第83回全国市長会議 決議 |
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真の分権型社会の実現を求める決議 |
地方分権の歩みの端緒となった平成5年の衆参両院による「地方分権の推進に関する決議」から、今年は 20 年の節目の年に当たる。 現在進められている第U期地方分権改革においては、国と地方の協議の場に関する法律や第1次一括法、第2次一括法等が成立・施行されるとともに、第3次一括法案が今通常国会に提出されるなど、真の分権型社会の実現へ向けた歩みが進んでいるところである。 政府においては、「地方分権改革推進本部」を設置するとともに、地方分権改革担当大臣の下に「地方分権改革有識者会議」を設置するなど、地方分権改革の推進に向けて積極的に取り組んでいることは評価するものである。 しかしながら、これまでに本会が提言・提案した事項や、地方分権改革推進委員会の勧告事項に係る権限移譲や義務付け・枠付けの見直しなど、未だ多くの課題が残されている状況にあり、それぞれの地域が元気を取り戻し、地域が活性化するためには、さらなる改革を行うことが不可欠である。 また、都市自治体が、社会保障サービス等の増大する財政需要に的確に対応することができるよう、都市税財源の充実強化を図ることが必要である。 このため、住民生活や地方に関わる事項の制度設計や政策の具体化に際しては、国と地方の協議の場において真摯に協議を行うとともに、住民と直に向き合っている都市自治体の意見を十分に尊重し、地域の自主性及び自立性を高めるための改革を強力に推進することが必要である。 よって、国は、真の分権型社会の実現を図るため、下記事項を実現するよう強く要請する。 |
記 |
1.第3次一括法案の早期成立 真の分権型社会を実現するための改革を着実に推進する観点から、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(第3次一括法案)の早期成立を図ること。 また、都市自治体が条例化等に向けて十分な時間的余裕を持って検討等が行えるよう、早めの情報提供など適切な措置を講じること。 2.都市自治体への権限移譲の推進 地域に住む住民自らが自主的、自律的に地域の活力の創造を図ることができるようにするため、国・都道府県・市町村の役割分担を明確にした上で、「基礎自治体優先の原則」、「補完性・近接性の原理」に基づき、第2次一括法及び第3次一括法案に盛り込まれた事項にとどまることなく、地域の総合行政主体としての都市自治体に対して、本会が提案している具体的事項をはじめとして制度単位での包括的な権限を移譲し、都市自治体が総合的、一体的に事務事業を実施できるようにするとともに、移譲された事務を円滑に実施するため必要となる財源の確保と専門的な人材育成等の仕組みを構築すること。 3.義務付け・枠付けの廃止・縮小と条例制定権の拡大 法令による義務付け・枠付けについては、第1次一括法、第2次一括法及び第3次一括法案に盛り込まれた事項にとどまることなく、本会が提案している具体的事項をはじめ、地方分権改革推進委員会の勧告に沿って廃止を原則とした見直しを行うこと。 4.多様で柔軟性のある都市制度の構築 地域の自主性を高めるとともに、地域の自律的発展に資するため、都市自治体の意見を十分踏まえた多様で柔軟性のある都市制度を構築すること。 また、地方教育行政体制のあり方の検討に当たっては、都市自治体の意見を十分聴取し、教育委員会設置の選択制を含め、都市自治体が地域の実情に応じた教育行政を責任を持って展開できるようにすること。 5.地方税財政の充実強化 地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。 また、都市自治体が行う住民生活に直結した行政サービスの財政需要の急増と多様化に迅速かつ的確に対応できるよう、一般財源を充実確保する観点から、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築すること。 6.国と地方の協議の場の適切かつ実効ある運営 地方行財政や自治体の運営等に大きな影響を及ぼす事項については、事前に国と地方の協議の場において十分協議を行うとともに、国と地方の協議の場を実効ある運営とするため、具体的な事項の協議に当たっては、地方からの意見を制度設計等に的確に反映することができるよう、国はあらかじめ十分な時間的余裕をもって提案を行うとともに、分科会等の積極的な活用を図ること。 以上決議する。 平成 25 年6月5日 |
第83回全国市長会議 |