福島県市長会事務局

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第175回東北市長会総会各県市長会提出議案

 
【行財政関係】
第1号  地方財政基盤の充実強化について
第2号  地方財政基盤の充実強化について
第3号  地方行財政の充実強化について
第4号  施設の統廃合等に係る「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の柔軟な対応について
第5号  過疎地域自立促進特別措置法による過疎対策の継続について
第6号  過疎地域に対する支援の継続について
第7号  会計年度任用職員制度の施行に伴う財政措置について
第8号  水道事業に対する財政支援の拡充について



【厚生関係】
第9号  医師確保・子ども医療費助成施策の充実強化について
第10号 子育て支援医療給付制度の充実について
第11号 地域における社会保障基盤の充実・強化について
第12号 地域医療の充実強化について
第13号 地域医療の充実について
第14号 地域医療及び国民健康保険制度の充実強化について
第15号 社会保障制度の充実・強化について
第16号 福祉施策及び介護保険制度の充実強化について
第17号 子どもの発達障害支援政策の充実強化について
第18号 子育て環境の充実について
第19号 教育環境の充実について
 

経済・建設・交通関係】
第20号 農業政策の充実強化について 
第21号 農業次世代人材投資事業の継続と予算の確保,並びに交付要件について
第22号 農林水産業政策の充実強化について

第23号 森林環境譲与税の使途及び譲与基準について
第24号 東北観光復興対策交付金の継続について
第25号 国土交通政策の充実強化について
第26号 地域公共交通の充実について
第27号 道路・橋梁・港湾等の整備・維持管理に係る財政支援等の充実について
第28号 国土交通政策の充実強化について
第29号 交通体系の整備促進について
第30号 交通体系の整備促進について
 

議案第1号

青森県市長会提出

地方財政基盤の充実強化について

 地方公共団体は,行政需要が増大,多様化する現状にあってなお,事務事業の見直しや職員数の抑制等による歳出削減に取り組み,行財政基盤の強化に努めてきたところであるが,景気回復局面における地域格差の拡大や人口減少,急激に進む高齢化等による社会保障費の増大など,地方財政を取り巻く環境はより一層厳しさを増している。
 地方公共団体が地方創生の実現に向けて施策を進めていくためには,持続可能で安定した財政基盤の確立が不可欠であるが,脆弱な財政基盤が合併の一因となった地方公共団体においては,合併関連事業の進捗が遅れていることに加え,行政区域の広域化に対応するための財政需要は依然として高く,大きな負担となっている。
 また,地方創生関係交付金,特に地方創生拠点整備交付金については,施設の新築や建築工事における増築・改築が要件となっていることから,更に地域の実情に応じた活用しやすい交付金とするため,地域経済の活性化に資する既存公共施設の機能強化や新規設備の導入への活用,先導性・先駆性にかかる要件の緩和等,弾力的な運用が必要である。
 さらには豪雪地帯での雪対策においても,冬期間における都市機能の維持や市民生活の安定を図る上で課題が多く,雪に関する各施策が総合的・効率的・恒常的に推進されるためには,国との更なる連携・支援が必要である。
 よって,国は,地方財政基盤の充実強化のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 地方創生の実現に向けて,地方公共団体が自主性を発揮して施策を進められるよう,より一層,距離的要因により複数の拠点を必要とする合併団体等の財政需要を地方財政計画に反映させ,臨時財政対策債の総枠抑制に合わせた地方交付税の増額による十分な財政措置を講じること。

2 地方創生関係交付金,特に地方創生拠点整備交付金については,地域の実情に照らしながら,効果的に活用できる真に自由度の高い交付金とするため,更なる要件の緩和等を検討すること。

3 「積雪寒冷特別地域道路交通確保五箇年計画」を着実に実施するための十分な予算を確保するとともに,雪寒指定道路以外の市道への除排雪経費に対する十分な財政措置を講じること。

4 豪雪等により除排雪に係る経費が多額となった場合,速やかに特別交付税を重点的に配分するとともに,市町村道除雪費補助臨時特例措置等による財政支援を確実に実施すること。

5 特別交付税の算定において見込むことが困難な,調査時点以降に生じた大雪災害時の除排雪経費について,災害復旧事業と同等の地方債制度を創設すること。

6 安全で快適な歩行者空間を確保するため,生活道路への流・融雪溝整備に対する十分な予算を確保するとともに,雪寒指定道路以外の市道における歩道除雪の協力団体に貸与するハンドガイド式除雪機に関する支援制度を復活すること。

7 自分で除雪を行うことが困難な高齢者等に対する「雪下ろし支援」における財政措置に加えて,自治会や除雪ボランティアが地域ぐるみで行う高齢者等の間口除雪を支援する際に必要となる経費について財政措置を講じること。




議案第2号

秋田県市長会提出

地方財政基盤の充実強化について

 地方自治体には,少子高齢化に対応した保健・医療・福祉施策の推進,生活関連施設の整備,農林水産業の振興などの課題に的確に対応する役割が求められており,懸命に行財政改革に取り組んではいるものの,より自主的・主体的な地域づくりを進めるためには,なお一層の財源の充実・強化が必要不可欠となっている。
 こうした中,多くの自治体では人口減少により,地域経済の規模縮小が引き起こされ,税収入減少による行政基盤の低下により行政サービスの維持が困難となることが予想されるところであり,今後とも持続的に行政サービスを提供していくためには,安定的な財源の確保が不可欠である。
 よって,国は,地方自治体の安定的な財政運営が図られるよう,次の事項について,特段の措置を講ずるよう要望する。


1 地方譲与税及び地方交付税については,地方自治体の安定的財政運営に必要な総額を確実に確保するとともに,地方交付税制度については,地域間の格差が拡大することのないよう財源調整機能と財源保障機能を堅持すること。また,地方交付税原資の安定性の向上・充実を図るため,法定率の見直しを行うなど,引き続き持続可能な制度の確立を目指すこと。

2 国庫補助負担事業の廃止等にあたっては,地方への負担転嫁とならないよう十分な財源確保措置を講じること。

3 地方債の総額を確保するとともに,起債充当率の引き上げ,貸付利率の引き下げ等地方債発行条件の改善を図ること。

4 地方分権改革の推進にあたっては,権限移譲とあわせて税源移譲も確実に実施すること。




議案第3号

福島県市長会提出

地方行財政の充実強化について

 まち・ひと・しごと創生法では,地域の実情に応じた施策を展開することで,人口減少問題に一定の歯止めをかけることが期待されているが,地方自治体が「総合戦略」に基づくニーズをとらえた実効性のある各種施策を企画立案,実行するには,財源やICTのさらなる活用,各種規制緩和が必要不可欠である。
 また,「経済財政運営と改革の基本方針2018」において,地方財源については,基盤強化期間と位置付けた2021 年度まで,「地方の歳出水準については,国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ,交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について,2018 年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされ,また,「経済財政運営と改革の基本方針2019」において,補助金について,地方の実情を踏まえて自由度を高めるほか,要件の緩和,手続の簡素化,補助単価等の実態に即した見直し等に向けて,課題を捕捉したうえで令和元年度末までに対象や工程を具体化すること,令和2年度予算編成について,消費税率の引上げ対策等のため,適切な規模の臨時・特別の措置が講ずること等とされたところであるが,地方自治体は,行政需要が増大,多様化する現状にあってなお,事業抑制や職員数削減等による歳出低減に取り組み,行財政基盤の強化に努めてきたものの,景気回復局面における地域格差の拡大や人口減少,急激に進む高齢化等による社会保障費の増大など,地方財政を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。
 よって,国は,地方行財政の充実強化のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 地方創生推進交付金については,市町村の判断で自由に活用できる財源となるような制度に改めるとともに,人口減少克服・地域経済活性化に向けた事業展開が推進できるよう,十分かつ継続的な財源の確保に努めること。
 また,地方創生拠点整備交付金については,地方創生の充実・強化に向けて,地域経済の活性化への効果が高い施設の整備等を対象としているが,中枢中核都市の機能強化や中心市街地活性化へ寄与する拠点整備への活用などを考慮すると,事業費の規模,地域の実態に合わせて効果的に活用できるように,さらなる上限額の嵩上げを図るとともに,継続的な財源の確保に努めること。
 また,地方拠点強化税制については,企業の地方拠点の強化及び移転を支援することにより,地方における安定した良質な雇用の創出を通じて,地方への新たな流れを生み出し,東京一極集中の是正及び地域経済の活性化を図る制度であるが,移転・拡充先となる都道府県知事の認定の期限が令和2 年3 月31 日までとされていることから,対象期間を延長するとともに,新たな補助制度の創設を検討すること。

2 地方版総合戦略の推進のため,社会保障・税番号制度を活用し,住民異動届等のオンライン申請や住民基本台帳ネットワークシステムの運用時間帯の延長など住民利便性の向上を図るとともに,制度の国民への周知と理解促進を図り,自治体の財政負担を軽減するよう万全の措置を講じること。
 また,電子証明書等の取得について,顔写真付身分証明書の複写の廃止や手数料無料期間の当面の期間延長など住民の利便性向上を図るとともに,公的個人認証サービスの事務の簡素化及び普及の促進を図ること。加えて,「個人番号カードの多目的利用に要する経費に係る特別交付税措置」については,期間を限定することなく十分かつ継続的な財源の確保に努めること。
 また,自治体のクラウド化の一層の推進のため,システムの共通化並びにAI,RPA等新しいICT技術の導入に向けた人材の育成及び支援,更にはこれらに対する財政的支援を行うこと。

