へ導入を促進している市町村事務処理標準システムについては,小・中規模自治体向けに作られており,大規模(概ね人口30 万人以上)自治体で導入した場合は,効率化に逆行する恐れがあることから,大規模自治体でも外付けシステム等を使用することなく事務処理が可能となるよう,市町村事務処理標準システムの機能改善を図ること。

8 国民の健康増進及び傷病の重症化防止並びに自治体の事務の軽減が図られるよう,また,自治体独自の子育て世代の移住・定住促進策を阻害することのないよう,医療費助成の現物給付方式実施に伴う国保の普通調整交付金及び療養給付費負担金の減額措置を完全に廃止すること。

9 国保税における子どもの均等割額については,被用者保険にはない負担であり,医療保険制度間の公平性を確保し,子育て世帯の負担軽減を図るため,国による財源措置を含めた軽減制度を創設すること。

10 低所得者や高齢者などの国保税(保険料)軽減を拡充するとともに,国の責任において十分な財政補てんを行うこと。
 とりわけ,生活保護水準の世帯については,国保税(保険料)の応益負担を現行の最大7 割から,更に軽減を拡充するなどの措置を行うこと。


議案第14号

岩手県市長会提出

社会保障制度の充実強化について

 国民健康保険制度においては,財政運営の責任主体を都道府県とする改革を行い,財政措置として総額約3,400億円の公費拡充が図られたが,他の医療保険制度と比較して高齢者や低所得者の割合が高いなどの構造的な問題が解消されたわけではなく,高齢化の進展や医療技術の高度化に伴う医療費の増加や被保険者数減少等の影響もあり,都道府県化に際して,時限的な保険税の激変緩和措置が図られているものの,今後も厳しい財政状況が見込まれている。
 また,医療費助成事業の現物給付方式は,医療費の支払いにおける一時的な窓口負担を伴わず,経済的理由による受診抑制を要しないことから,医療サービスの受診機会の適正な確保の推進につながるものであるが,国は現物給付を実施する自治体に対し,ペナルティともいえる国庫負担金の減額措置を設けている。
 一方,地方自治体においては少子化対策の一環として,子育て家庭の経済的負担を軽減するため,地方単独事業により医療費の軽減措置を講じているのが現状である。
 更に,感染症等の予防及びまん延予防を目的として実施している予防接種は,国が定める「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の基本的な方向である国民の健康寿命の延伸や健康格差の縮小に大きく寄与するものであるが,その実施に当たっては,自治体が費用の一部を負担しており,その財政負担が非常に大きく,自治体の財政状況を圧迫している。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 被保険者の所得に対する保険負担割合の抑制を図り,かつ,国民健康保険が安定的かつ持続的に運営できるよう,国庫補助の増額等財政支援を拡充し,財政基盤の強化を図ること。

2 
医療費助成の現物給付方式の実施に伴う普通調整交付金及び療養給付費負担金の減額措置を廃止すること。

3 子どもに係る国民健康保険税の均等割額については,子育て世帯の負担軽減を図るため,国による財源措置を含めた軽減制度を創設すること。

4 子どもの医療費助成制度について,全ての国民が安心して子どもを産み育てられるよう,国の責任において全国一律の制度を創設すること。

5 定期予防接種に係る費用については,全額国庫負担とすること。


議案第15号

山形県市長会提出

   国民健康保険事業の財政基盤の強化について

 国民健康保険制度は,日本の国民皆保険の基盤となる仕組みであるが,「年齢層が高く,医療水準も高い」等の構造的な問題を抱えているため,平成30年4月から制度が改正され,国の責任として,追加的な財政支援(公費拡充)を行うとともに,都道府県と市町村がともに国民健康保険の保険者となり,それぞれの役割を担うことになった。
 都道府県においては,市町村ごとの医療水準や所得水準に応じた国保事業費納付金(保険料負担)の額を決定し,保険給付に必要な費用について全額,保険給付費等交付金として市町村に支払っている。
 しかしながら,平成30年度の国保事業費納付金については,国が提示した算定方法に従い保険給付費等を推計し算定したところ,その結果が大幅に過小となり,国保財政安定化基金を取り崩して歳入を確保している状況にある。
 また,新制度開始2年目となる平成31年度国保事業費納付金については,前年度と比較して大幅な負担増となり,更には,取り崩した基金の復元資金の負担,医療の高度化による医療費の増加も見込まれ,市町村の国民健康保険事業の財政運営に,大きな影響がでることが懸念されている。
 よって,国は,制度改正の当初の目的である県と市町村との共同運営による安定的な財政運営を推進するとともに,市町村の国保財政の基盤強化を図るため,次の事項について,特段の措置を講じるよう要望する。



