第90回全国市長会議 決議

地方創生の推進・分権型社会の実現に関する決議


 我々都市自治体は、かねてより地域の実情に応じた少子化対策や地域活性化策を実施し、主体的に人口減少対策に取り組んできており、また、近年ではそれぞれの地方版総合戦略等に基づき、地方の創意工夫を活かした施策に鋭意取り組んでいるところである。
 地方創生を実現するためには、個々の自治体や一地方の取組だけでは限界がある。そのため、国における実効性のある政策の下、国・都道府県・市町村等が相互に連携を図りながら、様々な課題に一体となって積極的に取り組むことが重要である。

 国においては、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、将来にわたって活力ある地域社会の実現のため、少子化対策の強化、関係人口の創出、安心して働ける環境の実現などに取り組んでいるところであるが、東京一極集中の是正に向けては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況や大規模災害のリスクも踏まえ、政府関係機関や企業の地方移転の推進、テレワーク等リモート化の拡大など、社会変化を見据えた施策を更に推進すること。
 また、AI等の先端技術については、人口減少が進む地方においてこそ、様々な分野で課題を解決するツールとして活用できる可能性が高いため、日本全国でSociety5.0が実現できるよう、5G・光ファイバ等のICTインフラ整備を推進するとともに、専門技術者やノウハウが不足する都市自治体に対する必要な支援を行うこと。
 さらに、自治体が地域の実情に応じた息の長い地方創生の取組を自主的・主体的に継続して実施できるよう、地方財政計画のまち・ひと・しごと創生事業費を継続・拡充するとともに、地方創生推進交付金等の所要額確保と運用の一層の弾力化を図ること。

 地方分権改革については、都市自治体の発意に根ざし、国と地方が協力して住民サービスの充実に取り組む提案募集方式を活用し、義務付け・枠付けの見直しや権限移譲等を更に進めること。特に、福祉分野の「従うべき基準」については、地域の実情に応じた施設の設置や運営に多くの支障が生じていることから、速やかに廃止または「参酌基準化」すること。
 また、現在、地方分権改革の今後の方向性についての検討が行われているが、提案募集方式の見直しに当たっては、地方の意欲と知恵を十分活かせるよう制度を拡充すること。

 第32次地方制度調査会において、人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年を見据えた圏域における地方公共団体の協力関係などの地方行政体制のあり方について調査審議を進めるに当たっては、住民に最も身近な基礎自治体の意見を十分に踏まえること。


令和2年6月3日

                                   全 国 市 長 会
第90回全国市長会議