3 特区制度については,当該制度における実績等を鑑み,実効性のある事業等について他自治体においても活用できるよう,速やかに規制緩和等を行うこと。
 また,各種統計調査に係る調査データについては,各種施策を企画立案する際に重要な基礎データとなるため,全ての統計調査において,市町村単位でデータの抽出を自在に行えるようにするとともに,誰もがデータを取得でき,かつデータの二次利用ができるようにすること。また,調査項目については,行政,民間問わず時代のニーズに即した項目を適宜追加し調査すること。
 また,地域間の情報格差を是正し,地域住民の生活向上や地域経済の活性化を図るため,民間事業者が光回線等を整備できるよう,情報通信利用環境整備推進事業の要件を緩和し,超高速ブロードバンド未整備地区における情報通信基盤整備に対する財政支援を行うこと。

4 地方譲与税及び地方交付税については,地方自治体の安定的財政運営に必要な総額を確実に確保するとともに,地方交付税制度については,地域間の格差が拡大することのないよう財源調整機能と財源保障機能を堅持すること。また,地方交付税原資の安定性の向上・充実を図るため,法定率の見直しを行うなど,引き続き持続可能な制度の確立を目指すこと。
 また,普通交付税の算定について,「人口と面積」といった規模だけではなく,地方の実情に沿った算定方法に改め,地域間格差を是正するような予算の確保・充実を図ること。

5 税制改革で地方税が減額された際には,補てんする財源を確保すること。

6 法人税率の引き下げに伴う代替財源について,課税ベースのさらなる拡大等により安定的な代替財源を確保し,地方の歳入に影響を与えないよう措置を講じること。
 また,地方法人税の再配分に当たっては,被災地の財政を考慮し,減少分は勿論それ以上に優先的に配分するとともに,国税化された法人市民税が適切に配分されているか,配分率等の明確化を図ること。

7 住民生活に直結する行政サービスに係る財政需要の急増に対応するため,地方消費税の拡充を図ること。

8 地方消費税交付金の増収分が,一般財源の増加につながるよう,消費税率の10%引上げ時までに,財政力に応じて算入率を見直すこと。

9 緊急防災・減災事業及び公共施設等の老朽化対策について,継続して取り組めるよう財源の確保を図ること。
 なお,緊急防災・減災事業債について,令和2 年度までとされていることから,事業期間を延長すること。
 また,公共施設等適正管理推進事業債について,事業期間が令和3 年度までと限定されていることから,期間延長などを含めた地方債による長期的な支援を図るとともに,事業債を活用する際の個別施設計画に関する要件や転用事業における対象事業費上限の緩和のほか,除却に係る財政措置の拡充など,地方財政措置による十分な財政支援を図ること。
 また,公共施設の統廃合に際し,公共施設と民間病院等公益性の高い施設との複合化が推進されるよう,民間施設との複合化についても,市民の利便性を向上し街づくりに資するため,公共施設等適正管理推進事業債の対象とするなど,財政措置を拡充すること。

10 会計年度任用職員制度について,厳しい財政状況にあっても全ての自治体が制度の趣旨に沿った適正な任用及び勤務条件の確保が図られるよう,国において任用人数や支弁額等に応じた十分な財政措置を講じること。
 また,制度の導入に当たって必要となる人事・給与システムなどの改修経費についても適切な財政措置を講じること。


 


議案第4号

秋田県市長会提出

施設の統廃合等に係る「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の柔軟な対応について

 高度経済成長期に建設された公共施設が,これから大量に更新時期を迎える一方で,地方公共団体の財政は依然として厳しい状態にある。
 人口減少等により公共施設等の利用需要が変化し,未利用施設の増加等,市町村合併後の施設全体の最適化を図る必要性がある。
 地方公共団体は,公共施設等の最適な配置を実現するため,公共施設等総合管理計画を策定し,公共施設等の全体を把握するとともに,長期的な視点をもって更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行っている。
 補助対象財産の処分手続きに関しては,平成20 年5 月の財務省通知(補助対象財産の転用等の弾力化について)により,各省庁から「補助事業等により取得し,又は効用の増加した財産の処分等の承認基準」の通知がなされ,一定の弾力化が図られたところであるが,各省庁間で,その手続きや取扱い等に差異があり,今後,公共施設等総合管理計画によって施設の縮小を進めるにあたりその実行が困難となることもあり得る。
 よって,国は,地方公共団体が公共施設等総合管理計画に基づき実施する国庫補助対象施設の統廃合・複合化等については,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律第22 条(財産の処分の制限)に係る各省庁の取り扱いが,より柔軟かつ弾力的な運用が可能となる措置を講じるよう要望する。





議案第5号

秋田県市長会提出

過疎地域自立促進特別措置法による過疎対策の継続について

 過疎地域においては,若年層の流出を中心とした深刻な人口減少と高齢化の進行に直面し,地域医療の弱体化,路線バスの廃止,耕作放棄地の増加及び森林の荒廃等の生活・生産基盤の弱体化が進んでおり,また地域によっては存続が危ぶまれる集落が増加するなど,地域の抱える課題は一層深刻さを増している。
 このような状況のもと,住民にとって安全・安心な暮らしを確保する公共施設等の整備や集落維持を目的とした,きめ細かな施策及び活性化のための積極的な取り組みが,人口減少の歯止めとして期待されている。
 過疎関係市町村は,一般的に財政力が脆弱で人口減少,高齢化が全国に先行して進んでいることから,地域の活力を維持し,自立して発展を続けるためには過疎対策の継続が必要である。
 よって,国は,期限が令和3年3月31日となっている過疎地域自立促進特別措置法の期限延長,あるいは引き続き,過疎地域の振興が図られるよう新たな過疎対策法を制定するとともに,財政基盤の強化として地方交付税措置による財源保証機能を伴う過疎対策事業債制度を存続し,必要額の確保について特段の措置を講じるよう要望する。





議案第6号

宮城県市長会提出

過疎地域に対する支援の継続について

 過疎地域は,我が国の国土の過半を占め,豊かな自然や歴史・文化を有する地域であり,都市に対する食糧・水・エネルギーの供給,国土・自然環境の保全,いやしの場の提供,災害の防止,森林による地球温暖化の防止などに多大な貢献をしている。
 しかしながら,過疎地域においては,多くの集落が消滅の危機に瀕するなど,極めて深刻な状況に直面している。人口減少に歯止めをかけるには,大都市から地方へ,人・企業などを分散することが重要であり,そのためにも過疎地域が安心・安全に暮らせる,活力と魅力ある地域として健全に維持されていくことが必要である。
 よって,国は,令和3年3月末をもって失効する現行の「過疎地域自立促進特別措置法」の期限終了後も,過疎地域が果たしている多面的・公益的機能を今後も維持していくため,引き続き過疎地域に対して総合的かつ積極的な支援を継続し,住民の暮らしを支えていく政策を推進するため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 継続的に過疎地域の振興が図られるよう,令和3年度以降における新たな過疎対策法を制定すること。

2 現行過疎法の期限終了後も,過疎市町村が取り組む事業が円滑に実施できるよう過疎対策事業債及び各種支援制度の維持を図ること。

3 過疎地域市町村を含む合併があった市町村において,過疎地域の振興が図られるよう現行法第33条の規定による「市町村の廃置分合等があった場合の特例」を引き続き設けること。


議案第7号

宮城県市長会提出

会計年度任用職員制度の施行に伴う財政措置について

 

 地方自治体の臨時・非常勤職員の任用の適正化を図るため,平成29年5月の地方公務員法及び地方自治法の改正により,新たに会計年度任用職員制度が創設された。
 本制度への移行にあたり,国からは財政上の制約を理由として抑制を図ることがないよう要請されているところだが,新たに支給することとなる期末手当,退職手当その他の各種手当といった人件費の大幅な増加や,システム関係経費等の新たな経費が発生することから,厳しい財政状況にある地方自治体にとって,大きな負担になるものと予想されているところである。
 よって,国は,これらの所要額全額について,各自治体の財政運営に大きな影響を及ぼすことがないように,十分な財政措置を講じるよう要望する。





議案第8号

山形県市長会提出

水道事業に対する財政支援の拡充について

 

 地方自治体の水道事業については,安全で良質な水道水を安定的に供給するため,水源開発,施設の整備拡充を図るとともに,維持管理の効率化等に鋭意努力している。
 近年,自然災害が多発しており,水道施設の耐震対策の実施が喫緊の課題となっている。
 水道事業は,水道料金等による独立採算で運営しているが,人口減少に伴い給水収益の減少が見込まれるとともに,今後の耐震対策の実施により,水道事業の運営が厳しさを増すと予想されている。
 水道施設の計画的な耐震化には巨額の資金が必要となり,国の積極的な財政支援がなくては不可能である。
 よって,国は,耐震化事業の円滑な推進により,強靭で持続可能な水道を構築するために,水道事業に対する財政支援の拡充を講じるよう,要望する。


