福島県市長会事務局

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平成25年度県予算編成に対する要望

 
◆総務部関係

原子力発電所事故に伴う市税減収に対する財政支援について

 原子力発電所事故に伴い、市税の減収が明らかになってきている。
 特に、固定資産税においては放射能汚染に伴う減価分により、税の落込額が顕著となっており、基幹税である固定資産税の減収はそのまま自主財源の確保を困難にし、地方公共団体の財政を圧迫するものとなっている。
 税の減収分については、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針で原則対象外としているが、明らかに損害が発生している事実を踏まえ、原子力発電所事故に伴う市税減収に対する財政支援について国に対して働きかけられるよう要望する。

市町村振興基金の充実について

 市町村振興基金については、国の地方債計画に計上されていない事業に対する起債として、市町村にとっては非常に重要な財源となっている。
 ここ数年、各市町村においては、起債残高の増嵩による財政の硬直化が指摘されており、実質公債費比率による起債の制限や地方自治体財政健全化法による特別会計を含めた健全化が求められるなど、財政運営全般にわたり様々な取り組みを行っている。
 このような中、住民の福祉向上に向けたまちづくりを実施していくにあたっては、市町村振興基金は市町村の財政運営において必要不可欠な財源であり、また、無利子枠の設定や低金利の融資など財政運営の負担軽減につながる制度であることから、これまで同様に継続して活用が認められるよう貸付枠の確保及び無利子枠の拡充について要望する。

被災した庁舎復旧に係る財政支援について

 東日本大震災により被災した庁舎は、各市町村が建替や大規模改修等により復旧を進めているところであるが、住民への安定的、継続的な行政サービスの提供はもとより、災害時の防災拠点や住民の生活再建の窓口等としての機能も有している。
 ついては、既存の枠組みにとらわれず、大規模改修による復旧を行う場合についても「震災復興特別交付税」の適用対象とするなど十分な財政措置について国に対して働きかけられるよう要望する。


◆企画調整部関係

原子力災害からの復旧・復興に向けた支援等について

 原子力災害は、震災からの復旧・復興と異なる前例のない長期間の財政負担を要することとなり、県全体の復旧・復興には原子力災害に特化した施策を国が責任をもって展開することが不可欠であるとともに、現地において状況を的確に判断・対応する必要がある。
 ついては、次の事項について国に対して働きかけられるよう要望する。

1.現行法体系にとらわれない特別措置をその時々の情勢に則し速やかに実施すること。

2.国が設置する現地対策本部については、権限と財源及び人員を充実・強化すること。

3.放射能被害からの復興に向けた財政支援を行うこと。

4.復興のための交付金制度は、市町村の復興計画に応じて自由裁量を認めること。

震災復興計画の着実な推進について

 一刻も早い復興を図るため「福島県復興ビジョン」に基づき「福島県復興計画」がされているが、大震災からの早期復興を図るためには「福島県復興計画」の迅速かつ着実な推進が重要であることから、これら予算の確保を要望する。
 また、各自治体が策定する震災復興計画を計画的、効果的に進めるためにも県においては復興に向けた取り組みに対する総合的な相談、支援窓口の設置や震災復興計画への統一的な財政支援制度の創設を要望する。

再生可能エネルギー普及の推進について

 今般の震災・原子力災害を受け、電気の安定供給が困難となってきており、企業はもちろん一般家庭においてもより一層の節電対策が求められていることから、次の事項について要望する。

1.再生可能エネルギー普及推進市町村等支援事業(再生可能エネルギー導入推進市町村支援事業)補助金については、事前に各市町村からの要望額を把握した上で、予算の確保及び補助金を拡大すること。また、対象となる再生可能エネルギーの中に、家庭用燃料電池や自然冷媒ヒートポンプ給湯機なども追加すること。

2.バイオマス発電を核としながら、太陽光発電と風力発電、地熱発 電、波力、潮力などの海洋発電などによる“再生可能エネルギー基 地”を形成し、全市の消費電力を“再生可能エネルギー基地”で賄うことができるようなまちづくりに対する総合的な支援を行うこと。

3.木質バイオマス発電施設建設に対する補助率を嵩上げすること。また、将来の安定的な運営のため、県内における、間伐材、建設廃材、発電チップの原材料等の安定供給に向けたシステムづくりを支援すること。

4.住宅用太陽光発電システムの設置をさらに進めるため、住宅用太陽光発電設備設置補助事業に係る予算を平成25年度以降も継続すること。

5.再生可能エネルギー事業可能性調査補助金を平成25年度以降も継続するとともに、導入等に対する支援制度を構築すること。

6.ペレットストーブ、薪ストーブ、太陽熱利用等の住宅用新エネルギー設置に対する支援制度を拡充すること。

 
◆生活環境部関係

生活バス路線に対する支援措置について

 生活バス路線は、モータリゼーションの進展に伴い、路線数・利用者数ともに年々減少の一途を辿っている。
 自治体においても高齢者や年少者などの交通弱者を守るため、便数維持に努めているが、自治体における財政負担は増大している。
 県においては「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」及び「市町村生活交通対策事業補助金」により各自治体を支援しているが、補助対象・補助率が限られており、未だ十分ではない状況にあることから、次の事項について要望する。

1.「市町村生活交通対策事業補助金」の補助率の拡充を図ること。

2.市内のみを運行する路線(委託バス除く)や広域的な路線でも運行回数が不足する路線など「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」及び「市町村生活交通対策事業補助金」のいずれにも該当しない路線に対する要件緩和、または、新たな補助制度の創設を図るこ と。

3.バス路線の維持のほか、バス待合所整備など付帯的な部分も含め、公共交通の利便性を高める市町村、交通事業者及び地域の取り組みへの支援を図ること。

鉄道軌道輸送対策事業費補助について

 鉄道軌道輸送対策事業費補助については、中小の鉄道事業者を対象に、保安度の向上又は輸送の継続に資するための既存施設の改良・更新を支援するために鉄道事業者に対し、補助するものであるが、地元自治体の補助にあたっては、県の協調補助による市町村の負担軽減が図られるよう要望する。

阿武隈急行緊急保全整備事業費等補助について

 阿武隈急行緊急保全整備事業費等補助については、地域の振興及び住民福祉の増進に寄与するため補助を行っているところであるが、阿武隈急行線の安全運行の確保及び住民の生活交通の維持、確保を図るため、引き続き県の協調補助が行われるよう要望する。

郡山南拠点地区新駅設置事業の推進について

 郡山南拠点地区については、コンベンション機能の中核をなす県産業交流館(ビッグパレットふくしま)が立地し、各種国際会議や多様なイベントが多数開催され、人、物、情報の発信拠点となっているが、国道4号などにおける慢性的な交通渋滞が問題となっている。
 また、災害発生時における緊急車両や物資輸送車両等の移動円滑化を図るため、緊急輸送網を含む交通体系の整理を積極的に進める必要があり、軌道系アクセス整備が重要課題となっている。
 ついては、新駅設置に向けて駅舎、アクセス道路を含む周辺施設等に係る財政支援を要望する。

自主避難者に対する支援措置について

 原子力発電所事故に伴い、今なお多くの県民が避難生活を送っている。
 原発避難者特例法では、13市町村からの避難者に対して避難先で一定の行政サービスを受けられる旨規定されているが、それ以外の避難者(いわゆる自主避難者)に対しては、避難先自治体の努力義務としての規定に留まり、避難先自治体としても、住民登録をしていない者に対する行政サービスは、住民登録者との公平性や財政負担等の観点から限界がある。
 ついては、県民の安全を守る観点から、自主避難者に対する支援策を要望する。

災害時の水道施設機能維持に対する補助について

 水道事業については、災害等により電力供給が遮断された場合でも、住民の飲料水を円滑に確保するため、水道施設機能を維持する必要がある。
 しかしながら、現在の市町村公共施設支援事業の導入方針では、災害時の機能として必要な防災拠点(庁舎・消防署・避難所・福祉施設・病院)の整備を優先するものであり、今後においても水道施設への採択は困難な状況である。
 ついては、小水力発電、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入に係る水道施設整備への新たな補助制度の創設を要望する。

カーボンオフセットの取り組みについて

 企業等が自ら削減することが困難な温室効果ガスについて、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量を購入すること等で埋め合わせるカーボンオフセット制度が注目されている。
 一方で、山村部では、自らが森林管理に取り組むことが困難となっており、また、間伐材が林地に残される等、木質バイオマスが活用されていない状況となっている。
 ついては、都市部の企業等がカーボンオフセット活動に取り組みやすい環境を作り出すための研究を進め、また、山村部で取り組む団体に対し、各種制度に対する申請手続きや検証への支援等に取り組むよう要望する。

まちなみ景観の再生支援について

 当該事業は、被災した地区や地域の魅力向上において、まちなみ景観等に関して具体的な復興計画等を作成する場合に、計画作成に必要な経費等を補助するほか、地域の計画に位置づけられた事業として、地域景観の向上等に配慮した建築等を行う場合に、経費の一部を補助するものである。
 今後、被災地域の復興が本格化していく中にあって、当該事業は景観向上のみならず、地域住民の絆づくりに大いに寄与するものであり、また、平成23年度に策定された県復興計画においても「まちなみ再生支援事業」として位置づけがなされている。
 ついては、当該事業の着実な実施について要望する。

