第89回全国市長会議 決議

地方創生の推進・分権型社会の実現に関する決議


 我々都市自治体は、かねてより地域の実情に応じた少子化対策や地域活性化策を実施し、主体的に人口減少対策に取り組んできており、また、近年ではそれぞれの地方版総合戦略等に基づき、地方の創意工夫を活かした施策に鋭意取り組んでいるところである。
 地方創生を実現するためには、個々の自治体や一地方の取組だけでは限界がある。そのため、国における実効性のある政策の下、国・都道府県・市町村等が相互に連携を図りながら、様々な課題に一体となって積極的に取り組むことが重要である。

 国においては、地方創生の新たな展開としての飛躍に向け、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」策定の検討を進めているところであるが、次期総合戦略の策定に当たっては、地方の意見を十分に反映するとともに、Society5.0(狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く人類史上5番目の新しい社会)の実現やSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取組、外国人人材の受入などの社会変化を見据え、国の機関や企業の地方移転を推進するなど東京一極集中の是正や、互助・共助の仕組みづくりに向けた実効性ある取組などを盛り込んだ戦略とすること。
 また、自治体が地域の実情に応じた息の長い取組を自主的・主体的に継続して実施できるよう、地方財政計画のまち・ひと・しごと創生事業費を継続・拡充するとともに、地方創生推進交付金等の所要額確保と運用の一層の弾力化を図ること。

 地方分権改革については、都市自治体の発意に根ざし、国と地方が協力して住民サービスの充実に取り組む提案募集方式を活用し、義務付け・枠付けの見直しや権限移譲等を更に進めること。特に、福祉分野の「従うべき基準」については、地域の実情に応じた施設の設置や運営に多くの支障が生じていることから、速やかに廃止または「参酌基準化」すること。

 また、第32次地方制度調査会において、人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年を見据えた圏域における地方公共団体の協力関係などの地方行政体制のあり方について調査審議を進めるに当たっては、住民に最も身近な基礎自治体の意見を十分に踏まえること。


令和元年6月12日

                                   全 国 市 長 会
第89回全国市長会議