      

議案第9号

青森県市長会提出

医師確保・子ども医療費助成施策の充実強化について

 少子高齢化・人口減少社会が到来する中,住む場所によって左右されずに,次世代を担う子どもたちを安心して生み育てることができる環境づくりが求められている。併せて,医師不足が問題となっている地方において,特に産科医及び麻酔科医の不足は,急性期医療や周産期医療の充実を困難にしており,医師確保は少子化に歯止めをかけるためにも欠かせないものとなっている。
 また,平成30年度より,未就学児の医療費助成については,国民健康保険に係る国庫負担金(調整交付金,療養給付費負担金)の減額措置が廃止となったが,子どもに係る医療費助成を行っている事業全体から見て,今回の廃止部分は限定的である。
 各自治体は財政状況が厳しいもとで,子育てしやすい環境づくりや,人口減少に歯止めをかけるべく努力している中にあり,国民健康保険に係る国庫負担金の減額措置は,各自治体の取組の障害となっている。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。




1 産科医,麻酔科医の確保は喫緊の課題となっていることから,緊急医師確保対策を早期に実現し,医師の養成並びに地域偏在及び専門科目の偏りの解消等に取り組むこと。

2 子ども医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担金の減額措置を,年齢制限なく全面的に廃止すること。

3 多くの自治体は独自施策として,中学生までの医療費の無料化を図っているが,各自治体の財政状況によって,実施内容に地域間格差が生じているとともに,財政力の弱さにより独自の実施に踏み切れない自治体もあることから,子ども医療費自己負担の地域格差を是正するため,全国一律で,中学生までの医療費を無料とすること。




議案第10号

山形県市長会提出

子育て支援医療給付制度の充実について

 都市自治体では,子どもの健全な発育と子育て世帯の経済的負担の軽減を図り,安心して子育てができるよう,県の医療給付事業補助金を活用しながら,子育て支援医療費の給付を実施している。厳しい財政状況の中,独自に段階的に支援内容の拡充を図り,中学生までの医療費を無料とする給付を行っているところや,給付対象者を高校生まで拡大している市町村があるなど,財政負担や支援内容に自治体間格差が生じている状況にある。
 人口減少や少子高齢化は,我が国における重要な課題である。
 よって,国は,子育て支援策として,子どもの医療費給付を,国の責任において実施するよう要望する。

 

 


議案第11号

秋田県市長会提出

地域における社会保障基盤の充実・強化について

 人口減少,高齢化が進む中にあって地域に住み続けるためには,医療及び介護の安定的供給が必要不可欠となっている。
 しかしながら,現状では医師の地域的及び診療科間の偏在が大きな課題となっており,また,人口減少地域における病院経営を支援する措置等による医療機関の堅持が求められている。
 また,介護保険については,高齢化の進展に伴い実情に即した運営を安定的に提供することが困難になっている。
 よって,国は,医療及び介護の安定的な供給のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 いのちを守る緊急の課題として医師養成を図るとともに,医師偏在をなくし,全国均等な専門医の配置など医療提供体制の整備について,国の制度や方針を確立すること。

2 国が実施する医師確保対策の強化により,地域住民に良質な医療を効果的かつ持続的に提供できる医療環境を早急に構築すること。

3 関係機関の連携のもと,医療機関への医師配置に関する調整機能を確保し,医師の地域偏在を是正すること。

4 現在の地域医療の窮状を解決するため,医師の地域偏在が是正されるまでの間,緊急臨時的な措置として短期間交替制の常勤医師の派遣制度を創設すること。

5 産科,麻酔科及び小児科の救急医療について,国の責任において地域への均衡ある医師配置に取り組むなど,医療体制の整備と財政措置の継続を図ること。

6 地域性や患者の必要度に応じた安全で質の高い看護を持続的に提供できるよう,看護師確保に対する諸施策を積極的に行うこと。
 また,医師・看護師と同様に薬剤師確保に対する諸施策を実施すること。

7 安全に安心して出産できる体制を構築するため,総合周産期母子医療センター,地域周産期医療センターの機能と二次病院・地域周産期医療施設の連携を強化するとともに,地域の分娩取扱機関が可能な限り存続できるような施策を講じること。

8 消費税率引上げ対策として診療報酬大幅プラス改定と,医療材料や医療品などの仕入れに係る消費税負担の軽減措置を講ずること。

9 介護及び介護予防に係る給付費の国庫負担割合を,現行の20%から引き上げるとともに,調整交付金は従来どおり別途配分するなど,更なる財政基盤の強化と介護保険料上昇の抑制に努めること。


議案第12号

岩手県市長会提出

地域医療の充実強化について

 市民一人ひとりの生命を守り,医療格差のない安心・安全な医療サービス等が提供される地域医療の充実が求められている。
 しかしながら,医師が都市部に集中し,地方で不足する「地域偏在」と,産科医や外科医等のなり手が少ないことによる「診療科偏在」を要因として,地域においては必要な医療体制の確保が難しい状況にある。
 特に,岩手県においては,平成31年2月,厚生労働省が公表した「医師偏在指数」において,全国最下位となるなど,医師不足は深刻な状況であり,一刻も早い解消が求められている。
 また,地域医療に重要な役割を果たしている公的病院等において,経営悪化や医師不足に伴う診療体制の縮小を余儀なくされるなど,医療供給体制の維持が極めて厳しい状況となっている中,運営助成に対する特別交付税が削減されているほか,公的病院等以外の病院でも救急医療,小児救急医療などの不採算部門を担っている病院等については,特別交付税措置の対象とならないため,地域医療の安定した継続を確保することが難しくなっている。
 よって,国は,次の事項について,特段の措置を講じるよう要望する。



1 医師の地域偏在,診療科偏在や,看護教員を含めた看護職員の不足等の実態を踏まえ,医師の偏在や不在の状況が是正されるまでの間,国による医師派遣等,即効性のある施策及び十分な財政措置を早急に講じること。また,二次医療圏域を越えた“広域医療”の構築及び円滑な連携体制整備に対し,財政支援を講じること。

2 医師に一定期間,地域医療従事を義務付けるなど,地方が医師を確保できる仕組みを早急に構築すること。

3 医師,看護師確保対策について,県による取組が円滑に行われるよう,引き続き実効性のある医療環境の改善策,財政支援の増強を講じること。

4 公的病院等への助成に対する特別交付税の算定において助成額に減額する措置率を乗じることとした現行の算定方法を撤廃すること。また,救急医療,小児救急医療などの不採算部門を担う公的病院以外の病院についても特別交付税措置の対象に加えること。



議案第13号

宮城県市長会提出

地域医療の充実について

 安全で安心な生活を送るためには,地域医療の充実が不可欠であり,中でも,自治体病院は地域の中心的な病院として,一般医療や救急医療等で重要な役割を担っており,地域医療に欠かせない存在である。
 また,高齢化に伴う疾病構造の変化,事故や災害の多発傾向,医療技術の進歩,住民意識の変化などにより,救急医療及び高度専門医療に対する住民のニーズが拡大してきているが,医師や看護師等の医療従事者の不足が深刻化している上,本県における救急医療施設及び高度専門医療施設の設置状況は県内二次医療圏毎に見ると必ずしも十分とは言えない。各圏域内でのこれら施設の設置等だけでなく,医療法の規定に基づき,五疾病(がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病,精神疾患)や五事業(救急医療,災害時医療,へき地医療,周産期医療,小児医療),在宅医療に対応した医療分担及び地域医療連携体制の構築が強く望まれている。
 一方で,医療費助成制度に目を向けると,乳幼児医療費助成制度は,乳幼児の健全な発育を促進し,子育て家庭の経済的負担を軽減する重要施策として,都道府県の補助を受け,市町村事業として実施しているが,その内容は都道府県により異なっている。市町村においては,少子化が進む中で,独自に対象年齢を引き上げるなどの上乗せ助成が行われていることから,少子化対策に関する地域間格差が懸念される。
 よって,国は,地域医療の充実や医療費助成制度の充実のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 経営環境の厳しい自治体病院に対する経営安定化のため,救急医療を始めとする不採算部門への支援,公立病院特例債の復活,独自補助制度の創設等,財政支援措置を拡充すること。また,平成15 年度から病院事業債の繰出基準を2 分の1 に減じているが,自治体病院の経営安定化を図るため,3 分の2 に復元して地方交付税に算入する等,財政支援措置を拡充すること。

2 現行の消費税制度において,診療報酬が非課税である反面,医薬品や医療機器等の購入に係る消費税は病院が負担することになり,病院経営に対する影響は大きいものがあるため,これに係る税制度の抜本的改正をすること。また,自治体病院の経営安定化に繋がるよう地域医療に係る診療報酬体系の見直しを図ること。

3 県内の二次医療圏毎に医療機関の機能分担による整備を行い,高度専門医療機能を持つ病院及び小児科・産科医師を集約化した拠点病院の整備を早期に行うとともに,救命救急センターの設置等,確実に救急患者の受入れができる体制の確立を図ること。また,地域の中核的病院及び災害拠点病院の整備・強化を図ること。