有害鳥獣(ツキノワグマ、サル等)被害対策に係る支援について

近年、県内各地でクマの目撃情報、被害情報が増加し、特に、人への負傷事故や生活区域に出没したツキノワグマは、その習性から、出没を繰り返すことによる被害の拡大が心配される。
 また、サル・イノシシ・カラス等の有害鳥獣による農作物被害の区域も年々拡大し、農家の生産意欲を減退させ、日常生活においても不安を抱えているところである。
 ついては、地域住民の安全の確保と農作物被害や森林被害を軽減するため、次の事項について要望する。

1.ツキノワグマ、サル、イノシシ等の個体数調査や生態調査等を実施し、個体数調整に向けた保護管理計画の早期再検討を行うこと。

2.捕獲時に早急かつ安全に対応できるよう、麻酔銃が使用できる者の配置と県及び警察の協力体制の確立並びに専門的知識を有する人材を育成すること。

3.有害鳥獣捕獲許可申請の許可事務については、地域住民の安全安心のために今後とも迅速な事務処理を実施すること。

4.市町村が単独で実施している有害鳥獣捕獲駆除にかかる経費や住民を対象に実施している農作物被害対策補助等にかかる費用に対する県の支援制度を確立すること。

5.森林環境税を活用した集落周辺の森林整備と緩衝帯設置等の支援策を拡充すること。

6.クマ剥ぎ被害の原因の究明と被害防止のための効果的な対策を実施すること。

合併処理浄化槽設置整備事業の予算確保並びに合併処理
浄化槽維持管理費に係る県費補助制度の創設について

 自治体においては、合併処理浄化槽設置整備事業を実施し、その設置普及に取り組んでいるところであるが、浄化槽法及び建築基準法の一部改正に伴い、浄化槽新設時における合併処理浄化槽の設置が義務づけられていることや、水環境の保全を図るため、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への切り替えにも努めていく必要がある。
 このような状況の中、平成21年度から新築住宅の合併処理浄化槽設置に対する県補助金の廃止など県費負担の改正が行われ、自治体の負担が増加する事態となっている。
 ついては、合併処理浄化槽設置整備事業の促進と補助金の確保について要望する。
 また、合併処理浄化槽使用者の負担軽減と適正維持管理の促進を図るため、県費補助制度の創設を要望する。

除染対策事業の推進について

 原子力発電所事故により流出し、地表等に滞留している放射性物質は、除染することが最善・最適な解決策であり、国及び東京電力が全額費用を負担し、一刻も早く除染事業を実施することが急務であることから、次の事項について要望する。

1.仮置き場における国有林など積極的な国有地の提供と国の責任に より中間保管施設及び最終処分場を早期に確保するよう国に対して 働きかけられるとともに、県においても仮置場として設置可能な県 有地の情報提供と整備を図ること。

2.除染事業については、市町村の財政負担も含め、各市町村に現地担当者を配置するなど国の全責任において実施すること。

3.国の方針に先んじて独自に行った除染については、補助制度がない状態であるため、福島県民健康管理基金などを活用した補助制度を創設すること。

4.地上保管に係るコンクリート製品の使用、汚染水処理方法、除去土壌の減容化などの新たな工法についても「除染関係ガイドライン」への搭載を国に働きかけるとともに、除染に要する財政措置を講じること。

5.池沼、河川、山林等の除染について国の責任で除染を実施するよう国に働きかけられるとともに、県管理の市街地を通る道路や河川の除染を早急に行うこと。

6.長期間にわたる除染作業を安全・確実に実施するため、県内に日本の中心的放射線の研究所を設置すること。

7.個人や企業が、市除染実施計画に準じて独自に行った除染費用については、東京電力へ直接求償する仕組みを早急に確立するよう国 に働きかけること。

8.農業系汚染廃棄物について、農家による一時保管を固定化することがないよう県主導による仮置き場の設置や焼却施設等の減容化施 設を整備すること。

9.県管理の流域下水道終末処理場から発生する下水汚泥に限らず、市町村下水道、農業集落排水処理施設等も含めて、すべての下水汚泥を県が一括して処分する計画を樹立し早急に実行すること。

10.各自治体が一般廃棄物として処理することとなっている8,000Bq/kg以下の下水汚泥についても、県が最終処分場を確保し処分すること。

11.放射性物質を含む下水汚泥の処理に伴う財政的負担について、支援を図ること。

12.低線量地域の中で局所的に線量が高いホットスポットの除染について、所要の財政措置を講じること。

13.有効な除染手法を各市町村間で共有する仕組みづくりを行うため、除染事例の情報交換を行う場を設けること。

14.除染対策事業交付金について
(1)長期間にわたる除染作業を確実に実施するため、除染対策事業交付金の財源確保と交付金の対象となる除染方法の拡大、柔軟な運用等除染がスムーズに進むよう交付金制度の改善を図ること。

(2)県線量低減化活動支援事業や他の事業で公園、学校、保育所を除染し設置した仮置場(一時保管場所)の事後モニタリングや管理費を交付金の対象とすること。

(3)除染委託費の設計積算単価を示すこと。


 
◆保健福祉部関係

国民健康保険事業に対する財政支援について

 医療保険制度の中核として重要な役割を担ってきた国民健康保険制度は、高齢化の進展や経済の低迷による低所得者・無職者の増加など多くの構造的な問題を抱えており抜本的な改革が必要となっている。
 また、東日本大震災の影響による国民健康保険税収入の減少や医療費が増加傾向にあることなどにより国保財政は危機的な状況に陥っている。
 ついては、次の事項について国に対し積極的な働きかけを講じられるとともに、県においても財政支援の拡大等が図られるよう要望する。

1.東日本大震災の影響を考慮し現行の国民健康保険調整交付金要綱に定める「保険者の責めによらない特別事情に対する支援」のうち、「その他特別な事情に対する支援」を来年度以降も継続すること。

2.平成24年4月に公布された改正国民健康保険法による県調整交付金のうち2号調整交付金の配分率が拡大される見込みであることから、福島県広域化等支援方針に示された保険財政共同安定化事業に係る財政支援のあり方も踏まえ、一層の財政支援を講じること。

3.保険給付の負担増などに対する財政支援について特別の措置を講じるとともに国の財政支援についても働きかけられること。

4.国庫負担割合の引上げなど国保財政基盤の拡充・強化を図り、国の責任と負担において、実効ある措置を講じること。特に、低所得 者層に対する負担軽減策を拡充・強化するとともに、低所得者を多く抱える保険者への支援を強化すること。

5.国保保険料(税)の収納率による普通調整交付金の減額措置を廃止すること。

6.各種医療費助成制度等市町村単独事業の実施に伴う療養給付費負担金及び普通調整交付金の減額措置を廃止すること。

7.特定健康診査に係る財政措置など十分な支援策を講じること。
 また、特定健康診査・特定保健指導の実施率等による後期高齢者医療支援金の加算・減算措置を撤廃すること。

8.特定健康診査等負担金の基準額の見直しを図り、国・県・保険者の負担率を基準の各々1/3とすること。

被災者等に対する介護保険サービス提供基盤の緊急整備・充実
及び介護従事者の増員について

 被災者を受け入れている地域の介護保険施設等においては、利用定員を超過した状態で要介護者等の介護を行っているため、介護従事者への過重な負担や当該地域の住民に対する介護保険サービスの低下、施設入所待機者の増加などの支障が生じている。
 ついては、安定的かつ円滑な介護保険サービスを確保するため、被災地域等の意向を踏まえつつ、被災事業所の事業再開に係る支援策を講じながら、サービス提供基盤の緊急整備及び充実を図るとともに、介護従事者の増員策が講じられるよう要望する。


18歳以下の県民の医療費無料化について

 平成24年10月1日から18歳以下の県民の医療費が無料化されるが、小学校1年生から3年生までは各市町村が独自に助成を実施していることから、県補助対象者は小学校4年生から18歳以下となっている。また、就学前の子どもについては、現行の乳幼児医療費助成事業補助金制度で対応することとしている。
 このように子どもの年齢によって取扱いや要件、財源が異なることは事務管理が繁雑になるうえ、複雑化した制度は住民の混乱を招くことが懸念されることから、次の事項について要望する。

1.現行の乳幼児医療費助成事業補助金交付要綱を廃止し、制度の一本化を図り、小学校1年生から3年生も含めた、0歳から18歳までの医療費全額の補助金を交付されるとともに、現行制度において補助対象外とされている審査支払手数料についても補助対象とすること。