1 国から提示されている納付金算定方法について,早期に精度の高い安定的な算定方法にすること。

2 今後の基金復元に係る市町村の負担分に対して,現行の国費負担とは別に財政支援を行うこと。

3 急激に増額した平成31 年度の市町村納付金について,激変緩和措置として財政調整交付金の増額等により,市町村の国保財政の基盤強化を図ること。


議案第16号

山形県市長会提出

子どもに係る国民健康保険料(税)均等割額を軽減する制度の創設について

 国民健康保険制度は,大規模な公費を投入して財政基盤を抜本的に強化するとともに,平成30年4月1日から都道府県が財政運営の責任主体となり市町村と共同で運営する体制となった。
 一方,少子高齢化という根本的な課題への取組みとして子育て世帯の経済的負担の軽減対策,子ども・子育て支援対策等も極めて重要なものと考えられる。
 このような中で,国民健康保険においては,子どもに係る負担軽減の措置は無く,均等割保険料(税)が一律に賦課されることから子どもが多い世帯ほど負担が増す制度となっている。均等割額は所得等に応じた法定軽減があるものの,被用者保険には無い負担であり,医療保険制度の公平性を確保し国民の負担の平準化を図るうえで,早急な見直しが求められる。
 よって,国は,子育て世帯の負担軽減を図るため,子どもに係る国民健康保険料(税)均等割額を軽減する制度を創設するよう要望する。




議案第17号

福島県市長会提出

子育て環境の充実について

 自治体は,子どもたちに一番近い立場で,子どもたちの視点に立ち,全ての子どもの健やかな育ちを目指して,子どもたちを中心とした支援策を創意工夫し,その実施にまい進している。
 こうした中,令和元年10月1日から幼児教育・保育の無償化が実施されることとなり,これに先立ち,認可外保育施設の質の確保・向上をはじめとする,幼児教育・保育の無償化に関する様々な課題について,PDCAサイクルを行うため,国と地方のハイレベルによる「幼児教育の無償化に関する協議の場」が設置され,具体的な協議が開始された。
 自治体は,子どもたちの命を預かる立場から,円滑な無償化の実施に向けて,適切に対応していく所存である。
 よって,国は,自治体の意見を踏まえた望ましい形で,子どもたちのための無償化を実現するよう,また,子育て世代の誰もが一律の支援が受けられ,安心して子どもを生み育てる環境を整えるため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 認可外保育施設等の質の確保・向上を図るため,無償化の対象となる施設等は指導監督基準を満たした施設等とすること, 待機児童問題により指導監督基準を満たさない施設等を無償化の対象とする経過措置を設ける場合であっても,最大限,子どもたちの安全確保の方策について検討し,対応を図るとともに,経過措置の具体的な検討課題や見直し方法に係る協議を開始すること,児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督が実効性をもって徹底されるよう必要かつ十分な支援を行うこと,施設等の実態を正確に把握し,児童福祉法に基づく届出の適正化を図るとともに,市町村と都道府県が施設等の情報を速やかに共有するための仕組みを構築すること,施設等が速やかに指導監督基準を遵守し,又は認可施設への円滑な移行が図られるよう必要かつ十分な支援を行うことについて,取り組むこと。

2 幼児教育・保育の無償化の円滑な実施に当たっては,自治体において相当な実務上の準備を要することに十分配慮し,早急に制度設計の詳細を明らかにするとともに,関係法令等を整備すること。また,自治体の事務負担の増加に十分配慮するとともに,無償化給付における新たな保育の必要性の認定,食材料費の実費徴収や償還払いによる給付等について,無償化を円滑に実施するための詳細なマニュアルを作成すること。
 また,無償化に伴う保育需要への影響を見据え,待機児童の解消に向けて,更なる処遇改善や研修の充実等による幅広い保育人材の育成・確保,施設整備費等に対する財政措置,公定価格における定員超過による減算措置の撤廃又は期限の延長など,必要な支援措置を講じること。
 また,無償化の対象とならない子育て世帯との子育て支援の公平性に配慮し,国の責任において,必要な措置を講じること。
 また,無償化により,自治体や事業者に新たな財政負担が生じることから,無償化対応のための人件費も含め,無償化に要する全ての財源については,地方に負担を求めず,国の責任において確保すること。

3 出生率の低下に歯止めをかけるため,妊娠・出産を望む男女がどこの自治体においても十分な治療が受けられるよう,不妊治療の実情を踏まえ,経済的負担軽減のため特定不妊治療助成事業の助成額を拡充すること。

4 子ども・子育て支援法に基づき市町村が支弁する施設型給付費等の支給に要する費用について,平成29年度より新たな保育士処遇改善策が追加され支弁する施設型給付費等の総額が増額となり市町村の負担も増大していることから,子どものための教育・保育給付費国庫負担金について現行制度の負担割合を見直し,国の負担割合1/2を引き上げ,市町村の負担割合を1/4未満に軽減すること。

5 放課後児童クラブを利用する低所得世帯等を対象に利用料の減免を行った場合に,その減免した額に対する補助制度を創設すること。
 また,学校施設への放課後児童クラブ整備に伴い生じる,特別教室の移設費用やリース費用等についても補助対象とすること。
 また,「放課後児童クラブ支援事業」における賃借料補助については,補助対象が平成27年度以降に新たに実施する場合等と限定されているため,実施団体間の公平性が保てるよう,補助制度の見直しを行うこと。