4 救急医療体制を維持・確保するため,二次救急患者の転院体制を構築するなどにより,二次救急医療体制の充実強化を図るとともに,救命救急センター運営に対する財政支援を行うなどにより,三次救急医療体制の充実強化を図ること。また,夜間及び休日における適正受診を促すよう,更なる啓発を行うこと。

5 医師,看護師,薬剤師,理学療法士等の医療従事者の人員の確保及び地域偏在の是正等が図られるよう,医師派遣体制を充実させるとともに,自治医科大学等の入学定員の増員や医師に一定期間地域医療従事を義務付ける等のシステムを早急に構築する等,各種支援措置を講じること。また,「働き方改革」が叫ばれている中,医師をはじめとする医療従事者の労働環境の整備が喫緊の課題と捉えた上で,不足している小児科・麻酔科・産婦人科等の診療科の医師や救急医の確保,医療従事者の離職防止対策,養成制度の充実・支援及び復職支援対策等,医療体制の一層の整備を図ること。

6 現行の医師臨床研修制度による影響分析と特定診療科目からの医師離れへの対策を講じるとともに,新専門医制度の導入により地方にバランスよく若手医師,女性医師が配置されるような仕組みを構築し,勤務医の地域偏在,診療科偏在が是正されるよう進めること。更に,地域包括ケアを支える人材として,総合診療専門医の養成を図ること。また,医師が地方で安心して働ける環境整備への支援を行うこと。

7 医療が高度化,専門化する中で,高い水準の知識と技術を有する看護職員が求められ,所定の研修を受講した看護師の配置が,多くの診療報酬の要件となっているにも関わらず,地方においては研修機会が少なく,更に研修受講のためには,長期間,遠方への研修派遣により負担を余儀なくされている現状を鑑み,地方における看護師の教育体制整備及び財政措置を含めた養成教育への支援施策について,早急に実施すること。また,病床数の適正化(ダウンサイジング)を進めるため,同一病棟での混合病床に対応した看護師配置基準の特例が認められるように措置を講じること。

8 夜間急患センターを含む医療施設,設備等設置に要する費用について,財政措置を講じるとともに,同施設の運営に要する経費として措置されている特別交付税について,算定条件である合計診療時間を段階的なものに改め,その区分に応じた算定額とすること。

9 自治体病院における電子カルテシステムの整備に伴うクラウド利用料などの情報処理費用に対する繰出金の制度化と交付税措置を講じること。

10 全国一律の「子どもの医療費助成制度」の創設,健康保険の患者負担軽減措置対象年齢の拡大など,地域間格差のないよう少子化対策としての子どもの医療費支援措置を国の責任で行うこと。また,国民健康保険に係る国庫負担金について,基本交付額から地方単独事業波及増額分を減額して交付する療養給付費負担金減額措置を廃止するなど,財政支援の充実を図ること。


議案第14号

福島県市長会提出

地域医療及び国民健康保険制度の充実強化について

 市民一人ひとりの生命を守り,医療格差のない安心・安全な医療サービス等が提供される地域医療の充実が求められている。
 しかしながら,医師が都市部に集中し,地方で不足する「地域偏在」と,産科医や外科医等のなり手が少ないことによる「診療科偏在」を要因として,地域においては必要な医療体制の確保が難しい状況にある。
 また,国民健康保険制度は,大規模な公費を投入して財政基盤を抜本的に強化するとともに,平成30年4月1日から都道府県が財政運営の責任主体となり市町村と共同で運営する体制となった。
 しかしながら,他の医療保険制度と比較して高齢者や低所得者の割合が高いなどの構造的な問題を抱えており,財政基盤は極めて脆弱である。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 産科及び小児科,並びに二次救急医療機関について,国は緊急医師確保対策を早期に実現し,医師の養成や地域偏在及び専門科目の偏りの解消に取り組むなど医療体制の整備を図ること。
 また,医師の確保・調整については,都道府県の取組が円滑に進むよう引き続き財政支援を行うことはもとより,都道府県域を超えた医師偏在の調整や,国による医師派遣システムの構築等,医師派遣制度の更なる拡大に実効性のある措置を講じるなど医師が不足している地方病院が医師を確保できるシステムを早急に構築するとともに,地方に重点を置いた設備補助や税制優遇など医師が開業しやすい制度改革を進めること。
 また,医師確保計画の策定にあたっては,地域の実情に即して,病院・診療所別及び診療科別の目標医師数の設定や,地域枠による医師の公民問わず二次医療を担う病院への派遣について盛り込むとともに,医療圏における医師数を柔軟に評価すること。

2 医師,病院等の偏在による医療サービスの格差を埋めるべく,自治体が取り組む地域医療の確保・充実のための施策に対し,十分な財政支援措置を講じること。
 また,医療機関の偏在を是正するため,休床している病床を偏在是正に活用できる制度を創設すること。

3 医師,看護師,薬剤師,理学療法士等の医療従事者の人員の確保及び地域偏在の是正等が図られるよう,医師派遣体制を充実させるとともに,自治医科大学等の入学定員の増員や医師に一定期間地域医療従事を義務付ける等のシステムを早急に構築する等,各種支援措置を講じること。
 また,特定の診療科に偏らないような医師育成制度を構築するとともに,新専門医制度の導入により都市部や大病院等への更なる医師の偏在を加速させないよう対策を講じること。

4 経営環境の厳しい自治体病院に対する経営安定化のため,救急医療を始めとする不採算部門への支援,公立病院特例債の復活,独自補助制度の創設等,財政支援措置を拡充すること。また,平成15 年度から病院事業債の繰出基準を2分の1 に減じているが,3分の2に復元して地方交付税に算入する等,財政支援措置を拡充すること。
 また,自治体からの公的病院等への各種助成に対する特別交付税措置は,地域医療の確保の上で貴重な財源であり,救急医療提供体制を維持する上で今後も必要であるため,交付税措置を継続するとともに措置額の縮小等を行わないこと。
 特に,救急告示病院に関しては,公的病院と私的病院の格差を是正すること。

5 新たなワクチンの定期予防接種化に当たっては,自治体の財政基盤や被接種者の経済状況によらず,財源を全額保障すること。
 また,任意の予防接種であるおたふくかぜ及びロタウイルスワクチン接種費用についても,財政措置を講じること。

6 子宮頸がん予防ワクチン接種後の健康被害について,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による医療費及び医療手当の救済措置の申請手続きが非常に煩雑で,また,支給・不支給までの期間が長期にわたり,本人及び保護者の負担が大きく一日も早い解決が必要とされていることから,予防接種法及びPMDA法等による,誠実かつ早期の救済を図ること。

7 新たな運営体制となった国民健康保険制度について,安定的かつ持続的な運営ができるよう,国庫補助を増額するなど,更なる財政基盤の拡充強化を図ること。
 また,国民皆保険制度を堅持するため,将来的には,全ての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向けた抜本的改革を実施すること。
 更に,国が開発し,各自治体へ導入を促進している市町村事務処理標準システムについて,大規模自治体でも外付けシステム等を使用することなく事務処理が可能となるよう,市町村事務処理標準システムの機能改善を図ること。

8 国民の健康増進及び傷病の重症化防止並びに自治体の事務の軽減が図られるよう,また,自治体独自の子育て世代の移住・定住促進策を阻害することのないよう,医療費助成の現物給付方式実施に伴う国保の普通調整交付金及び療養給付費負担金の減額措置を完全に廃止すること。

9 国保税における子どもの均等割額については,被用者保険にはない負担であり,医療保険制度間の公平性を確保し,子育て世帯の負担軽減を図るため,国による財源措置を含めた軽減制度を創設すること。
 また,低所得者や高齢者などの国保税(保険料)軽減を拡充するとともに,国の責任において十分な財政補てんを行うこと。とりわけ,生活保護水準の世帯については,国保税(保険料)の応益負担を現行の最大7 割から,更に軽減を拡充するなどの措置を行うこと。
 また,国保税(保険料)の賦課限度額の設定については,被用者保険におけるルール(最高等級の標準報酬月額に該当する被保険者の割合が0.5%~1.5%の間となるように法定されている)とのバランスを考慮し,当面は超過世帯割合が1.5%に近づくように段階的に引き上げられているが,各自治体における最高限度額に到達する所得額の水準に大きな格差が生じていること,及び,賦課限度額の引上げにより被保険者の負担が大きくなっていることから,被用者保険の考え方を適用させないこと。