2.医療費の自己負担にかかる部分の助成ばかりでなく、国民健康保険制度における国・県支出金の減額措置分及び医療給付の波及増分についても助成すること。

3.当該制度が持続して運用できるよう継続的な財源確保について国に対し要請すること。

妊婦健康診査の県補助事業制度の期限延長について

急速な少子高齢化の進行は、労働力人口の減少や国・地方財政への影響、また家庭や地域における子どもの育成環境の変化など、将来のわが国の社会、経済に大きな影響を及ぼすものと懸念されているところであるが、その背景として、女性の社会進出や晩婚化のほか、妊娠から出産、育児にかかる費用の負担感も指摘されている。
 国は、平成21年1月に平成23年3月を期限とし、全妊婦に対し14回の補助制度を施行、さらに平成24年度まで延長したが、妊婦健康管理の向上と子育て世代が安心して出産できる環境を整えるためには、継続して国、県の補助が必要であることから、補助制度の期限延長を要望する。

保育所等給食検査体制整備事業補助金の継続及び拡充について

 子どものより一層の安全・安心を確保するため、安心こども基金を活用した保育所等給食検査体制整備事業補助金が平成24年度に制定されたところである。
 しかしながら、整備以降の機器の保守及び修繕に要する経費については、補助対象とされていない。
 ついては、来年度以降も保育所等給食検査体制整備事業補助金を継続されるとともに、同補助金を拡充し、検査機器のメンテナンス費用、人件費及び試料代等の検査体制維持のための費用についても補助対象とされるよう要望する。

保育料の減免に対する財政支援について

 避難指示解除準備区域及び旧緊急時避難準備区域内の子どもが市立保育所へ入所する場合、現在もなお避難生活や失業等厳しい経済状況におかれている保護者の負担軽減のため、自治体独自に一時保育及び特定保育を含め保育料の減免を行っている。減免による減収に対しては、何ら補てん措置がないため、新たな自治来の財政負担が生じている。
 ついては、原子力発電所事故という特異的な災害の特例措置として、これらに対する財政支援を講じ、地方負担を軽減するよう要望する。

放課後児童クラブに対する補助について

 放課後児童クラブに関しては、放課後プラン推進事業費補助金(放課後児童健全育成事業)で、国・県より補助を受けているところであるが、児童数やクラブの規模も様々であり、指導員の人件費も含め、クラブ運営が厳しい状況にある。
 ついては、補助基準額の嵩上げや、国の補助対象外となる週3回未満のクラブ利用児童への県単独補助を創設するなど、児童クラブに対する更なる財政支援を要望する。

公立保育所の耐震化に係る補助制度の創設について

 保育所を利用している子どもの安心・安全を確保する観点から、保育所の建物の耐震化を図ることは重要であり、東日本大震災級の地震の発生も今後も懸念されることから早急に耐震化が必要な状況である。
 しかしながら、現在、公立保育所の耐震化に対する国、県の補助制度がなく、耐震化を推進するうえで、財源確保は急務となっている。
 ついては、公立保育所の耐震化を早期に実施するために補助制度の創設を要望する。

児童福祉施設の遊具除染に関する経費について

 児童福祉施設の遊具の除染費用については、洗浄による遊具の除染に係る費用が補助対象となっている。
 しかしながら、それだけでは、放射線量の低減化を図ることは難しく、市民の不安を払拭できない状況にある。
 ついては、除染を目的とした遊具の更新についても、補助対象とし、その撤去、処分、新設に要する費用に対し、補助金を交付するよう制度の拡充又は創設を要望する。

屋内運動施設及び屋内遊び場の整備及び管理・運営に係る
財政措置について

 子どもの健全な発育には、発達段階に応じて必要な遊びや運動を必要な時期に行うことが不可欠であり、既存の屋内型運動施設だけの対応では全ての子どもたちに運動する機会を提供することは不十分であることから、新たな屋内型運動施設の整備が必要である。
ついては、発達段階に応じた運動プログラムを確立するとともに、屋内運動施設や屋内遊び場の整備に係る助成制度の創設と、今後の施設の管理・運営に要する経費についても財政措置の拡充を講じるよう要望する。

放射線に対する住民の健康管理について

 原子力発電所事故に伴う放射線による健康被害への不安に対し、引き続き住民に対するきめ細かな対策が求められていることから、次の事項について要望する。

1.県は主体性を持って、より詳細な放射線量の測定を行うこと。

2.住民全員を対象とした外部・内部被ばく線量調査を実施し定期的な健診・医療の受診及び相談体制を確立すること。また、特定健診に追加する検査項目に係る経費を確保すること。

3.県外避難者に対する被ばく検査環境の整備を図ること。

4.放射線対策健康管理を推進するため健診(検査)データ管理システムの構築にかかる経費を確保すること。

5.国が定める避難基準値(20mSv/年)以下の地域であっても、住民が原子力発電所事故の被災者であることを公式に認め、住民の長期健康管理(最低30年間)及び疾病対策に全責任を負うことについて国に働きかけること。

6.長期間にわたる健康管理等を安全・確実に実施するため、県内に複数の専門医療施設を設置すること。

7.県民健康管理調査「健康診査」については、避難区域や避難区域外に関わらず、同一の検査項目による検診を行うこと。

8.県民健康管理調査の結果に関して、追跡調査を実施するなど疫学調査をしっかり行い、責任を持って人体に対する放射線の影響を明 らかにすること。

健康診査事業等の財政支援について

 がん検診(胃がん、子宮がん、肺がん、乳がん、大腸がん)に係る費用については、平成10年度から国・県負担金(補助金)を廃止し、地方交付税をもって措置(一般財源化)されている。
 平成20年度から措置された健康増進法、がん対策基本法に基づくがんの早期発見等のためのがん検診及びがん予防事業(健康教育、健康相談)などは、住民の健康保持の観点からも保健事業の根幹をなすものであり、重要な事業である。
 ついては、健康診査及び健康教育の充実強化を図る観点から、これら事業の財源の確保・拡充を図り、地方負担の軽減について特段の御配慮を要望する。
 また、国が配布している乳がん・子宮頸がん・大腸がん検診の無料クーポン券について今後も実施されるよう国に対して働きかけられるとともに、県においては、胃がん・肺がん検診などの対象とされていないがん検診の無料クーポンの配布を要望する。

放射能測定事業に係る財政支援ついて

 自治体においては、住民の安全を守るため空間放射線量や食品の放射能計測を行っている。
 空間線量に関しては、放射線測定器の貸出しを住民に行ったり、自治体で計測しホームページ等で公開、又は放射能マップを作成、配布し情報を提供している。
 また、食に関しては、年間を通して測定を行い、飲用井戸水、農作物等食品の放射性物質の量を把握し、安全性の確認、風評被害の払拭に努めていることから、次の事項について要望する。

1.県の支援で購入した機器の校正に関する「線量計等緊急整備支援 事業」を今後も継続すること。

2.食品の計測については、市民からのニーズも高く継続していかな ければならない事業であるため、「放射能簡易分析装置整備事業」 を今後も継続すること。

在宅当番医制事業補助金について

医療体制の充実を図るため、在宅当番医制事業を実施してきたところであるが、国においては当該補助制度の見直しを行い、平成16年度に一般財源化をし、地方交付税により措置している。
 市町村が行う事業は住民と直結した業務がその大半であり、とりわけ在宅当番医制事業は、初期救急医療の根幹をなす事業のため、事業が廃止となった場合、第二次及び第三次救急医療体制にも影響が生じ、地域における救急医療体制の確立が困難な状況となり、住民の生命や生活に多大な影響を与える結果となる。
 ついては、事業実施における財源の確保が確実な方法として国の制度改正に関わらず県においては、在宅当番医制事業補助金の一般財源化について見直しを図るよう国に対して働きかけるとともに以前行っていた補助制度を復活されるよう要望する。

ホールボディカウンタ導入費用等に係る財政支援について

 原子力発電所事故から1年以上を経過した現在においても、住民の放射線による健康被害に対する不安は未だに払拭されていない状況にありその解消対策は急務である。
 自治体においては、住民の放射線に対する不安を解消し、長期にわたる健康管理のため、独自にホールボディカウンタを導入し、内部被ばく検査を実施しているところである。
 ついては、これら整備に要した経費及び長期的な健康管理に要する全ての費用に係る財政措置を要望する。

地域医療の確保・充実について

 地震、津波、原子力発電所事故に伴う放射能の問題及び風評被害は、かつて経験したことのないものであり、これらの事態は、地域医療の要である医師の招へいにあたって新たな障害となっている。
 また、放射能問題により避難等指示区域以外の地域でも多くの医療従事者が県外に流出しており、これら医療従事者の確保が急務となっていることから、次の事項について要望する。

1.公的病院への医師派遣事業を継続・拡大すること。

2.派遣医師を増員すること。

3.地域医療の復興・再生が早急かつ円滑に進むように、地域の医療環境の変化に応じた地域医療再生基金の弾力的な運用を行うこと。

4.地元の医師の確保及び開業医を存続させるために、新規開院時等の財政支援制度を創設すること。

5.救急医療機関に対する財政支援及び救急医療に対応できる専門的な医師を充足・配置すること。

ワクチン接種事業に係る財政支援について

 近年、国による予防接種制度の抜本的な見直しにより、感染症予防費に要する経費は急激かつ多額の財政負担が生じている状況にある。
 予防接種の制度改革により、感染症予防対策が充実することは望ましく、市民にとっても大変有意義な施策である反面、財源に関する課題が解消されない状況となっていることから、次の事項について要望する。