6 多額の費用を要する学校施設の改築や大規模な改修は,自治体単独の負担で実施することは極めて困難であることから,次代を担う子ども達の安全・安心な教育環境を確保するためにも,公立学校の改築や大規模な改修に対し,実情に見合うよう補助単価を引き上げるとともに,十分な財政措置を講じること。
 更に,小中学校のICT環境整備を進めるため,自治体の財政負担を軽減し,整備を加速化するため,補助制度を創設すること。
 また,保育所等整備交付金及び認定こども園施設整備交付金については,定員数に対する基準額が低く,事業者の負担が大きいことから,保育所運営に参入しやすくするため,当該交付基準額を見直すとともに,市が負担する事業費については,一般補助施設整備事業債(充当率80%)を充当できるが,財政措置がないため,交付税措置を導入すること。
 また,公立保育所の整備に対しては事業費の1/2に対し施設整備事業債(充当率100%,交付税措置70%)を充当できる財政措置があるが,待機児童を解消する為には早急な対応が求められることから,交付税措置率の水準を保ったまま,事業費全体が施設整備事業債の対象となるよう拡充すること。

7 保護者の教育費負担軽減のため,学校給食の公費負担のあり方について検討すること。

8 小中学校及び幼稚園の特別支援教育支援員について,必要に応じ確実に配置するために,専門職員配置の義務化や,新たな補助制度を創設するなど財政措置の更なる拡充を図ること。

9 学校の統廃合に伴い遠距離通学の支援を継続していくため,へき地児童生徒援助等補助金に基づくスクールバス等の委託料に係る現在の年限(5年間)を廃止すること。また,10人乗り以上のスクールバス等に交付される普通交付税について,基準財政需要額算定を見直し,現状に合わせた引上げをするとともに,10人乗り未満のスクールバス等に交付される特別交付税についても,普通交付税と同様の対応をすること。

10 要保護児童生徒援助費補助金における「クラブ活動費・生徒会費・PTA会費」の予算単価の考え方や具体的な補助範囲,準要保護児童生徒就学援助に係る財政措置の考え方をより明確に示すとともに,準要保護児童生徒就学援助に係る財政措置を拡充すること。



議案第18号

山形県市長会提出

保育の必要性の有無にかかわらず公設公営の幼児教育類似施設を幼児教育・保育の無償化の対象とすることについて

 国の幼児教育・保育の無償化においては,その質が法律により制度的に担保された幼稚園,保育所,認定こども園等は,3歳以上の全ての子どもが対象となる一方で,認可外保育施設等については,保育の必要性のある子どものみが対象とされている。
 そのため,認可外保育施設等に位置づけられる「幼児教育類似施設」においては,保育の必要性のない子どもは無償化の対象とならない。
 しかしながら,幼児教育類似施設は,保護者ニーズや地域の実情に応じて発展してきたものであり,自治体における児童館・児童センターでの集団保育のように,公設公営により,その質と内容が担保されているものもある。
 無償化の対象範囲を保育の必要性がある子どもに限定することは,施設利用者間に不公平感を生じさせることになる。
 よって,国は,自治体の条例に規定されている公設公営の幼児教育類似施設での集団保育等は,その質及び内容が担保されているといえることから,保育の必要性がない場合であっても,幼稚園又は認定こども園の3歳以上の子どもと同様,無償化の対象とするよう要望する。




議案第19号

福島県市長会提出

福祉施策及び介護保険制度の充実強化について

 誰もが安心して暮らせる地域社会を築いていくため,障がい者への支援や高齢化社会に対応した福祉施策の強化が求められている。
 また,急速に進む高齢社会を支える介護保険事業は,給付費増による事業運営の圧迫等の課題が顕著となっている。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 福祉・介護分野において,事業が継続され,事業者が質の高い人材を安定的に確保できるよう,適切な水準の介護報酬の設定など福祉・介護職員の処遇改善及び幼少期からのキャリア教育など福祉・介護職のイメージアップの取組みや事業所への紹介事業など福祉・介護人材の確保につながる更なる対策を講じるとともに,人材不足を補うためのICT化の更なる推進を図ること。
 なお,福祉・介護職員の処遇改善に当たっては,介護保険料や介護サービス費,福祉サービス費の自己負担増とならないよう財政支援を図ること。

2 地域生活支援事業の費用負担割合は国が事業費1/2以内,県が1/4以内であり,残りを市町村が負担することとなっているが,国・県から市町村への補助金(補助率)が年々減少傾向にあり市町村の財政負担が増加していることから,安定的な事業継続を図るため,十分に市町村と協議の上,補助率の下限を設けること等により早急に十分な財源を確保すること。

3 障害福祉サービス等利用に係る計画相談支援事業について,計画相談支援を行う特定相談支援事業所やサービス等利用計画を作成する相談員の不足が課題となっていることから,これらの増加を図るため,計画相談支援給付費の実態に即した加算,相談支援従事者養成研修の受講機会の拡大,報酬体系の見直しなどの対策を早急に講じること。

4 手話の理解,普及については予算や対応など自治体により地域格差があるが,全ての国民が,障がいの有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには,手話が音声言語と対等な言語であり,ろう者にとって必要な言語であることを国民に広め,聞こえない子どもが手話を身につけ,手話で学べ,自由に手話が使える環境,更には手話を言語として普及・研究できる環境を整備するなど,法制度の整備と拡充を図ること。