10 特定健康診査・特定保健指導の事業実施に係る保健師の確保やシステムの整備等の費用について,国は適正な負担金交付を行うこと。


議案第15号

岩手県市長会提出

   社会保障制度の充実強化について

 国民健康保険制度においては,財政運営の責任主体を都道府県とする改革を行い,財政措置として総額約3,400 億円の公費拡充が図られたが,他の医療保険制度と比較して高齢者や低所得者の割合が高く,高齢化の進展や医療技術の高度化に伴う医療費の増加や被保険者数減少等の影響もあり,今後も厳しい財政状況が見込まれている。
 また,医療費助成事業の現物給付方式は,医療費の支払いにおける一時的な窓口負担を伴わず,経済的理由による受診抑制を要しないことから,医療サービスの受診機会の適正な確保の推進につながるものであるが,国は現物給付を実施する自治体に対し,ペナルティともいえる国庫負担金の減額措置を設けている。
 一方,地方自治体においては少子化対策の一環として,子育て家庭の経済的負担を軽減するため,地方単独事業により医療費や国民健康保険税の軽減措置を講じているが,各自治体の財政事情や政策的な要素などから,住む地域によってサービスに格差が生じている状況にある。
 加えて,感染症等の予防及びまん延予防を目的として実施している予防接種は,国が定める「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の基本的な方向である国民の健康寿命の延伸や健康格差の縮小に大きく寄与するものであるが,その実施に当たっては,自治体が費用の一部を負担しており,その財政負担が非常に大きく,自治体の財政状況を圧迫している。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 被保険者の所得に対する保険税負担割合の抑制を図り,かつ,国民健康保険が安定的かつ持続的に運営できるよう,国庫補助の増額等財政支援を拡充し,財政基盤の強化を図ること。

2 医療費助成の現物給付方式の実施に伴う普通調整交付金及び療養給付費負担金の減額措置を廃止すること。

3 子どもに係る国民健康保険税の均等割額については,子育て世帯の負担軽減を図るため,国による財源措置を含めた軽減制度を創設すること。

4 子どもの医療費助成制度について,全ての国民が安心して子どもを産み育てられるよう,国の責任において全国一律の制度を創設すること。

5 定期予防接種に係る費用については,全額国庫負担とすること。


議案第16号

福島県市長会提出

福祉施策及び介護保険制度の充実強化について

 誰もが安心して暮らせる地域社会を築いていくため,障がい者への支援や高齢化社会に対応した福祉施策の強化が求められている。
 また,急速に進む高齢社会を支える介護保険事業は,給付費増による事業運営の圧迫等の課題が顕著となっている。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 福祉・介護分野において,事業が継続され,事業者が質の高い人材を安定的に確保できるよう,適切な水準の介護報酬の設定など福祉・介護職員の処遇改善及び幼少期からのキャリア教育など福祉・介護職のイメージアップの取組や事業所への紹介事業など福祉・介護人材の確保につながる更なる対策を講じるとともに,人材不足を補うためのICT化の更なる推進を図ること。
 なお,福祉・介護職員の処遇改善に当たっては,介護保険料や介護サービス費,福祉サービス費の自己負担増とならないよう財政支援を図ること。

2 地域生活支援事業の費用負担割合は国が事業費1/2以内,県が1/4以内であり,残りを市町村が負担することとなっているが,国・県から市町村への補助金(補助率)が年々減少傾向にあり市町村の財政負担が増加していることから,安定的な事業継続を図るため,十分に市町村と協議の上,補助率の下限を設けること等により早急に十分な財源を確保すること。

3 障害福祉サービス等利用に係る計画相談支援事業について,計画相談支援を行う特定相談支援事業所やサービス等利用計画を作成する相談員の不足が課題となっていることから,これらの増加を図るため,計画相談支援給付費の実態に即した加算,相談支援従事者養成研修の受講機会の拡大,報酬体系の見直しなどの対策を早急に講じること。

4 手話の理解,普及については予算や対応など自治体により地域格差があるが,全ての国民が,障がいの有無によって分け隔てられることなく,相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには,手話が音声言語と対等な言語であり,ろう者にとって必要な言語であることを国民に広め,聞こえない子どもが手話を身につけ,手話で学べ,自由に手話が使える環境,更には手話を言語として普及・研究できる環境を整備するなど,法制度の整備と拡充を図ること。

5 高齢者が運動機能の低下により移動等が困難になり日常生活に支障をきたすことがないよう,また,運動機能が低下した高齢者が自宅等に閉じこもることのないよう,自らの意思で円滑に移動できる環境を整備する自治体独自の施策に呼応し,「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」をより一層推進し,施設のバリアフリー化等高齢者を取り巻く環境改善を図るための財政措置を講じること。
 また,自治体においては高齢者が住みなれた地域で日常生活を送ることを目標に,地域支援事業等の国の制度を活用しながら様々な高齢者施策を推進しているが,更なる施策推進のための財政支援を講じること。

6 介護保険財政の健全な運営のため,将来にわたって地方自治体の財政負担が過重とならないよう,各自治体の実態を踏まえながら,介護及び介護予防に係る給付費並びに一般介護予防事業に係る地域支援事業費の国庫負担割合を現行の20%から引き上げ,調整交付金を別途配分するなど,更なる財政基盤の強化により,介護保険料上昇の抑制に努めること。
 また,40歳から64歳までの医療保険加入者が65 歳到達により,年金からの特別徴収に切り替わるが,切り替えまでの一定期間は普通徴収となるため,特別徴収に切り替わるまでの期間の介護保険料について未納が発生しやすいことから,徴収方法の改善措置を講じること。

7 平成27年4月に導入された公費による低所得者の介護保険料軽減制度について,低所得者の高齢者が支払う保険料の軽減に対する補填は,国の責任において負担割合を見直し,国の負担比重を大きくすること。

8 平成27年4月に導入された介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)について,介護予防に積極的に取り組むことにより,利用者が増えると上限額を超える場合も想定されるが,上限額超過分は国県補助等の対象とならないことから,上限額を超えた場合には国や県からの財政負担を強化する制度改正を図ること。
 また,総合事業の多様なサービスの展開を促進するため,NPO法人やボランティア団体などが補助制度を活用し新たな介護サービス提供者となり得るよう参入しやすい環境を整えるとともに,人材育成策を支援すること。

9 平成30年4月1日より,居宅介護支援事業所における管理者の要件については主任介護支援専門員と定め,一定の経過措置期間として令和3年3月31日までとされたが,主任介護支援専門員になるためには主任介護支援専門員研修を終了する必要があり,当該研修を受講するための要件の一つに「介護支援専門員として従事した期間が5年以上の者」と定められていることから,経過措置期間を6年以上とすること。


議案第17号

青森県市長会提出

子どもの発達障害支援政策の充実強化について

 発達障害について支援が必要な子どもには,早期から一貫した支援を行うことで,子どもの健やかな成長を促すことができることから,早期発見,早期支援の重要性が高まっている。独自で事業を開始し,要支援児の早期把握と早期支援開始につなげている市町村がある一方,その事業を継続するためには,支援する側の人材不足や支援機関・検査機関の不足,財源等の課題がある。
 また小学校就学後においては,大部分の授業を在籍する通常の学級で受けながら,一部の時間で障がいに応じた特別な指導を受ける,「通級による指導」を必要とする児童生徒は年々増加傾向にあり,定数に対する指導教員の不足から,個々の児童生徒に対する指導時間数が不足しているのが現状である。平成29年4月の法改正により,「通級による指導」の教職員定数が児童生徒13人に1人と基礎定数化が決定されたものの,10年間の段階的な経過措置が明記されたことにより,速やかな増員がされていない。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 発達障害の早期発見に独自に取り組んでいる市町村へ財政支援を講じ,また発達障害の診断に係る初診待機を解消する取組を強化するなど,早期発見・早期支援につながる体制の充実強化を図ること。

2 子どもたち一人一人の個性や可能性を伸ばし,教育的ニーズに応じた指導・支援が実践できる教育環境を整えるため,「通級による指導」の教職員基礎定数化に係る10年間の経過措置を撤廃し,児童生徒の実態に合わせた教員の増配置を早急に実施すること。



議案第18号

福島県市長会提出

子育て環境の充実について

 自治体は,子どもたちに一番近い立場で,子どもたちの視点に立ち,全ての子どもの健やかな育ちを目指して,子どもたちを中心とした支援策を創意工夫し,その実施にまい進している。
 本年10月1日から幼児教育・保育の無償化が開始されたが,認可外保育施設の質の確保・向上をはじめとする,幼児教育・保育の無償化に関する様々な課題について,PDCAサイクルを行う,国と地方のハイレベルによる「幼児教育の無償化に関する協議の場」において,具体的な協議が進められている。
 自治体は,子どもたちの命を預かる立場から,適切に対応していく所存である。
 よって,国は,子どもたちのための無償化が自治体の意見を踏まえた望ましい形で推進されるよう,また,子育て世代の誰もが一律の支援が受けられ,安心して子どもを生み育てる環境を整えるため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 幼児教育・保育の無償化における認可外保育施設の質の確保・向上をはじめとする様々な課題について,PDCAサイクルを行う「幼児教育の無償化に関する協議の場」での議論を踏まえ,都市自治体の意見を充分に反映すること。

2 出生率の低下に歯止めをかけるため,妊娠・出産を望む男女が全ての自治体において十分な治療が受けられるよう,不妊治療の実情を踏まえ,給付額の増加や助成回数の増加など経済的負担軽減につながる特定不妊治療助成事業の更なる拡充を図ること。

3 子ども・子育て支援法に基づき市町村が支弁する施設型給付費等の支給に要する費用について,市町村の負担が増大していることから,子どものための教育・保育給付費国庫負担金について現行制度の負担割合を見直すこと。