1.各市町村の財政状況によって県民の健康管理状況に格差が出ないよう予防接種に対して財政支援を講じること。

2 子宮頸がんワクチン、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチン接種を早期に定期予防接種に位置づけるとともに、接種費用を含め十分な財政措置あるいは経費負担が軽減できるような施策を講じること。

3.不活化ポリオワクチンは、現行と比較し高額であり、接種内容や回数の変更により新たな財政負担が生じることから、導入にあたっては必要な財源を確保すること。

4.高齢者肺炎球菌ワクチン接種費用の財源措置を講じること。

災害時の応急給水設備整備に対する補助について

 自治体においては、受水池等の各施設に緊急遮断弁等の整備を図るなど災害時の飲料水確保に努めているが、確保した飲料水を円滑に給水するため設備の整備等が必要である。
 ついては、貯水施設への給水口整備、停電対策として動力式ポンプ等の配置及び機材収納倉庫の整備、加圧式給水タンク車及び給水タンク等購入などにかかる経費の補助を要望する。

水道施設の再構築事業並びに水道施設の安全強化のための
施設整備に対する財政支援制度の確立について

 我が国の水道事業は、水道普及が進んだ昭和30年代に建設された施設が多く、これらの水道施設の再構築事業が大きな問題となっており、加えて、最近の水環境変化から生じる水質問題や、鉛製給水管の使用による水道水の汚染問題に対応し、安全でおいしい水を求める住民のニーズに応えるためにも、高水準の施設に再構築しなければならない状況にある。
 しかしながら、水道施設の再構築事業は莫大な事業費を要し、料金収入の増加にはつながらないことから、水道事業経営に極めて大きな影響が出ることは必至である。
 また、阪神淡路大震災や東日本大震災等、史上空前の大災害による経験から、震災等の大規模災害への対応や米国の同時多発テロを契機としたテロ対策強化への要請に応えるため、水道施設の耐震性能強化及び安全強化に関する事業を推進する必要がある。
 ついては、浄水場や基幹管路等の水道施設を近代化する再構築事業や鉛製給水管布設替えに対する財政支援体制及び水道施設の安全強化のための施設整備に対する支援体制の確立が早急に図られるよう要望する。

安定ヨウ素剤の配備と服用にかかる適正な対応について

 放射性ヨウ素による被ばくを阻止または低減するために、吸入する直前の安定ヨウ素剤の服用が効果的であると言われており、原発から数十キロ圏の自治体には安定ヨウ素剤が配備・備蓄されていたが、空前の大事故による混乱の中で、安定ヨウ素剤の正しい服用が行われなかった。
 国から原発事故の収束宣言は出されたものの、いつまた原子力災害が起きるか予断を許さない状況が続いている。
 ついては、国における放射性ヨウ素防護地域(PPA)の見直しに伴う、指定区域外の県民への安定ヨウ素剤の配備を要望する。
 なお、服用指示にかかる情報伝達方法の再整備や安定ヨウ素剤の効果、副作用、服用時期等の情報周知及び子供用ヨウ素剤の開発について国に対し働きかけられるよう要望する。

県立リハビリテーション飯坂温泉病院の廃止に伴う
新たな支援施設に対する予算措置について

 平成19年3月末をもって廃止された県立リハビリテーション飯坂温泉病院の跡地については、医療関係、地域代表、保健福祉関係者及び知識経験者からなる「福島市保健福祉等施設整備検討委員会」にて取りまとめられた施設整備の基本方針により、新たな保健福祉等の拠点としての施設整備が求められている。
 ついては、県立リハビリテーション飯坂温泉病院跡地の無償譲渡、拠点施設整備に係る財政的支援及び同病院に併設されている特別養護老人ホーム「福島県飯坂ホーム」の飯坂地区内への建築移転等について要望する。


◆商工労働部関係

雇用対策の推進について

 東日本大震災や原子力発電所事故の影響により地域内の様々な業種での事業活動が大きな打撃を受け、多くの事業所の操業再開が遅延、見通しがつかない状況にあり、多数の失業者が発生するなど雇用情勢が非常に厳しい状況にあることから、次の事項について要望する。

1.各種施策に基づいた事業の実施により地域経済の活性化と雇用の安定化を図るとともに雇用状況が厳しい市町村に対する予算配分を行うこと。

2.緊急雇用創出基金事業は多くの雇用を生み出す市町村の雇用対策の柱となっていることから25年度以降も継続するとともに、雇用契約後であっても遡及適用を可とするよう制度の改定を行うこと。また、労働者の雇用期間について、継続事業の雇用においては3年以内の更新を可能とするよう制度の改正を行うこと。

3.「がんばろう福島!“絆”づくり応援事業」を25年度以降も継続して実施すること。また、絆づくり応援事業では、市民の健康管理等を継続的かつ長期的に行っていく上で、市民との信頼関係が重 要となるため、労働者の雇用期間については、3年以内の更新を可能とするよう制度の改正を行うこと。

4.制度活用の利便性を向上させるために手続きの簡素化を図ること。

5.避難指示区域などにあった事業所が事業を継続・再開するために新規の雇用を行う場合には、特段の助成制度が受けられるようにするなど、被災企業に対する支援や被災者等の雇用対策を特に強化すること。

6.今後の対策においては、短期的な視点での対応を確保しつつ、中・長期的な視点からは、新規創業支援の延長を始め、税制面での更なる特例措置を設けることなどにより地域内の企業に新規募集を促す新たな施策を講じること。

中小企業に対する支援について

 東日本大震災及び原子力発電所事故の影響により地域内の様々な事業活動が大打撃を受け、多くの事業所の操業再開が遅延するなど、非常に厳しい状況にある。
 また、風評被害もあいまって、商工業、観光サービス業は多大な影響を被っている。
 このため、国・県においては中小・零細企業等への支援策として新たな補助制度の創設、震災に伴う特別資金での支援など各般の施策を講じているが、原発事故により市民の多くが避難していたため、事業再開を躊躇している事業者が多くあることから、次の事項について要望する。

1.被災事業者の早期の経営再生を確かなものとするため、中小企業等復旧・復興支援事業については、25年度以降も継続して実施すること。また、当該補助事業は1事業所あたり補助申請は1回限りとしていることから、今年度に補助申請を行った事業所でも、次年度以降も引き続き補助対象とすること。

2.「ふくしま復興特別資金制度」を25年度以降も継続すること。

3.県内外に移転しながら操業開始した企業等が、警戒区域が解除となったことにより、区域内に戻り操業を再開する場合の新たな支援策を創設すること。

4.補助事業を含めた経営支援、技術力強化支援を図るための予算措置を講じること。

5.すべての損害(実害・風評被害)について、早急な仮払いを含めた賠償等を国の責任において行うよう要請すること。

ふくしま産業復興企業立地補助金に係る予算の確保について

 この未曾有の大震災からの一日も早い地域復興と産業経済の再生を図るべく創設された「ふくしま産業復興企業立地補助金」は、県内民間企業の生産拡大や新たな企業の誘致に繋がるものであり、新たな雇用の創出などその経済波及効果は、地域再生の新たな活力となるものとして大いに期待されているところである。
 ついては、財源不足等の要因から保留となっている設備投資等の早期の事業採択はもとより、当初計画していた事業設計のとおり県内全域を対象とした募集を24年度中に実施するとともに、平成25年度における予算の確保について要望する。

工業団地整備に係る支援について

 東日本大震災及び原子力発電所事故並びにそれに伴う風評被害により、既存企業が県内外に流出するという危機に直面し、多くの雇用の場が失われることとなった。
 雇用の創出を図るためには、工業団地を整備し、企業等の誘致に努める必要があることから、工業団地整備に係る新たな補助金の創設を要望する。
 また、大規模な工業団地造成には多額の費用と専門的な知識を有する人員を要することから、県を中心とした事業主体による工業団地整備計画を推進するよう要望する。

ロボット工学産業など新分野への進出支援について

 地域の工業生産を回復させ、成長軌道に誘導するためには、福島第一原子力発電所の廃炉作業に対応するロボット関連分野に進出し、地域部品産業界の復興施策を実施することが必要である。
 ついては、製造業への技術支援(相談・試験・開発・人材育成)を行う研究機関の設置を要望する。

中心市街地の活性化促進について

 中心市街地活性化は、高齢社会への対応をはじめ、中心市街地におけるこれまでの都市機能の蓄積を活かし、市街地の外延化に歯止めをかけ、コンパクトでまとまりのあるまちづくりのため、行政と市民が一体となって早急に進めるべき課題である。
 ついては、商業まちづくりの観点を踏まえながら、大型商業施設内への魅力ある小売店の誘導を図ることを目的とするテナント賃料補助制度の創設等、中心市街地活性化支援施策の拡充を要望する。

県立テクノアカデミー浜の高度化の推進について

 東日本大震災及び原子力発電所事故の影響により同校は休校状態となっていたが、再開を機会に、震災後の地域産業復興に向け、地域の産業復興ニーズに即した高度な職業能力を持つ人材育成並びに企業立地の進展に応える人材育成をさらに進展させる必要がある。
 ついては、普通課程の全学科を専門課程に格上げし、同校を県内の職業能力開発施設の拠点校と位置付けしたうえで、職業能力開発促進法に基づく「職業能力開発大学校」に昇格するよう要望する。