5 高齢者が運動機能の低下により移動等が困難になり日常生活に支障をきたすことがないよう,また,運動機能が低下した高齢者が自宅等に閉じこもることのないよう,自らの意思で円滑に移動できる環境を整備する自治体独自の施策に呼応し,「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」をより一層推進し,施設のバリアフリー化等高齢者を取り巻く環境改善を図るための財政措置を講じること。
 また,自治体においては高齢者が住みなれた地域で日常生活を送ることを目標に,地域支援事業等の国の制度を活用しながら様々な高齢者施策を推進しているが,さらなる施策推進のための財政支援を講じること。

6 障害福祉サービスに相当するサービスが介護保険法にある場合は,介護保険サービスの利用が優先されることになっており,65歳に達する前に長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた方が,65歳という年齢に到達したというだけで利用者負担が増加することを解消するため,利用者負担軽減措置の早期実現を図ること。

7 介護保険財政の健全な運営のため,将来にわたって地方自治体の財政負担が過重とならないよう,各自治体の実態を踏まえながら,介護及び介護予防に係る給付費並びに一般介護予防事業に係る地域支援事業費の国庫負担割合を現行の20%から引き上げ,調整交付金を別途配分するなど,更なる財政基盤の強化により,介護保険料上昇の抑制に努めること。
 また,40歳から64歳までの医療保険加入者が65歳到達により,年金からの特別徴収に切り替わるが,切り替えまでの一定期間は普通徴収となるため,特別徴収に切り替わるまでの期間の介護保険料について未納が発生しやすいことから,徴収方法の改善措置を講じること。

8 平成27年4月に導入された公費による低所得者の介護保険料軽減制度について,低所得者の高齢者が支払う保険料の軽減に対する補填は,国の責任において負担割合を見直し,国の負担比重を大きくすること。

9 平成27年4月に導入された介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)について,介護予防に積極的に取り組むことにより,利用者が増えると上限額を超える場合も想定されるが,上限額超過分は国県補助等の対象とならないことから,上限額を超えた場合には国や県からの財政負担を強化する制度改正を図ること。
 また,総合事業の多様なサービスの展開を促進するため,NPO法人やボランティア団体などが補助制度を活用し新たな介護サービス提供者となり得るよう参入しやすい環境を整えるとともに,人材育成策を支援すること。


議案第20号

青森県市長会提出

農業政策の充実強化について

 基幹農道は,農業生産の近代化及び農産物流通の合理化を進めるうえで重要な役割を担っている。
 しかしながら,近年,整備後相当年数が経過しているとともに,一般交通量の増加などと相まって,劣化や損傷等により安全な走行性能を確保することが困難となっており,多くの路線で抜本的な更新整備が急がれている。
 また,農道整備については,交付税措置の対象とされているものの,近年,補修費や修繕費が増大傾向にあり,管理費の確保に苦慮している。
 よって,国は,地域の農業振興に不可欠な基幹農道は,他のインフラ施設と同様,適正な維持管理と適時の更新整備が必要となることから,地方交付税措置の充実を図るとともに,更新整備のための農山漁村地域整備交付金を増額するよう要望する。






議案第21号

岩手県市長会提出

農林水産業政策の充実強化について

 農業従事者の高齢化や後継者不足,各種の経済連携協定など農業経営の継続に厳しい現状が続いている中,国においては,農業の生産性を高め,持続的な発展を図るため農地の大区画化・汎用化等へ農業農村整備事業等を推進するとともに,農用地の利用集積や水稲生産コストの低減に積極的に取り組んでいるが,今後,高齢化等により労働力不足が懸念され,農地中間管理機構への貸付の増加が見込まれている。加えて,担い手への農地の集積・集約化に向け,中山間地域や基盤整備未実施地域において,農地整備の希望が今後更に増加することも予想される。
 また,①TPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定),②EU・EPA(日本・欧州連合経済連携協定)の発効,③TAG交渉(日米物品貿易協定),④RCEP(東アジア地域包括的経済連携)などの経済連携協定の議論は,農林水産業における生産への影響面だけでなく,雇用の喪失,水田による洪水防止,地下水かん養機能などの農業が担ってきた多面的機能の喪失など,幅広い見方が必要であり,中山間地域の農業の持続可能な支援策についても同時に策定する必要があると考える。
 一方,畜産・酪農分野においても,高齢化や後継者不足は深刻さを増し,離農も進んでいる状況にある。このような中,更なる経営の効率化や労働負荷低減の課題克服のため畜産クラスター事業の活用が考えられるが,農業者からの希望が多いうえ,汎用性の高いトラクターや運搬車両は補助対象機械装置として認められていないのが現状である。
 さらに,水産業においては,豊かな水産資源とリアス海岸の地形を生かして古くから漁業が盛んに営まれてきた三陸沿岸地域においても,近年は,漁獲量が減少傾向にあり,漁業者にとって将来にわたる漁業経営に対する不安が生じるとともに,水産加工業をはじめとする関連産業への影響も危惧されている。
 漁獲量の減少は,東日本大震災による海洋環境の変化や地球温暖化による漁場の変化のほか,大量の漁獲や若齢魚の漁獲,さらには産卵前の親魚漁獲など,資源の回復力を超えた漁獲が行われていることなどに起因していると言われている。
 よって,国は,地方における重要産業である農林水産業が,将来にわたり持続的発展が図られるよう,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。