4 放課後児童クラブを利用する低所得世帯等を対象に利用料の減免を行った場合に,その減免した額に対する補助制度を創設すること。
 また,学校施設への放課後児童クラブ整備に伴い生じる,特別教室の移設費用やリース費用等についても補助対象とすること。
 また,「放課後児童クラブ支援事業」における賃借料補助については,補助対象が平成27年度以降に新たに実施する場合等と限定されているため,実施団体間の公平性が保てるよう,補助制度の見直しを行うこと。

5 多額の費用を要する学校施設の改築や大規模な改修は,自治体単独の負担で実施することは極めて困難であることから,次代を担う子ども達の安全・安心な教育環境を確保するためにも,公立学校の改築や大規模な改修に対し,実態に即して補助単価を引き上げるとともに,十分な財政措置を講じること。
 更に,小中学校のICT環境整備を進めるため,自治体の財政負担を軽減し,整備を加速化するため,補助制度を創設すること。
 また,近年の猛暑の状況を踏まえ,児童・生徒が快適に学習できる環境を確保し,一刻も早く熱中症等による健康被害を防止する観点から,リース方式により整備した冷房設備の購入についても学校施設環境交付金の対象とするなど財政措置を講じること。

6 保護者の教育費負担軽減のため,学校給食の公費負担のあり方について検討すること。

7 小中学校及び幼稚園の特別支援教育支援員について,必要に応じ確実に配置するために,専門職員配置の義務化や,新たな補助制度を創設するなど財政措置の更なる拡充を図るとともに,特別支援学級においては,障がい種別が重複化・多様化及び対象児童生徒の増加が進んでいることから,現在8人1学級編成としている基準を1学級3~6人程度へと引き下げること。
 また,不登校児童生徒が増加傾向にあることから,適応指導教室の施設整備及び専門的な人員配置を拡充するための財政支援を行うこと。

8 学校の統廃合に伴い遠距離通学の支援を継続していくため,へき地児童生徒援助等補助金に基づくスクールバス等の委託料に係る現在の年限(5年間)を廃止すること。


議案第19号

宮城県市長会提出

教育環境の充実について

 学校を取り巻く環境は,いじめ・不登校問題をはじめ,特別な支援を必要とする児童生徒の増加など複雑・困難な状況にある。
 小中学校の特別支援学級においては,在籍児童生徒の増加や障害の重複化,多様化に伴い,個別の教育的ニーズに応じた適切な対応と人的配置が課題となっている。加えて,通常の学級における発達障害児の増加に伴い,通級指導教室や特別支援教育支援員の必要性も増しているが,国の財政措置(地方交付税)による人員の配置は,自治体の財政状況により異なり,自治体によっては十分な配置が図られていない現状にある。
 また,特別な教育的支援を必要とする児童生徒のための医療・福祉との連携や保護者支援等,連絡・調整を担う特別支援教育コーディネーターの存在は大きい。特に近年,早期発達支援の充実が求められており,「幼保小連携」のパイプ役となる小学校におけるコーディネーターの役割の重要性が増している。
 一方で,学校施設の整備に目を向けると,老朽化した校舎の長寿命化や児童生徒が安心して学校生活を送るための教育環境の改善など,様々な課題への対応が求められている。特に,昨今,記録的な猛暑が続き,児童生徒の熱中症予防や学習効果の向上を図るためには,学校施設への空調設備設置を早急に進めることが求められている。
 そのような中,国では,平成25年度に国庫補助事業の改善として「長寿命化改良事業」を創設し,平成30年度第1次補正予算においては,「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」を設けたところである。
 しかしながら,近年,国の公立学校施設の改修・整備に係る交付金は減少しており,多くの自治体で事業採択が見送られている状況にある。また,空調設備設置等に係る交付金については,今回の補正予算限りの特例的な財政支援であり,設置後の維持管理経費等の負担が多大になることが見込まれる。
 多額の経費を要する学校施設の整備を自治体単独で継続的に実施していくことは困難であり,国の財政支援は必要不可欠である。
 よって,国は,教育環境における上記のような現状を踏まえ,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 小中学校の特別支援学級における学級編制基準の見直しを行うこと。

2 特別支援教育支援員について,国庫補助制度の創設や国又は県による人的配置を検討すること。

3 小中学校における特別支援教育コーディネーターの専任配置を進めること。また,通級指導教室を設置できるよう,通級指導に係る基礎定数の改善を図ること。

4 学校施設の整備に係る必要な財源を確保し,確実な財政措置を講じること。

5 学校施設の整備に係る国庫負担金・交付金の算定基準単価が実勢の建築単価と大きく乖離していることから,実勢価格に見合った算定基準単価へ見直しを図ること。

6 空調設備設置においては,普通教室,特別教室以外の管理諸室等への整備が可能となるよう十分な財政措置を講じるとともに,財政負担の平準化及び整備期間の短縮を可能とするリースを活用した整備についても財政措置を講じること。

7 空調設備設置後のランニングコストや,今後も必要となる設備の更新等についても,必要な財政措置を講じること。


議案第20号

青森県市長会提出

農業政策の充実強化について

 近年,農業を取り巻く情勢は,農業従事者の高齢化や担い手不足,生産調整,飼料・資材の高止まり,耕作放棄地の発生など様々な問題を抱えており,特に地域農業の担い手の育成・確保は喫緊の課題となっている。
 国は,青年就農意欲の喚起と就業後の定着を図るため,経営の不安定な就農初期段階の新規就農者に対し支援し,次世代を担う農業者の確保・育成に向け,「農業次世代人材投資事業」を実施しており,これにより,若手の新規就農者数も比較的高い水準で推移してきたところであり,担い手の確保に重要な役割を果たしている。
 しかしながら,今年度の当該事業の予算は減額され,新たに農業を目指している大部分の就農者が,事業の支援を受けられない状態であり,新規就農を志す者の意欲の喪失や,農業担い手確保への取組気運の停滞が懸念される状況となっている。
 よって,国は,新たに農業を目指す就農者の意欲の減退を招くことのないよう,「農業次世代人材投資事業」について,交付要件を満たす全ての者が支援を受けられるよう,十分な財源を確保するよう要望する。






議案第21号

山形県市長会提出

農業次世代人材投資事業の継続と予算の確保,並びに交付要件について

 人口減少と高齢化により,担い手不足は全国的にも大きな課題となっている。
 地方自治体では,基幹的農業従事者が減少している一方,新規就農者が伸び悩んでいるため,リタイアする農業者を補えない状況にあることから,新たに新規就農者の育成・確保に向けた独自の支援メニューとして,「農業研修奨学金制度」や国・県補助事業の対象とならない小規模な農業用機械・施設の整備などを支援する,「オーダーメイド型の補助金制度」を創設したところがある。
 さらには,首都圏等域外から若者を呼び込み新規就農者を育成するため,農業経営者育成学校「SEADS(シーズ)」の整備を進めているところもある。
 新規就農者の育成・確保を支援する国の農業次世代人材投資事業は,就農前の研修を支援する「準備型」,就農後の経営確立を支援する「経営開始型」があり,新規就農者の育成・確保の重要な支援ツールとなっているとともに,「SEADS」の研修においても,人材投資資金(準備型)の活用を前提に準備を進めているところである。
 しかしながら,給付年齢や交付対象要件が緩和されているにも関わらず,予算が削減されている状況にある。
 よって,国は,次世代人材投資事業の制度の継続と十分な予算を確保するとともに,給付にあたっては,これまで同様,地域の実情に合わせて市町村の裁量で給付できるよう,要望する。

   

  



     

議案第22号

岩手県市長会提出

農林水産業政策の充実強化について

 農業は地域経済を支える基幹産業であり,特に水稲は主要な作物として食料安定供給に重要な役割を果たしているが,米消費が減少傾向にある中,国では生産数量目標の配分を廃止するとともに,米の直接支払い交付金を廃止するなど,米政策に不安を感じている農業者は多い。
 また,経営所得安定対策の対象者要件が,認定農業者や集落営農組織等とされており,中山間地域においては,耕作地が少なく集落営農組織等を設立することが困難であり,高齢化や人口減少による農業就業者の減少により,中小規模農家による就農が大半を占める地域が存在している状況にある。
 さらに,TAG交渉,TPP交渉,EU・EPA交渉,RCEPなどの経済連携協定の協議に際しては,今後の輸出量の増加を想定した試算が必要であり,我が国としての輸出戦略も同時に明示されるべきである。併せて,農林水産業の生産減少額だけでなく,雇用の喪失額,水田による洪水防止,地下水かん養機能などの多面的機能の喪失額など,幅広い見方が必要であり,中山間地域の農業の持続可能な支援策についても同時に策定する必要がある。
 一方,畜産・酪農においても,高齢化や後継者不足は深刻さを増し,離農も進んでいる状況にある。このような中,更なる経営の効率化や労働負荷低減のため更なる機械導入が課題解決方法の一つであり,使用頻度の高い家畜運搬車両が望まれている。
 さらに,水産業においては,豊かな水産資源とリアス海岸の地形を生かして古くから漁業が盛んに営まれてきた三陸沿岸地域においても,近年は,漁獲量が減少傾向にあり,漁業者にとって将来にわたる漁業経営に対する不安が生じるとともに,水産加工業をはじめとする関連産業への影響も顕著となっている。
 漁獲量の減少は,東日本大震災による海洋環境の変化や地球温暖化による漁場の変化のほか,大量の漁獲や若齢魚の漁獲,さらには産卵前の親魚漁獲など,資源の回復力を超えた漁獲が行われていることなどに起因していると言われている。
 よって,国は,地方における重要産業である農林水産業が,将来にわたり持続的発展が図られるよう,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 農林水産関係者の意見を踏まえ,農業や漁業に関わるものが将来にわたって意欲を持って経営を継続できるよう,農林水産関連施策の一層の充実を図るとともに,地域経済の安定化を図る施策の強化を図ること。