積極的な観光施策の展開について

 原子力発電所事故により本県のイメージが低下し、定住人口や交流人口が減少傾向にあり、観光産業等に大きな打撃を受けていることから、次の事項について要望する。

1.多くの方々に現地に足を運んでもらい安全性を実感していただくとともに、それらの様子がマスコミ等で報道されることが最も効果的であることから、国際的・全国的な会議やイベント等の誘致について積極的に取り組むこと。

2.平成25年NHK大河ドラマ「八重の桜」を活用した観光誘客を図るため、大河ドラマ館の整備や誘客宣伝など各種事業への積極的な取り組み、さらに地域の取り組みに対する支援をすること。

3.すべての損害(実害・風評被害)について、早急な仮払いを含めた賠償等を国の責任において行うよう要請すること。

4.外国人観光客の入り込みが依然として厳しい状況にあり、インバウンドの充実に向け、福島空港の早期の海外路線の復活と本県への外国人誘客に向けた対策の充実を行うこと。

5.将来のリピーターとなり得る教育旅行の復活について、県が先導的役割を担い、県外の教育委員会や学校などの教育機関、旅行代理店など関係機関に対して教育旅行の復活や誘致をすること。


◆農林水産部関係

農地の放射能対策の実践に向けた支援について

 県においては、農地の放射性物質除去・影響軽減対策技術の確立に向けた各種試験が実施されており可能な技術から実施する方針となっている。
 放射性物質の吸収抑制については、国が東日本大震災農業生産対策交付金において定額補助(10分の10以内)によりカリ肥等放射性物質吸収抑制資材の散布に係る費用を支援しているが、国の事業要件や予算枠等により、一部の農地に国の支援が受けられない状況にあることから、次の事項について要望する。

1.農地の放射性物質除去・影響軽減対策を平成25年の作付け前に実施できるよう、早期の普及体制の確立を図るとともに、財源を確保すること。

2.全ての農地のカリ肥等放射性物質吸収抑制資材の散布に係る費用を支援対象とし、その全額を負担する財政措置を講じるよう国に働きかけること。

食品の安全・安心確保対策について

 本年4月から食品の放射性セシウムの基準値が100Bq/kgに厳密化されたことに伴い、生産段階におけるきめ細やかなモニタリングによる安全性の確認と風評被害の払拭が最重要課題となっている。
 県産米については、「ふくしまの恵み安全・安心推進事業」により各市町村に設置の地域協議会等が全袋検査を実施することになるが、導入する検査機器の費用については、原則的に米の生産地において当該検査を実施することを前提とし、平成22年度産米の収穫量を基準に補助金を交付することとしていることから、次の事項について要望する。

1.市町村が要望する県産農林畜水産物のモニタリング体制の確立を図るとともに、必要な財政措置を講じること。

2.米の全袋検査に係る25年度以降の検査機器の導入費については、検査機器台数に不足が生じ、円滑な検査が実施できなかった地域協議会に対しても、継続して補助対象とすること。

3.自治体独自の自主検査についても、人件費や物件費等の財源を確保すること。

農産物の風評被害対策事業について

 農産物の販売が厳しい状況にある中、「がんばろう福島!」など首都圏を中心に本県の農産物等の販売促進キャンペーンへの参加や独自に特産品・観光のPRを実施してきたところである。
 県産農産物等に対する風評被害を払しょくするためには、各自治体のみならず、民間事業者も一緒になって取り組む姿勢が重要であり、官民一体となった復興対策が非常に有効である。
 ついては、国内外への正確な情報提供や県内産品の販路拡大などの風評被害対策事業の強化及び各種PR販売事業等の予算措置を講じるとともに、生産者団体や任意団体等が自主的に行う風評被害払拭に向けた販売促進事業等に対する支援措置について要望する。
 また、災害により被った損害(実害・風評被害)については、早急な仮払いを含めた賠償等を国の責任において行うよう要請すること。

戸別所得補償制度の適切な執行について

 放射性物質の拡散は、食の不安や風評被害をもたらし、農業に極めて深刻な影響を与えている。
 農業生産者に対して標準的な生産費を補償するものとして農業者戸別所得補償制度があるが、このうち、米の当年度における販売価格が標準的な販売価格を下回った場合にその差額分を交付する変動部分の交付額は、全国的な米の販売価格の平均の増減に基づいて決定することとなっている。
 このため、風評被害等の影響により本県の米価が他県に比べて著しく下落した場合、本県においては米価の下落による損失と変動部分の交付額に大きな差が生じ、県内の生産者に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。
 ついては、こうした事態が生じた場合に、原子力発電所事故の影響を最も受けている本県は別枠で補償するなど著しい米価下落による損失への対応を国に対して働きかけられるよう要望する。

産地生産力強化総合支援事業の拡充について

 農業従事者の高齢化が進む中で、他産業並みの所得が上げられる農業経営を目指し、効率的かつ安定的な担い手が主体となる農業構造に転換を図るべく、園芸作物、畜産、農産物加工等に取り組み、農業経営の複合化・多角化を推進するための各種事業を実施しているところである。
 ついては、県単独事業の「産地生産力強化総合支援事業」の拡充を要望する。

肉用牛肥育経営安定補助事業について

 原子力発電所事故の影響は、畜産農家に多大な影響を及ぼしており、平成23年7月からの牛の出荷制限により、肉用牛肥育農家の経営は非常に厳しい状況となっている。今後、出荷再開がされた場合においても、経営規模の維持が難しい状況にあり、経営の継続のためには、子牛の導入による経営規模の維持が必要である。
 ついては、肉用牛肥育農家への子牛導入にあたり、補助事業の創設を要望する。

地籍調査事業に係る支援について

 地籍調査事業については、土地の境界や面積を確定し、境界トラブルの防止、土地取引の円滑化、災害復旧の迅速化が図られるとともに、土地課税の公平化に繋がることから早急な完了が望まれている。
 しかしながら、地籍調査の実施にあたっては膨大な事業費を要するため、財源の確保が課題となっている。
 ついては、地籍調査の推進のための支援対策が図られるよう要望する。

耕作放棄地再生利用緊急対策について

 耕作放棄地の発生要因や荒廃状況、権利関係、耕作放棄地の所有者や周辺農業者等引受手となり得る者の態様等は地域によって様々であり、耕作放棄地の再生・利用を図るためには、地域の実状にあった取り組みが必要である。
 しかしながら、国の「耕作放棄地再生利用緊急対策」では、賃借等により耕作放棄地を再生・利用することが交付対象の前提条件となっており、自作地の再生利用については対象外となっているため、規模拡大等を目的に本人が所有する耕作放棄地を解消する取り組みには支援が図られていない状況にある。
 ついては、認定農業者等担い手を対象として、自作地における耕作放棄地を再生・利用する取り組みに対する支援を要望する。

農地・水保全管理支払交付金に係る予算の確保について

 農地・水保全管理支払交付金については、農業資源を維持継承するとともに環境を保全していくための有効な施策であることから、平成25年度から新たに協定を締結し、支援を受けながら活動を行いたいとする集落等の新規地区への当該年度の予算を確保するよう要望する。

県営経営体育成基盤整備事業の促進について

 本事業の実施により、新たな区画整理とこれに付帯する用排水施設、農道の整備、並びに付帯施設の老朽化に対応した更新及び施設の機能向上整備等が進められ、担い手農家の育成、農地の利用集積、農業の生産性の向上・維持・拡大が期待されるものである。
 ついては、本事業の整備にあたっては円滑に事業が促進されるよう要望する。

農業用水用ため池等の安全点検経費に対する補助について

 東日本大震災により多数の農業用水用ため池に亀裂や漏水が発生したことから、施設の安全性を確保するため、復旧工事等を行うにあたり、被災状況を的確に把握する点検調査が必要である。
 ついては、それらに要する経費の補助について要望する。

海岸防災林の整備について

 東日本大震災の津波により海岸防災林の多くが流出し、沿岸部において安全性が著しく低下している。
 県内沿岸部の各市町村では、浸水区域のうち現集落での再建を検討している地区の復興のために、海岸防災林を整備することで津波被害軽減対策を検討している状況である。
 ついては、早急かつ確実に防災緑地を整備するために、海岸防災林を県が主体的に整備するよう要望する。

森林病害虫等防除事業の強化について

 森林は、木材の生産のみならず水資源の涵養、土砂の流出・法面崩壊の防止、二酸化炭素の吸収、景観の保全など多様な公益的機能を高度に発揮し、地域形成の上に大きな役割を果たしているところである。
 これら地球環境等の保全に寄与する森林において、松くい虫被害は懸命な防除対策により減少傾向にあるが、高標高地域では被害が拡大しており、また、カシノナガキクイムシによる広葉樹の枯損被害についても被害が拡大している。
 ついては、継続的かつ積極的な防除対策ができるよう、松くい虫・カシノナガキクイムシ防除予算枠の拡充を要望する。
 また、国県主導による大規模な被害防除対策と、国による国有林の森林病害虫防除事業に対する予算確保と実施について国に対して働きかけられるよう要望する。