   


1 農林水産関係者の意見を踏まえ,農業や漁業に関わるものが将来にわたって意欲を持って経営を継続できるよう,農林水産関連施策の一層の充実を図るとともに,地域経済の安定化を図る施策の強化を図ること。

2 各経済連携協定の進捗状況を踏まえ,主要な農産物の影響額と対応策を明示すること。

3 中山間地域の条件不利地域等については,一層の体質強化が図られるよう,品質向上や高付加価値化等による収益力向上のための支援など,必要な措置を講じること。

4 農地中間管理機構関連農地整備事業を含めた農業農村整備事業の更なる予算を確保すること。

5 生産の効率化や省力化,低コスト化を進めるため,自動操舵システムや農業用ドローン,自動給排水栓などICT化やAIを活用したスマート農業に対する予算や補助事業を拡充するとともに,公道での自動走行の移動や操縦オペレーターのみで農業用ドローンを使用できるようにする等の規制緩和を講じること。また,自動給排水栓や除草ロボットのようなスマート農業技術の汎用化や導入を見越した農地の大区画化を進めること。

6 飼料用米やその他の転作作物の生産が主食用米の生産と比べ経済的に不利にならないよう,水田活用の直接支払交付金等による支援を現在と同じ水準で継続すること。

7 畜産クラスター事業における補助対象機械装置に,トラクター及び運搬車両等を加えること。

8 水産政策の改革の着実かつ適切な推進に向け,永続的で適切な漁業資源の管理について,調査・研究を充実しその把握に努めるとともに,科学的で合理的な資源管理施策を一層促進すること。また,サケやサンマ,サバのような北太平洋を広く回遊する魚種の資源管理については,これまで以上に国家間及び広域的な取組の促進と連携の強化を図るとともに,沿岸漁業における採介藻漁業の資源管理については,密漁などの法令違反行為を防ぐよう,より一層の取締りの強化を図ること。

9 太平洋クロマグロの漁獲可能量(TAC)配分枠の策定にあたっては,適切な漁獲配分となるよう,十分な調整を図るとともに,資源管理に伴う漁業経営への影響緩和策の拡充を図ること。

10 サバ等については,付加価値の高いサイズの漁獲を促進し,魚類の有効活用による水産業の成長産業化を図るとともに,三陸沿岸におけるサケ,サンマ,スルメイカなどの主要魚種の漁獲量の減少に伴い,加工用原料の確保が困難になっていることから,その安定確保に向けた施策の充実を図ること。
 また,東北太平洋沿岸における秋サケの回帰低下が深刻化していることから,種苗放流に関する支援をはじめ,回帰向上に向けた試験研究の取組などの強化を図るとともに,ホタテガイやカキ,ホヤなど,二枚貝等の貝毒に関する調査・研究の取組及び養殖漁業者の経営支援策について充実・強化を図ること。

     

議案第22号

山形県市長会提出

家電リサイクル制度の見直しについて

 現行の家電リサイクル法では,エアコン,テレビ,冷蔵庫(冷凍庫),洗濯機(衣類乾燥機)の家電4品目については,消費者による廃棄する際のリサイクル料金と収集運搬料金の支払い,小売業者による消費者からの引取り及び製造者等への引き渡し,製造者等によるリサイクルが義務付けられている。
 しかし,廃家電の不法投棄が全国的に生じており,不法投棄の防止のため,廃家電の適正処理に関する普及啓発や監視パトロールなどの対策を行っているが,不法投棄が毎年発生している状況にある。
 不法投棄が発生するのは,製品を廃棄する際にリサイクル費用を支払う経済的負担が一因であり,リサイクル費用を製品購入時に支払うこととして廃棄時の費用負担がなくなることにより,不法投棄の抑制につながるものと考える。
 よって,国は,リサイクル費用について,製品を廃棄する際に支払ういわゆる「後払い方式」ではなく,製品購入時に支払う「前払い方式」への制度の移行について検討を進めるよう要望する。

 




議案第23号

青森県市長会提出

教育行政の充実強化について 

 

 いじめの防止,いじめの早期発見・対応,重大事態の発見・対応,再発防止といったいじめに関する対応を行う上で課題となるものの中には,学校・教育委員会の対応の範囲を越えるものでありながら,それが学校におけるいじめの問題やその背景に大きな影響を与えているものがある。
 しかしながら,このような課題に対して自治体単位で対策を講じるには,人的・財政的に限界があることから,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 いじめなどの問題行動は,心身の変化が著しく,性意識や異性への興味関心が高まる思春
期の時期に起因して表出しやすいことから,適切な教育を行えるよう配慮すること。

2 全国学力・学習状況調査の結果が,今後においても,児童生徒の自己肯定感の低下や児童生徒間のストレスの原因にならないよう,一層配慮すること。

3 教職員が児童生徒に向き合う時間を増やし,教職員がやりがいや使命感を持って校務に専念できるよう,教員の勤務状況改善に向けた財政措置を含めた条件を整備すること。

4 いじめ重大事態が発生した場合において,第三者による調査組織に適切な人材を速やかに確保し,重大事態の調査を進めることが,一自治体では困難な状況が生じていることから,調査の在り方や体制の整備に対応すること。