2 持続的に農業経営に取り組めるよう米価下落等に対するセーフティネットの整備をはじめ,需要に応じた生産を可能とする情報提供など万全の支援措置を講じるとともに,水田活用の直接支払交付金については,地域の特色ある魅力的な産地づくりが図られるよう産地交付金を拡充するなど,十分な予算措置を講じること。

3 経営所得安定対策については,地域の実情を反映し,農業の大半を支えている中小規模農家に対しても支援措置を講じるよう制度を拡充すること。

4 各経済連携協定の進捗状況を踏まえ,主要な農産物の影響額と対応策を明示すること。

5 中山間地域の条件不利地域等については,一層の体質強化が図られるよう,品質向上や高付加価値化等による収益力向上のための支援など,必要な措置を講じること。

6 畜産クラスター事業における補助対象機械装置に家畜運搬車両を加えること。

7 水産政策の改革の着実かつ適切な推進に向け,永続的で適切な漁業資源の管理について,調査・研究を充実しその把握に努めるとともに,科学的で合理的な資源管理施策を一層促進すること。
 また,サケやサンマ,サバのような北太平洋を広く回遊する魚種の資源管理については,これまで以上に国家間及び広域的な取り組みの促進と連携の強化を図るとともに,沿岸漁業における採介藻漁業の資源管理については,密漁などの法令違反行為を防ぐよう,より一層の取締りの強化を図ること。

8 諸外国における三陸産水産物などの輸入規制に関し,輸出再開に向けた取り組み強化と関係する漁業者の救済を図ること。

9 太平洋クロマグロの漁獲可能量(TAC)配分枠の策定にあたっては,適切な漁獲配分となるよう,十分な調整を図るとともに,資源管理に伴う漁業経営への影響緩和策の拡充を図ること。

10 サバ等については,付加価値の高いサイズの漁獲を促進し,資源の有効活用による水産業の成長産業化を図るとともに,三陸沿岸におけるサケ,サンマ,スルメイカなどの主要魚種の漁獲量の減少に伴い,加工用原料の確保が困難になっていることから,その安定確保に向けた施策の充実を図ること。
 また,東北太平洋沿岸における秋サケの回帰低下が深刻化していることから,種苗放流に関する支援をはじめ,回帰向上に向けた試験研究の取り組みなどの強化を図るとともに,ホタテガイやカキなどの貝毒に関する調査・研究の取り組み及び養殖漁業者の経営支援策について,充実・強化を図ること。


議案第23号

山形県市長会提出

森林環境譲与税の使途及び譲与基準について 

 

 今年度から森林環境譲与税が譲与されることになったが,私有林人工林面積(50%),林業就労者数(20%),人口(30%)とする現在の譲与基準では「私有林人工林を有し人口の少ない市町村」より「私有林人工林を有さず人口が多い市町村」に多くの額が譲与されることになっている。
 森林環境譲与税の使途は,森林整備,人材育成・担い手,木材利用促進,普及啓発等となっており,私有林人工林を有する市町村は,森林経営管理法において私有林人工林を対象に市町村が経営管理の中心的役割を担い,管理(森林整備)を計画的かつ安定的におこなう責務が課せられ,その財源に充てる費用となる。
 その反面,私有林人工林を有せず人口の多い市町村は,森林経営管理制度による経営管理をおこなう必要が無く,木材利用促進や普及啓発に多額の譲与税を用いることになる。
 また,本制度を通し森林整備を推進することは,最近の多発する災害の治山対策という行政の大きな課題に対して寄与できるものと考える。
 よって,国は,森林環境税と森林環境譲与税の趣旨,森林経営管理法の目的に照らし,譲与基準について所要の見直しを行うよう,要望する。


 





議案第24号

山形県市長会提出

東北観光復興対策交付金の継続について

 東北観光復興対策交付金は,東日本大震災の影響で観光客が伸び悩む東北地域の観光復興を支援するために創設された支援制度であるが,令和2 年度までとなっている。
 外国人の来訪者が全国的に増えている中,東北地方への来訪者の割合が依然として低いのが現状であり,全国的なインバウンド急増の流れから大きく遅れている状況にある。
 よって,国は,外国人来訪者の割合をより増やすために,令和3年度以降も東北観光復興対策交付金を継続されるよう,要望する。


 




議案第25号

青森県市長会提出

国土交通政策の充実強化について

 

 地域公共交通は,人口減少やモータリゼーションの進展等により,利用者が年々減少し,その維持確保が大変困難な状況になっている。地域公共交通網形成計画等により,それぞれの地域が実情に応じた対策を進めている中,国の予算の確保が不十分であるため,地方に必要な支援が行き届いておらず,特に人口の集中する都市部と違い,急速な人口減少により運送収入が伸びない地方部にあっては,地域公共交通の維持確保が危ぶまれている。
 また,青森県南・下北地域及び岩手県北地域における高速交通の要衝として,経済社会の発展と県民生活の向上に大きな役割を果たしている国管理空港である三沢空港は,関係機関,関係団体等による積極的な利用促進活動もあり,搭乗率が年々上昇する傾向にあるものの,繁忙期においては国有,市有駐車場の駐車スペースの確保が困難となるほか,駐車場の管理者が異なることから,動線確保が困難な状況であるとともに,段差も多く,利用者にとってユニバーサルデザインとなっていない稀有な環境にある。加えて市有駐車場は,国有駐車場と比較すると空港ターミナルビルまでの動線が長いことや,民間会社の社員用駐車場内を通行し,車道を三度も横断する必要があり,立地環境は良好ではなく,不便な状況となっている。
 よって国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 地域公共交通を維持確保するため,地域公共交通確保維持改善事業に係る必要予算額を確保し,補助率の引き下げや補助要件の引き上げ等は,都市部と地方部を取り巻く環境の違いを勘案すること。

2 三沢空港の利用者が安定的に駐車場を利用できるように,現在の空港敷地内だけでなく,隣接地も含め,地域の交通拠点として三沢空港の一体的な整備を行うこと。


議案第26号

岩手県市長会提出

地域公共交通の充実について

 地方都市の公共交通は,人口減少,少子高齢化,マイカーの普及などにより利用者数が低迷を続け,路線の減便や廃止が相次いでいる。その中で高齢者や学生等のマイカーを持たない住民の足をいかに確保し,維持していくかが喫緊の課題である。
 県内では,BRTをはじめ,路線バス,乗合タクシー及びデマンド交通の運行とともに,復旧・復興の状況や日々変化する市民ニーズに対応しながら,運行経路の見直しやバス停の新設等に取り組んでいる都市や,高齢者や学生等の移動手段確保のためのコミュニティバスやデマンド交通の運行等に取り組んでいる都市などがあるが,いずれも財政負担の増加など,公共交通の維持確保が非常に厳しいのが現状である。
 また,国の支援の基準を満たさない利用者が少ない非効率路線は拡大傾向にあり,令和2年度をもって被災地特例(特定被災地域公共交通調査事業)が終了となることから,バス路線の減便・撤退が進み,地域公共交通を維持確保する上での負担が大きくなることが憂慮される。
 よって,国は,市民生活に欠かすことのできない地域公共交通の維持確保のため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 利用しやすい公共交通ネットワークの構築を図るための新たなサービスを導入するにあたり,全国の地方都市が抱えている課題を把握し,必要に応じた法律の改正や規制緩和等を早急に検討すること。

2 令和2年度末の被災地特例終了後において,復興公営住宅が整備された地区を通る路線バス等を補助対象とする恒久的な財政支援を講じるとともに,広域路線バスやコミュニティバス・デマンドバスに対し,引き続き1 日あたり輸送量等の国庫補助要件の緩和措置を講じること。

3 広域・幹線バス路線の補助要件の緩和など,地域公共交通確保維持改善事業の制度拡充を図るとともに,必要な財源を確保すること。

4 地方公共団体等が運行するコミュニティバス,デマンド交通等に対する財政支援措置の拡充を図ること。



議案第27号

岩手県市長会提出

道路・橋梁・港湾等の整備・維持管理に係る財政支援等の充実について

 市民生活の安全・安心の確保には,社会的基本インフラである道路・橋梁等の整備及び適正な維持管理が重要であるが,これらの社会資本ストックは,高度経済成長期に集中的に整備されており,今後,急速に老朽化が進み,維持管理費・更新費が増大することが見込まれる。
 一方,少子高齢化が進展する中,子どもから高齢者までが安全で快適に暮らせるまちづくりを進めるためには,道路ネットワークによる地域・拠点の連携や未整備区間の解消を図るなど,今後においても長期間にわたり,計画的に道路・橋梁等の社会基盤の整備に取り組む必要がある。
 地方自治体においては,厳しい財政状況の中,社会資本整備総合交付金,防災・安全交付金等を活用し,計画的な施設更新や長寿命化対策等に取り組んでいるところであるが,近年,予算要望額に対する国費配分額が低い状況にあり,計画的な事業の推進に支障が生じている。
 また,港湾は,住民の生活,地域の産業活動を支える基盤として,重要な役割を担っているほか,大規模な災害発生時において,支援のための人や物資の受入・搬送の拠点としての役割や,周辺地域・背後圏である内陸部への緊急物資等受入の拠点としても重要な役割を担うことから,有事に備え,早急な整備が必要である。
 よって,国は,道路・橋梁・港湾等公共施設の社会基盤の整備・維持管理を長期的・安定的に行い,国土強靭化を推進するため,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。