山のみち地域づくり交付金事業の早期着手について

 旧緑資源幹線林道の未着手区間については、「山のみち地域づくり交付金」が新たに創設され、地方公共団体の判断により事業が実施できることとなり、県において各区間の見直し調査等を行ったところである。
 ついては、地域住民や関係者は事業の早期完了を切望していることから、山のみち地域づくり交付金事業の未着手路線の早期着工と早期完成について要望する。

森林管理道整備事業(林道開設事業)の強化について

 国では、低炭素社会の実現、コンクリート社会から木の社会への転換、木材自給率50%を目指し、平成21年12月に「森林・林業再生プラン」が策定され、今後10年間を目途に路網の整備、森林施業の集約化及び必要な人材育成を軸として、効率的かつ安定的な林業経営の基盤づくりを進め、木材の安定供給と利用に必要な体制を構築することとした。
 また、平成23年度から面的まとまりをもって計画的な森林施業を行う林業事業体に対して、搬出間伐等の森林施業を直接支援する「森林管理・環境保全直接支払制度」を導入したことから、これまで山林未利用材として林内に放置されてきた間伐材が建築用材等や木質チップとして有効利用されるシステムが構築されたところである。
 しかしながら、間伐材を搬出するためには、林業の最も重要な生産基盤である路網整備が必要であり、路網については、造林、保育、素材生産等の森林施業を効率的に行うためのネットワークであることから、とりわけその基幹となる林道の整備促進が必要となるものである。
 ついては、林道開設事業における継続事業の早期完成が図られる事業費枠を確保するよう要望する。

治山事業の推進ついて

 近年、豪雨等の異常気象により、山崩れ、土石流、地すべり、なだれ等の山地災害が多発していることから、安全で潤いのある生活環境を確保し地域振興・発展を図ることが重要である。
 ついては、山地災害の未然防止はもとより、災害跡地の復旧、さらには水源かん養機能の維持向上など、保安林の機能を強化する治山事業を積極的に推進するよう要望する。

 
◆土木部関係

県施行工事負担金の廃止又は軽減について

 県施行工事負担金については、地方財政法や道路法等に基づき、負担率5%の負担金を納入しているところであるが、自治体においては、東日本大震災及び原子力発電所事故による放射能の影響を受け税収が著しく低下し、財政の好転が見えない中、災害からの復旧・復興への財源を捻出しなければならない状況である。
 ついては、県施行工事負担金の廃止又は軽減を要望する。

道路の整備促進について

 被災地域の物流機能の回復を図るとともに、一日も早い復旧・復興に向けて、下記道路の整備促進について要望する。

1.社会資本整備重点計画に即した道路整備を着実に推進すること。

2.立ち遅れている地方の道路整備を促進するため、地方が真に必要 としている道路整備を計画的に進めるための予算を確保すること。

3.円滑な交通体系の確立及び被災地方の復興を図るため、高規格幹線道路、地域高規格道路、一般国道、県道、市町村道等の整備にあたっては、採算性のみでなく地域の実情等を十分勘案し、早期に完成させること。
 ○特記事項
 ・一般国道115号「相馬福島道路」開通
 ・一般国道115号「相馬南バイパス」4車線化
 ・一般国道118号「須賀川市〜会津若松市間(塚松バイパス)」
 ・一般国道288号「花木内〜鐙ヶ池区間」
 ・一般国道294号「江花地内(現道拡幅)」
 ・一般国道349号「杉沢地区、西新殿地区」
 ・一般国道399号「平北目地区(交差点改良)」
 ・一般国道399号「平市街地〜下平窪地区(早期計画策定)」
 ・一般国道399号「内倉〜下戸渡(早期計画策定)」
 ・一般国道459号「岳下地区、大平地区、百目木地区、田沢地区、東新殿地区」
 ・県道「安達太良山線」
 ・県道「馬場平杉田線」
 ・県道「原町二本松線」
 ・県道「須賀川二本松線」
 ・県道「二本松川俣線」
 ・県道「木幡飯野線」
 ・県道「石沢荻田線」
 ・県道「飯野三春石川線」
 ・県道「本宮岩代線」
 ・県道「二本松安達線」
 ・県道「本宮土湯温泉線」
 ・県道「岳温泉線」
 ・県道「岳温泉大玉線」
 ・県道「相馬亘理線」のかさ上げ等の早急な復旧及び被災地の土地利用を考慮したルート変更も含めた整備促進
 ・主要地方道「小名浜平線(花畑工区、小名浜港区)」
 ・主要地方道「中野須賀川線(袋田バイパス)」
・主要地方道「いわき石川線(湯本跨橋工区、笠井工区、深山田地区、皿貝工区、才鉢工区)」

4.高速自動車国道の整備にあたっては、地方に新たな負担を求めることなく、早期に完成させること。
  また、直轄方式の高速道路の整備にあたっては地域の実情等を十分に勘案し早期着手を図ること。
 ○特記事項
 ・東北中央自動車道
 ・常磐自動車道(早期全線開通)

5.整備中のインターチェンジについては早期完成を図るとともに、周辺アクセス道路等についても整備促進を図ること。
 ○特記事項
 ・東北中央自動車道(仮称)大笹生インターチェンジ及び接続する主要地方道上名倉・飯坂伊達線(早期整備促進)
 ・福島松川スマートインターチェンジのアクセス道路である主要地方道土湯温泉線(早期建設促進)

6.老朽化した道路橋などの社会資本ストックの維持管理・更新費用の財政支援及び社会資本ストックの早急な整備促進を図ること。

7.市町村道整備補助の増額及び補助対象事業の拡充を図るとともに県道の認定基準を緩和し、主要市町村道を県道に昇格させること。

8.社会資本整備総合交付金事業費補助金を増額するとともに、使いやすい交付金制度とすること。

9.安全で快適な生活環境の創造のため、通学路などの交通安全対策、道路防災対策、バリアフリー施策等を促進すること。
  また、高齢者等の社会参加を支援するため、歩行空間の面的整備を促進すること。
 ○特記事項
 ・県道「二本松・金屋線(和田字北大沢地内)」
 ・県道「本宮・常葉線(白岩字柳内地内)」
 ・県道「石筵・本宮線」
 ・県道「本宮・岩代線(糠沢字小田部地内〜礼堂地内)歩道」
 ・主要地方道「飯野・三春・石川線」

10.都市における安全かつ快適な交通を確保するとともに、健全な市街地の形成、活力と魅力ある快適な都市の形成のために、都市計画道路については、まちづくりと一体となった整備を図るとともに、十分な財源を確保すること。
 ○特記事項
 ・県道「豊間四倉線」(早期計画策定及び防災道路・防災緑地整備)
 ・県道「福島停車場線(駅前通り)」
 ・県道「本宮停車場線」(街路事業整備及び一体的・効率的な整備)
 ・主要地方道「本宮熱海線」(地域のまちづくり計画の連携を図った効率的な整備)
 ・都市計画道路「須賀川駅並木線」
 ・県中都市計画道路事業の財源確保

11.夏秋の観光シーズンを含めて通行車両が大幅に増加し、地域経済への波及効果が大きく、観光復興に貢献することから、スカイライン、ゴールドライン及びレークラインの無料化を継続すること。

12.道路の無電柱化を促進するため、必要な措置を講じるとともに、 制度の更なる改善を図ること。

津波防災対策の推進について

 沿岸部は、津波被害により甚大な人的被害と住家被害が発生し、その被害は内陸部まで及んでおり、現在も震災の爪あとが数多く残されている状況にある。
 被災地の復興に当たっては、被災しても人命が失われない減災の考え方に基づく災害に強い地域づくりが求められており、また政府の東日本大震災からの復興の基本方針においても、地域ごとの特性を踏まえ、ハード・ソフトの施策を組み合わせた多重防御による津波防災まちづくりを推進することが示されている。
 ついては、沿岸域における被災市街地の復興に向けて、被災市街地のまちづくりに併せた河川、海岸、港湾等の津波防災対策を図るよう要望する。

災害復旧事業について

 東日本大震災からの復興を進めるためには、災害により住居を失った被災者住宅の早期再建や道路の復旧・復興が必須である。
 ついては、下記の事項について要望する。

1.災害危険区域外の被災者に対する住宅建設費等の利子相当分を補助すること。

2.防災集団移転促進事業及びがけ地近接等危険住宅移転事業の事業決定以前の移転被災者に対し補助すること。

3.急傾斜地崩壊対策事業の市町村負担金を原則廃止とすること。

4.急傾斜地崩壊対策事業に伴う受益者負担金は、県が直接受益者に負担を求めること。

5.災害関連地域防災がけ崩れ対策事業及び災害関連緊急急傾斜地対策事業の予算を十分に確保すること。

6.現行災害関連対策事業で採択基準外となっている被災箇所を救済すべく、小規模急傾斜地崩壊対策事業を創設すること。

7.小規模な復旧事業については、一箇所における工事費用の補助対象の下限額を見直し、国庫補助事業として実施できるよう従来の災害復旧費用の適用範囲を拡充するよう国に対して働きかけること。