議案第24号

宮城県市長会提出

教育環境の充実について

 学校を取り巻く環境は,いじめ・不登校問題をはじめ,特別な支援を必要とする児童生徒の増加など複雑・困難な状況にある。
 小中学校の特別支援学級においては,在籍児童生徒の増加や障害の重複化,多様化に伴い,個別の教育的ニーズに応じた適切な対応と人的配置が課題となっている。加えて,通常の学級における発達障害児の増加に伴い,通級指導教室や特別支援教育支援員の必要性も増しているが,国の財政措置(地方交付税)による人員の配置は,自治体の財政状況により異なり,自治体によっては十分な配置が図られていない現状にある。
 また,特別な教育的支援を必要とする児童生徒のための医療・福祉との連携や保護者支援等,連絡・調整を担う特別支援教育コーディネーターの存在は大きい。特に近年,早期発達支援の充実が求められており,「幼保小連携」のパイプ役となる小学校におけるコーディネーターの役割の重要性が増している。
 一方で,学校施設の整備に目を向けると,老朽化した校舎の長寿命化や児童生徒が安心して学校生活を送るための教育環境の改善など,様々な課題への対応が求められている。
 特に,昨今,記録的な猛暑が続き,児童生徒の熱中症予防や学習効果の向上を図るためには,学校施設への空調設備設置を早急に進めることが求められている。
 そのような中,国では,平成25年度に国庫補助事業の改善として「長寿命化改良事業」を創設し,平成30年度第1次補正予算においては,「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」を設けたところである。
 しかしながら,近年,国の公立学校施設の改修・整備に係る交付金は減少しており,多くの自治体で事業採択が見送られている状況にある。また,空調設備設置等に係る交付金については,今回の補正予算限りの特例的な財政支援であり,設置後の維持管理経費等の負担が多大になることが見込まれる。
 多額の経費を要する学校施設の整備を自治体単独で継続的に実施していくことは困難であり,国の財政支援は必要不可欠である。
 よって,国は,教育環境における上記のような現状を踏まえ,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 小中学校の特別支援学級における学級編制基準の見直しを行うこと。

2 特別支援教育支援員について,国庫補助制度の創設や国又は県による人的配置を検討すること。

3 小中学校における特別支援教育コーディネーターの専任配置を進めること。また,通級指導教室を設置できるよう,通級指導に係る基礎定数の改善を図ること。

4 学校施設の整備に係る必要な財源を確保し,確実な財政措置を講じること。

5 学校施設の整備に係る国庫負担金・交付金の算定基準単価が実勢の建築単価と大きく乖離していることから,実勢価格に見合った算定基準単価へ見直しを図ること。

6 空調設備設置においては,普通教室,特別教室以外の管理諸室等への整備が可能となるよう十分な財政措置を講じるとともに,財政負担の平準化及び整備期間の短縮を可能とするリースを活用した整備についても財政措置を講じること。

7 空調設備設置後のランニングコストや,今後も必要となる設備の更新等についても,必要な財政措置を講じること。



議案第25号

青森県市長会提出

国土交通政策の充実強化について

 

 近年は,全国各地で,集中豪雨による水害や大雪による雪害,火山災害など,人命に関わる大きな災害が多発し,また,首都直下型地震や南海トラフ地震など大規模地震・津波の発生について,危惧されている状況にある。
 災害から国民の生命・身体・財産を守り,社会的・経済的影響を最小限にとどめるため,緊急避難において重要な役割を担う路線の拡幅や迂回路の確保など,防災・減災に資する緊急避難道路等の整備が重要である。
 また,地域公共交通については,人口減少やモータリゼーションの進展等により,利用者が年々減少し,その維持確保が大変困難な状況になっている。それぞれの地域が実情に応じた対策を進めようとする中,必要な支援が行き届いておらず,特に人口の集中する都市部と違い,急速な人口減少により運送収入が伸びない地方部にあっては,地域公共交通の維持確保が危ぶまれている。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 防災・減災体制の強化を図るため,青森県太平洋沿岸地域住民の重要な避難道路となる高瀬川架橋の新設をはじめ,各地域における緊急避難道路や迂回路の整備など,大規模災害が発生した際にも対応できる,広域的な交通基盤の整備を進めること。

2 地域公共交通を維持確保するため,地域公共交通確保維持改善事業に係る必要予算額を確保し,補助率の引き下げや補助要件の引き上げ等は,都市部と地方部を取り巻く環境の違いを勘案すること。