1 道路・橋梁等の社会基盤の整備並びに老朽化に伴う維持修繕,更新等に係る調査及び修繕に対する国の補助制度及び地方債措置等の財政措置等を拡充すること。

2 重要港湾「釜石港」は,主要物流拠点としての機能が強化され,外貿コンテナ定期航路も開設し取扱量の増加が期待されることから,東北横断自動車道釜石秋田線など「重要物流道路」として指定された路線について,引き続き機能強化や重点整備・支援を行うこと。

3 東北横断自動車道釜石秋田線の花巻~釜石間へのアクセス向上による利便性を高めるため,花巻パーキングエリアへのスマートインターチェンジ整備の早期事業化を図ること。

4 国道4 号の北上市村崎野地区及び花巻市山の神地区の交差点改良の早期完成と北上・花巻市境における4 車線拡幅整備の早期事業化を図ること。

5 災害発生時における災害派遣,物資,避難者等の輸送手段を確保するため,早急に岸壁の耐震化を行うこと。



議案第28号

福島県市長会提出

国土交通政策の充実強化について

 道路,港湾,河川,砂防,下水道,街路,鉄道,空港等の社会資本の整備及び維持管理は,安全・安心な社会生活を確保するために必要不可欠である。
 特に,近年,頻発する集中豪雨や記録的な大雪等により多くの被害が発生していることなどにより,自治体への財政的な負担が増加することが危惧される中,安全で災害に強いまちづくりのため,インフラの整備はもとより,ソフト面の対策も重要となっている。
 また,人口減少,マイカーの普及等により地域の公共交通機関の利用者数は低迷しており,路線の減便や廃止が相次いでいる中,高齢者等の足をいかに確保し,維持していくかが喫緊の課題となっている。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 社会資本総合整備計画に基づき,継続した事業の実施が確実にできるよう,社会資本整備総合交付金及び防災・安全交付金について,十分な予算を確保すること。

2 道路,橋梁等の老朽化に伴う維持修繕,更新等に係る調査及び修繕に対する十分な財政措置を講じること。
 また,慢性的に渋滞が発生している区間に更に負荷が増大することとなる道路整備が行われる場合においては,渋滞解消を図る調査を実施すること。
 また,「景観・観光」,「安全・快適」,「防災」の観点から推進されている無電柱化について,自治体における事業に対する十分な財政措置を講じること。

3 国際バルク戦略港湾政策の実現に向け,滞船の解消や沖防波堤等の早期整備を図るとともに,既存施設の再整備・再編による機能高度化を図ること。

4 自治体が実施する雨水幹線整備,河川整備や河道掘削・樹木伐採等の浸水被害対策及び局地的な豪雪に対する雪害対策に対し,十分な財政措置を講じること。
 また,降雪期の過酷な雪国の現状を踏まえ,特に過疎化・高齢化が進行し,単なる除雪だけでなく自治体が地域住民の安全・安心な生活を守らなければならない自治体としての役割が増加している観点から,除雪費の財源充実・確保を図ること。

5 下水道の公共的役割に対する国の責務の観点から,下水道施設の改築に対する国費支援を確実に継続すること。
 また,自治体が実施する下水道の基幹事業と一体となって行う末端管渠整備について,平成27年度から社会資本整備総合交付金の対象外となったが,汚水処理施設未普及地域の早期解消(10年概成)の実現に向け,社会資本整備総合交付金の効果促進事業の対象とすること。
 また,現在の防災・安全交付金事業における耐震化は,南海トラフ・首都直下型地震の地域等を主な対象としているので,その他の地域についても既存の下水道施設耐震化に係る国費支援を拡充すること。

6 東日本大震災においては,境界が予め明確になっていた地域が復旧・復興工事に迅速に着手することができ,地籍調査の重要性が改めて認識されたことから,災害や頻発する豪雨災害等へ備えるため,調査体制を整える自治体の意欲に応え,当初予算において満額措置すること。
 また,地方財政が非常に厳しい状況であることから,地籍調査の促進を図るために,調査費の国庫負担率の引き上げと補助対象経費の拡充及び特別交付税措置を堅持すること。

7 新幹線鉄道の沿線地域における騒音・振動対策については,かねてより国土交通省の指導のもとJR東日本が対策を講じ,一定の改善効果が認められるものの,依然として環境基準値を超える地点が点在していることから,沿線住民の良好な生活環境の保全を図るため,新幹線鉄道の騒音・振動の低減について事業者に対し適切な指導を講じること。

8 福島空港については,平成29年3月に福島県が警視庁と「福島空港における富士山等の噴火時の待避場所の確保に関する覚書」を締結するなど,今後想定される大規模災害に対応できる防災拠点空港としての役割も期待されているので,福島空港を含めた周辺地域を,首都圏などの補完機能を備えた東北圏域の防災施設の中核となる基幹的拠点として位置付けること。また,福島空港の防災拠点としての機能を,国の防災基本計画の中に位置付けること。

9 災害時の避難所として利用される公民館などの社会教育施設の耐震化について,社会資本整備総合交付金,防災・安全交付金等を活用し,耐震診断,耐震改修等を進めているところであるが,交付率の嵩上げや補助対象限度額の引上げ及び防災拠点に位置付けられていない施設への対象の拡大など,更なる財政措置の拡充を行うこと。

10 地方が安全・安心な暮らしや,人と人との交流が盛んな活力ある地域を形成していくために,充実した公共交通を維持していくことが重要であることから,地域公共交通の安定維持に向け,地域公共交通確保維持改善事業における補助対象要件の緩和,補助率の拡充及び財源の確保を図るとともに,新たな交通手段の導入に係る支援策を講じること。
 また,地域の実情に応じ自治体が運行する,コミュニティバスやデマンドタクシー等の地域公共交通に対する財政支援措置を拡充すること。



議案第29号

秋田県市長会提出

交通体系の整備促進について

 産業・経済・文化の活性化を図り,地域の発展と市民生活の向上を目指すため,運輸・交通体系の整備促進は重要な課題である。
 特に高速自動車道は,広域大規模災害に際して救援・援護活動の迅速な展開や支援物資の搬送等にその役割を遺憾なく発揮し,地域間や広域的な連携の重要な基盤として,ミッシングリンクを解消し,ネットワークの早期完成が強く求められているところである。
 よって,国は,運輸・交通体系の整備のため次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 日本海沿岸東北自動車道の早期整備・早期完成を図ること。

2 日本海沿岸東北自動車道の既供用暫定2 車線区間の正面衝突事故防止対策を推進するため,ワイヤーロープ式防護柵を導入すること。

3 秋田自動車道(北上JCT~大曲IC間)の4車線化を進めるとともにスマートICを設置すること。

4 東北中央自動車道新庄・湯沢間の早期整備・早期完成を図る こと。

5 西津軽能代沿岸道路の整備促進を図ること。

6 国道7 号の整備促進を図ること。

7 秋田・山形・福島の3県を縦貫する極めて重要な産業基幹道路である国道13号の全線4車線化を図ること。

8 国道46号の整備促進を図ること。



議案第30号

宮城県市長会提出

交通体系の整備促進について

 産業・経済・文化の活性化を図り,地域の発展と市民生活の向上を目指すため,高速交通体系の整備促進は重要な課題である。
 よって,国は,次の事項について特段の措置を講じるよう要望する。


1 高規格幹線道路として,
・ 三陸沿岸道路の早期全線供用に向け整備促進をすること。
・ 仙台北部道路の4 車線化及び富谷ジャンクションのフルジャンクション化の整備促進を図ること。

2 地域高規格道路として,
・ みやぎ県北高速幹線道路の整備促進を図ること。
・ 仙台空港と東北縦貫自動車道を結ぶ緊急輸送路の整備を直轄事業として取り組むこと。
・ 地域高規格道路候補石巻新庄道路を早期に計画路線に指定すること。
・ 復興支援道路として位置付けられた国道284 号の高規格化の早期実現を図ること。
・ 広域的な横断道路として,白石・角田・山元間の東北縦貫自動車道及び国道4号と常磐自動車道及び国道6号を連結する地域高規格道路を指定し整備を図ること。

3 一般国道として
・ 国道4号における4車線拡幅の未事業区間について,早期に事業化を図ること。
・ 緊急輸送路である国道47 号の道路改良を通常予算の別枠で実施すること。
・ 国道349号の道路改良及び自歩道の整備促進を図ること。