8.道路の復旧・復興事業に伴う水道管の移設等の費用について、道路事業の効果促進事業として財源を確保するなど、占用者に対する財政支援を行うこと。

河川改修・砂防事業等の促進について

 河川の未整備区間については、過去数次にわたる出水等により、住宅・農地等に甚大な被害をもたらしており、加えて近年における都市化の進展や流域内の開発に伴い、各河川の治水機能は著しく低下してきている。
 ついては、国土保全と市民生活の安定を図るため、河川改修・砂防事業の整備促進を図るとともに、特に災害の恐れのある未整備区間においては、早急に整備されるとともに次の事項について要望する。

1.「阿武隈川水系河川整備計画」に基づく築堤事業や河道掘削事業及び狭隘部の家屋浸水対策事業を早期に実施すること。

2.阿賀川旧河川の水質浄化等の再生を早急に図ること。

3.二級河川については、浸水想定区域の見直しと浸水想定図の作成を早急に実施すること。

4.仁井田浦の開口部を閉め切り、夏井川の河口閉塞を解消するなど抜本的な対策工事を実施すること。

5.仁井田川の堤防高の嵩上げ工事を実施すること。

多目的ダムの決壊等の被害予測調査について

 東日本大震災によるダムの決壊に伴い、下流域に甚大な被害をもたらしたことから、県は農用ダムについて、被害予測の策定に着手しているが、土木部管理のダムについては被害予測の策定の予定をしていない。
 大震災以降、住民の防災意識が高まり、頑丈である重力式コンク
リートダムについても決壊時の被害予測の要望が強まっており、早急に避難訓練時の実施を求める意見が出されている。
 ついては、ダム決壊時の被害予測は、施設管理者である県が保有しているデータの提供が必要であり、また、影響範囲は複数の市町村が想定され、かつ大規模になることから、これらの策定について要望する。

港湾の復旧について

 太平洋沿岸の港湾については、津波で甚大な被害を受けており物流機能の回復を図るため、早期に復旧する必要がある。
 ついては、次の事項について要望する。

1.小名浜港について
 (1)既存施設の本格復旧
 (2)東港地区の整備促進
 (3)アクアマリンパークの整備促進
 (4)マリーナ機能の早期復旧

2.相馬港について
 (1)沖防波堤の早期復旧整備促進及び復旧期間中における段階的かつ着実な静穏度の確保
 (2)1号〜2号ふ頭岸壁等港湾施設の早期復旧整備促進及び復旧期間中における安全な港湾荷役環境の確保
 (3)多目的国際ターミナルである3号ふ頭の着実な整備・早期完成と3号ふ頭における大規模地震対策の推進
 (4)海上コンテナ航路等利用促進のため、港湾施設等利用料減免措置の継続及びポートセールス活動の強化
 (5)5号ふ頭危険物取扱用地及び港湾関連用地の分譲促進

土地区画整理事業の推進について

 土地区画整理事業は、道路、公園等の都市基盤整備と良好な宅地を総合的に整備することにより、健全な市街地の形成を図ることのできる、まちづくりの根幹的事業である。
 ついては、本事業を円滑に推進し早期完成を期すため、財源の確保について特段の御配慮を要望する。
 また、防災機能を有する都市拠点の整備には、国や県の庁舎の集約化による効果的な土地利用の実現と、地震、津波等の災害時にも対応できる防災機能を併せ持つ庁舎の整備が不可欠であるため、庁舎移転計画の具体化について要望する。

公共下水道事業の整備促進について

 下水道は、地域の生活環境、公共用水域の水質改善に必要不可欠な施設であるとともに良好な水循環を維持するなど、環境保全にも大きな役割が期待されている。
 しかしながら、下水道整備には多額の費用を要するため、現在の厳しい財政状況において、財源確保に苦慮している状況にある。
 ついては、本事業の整備促進が図られるよう当該補助金の拡充、補助率の復元及び資本費の負担継続を要望する。

市町村合併に伴う流域下水道移管について

 平成の大合併により流域下水道関連市町村が1自治体となった流域下水道は、現行制度では最長10年後には公共下水道へ移管されることになっている。
 この移管については、平成20年2月に県との包括的な協議の場として流域下水道の移行に関する協議会が設けられ、これまで数度の協議を重ねているが、県は一貫して施設の引渡し、債務の承継等を求めるだけで、要望を受け容れる姿勢を示さず、協議会としての機能を果たさない状態にある。
 流域下水道は、広域的な水政策の需要から県主導で進められてきたものであり、仮に移管されたとしても、態勢的にも財政的にも自治体が担える規模・規格にはない。また、市町村合併は、行財政基盤の確立を目的に推し進められてきたものであり、合併による不合理の出来は目的達成を大きく後退させるものである。
 他県においては、移管回避や県の継続管理の施策を講じている例もある。
 ついては、県においては事業の目的や自治体の置かれている状況を考慮し、流域下水道を移管することなく、県が継続して管理する施策を講じられるよう要望する。

災害公営住宅の全県的早期整備について

 東日本大震災と原子力発電所事故に伴う被害により、多くの住民が県内各地の応急仮設住宅での生活を余儀なくされているが、復旧には数多くの難問を抱えることから、解決には長い時間を要することが予想される。
 一方、短期間の居住を想定した応急仮設住宅は、床面積が狭く断熱性や防音性なども十分とは言い難く、入居者の精神的・肉体的負担が大きいため、これらの居住環境を少しでも緩和できるよう、通常の公営住宅並みの床面積や仕様を有する災害公営住宅への早期移転が望まれる。
 県においては5年間で5,000戸以上の災害公営住宅を代行整備するとしているが、応急仮設住宅からの移転時期が集中することが予想されることから、前倒しした積極的な建設供給が必要である。
 ついては、入居者の意向を踏まえた上で、応急仮設住宅を受け入れている市町村の協力を得ながら建設敷地の選定・確保を早急に進めるとともに、広域的な観点から県が率先して災害公営住宅を全県的に供給することが必要であるため、これらに関する予算を確保するよう要望する。


◆教育庁関係

学校教育の充実について

 原子力発電所事故による放射線の不安から多くの児童が転校しているため、新たに複式学級が発生しており、教育環境の悪化が懸念される。
 これからの学校はゆとりある環境のもと、児童生徒一人ひとりの状況に適合した学習指導、生徒指導を行い、個々の個性や能力の伸長を図る必要がある。
 ついては、次の事項について要望する。

1.少人数学級編制制度の継続及びより一層の拡大、充実に向け、学力向上並びに生徒指導充実のための常勤講師の加配を図るとともに、そのために不足する教室、備品等の確保に必要な財政的補助を講じること。

2.複式学級編制基準を弾力的に運用すること。

3.特別支援教育充実のため、特別支援学級の基準を弾力的に運用できるようにするとともに、県独自の支援策による支援員等を配置すること。

4.学校・家庭・地域環境の改善に向けた支援ネットワーク構築のために大きな役割を果たしているスクールソーシャルワーカーを継続的に配置すること。

5.児童生徒が抱えている心の問題を解決するため、児童生徒へ1対1で直接支援を行うスクールカウンセラーを継続的に配置すること。

教職員定数の確保について

 東日本大震災や原子力発電所事故に伴い、子どもたちの心のケアやきめ細かな指導など一人ひとりに寄り添う指導体制が喫緊の課題と
なっている。
 今後も震災・原発事故の特例として、標準法定数の弾力的運用が望まれ、教諭・講師の増員配置、養護教諭や事務職員の複数配置、栄養教諭・職員の定数改善などが急務である。
 ついては、中・長期的な計画の下で加配を実施するとともに、次の事項について要望する。

1.震災対応のための教員加配、不登校対応や教科教育の充実のための専科教員の配置を行うこと。

2.複式学級解消等に向けた講師等の人的加配を拡充すること。

3.中学校における免許教科外指導解消のための加配教員を増員すること。

給食の安全確保対策について

 給食に使用する食材の安全性に対する不安の声が保護者から寄せられている状況にあり、使用食材の検査の強化や情報公開、児童生徒に与える影響等の明確な見解が一層求められていることから、次の事項について要望する。

1.学校給食を安全・安心して提供できるよう、食品の市場流通段階におけるモニタリングの強化と情報の適切な公表、給食食材における含有放射線量の安全基準等を策定すること。

2.検査機器整備後も検査要員経費及び試料代をはじめ、ランニングコストが毎年必要となることから、学校給食検査体制整備事業補助金を継続するとともに、見直しを図ること。

放射線低減のための補助について

 放射性物質の流出により子どもたちをはじめ市民の健康被害が懸念されている。
 このため、将来を担う子どもたちの安全・安心な生活環境を確保するため、早急に放射線量を低減させる必要があることから、次の事項について要望する。

1.学校・保育所等の校庭、所庭の表土改善については、空間線量率が毎時1μSv/h未満の校庭等の表土改善の場合、補助率は2分の1となっているが、各自治体の負担を軽減するため所要額の全額を補助対象とすること。