議案第26号

岩手県市長会提出

地域公共交通の充実について

 地方都市の鉄道やバスなどの公共交通は,地域住民の生活維持や地域間交流の促進を図るため,維持・確保していくことが求められているが,人口減少,少子高齢化,マイカーの普及などにより利用者数が低迷を続け,路線の減便や廃止が相次いでいる。その中で高齢者や学生等のマイカーを持たない住民の足をいかに確保し,維持していくかが喫緊の課題となっている。
 県内では,BRTをはじめ,路線バス,乗合タクシー及びデマンド交通の運行とともに,復旧・復興の状況や日々変化する市民ニーズに対応しながら,運行経路の見直しやバス停の新設等に取り組んでいる都市,高齢者や学生等の移動手段確保のためのコミュニティバスやデマンド交通の運行等に取り組んでいる都市などがあるが,いずれも財政負担の増加など,公共交通の維持確保が非常に厳しいのが現状である。
 また,利用者が少なく国の支援の基準を満たさない非効率路線は増加傾向にあり,令和2年度には被災地特例(特定被災地域公共交通調査事業)が終了となることから,バス路線の減便・撤退が憂慮される。
 よって,国は,交通政策基本法の基本理念にのっとり,交通需要者のニーズに対応できる公共交通体制を確立するため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 利用しやすい公共交通ネットワークの構築を図るための新たなサービスを導入するにあたり,全国の地方都市が抱えている課題を把握し,必要に応じた法律の改正や規制緩和等を早急に検討すること。

2 日常生活に必要不可欠な路線バス等の移動手段を持続的に確保するため,広域・幹線バス路線の補助要件の緩和など地域公共交通確保維持改善事業について,十分な予算を確保するとともに,地域に実態に即して要件を緩和するなど,支援措置の拡充を図ること。

3 地方公共団体等が運行するコミュニティバス,デマンド交通等に対する財政支援措置の拡充を図ること。



議案第27号

福島県市長会提出

国土交通政策の充実強化について

 道路,港湾,河川,砂防,下水道,街路,鉄道,空港等の社会資本の整備及び維持管理は,安全・安心な社会生活を確保するために必要不可欠である。
 特に,近年,頻発する集中豪雨や記録的な大雪等により多くの被害が発生していることなどにより,自治体への財政的な負担が増加することが危惧される中,安全で災害に強いまちづくりのため,インフラの整備はもとより,ソフト面の対策も重要となっている。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 社会資本総合整備計画に基づき,継続した事業の実施が確実にできるよう,社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金について,十分な予算を確保すること。

2 道路,橋梁等の老朽化に伴う維持修繕,更新等に係る調査及び修繕に対する十分な財政措置を講じること。
 また,「景観・観光」,「安全・快適」,「防災」の観点から推進されている無電柱化につい
て,自治体における事業に対する十分な財政措置を講じること。

3 国際バルク戦略港湾政策の実現に向け,滞船の解消や沖防波堤等の早期整備を図るとともに,既存施設の再整備・再編による機能高度化を図ること。

4 自治体が実施する雨水幹線整備,河川整備や河川浚渫等の浸水被害対策及び局地的な豪雪に対する雪害対策に対し,十分な財政措置を講じること。
 また,降雪期の過酷な雪国の現状を踏まえ,特に過疎化・高齢化が進行し,単なる除雪だけでなく自治体が地域住民の安全・安心な生活を守らなければならない自治体としての役割が増加している観点から,除雪費の財源充実・確保を図ること。

5 自治体が実施する下水道の基幹事業と一体となって行う末端管渠整備について,平成27年度から社会資本整備総合交付金の対象外となったが,汚水処理施設未普及地域の早期解消(10年概成)の実現に向け,社会資本整備総合交付金の効果促進事業の対象とすること。
 また,下水道の公共的役割に対する国の責務の観点から,下水道施設の改築に対する国費支援を確実に継続すること。

6 大震災や頻発する豪雨災害等へ備えるとともに,山村部における土地の境界確認に必要な人証や物証等が失われつつあり,地籍調査を促進する必要があることから,調査体制を整える自治体の意欲に応え,当初予算において満額措置すること。
 また,地方財政が非常に厳しい状況であることから,地籍調査の促進を図るために,調査費の国庫負担率の引上げと補助対象経費の拡充及び特別交付税措置を堅持すること。

7 新幹線鉄道の沿線地域における騒音・振動対策については,かねてより国土交通省の指導のもとJR東日本が対策を講じ,一定の改善効果が認められるものの,依然として環境基準値を超える地点が点在していることから,沿線住民の良好な生活環境の保全を図るため,新幹線鉄道の騒音・振動の低減について事業者に対し適切な指導を講じること。

8 福島空港については,平成29年3月に「福島空港における富士山等の噴火時の待避場所の確保に関する覚書」を警視庁と福島県が締結するなど,今後想定される大規模災害に対応できる防災拠点空港として期待されているので,福島空港を含めた周辺地域を,首都圏などの補完機能を備え東北圏域の防災施設の中核的施設となる基幹的広域防災拠点として位置付けること。また,福島空港の防災拠点としての機能を,国の防災基本計画の中に位置付けること。

9 災害時の避難所として利用される公民館などの社会教育施設の耐震化について,社会資本整備総合交付金,防災・安全交付金等を活用し,耐震診断,耐震改修等を進めているところであるが,交付率の嵩上げや補助対象限度額の引上げ及び防災拠点に位置付けられていない施設への対象の拡大など,更なる財政措置の拡充を行うこと。

