第89回全国市長会議 決議

都市税財源の充実強化に関する決議


 今日の地方財政は、超高齢・人口減少社会を迎え、地方創生への取組をはじめ、子ども子育て等福祉・医療・教育の充実、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化対策、さらには激甚化する自然災害に備えるための防災・減災対策など、従来にも増して果たすべき役割が拡大し、それに必要となる財政需要は増加する一途にある。
 都市自治体においては、公共サービスの充実と将来にわたり持続可能な自治体経営の確立を目指し、地域住民等の協力を得ながら、地域の実情に応じた多様な住民サービスの提供や組織の改革などに総合的に取り組んでいる。
 都市自治体は、これまでも職員の削減など徹底した行財政改革や投資的経費の抑制により、年々増嵩する社会保障関係費を捻出してきたが、このような方法による行財政改革は限界まできている。
 我々都市自治体が超高齢・人口減少社会においても自主的・主体的かつ安定的に行財政運営を行うことができるよう、基幹税の拡充を中心に税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築するなど、都市税財源の充実強化を総合的に図っていくべきである。

(地方一般財源総額の確保)
 都市自治体の行政運営に必要な財政需要については、単独事業を含め的確に地方財政計画に反映させ、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額及び地方交付税総額を確保すべきである。
 また、地方創生の実現には地域の実情に応じた息の長い取組を自主的・主体的に継続して実施する必要があることから、地方財政計画に計上されている「まち・ひと・しごと創生事業費」を継続・拡充すべきである。
 さらに、恒常的な地方交付税の財源不足については、臨時財政対策債によることなく、地方交付税法定率の引上げを含めた抜本的な改革を行うべきである。

(消費税・地方消費税率10%への確実な引上げ)
 「社会保障・税一体改革」の実現に向けた消費税・地方消費税率10%への引上げについては、本年10 月に確実に実施すること。

(ゴルフ場利用税の現行制度の堅持)
 ゴルフ場利用税については、税収の7割が交付金としてゴルフ場所在市町村に交付され、ゴルフ場関連の財政需要に対応するとともに、特に財源に乏しい中山間地域の市町村にとっては貴重な財源となっている。ゴルフ場利用税に代わる恒久的かつ安定的な財源はあり得ず、市町村の財源確保のためにも現行制度を堅持すべきである。

(国庫補助金等の補助単価等の適正化)
 国庫補助金等については、必要で且つ充分な金額を基礎として算定しなければならないとされており、事業執行に支障が生じることのないよう、補助単価等を実態に即したものに設定し、そのために必要な予算額を確保されたいこと。

 以上、国においては、都市自治体が果たしている役割とその現場の実態を十分踏まえ、都市税財源の充実強化を図るよう強く求める。

以上決議する。

令和元年6月12日

                                   全 国 市 長 会
第89回全国市長会議