2.スポーツ広場などの体育施設等の表土除去の費用にかかる財政支援を講じること。

3.各市町村や研究機関において、表土除去を簡易にするための表土除去(保護者等が実施した場合の経費も含む)を対象とした補助制度を創設すること。

4.園舎等の屋根の上等の危険を伴う場所の除染作業やコンクリートの表面を削る作業の委託等に対する補助制度を創設すること。

小学校児童の通学費用に対する助成について

 東日本大震災により校舎の倒壊の恐れがある学校については、使用不能となっているため、他校の教室等に分散して授業を行っており、児童輸送のためのバス運行委託料が生じている。
 また、特定避難勧奨地点に指定された地域の児童の通学支援にかかる輸送費用も生じている。
 ついては、これらの費用の財政措置について、国に対する要請及び県における支援について要望する。

水泳授業の屋外プール使用中止に伴う
屋内プール施設代替利用事業について

 放射線の影響を抑えるため、屋外プールの水泳授業を実施しないとする小中学校については、その代替措置として民間プールを利用した水泳授業を行っている。
 ついては、水泳授業を行う費用について予算措置を講じるよう要望する。

小中学校へのエアコン導入費用への補助について

 屋外活動の制限や夏の暑さ対策として、小中学校教室へのエアコン設置については、公立学校等校舎内緊急環境改善事業において補助されていたが、平成23年度で廃止となっている。
 しかしながら、原子力発電所事故による放射性物質拡散の影響から屋外活動が制限せざるを得ない状況が長期化し、夏季期間の暑さ対策を検討する中で、小中学校教室へのエアコン設置についても想定せざるを得ない状況になってきている。
 ついては、平成23年8月に行った要望調査に基づいた小中学校教室へのエアコン設置費用についての補助対応を見直し、平成25年度においても補助を行うよう要望する。

公立文教施設整備事業に係る財源の確保について

 学校等の公立文教施設については、東日本大震災においても市町村の応急避難場所として重要な役割を果たす施設となっており、地域住民の安全・安心を確保するためにも、その耐震性能の確保は最優先課題である。
 市町村の財政状況が極めて厳しい状況にある中、早急に耐震化を進めるためには、市町村の財政負担の軽減、国・県による財政措置の拡充が重要である。
 ついては、公立文教施設等の速やかな耐震化及び災害時の避難施設としての整備等に係る財源の確保及び校舎増改築、屋内運動場改築、プール建造等に係る財源の確保について要望する。

公立学校施設の耐震性能の向上に係る
国庫負担率の引き上げについて

 東日本大震災により多くの公立学校施設が被災したため、早急に耐震性能の向上を進めていく必要があるが、国の耐震化事業の補助率はIs値が0.3以上の建物については2分の1となっており、さらに改築を伴う補助単価が実施単価を下回っていることから、自治体の財政負担が多くなり、耐震化率向上の阻害要因となっている。
 ついては、公立学校施設の耐震化事業補助率を一律3分の2とし、補助単価を実施単価とする国庫補助制度の見直しを行うよう国に対する働きかけについて要望する。

県費負担教職員の出張旅費確保について

 小中学校の県費負担教職員の旅費は、県が負担することとなっているが、近年旅費の削減が続いており、教職員の研修会等への参加が困難な状況となっている。
 校長は、県配分予算の範囲内で出張命令を出すこととなっているが、教育活動に必要不可欠な児童生徒の引率業務や校外学習前の安全確認のための点検業務をはじめ、当面する教育課題解決のための必要な教職員研修や諸会議等への出張命令が出せない事例も出てきており、学校運営や教育行政に重大な支障が出ている。
 ついては、円滑な学校運営が図られるよう、県負担旅費の十分な確保・配分を要望する。

JETプログラム以外の語学指導外国人に対する
財政措置について

 国際化の進展に伴い、小中学校における英語教育の充実が求められている中、地方公共団体においては、JETプログラムの活用による語学指導外国人の確保を図ってきたところである。
 また、英語教育の一層の充実強化を図るため、小学校から中学校までの9ヵ年を見通した系統性のある英語教育を目指し、従来からの
JETプログラムの活用による語学指導外国人に加え、地方公共団体の独自雇用により語学指導外国人を増員している状況にあるが、財政的に厳しい地方公共団体にあっては、外国人語学指導助手を思うように雇用することができず、小学校の英語活動の充実について格差が生じている状況がある。
 ついては、地方公共団体が単独で雇用する語学指導外国人に対してもJETプログラムと同様に、県独自の支援策や地方交付税の基準財政需要額に算入するなどの財政措置について国に対して働きかけられるよう要望する。

被災児童生徒等就学支援事業補助金の継続について

 東日本大震災により被災し、経済的理由により就園・就学が困難な子どもに対する就園・就学の支援を目的とした被災児童生徒等就学支援事業補助金について、本事業の対象者のほとんどが原子力発電所の事故による「警戒区域」、「計画的避難区域」及び「緊急時避難準備区域」の住民で市町村の判断により避難した者であり、今後の動向が予測できない状況にあるため、引き続き財政支援が必要である。
 ついては、被災児童生徒等就学支援事業補助金を継続するよう要望する。

夏の体験活動応援補助事業の継続・拡充について

 風評被害により教育旅行の入込み状況は甚大な影響を受けている。
 この状況の中、平成23年度に実施された「ふくしまっ子夏の体験活動応援事業」及び平成24年度に実施された「ふくしまっ子移動教室体験活動応援補助事業」については、多くの子どもたちが、夏休み等に心身ともに伸び伸び自然活動や交流活動等ができる機会の創出及び受入地域の活性化に大きな役割を果たした。
 ついては、平成25年度についても本事業を継続するとともに、日帰り活動についても対象とするなど利活用しやすく、幅広く範囲を拡充するとともに、補助額の増額を要望する。

文化財保存事業費補助金について

 国・県・市がそれぞれ指定した文化財について、保存や修理を行う所有者または管理団体に対し補助金を交付するなど財政的な援助を行っている。
 しかしながら、県においても、国や県指定の文化財に対して、保存、修理に対する嵩上げ補助を行っていたが、平成21年度に県費の嵩上げ補助全廃及び県指定文化財についての補助率を一律3分の1に引き下げたことにより、市及び所有者等の負担が増大している。
 ついては、国民の貴重な財産である文化財を後世に伝えていくという文化財保護法等の趣旨に鑑み、文化財関係補助金のより一層の拡充を要望する。

文化財災害復旧事業に関する補助制度の拡充について

 東日本大震災により多くの文化財が壊滅的な打撃を受け、その完全なる復旧が望まれている。
 国指定文化財については、手厚い災害復旧補助が制度化されているが、県指定文化財については、現行では補助率が総事業費の2分の1ではあるものの、予算規模が少ないため必要となる復旧事業を実施できず、また、国指定文化財に関する災害復旧について県の補助制度がないことから、市町村や所有者の財政負担の割合が大きく、復旧事業の障害となっている。
 ついては、早急な文化財の復旧を推進するため、次の事項について要望する。

1.国指定文化財にかかる災害復旧事業についても、県の補助制度を創設すること。

2.被災した県指定文化財の復旧に関する補助金について、災害復旧事業として国と同様の補助率に引き上げ、確実な文化財の復旧ができるよう支援すること。

3.指定文化財にかかる防災事業を充実させること。

4.復旧事業に必要な予算を確保すること。

学校栄養職員の配置の促進について

 国の経済財政運営と構造改革に関する基本方針においては、国及び地方公共団体の事務事業の民間への移管を推進することとしており、総務省においては、地方交付税の算定について、これまで地方自治体直営の場合の経費を基準としていたものを民間委託の費用に改めることとされたところである。
 小中学校の給食業務もこの対象事業とされており、順次進めているところであるが、全ての学校を委託していくためには、給食業務において必要不可欠な栄養管理はもとより、「O−157事件」以来その基準が厳しくなった衛生管理の業務を適正に推進していくため、学校栄養職員の配置を促進することが必要である。
 ついては、学校栄養職員の配置促進について要望する。


◆警察本部関係

郡山運転免許センターの土・日曜日開設について

 現在、即日交付ができる運転免許センターは福島と郡山にあり、両免許センターの免許更新の利用状況は昨年1年間の比較で、福島は約7万人であったのに対し、郡山は約10万人と郡山の利用者が約3万人多い結果になっている。休日については、福島が土曜日閉庁、日曜日は運転免許更新のみを取り扱い、郡山は土曜日閉庁、第2・第4日曜日に午前予約制、午後は通常通り開庁し、免許更新を取り扱っており、現在、郡山運転免許センターでの日曜日更新者の数は、1カ月1,300人を超えるほどになっている。
 郡山運転免許センターは、郡山市民のみならず、近隣市町村等広範囲に及ぶ地域の方々に利用されていることから、第2・第4日曜日の開設が浸透してくると毎日曜日開設と、土曜日開設も免許更新者の利便性に大いに寄与するものと考える。
 ついては、郡山運転免許センターの毎日曜日と土曜日開設を要望する。