第82回全国市長会議 決議 |
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地震・津波等防災対策の充実強化に関する決議 |
我が国に未曾有の被害をもたらした東日本大震災から1 年余りが経過し、各都市自治体においては、この震災を教訓に、現在、様々な防災・減災対策の充実・強化が図られているところである。 しかしながら、本年3月31日に内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が公表した東海・東南海・南海の「南海トラフ」に日向灘を加えた4連動地震では、これまでの推計を大幅に上回る地震・津波の規模が予想されている。 また、切迫性が指摘される首都直下地震などの大規模地震、さらには、火山災害、大型化する台風、頻発する集中豪雨などによる災害の発生も予想されることから、各都市自治体では、ハード面・ソフト面の様々な防災・減災対策をより一層進めていくことが急務である。 よって、国においては、国民の生命と財産を守る使命を自覚し、災害に強いまちづくりを推進するため、下記事項について、迅速かつ万全の措置を講じられるよう強く要請する。 |
記 |
1.地震・津波対策の充実強化について (1)今後想定される大規模地震や大津波に対応した堤防や避難施設の整備等のハード面の対策、避難教育など様々なソフト面の対策、地震発生後の早急な復旧・復興対策など、多角的かつ総合的な対策を講じるため、従来の地震防災対策特別措置法を統合し財政措置も含めた「南海トラフ地震対策特別措置法(仮称)」の制定など法整備を進め、併せて各種防災計画を早急に見直すこと。 (2)見直しを行った防災計画に基づく各種の対策について、早期に実行するとともに、都市自治体が実施する各種防災対策に対する財源措置を強化し、地域の実情を考慮した柔軟な運用について配慮すること。 (3)東日本大震災における被害実態を調査・分析し、実効性のある津波の予測と被害想定を示し、地域防災計画の見直し等、防災対策の推進について支援措置を講じること。 (4)上水道、道路、橋梁や公共施設の老朽化に伴う維持補修、改修工事に対する財政措置を拡充すること。また、市役所、公立学校施設、公立保育所等災害対策本部や支援の拠点施設・避難施設となる公用・公共施設の耐震化、避難所、避難路、津波避難タワー等避難施設の整備を推進するとともに、財政措置の充実・拡充を図ること。 (5)地震防災対策特別措置法の地震防災緊急事業五箇年計画の対象外となっている学校教育施設も、計画対象建物と同様に特別措置対象に該当するよう基準緩和措置を講じること。 (6)災害に強い海上輸送ネットワークの構築と地域防災力の構築を図るため、湾岸防波堤の改良や耐震強化岸壁の整備、海岸保全施設並びに臨港道路の耐震化等防災機能の高度化を推進するとともに、財政措置を拡充すること。 (7)広域的な災害時における緊急物資の備蓄や受入れ・搬送、被災者の輸送等を担う防災拠点の整備、機能強化、迅速な搬送体制の確立を図るとともに、国民生活や経済活動に影響を及ぼすことのないよう供給体制を見直すこと。 2.防災・減災対策の充実強化について (1)過去の災害の教訓を活かし、国が迅速な災害対策及び災害発生後の支援体制を構築できるよう、省庁の壁を越えた体制を早期に確立すること。 (2)災害対策全般に関する情報を市町村へ速やかに伝達するシステムを整備するとともに、防災行政無線のデジタル化や携帯衛星電話など情報伝達システムの整備の推進、財政措置の拡充を図ること。 3.支援対策の充実強化について (1)被災自治体への支援を効果的に行うため、災害救助法及び関係する諸制度において、支援物資の提供、職員の派遣などの基礎自治体間の支援に係る仕組みと国の財政負担を法律において明確に位置づけること。 (2)災害における帰宅困難者への対策として、休憩場所の確保や事務所の社会的責任を明確化し、広域的な視点で帰宅困難者が混乱なく安全に帰宅できる手順等を制定し、広く周知するとともに、自治体への財政措置を講じること。 (3)大規模災害発生時の支援等の迅速化を図るため、支援を行う自治体における「費用負担」や「役割」など、広域的な被災地支援の枠組みを早期に構築すること。 以上決議する。 平成24年6月6日 |
第82回全国市長会議 |