第90回全国市長会議 決議

都市税財源の充実強化に関する決議


 今日の地方財政は、超高齢・人口減少社会を迎え、地方創生への取組をはじめ、子ども子育て等福祉・医療・教育の充実、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化対策、さらには激甚化する自然災害に備えるための防災・減災対策など、従来にも増して果たすべき役割が拡大し、それに必要となる財政需要は増加する一途にある。
 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、我が国の景気は極めて深刻な状況になると見込まれており、地方財政を取り巻く環境は相当厳しいものになることが想定される。
 このような状況の中、都市自治体は、これまでも職員の削減など徹底した行財政改革や投資的経費の抑制により、年々増嵩する社会保障関係費を捻出してきたが、このような方法による行財政改革は限界まできている。
 我々都市自治体が超高齢・人口減少社会においても自主的・主体的かつ安定的に行財政運営を行うことができるよう、基幹税の拡充を中心に税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築するなど、都市税財源の充実強化を総合的に図っていくべきである。

(地方一般財源総額の確保)
 令和3年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、国、地方を通じて、極めて厳しい財政状況となることが見込まれる中、社会保障関係経費など、都市自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額及び地方交付税総額を確保すること。
 また、恒常的な地方交付税の財源不足については、臨時財政対策債によることなく、地方交付税法定率の引上げを含めた抜本的な改革を行うこと。

(新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充)
 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施するため、自由度の高いものとするとともに、地域経済を支えるための所要経費が増大していることから、総額の増額、特に地方単独事業充当分の増額を図ること。
 また、配分については、地域経済を支える団体の取組は広範多岐にわたることから、都市自治体の意見を踏まえた配分を行うこと。

(新型コロナウイルス感染症対策に係る地方財源の確保)
 令和2年度の税収見通しは、感染症拡大の影響により減少することが想定され、個別の自治体ごとでも、推計基準税額と課税実績額との間に大きな乖離が生じることが想定されるため、減収補てん債の対象税目を拡大すること。

(地方交付税の算定の充実)
 基準財政需要額の算定に当たっては、個別の都市自治体の実態をより適切に反映したものとなるよう、算定の充実を図ること。
 また、地方財政計画で計上された経費が、個別の都市自治体にどのように算定されたのか、算出の考え方を分かりやすくかつ明確にすること。

(固定資産税の確保)
 固定資産税(土地、家屋及び償却資産)は、市町村が提供する行政サービスと資産の保有に着目して応益原則に基づき課税する基幹税であるため、国の経済対策に用いるべきではない。

(ゴルフ場利用税の現行制度の堅持)
 ゴルフ場利用税については、税収の7割が交付金としてゴルフ場所在市町村に交付され、ゴルフ場関連の財政需要に対応するとともに、特に財源に乏しい中山間地域の市町村にとっては貴重な財源となっている。ゴルフ場利用税に代わる恒久的かつ安定的な財源はあり得ず、市町村の財源確保のためにも現行制度を堅持すること。

(国庫補助金等の補助単価等の適正化)
 国庫補助金等については、都市自治体の新たな発想や創意工夫を活かせるよう、地域の実情を踏まえて補助金の自由度を高め、要件の緩和や手続の簡素化を図るとともに、補助単価等について実態に即した見直しを行い、そのために必要な予算額を確保すること。

 以上、国においては、都市自治体が果たしている役割とその現場の実態を十分踏まえ、都市税財源の充実強化を図るよう強く求める。


以上決議する。

令和2年6月2日

                                   全 国 市 長 会
第90回全国市長会議