10 被災地域における幹線路線バスの運行維持に対する支援について,地域公共交通確保維持改善事業(地域間幹線系統確保維持費国庫補助金)における補助要件緩和及び補助率の拡充を図ること。
 また,バス路線の維持のほか,バス待合所整備など付帯的な部分も含め,公共交通の利便性を高める市町村,交通事業者及び地域の取組みに対して財政支援を図ること。
 また,これまで拡大してきた市街地においては既存公共交通だけで対応していくことは難しく,身体的理由などから既存公共交通を利用することが困難な住民も増加していることから,社会状況に適した新たな交通手段の導入に係る支援策を講じること。



議案第28号

岩手県市長会提出

道路・橋梁・港湾等の整備・維持管理に係る財政支援等の充実について

 市民生活の安全・安心の確保には,社会的基本インフラである道路・橋梁等の整備及び適正な維持管理が重要であるが,これらの社会資本ストックは,高度経済成長期に集中的に整備されており,今後,急速に老朽化が進み,維持管理費・更新費が増大することが見込まれる。
 一方,少子高齢化が進展する中,子どもから高齢者までが安全で快適に暮らせるまちづくりを進めるためには,道路ネットワークによる地域・拠点の連携確保や未整備区間の解消を図るなど,今後においても長期間にわたり,計画的に道路・橋梁等の社会基盤の整備に取り組む必要がある。
 地方自治体においては,厳しい財政状況の中,社会資本整備総合交付金,防災・安全交付金等を活用し,計画的な施設更新や長寿命化対策等に取り組んでいるところであるが,近年,予算要望額に対する国費配分額が低い状況にあり,計画的な事業の推進に支障が生じている。
 また,港湾は,住民の生活,地域の産業活動を支える基盤として,重要な役割を担っているほか,大規模な災害発生時において,支援のための人や物資の受入・搬送の拠点としての役割や,周辺地域・背後圏である内陸部への緊急物資等受入の拠点としても重要な役割を担うことから,有事に備え,早急な整備が必要である。
 よって,国は,道路・橋梁・港湾等公共施設の社会基盤の整備・維持管理を長期的・安定的に行い,国土強靭化を推進するため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 道路・橋梁等の社会基盤の整備並びに老朽化に伴う維持修繕,更新等に係る調査及び修繕に対する国の補助制度及び地方債措置等の財政措置等を拡充すること。

2 国道4号金ケ崎区間の拡幅整備の促進とともに,花巻市山の神・北上市村崎野間の4車線拡幅整備の早期事業化を図ること。

3 東北横断自動車道釜石秋田線の花巻~釜石間へのアクセス向上による利便性を高めるため,花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジ整備の早期事業化を図ること。

4 災害発生時における災害派遣,物資,避難者等の輸送手段を確保するため,早急に岸壁の耐震化を行うこと。



議案第29号

秋田県市長会提出

交通体系の整備促進について

 産業・経済・文化の活性化を図り,地域の発展と市民生活の向上を目指すため,運輸・交通体系の整備促進は重要な課題である。
 特に高速自動車道は,広域大規模災害に際して救援・援護活動の迅速な展開や支援物資の搬送等にその役割を遺憾なく発揮し,地域間や広域的な連携の重要な基盤として,ミッシングリンクを解消し,ネットワークの早期完成が強く求められているところである。
 よって,国は,運輸・交通体系の整備のため次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 日本海沿岸東北自動車道の早期整備・早期完成を図ること。

2 
日本海沿岸東北自動車道の既供用暫定2 車線区間の正面衝突事故防止対策を推進するため,ワイヤーロープ式防護柵を導入すること。

3 秋田自動車道(北上JCT~大曲IC間)の4車線化を進めるとともにスマートICを設置すること。

4 東北中央自動車道新庄・湯沢間の早期整備・早期完成を図ること。

5 西津軽能代沿岸道路の整備促進を図ること。

6 国道7 号の整備促進を図ること。

7 秋田・山形・福島の3県を縦貫する極めて重要な産業基幹道路である国道13号の全線4 車線化を図ること。

8 国道46号の整備促進を図ること。



議案第30号

宮城県市長会提出

交通体系の整備促進について

 産業・経済・文化の活性化を図り,地域の発展と市民生活の向上を目指すため,高速交通体系の整備促進は重要な課題である。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 高規格幹線道路として,三陸沿岸道路の早期全線供用に向け整備促進をすること。

2 高規格幹線道路として,仙台北部道路の4 車線化及び富谷ジャンクションのフルジャンクション化の整備促進を図ること。

3 地域高規格道路として,みやぎ県北高速幹線道路の整備促進を図ること。

4 地域高規格道路候補石巻新庄道路を早期に計画路線に指定すること。

5 復興支援道路として位置付けられた国道284 号の高規格化の早期実現を図ること。

6 地域高規格道路として,仙台空港と東北縦貫自動車道を結ぶ緊急輸送路の整備を直轄事業として取り組むこと。

7 広域的な横断道路として,白石・角田・山元間の東北縦貫自動車道及び国道4 号と常磐自動車道及び国道6 号を連結する地域高規格道路を指定し整備を図ること。

8 国道4号における4車線拡幅の未事業区間について,早期に事業化を図ること。

9 国道349号の道路改良及び自歩道の整備促進を図ること。

10 緊急輸送路である国道47号の道路改良を通常予算の別枠で実施すること。