第84回全国市長会議 決議 |
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地震・津波等防災対策の充実強化に関する決議 |
我が国に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から3年余りが経過し、都市自治体においては、この震災を教訓に、現在、様々な防災・減災対策の充実・強化を図っているところである。 この間、国においては、東日本大震災を教訓に、2度にわたり「災害対策基本法」を改正するとともに、「国土強靭化基本法」、「南海トラフ地震対策特別措置法」及び「首都直下地震対策特別措置法」を制定する等、災害対策法制の整備を進めてきたところであるが、今後、これらの法律に基づいた具体的な支援を地域の実情に応じて適切に講じる必要がある。 また、近年、大型化する台風、頻発する集中豪雨、竜巻等の突風により、各地に甚大な被害が生じているほか、切迫性が指摘される首都直下地震等の大規模地震、さらには火山災害の発生も予想されている。これらの災害から、可能な限り被害を最小限に抑止するためには、住民の避難意識啓発や避難の迅速化、さらには耐震化率の向上や出火防止対策等ハード面・ソフト面の様々な防災・減災対策をより一層進めていくことが急務である。 よって、国は、災害に強いまちづくりを推進し、国民の生命と財産を守るため、下記事項について、迅速かつ万全の措置を講じるよう強く要請する。 |
記 |
1.地震・津波対策の充実強化について (1)国と地方が連携して地震対策に取り組んでいくために、地域の実情を十分配慮の上、南海トラフ地震防災対策推進基本計画や首都直下地震緊急対策推進基本計画等の諸計画を着実に推進すること。 (2)日本海側及び太平洋側における地震・津波に関する被害想定調査を早急に実施するとともに、地域防災計画の見直し、並びに防災拠点施設の整備やハザードマップの整備等、防災対策の推進について支援措置を講じること。 (3)津波等の災害発生時においては、正確な災害情報を迅速に住民へ伝達することが不可欠であることから、都市自治体が行う防災行政無線等の整備について財政措置の拡充を図ること。 また、津波避難タワーの設置等による津波緊急避難場所の確保、避難道路の整備、海抜表示板の設置等、津波に対する防災体制の確立に向けた取組みについて財政措置の拡充を図ること。 (4)国道等が津波被害想定区域にあり代替道路もない区域の未整備の高速道路については、救助・救急・物資の緊急搬送に不可欠であるため早期に完成すること。 また、東日本大震災において高速道路の盛土法面が津波緊急避難に有効であったことから、高台の高速道路施設用地等を緊急避難場所として、早急に利用できるようにすること。 (5)海洋に面する無堤防区間を早期に解消するとともに、国直轄事業の海岸保全施設整備事業の財源を確保し、未整備区間を早期に整備すること。 また、地震により甚大な被害が想定される漁港施設、海岸保全施設等水産基盤の耐震化等に係る国の財政措置の拡充を行うこと。 (6)都市自治体が取り組む教育・文化施設、上下水道、道路橋梁、河川、港湾等の公共施設や都市基盤施設の耐震化や強靭化事業、さらには、民間住宅等の耐震化促進補助事業や砂防対策等、防災・減災に係る諸事業に対して、事業推進を図るとともに、財政措置を拡充・強化すること。 (7)津波対策として、企業や住宅等の移転を促進するため、土地利用の規制緩和等、地域の実情に応じた法令を整備すること。 (8)液状化被害の危険性が高い地域に対する対策に係る基準を公表するとともに、公共施設や街区等の大規模施設だけでなく、民間建築物に対する液状化対策が可能となるよう財政措置を拡充すること。 2.防災・減災対策の充実強化について (1)平常時の予防対策から応急対策、復旧・復興対策を総合的に推進する広域ブロックの中核的な防災拠点となる「基幹的広域防災拠点」を国の責任において早期に整備すること。 (2)防災対策の強化に更に取り組むとともに、被災地域の復旧・復興、被災者の生活再建、被災自治体による災害再発防止策の実施等に対する支援措置を早期に講じること。 (3)地域防災力の中核として位置づけられる消防団活動への支援として、新規加入の促進、団員処遇及び活動のための装備の改善、資機材の確保等に関わる具体的な財政上の措置を講じること。 (4)住民の安全・安心を確保するため、消防・救急無線や防災行政無線の施設整備及びデジタル化に係る整備費用、維持管理費用等について、財政措置を拡充すること。 (5)都市自治体が独自に取り組む被害想定のシミュレーションやそれに基づくハザードマップの作成及び改定等、防災体制の確立に向けた取組みについて、財政措置の拡充を図ること。 (6)火山防災については、大きな被害が懸念される火山灰や融雪型火山泥流等の更なる分析、避難等実際の運用、火山情報の共有化、国・都道府県・地方気象台・火山専門家との連携のあり方など、今後も引き続き、調査・研究を行い、防災対策に係る協議を継続すること。 また、広域の被災が想定されていることから、噴火活動観測時において、国等関係機関が連携した早期の現地対策本部を設置し、避難者が広域避難できるよう避難先の確保や、高速道路を活用した避難体制を整備する等の火山防災対策を講じること。 (7)豪雨や竜巻等の局地的な自然災害においても、現行の被災者生活再建支援制度や災害救助法の適用要件の緩和等、弾力的な運用を可能とする制度改正を行うこと。 3.発災時の支援対策の充実強化について (1)被災自治体への支援を効果的に行うため、災害救助法及び関係する諸制度において、支援物資の提供、職員派遣、避難先確保等の都市自治体間の支援に係る仕組みの確立と財政措置を講じること。 (2)災害復旧・復興を早期かつ着実に進めるため、国が負担する災害復旧事業に対する財政措置を拡充・強化すること。 (3)帰宅困難者への対策として、一時滞在施設の確保や事業所の社会的責任の明確化を推進するなど、帰宅支援において行政や事業者を含めた関係機関が連携を図れる体制を整備すること。 以上決議する。 平成 26 年6月4日 |
第84回全国市長会議 |