第83回全国市長会議 決議

都市税財源の充実強化に関する決議

 今日の地方財政は、社会保障関係費の自然増や防災・減災事業、地域の活性化等の課題に対応するために必要な財源が年々増加していることなどにより、徹底した行財政改革努力にもかかわらずなお巨額の財源不足が生じている。本来は、地方交付税の法定率の引上げ等により対処すべきであるが、臨時財政対策債等による財源補てん措置により一般財源総額が確保されているところである。
 平成 25 年度地方財政計画において、国家公務員と同様の給与削減を実施することを前提として、地方固有の財源である地方交付税を一方的に削減したことは断じて許されるものではない。
 都市自治体は、住民の最も身近なところで福祉、医療、介護、教育、消防、清掃など住民生活に直結した広範な行政サービスを担っており、都市の財政需要は、今後も増加し続けるものと見込まれる。とりわけ、住民の安全・安心な生活を守るため、老朽化した道路・橋梁、学校施設等を改修するなど喫緊の課題も抱えており、それらに対応するためには安定的な財源の確保が不可欠である。
 よって、国は、都市自治体の行政の現場の実態をよく踏まえ、都市税財源の充実強
化を図るべきであり、下記事項の実現を強く要請する。



1.地方税財源の充実強化
(1)地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。
 また、都市自治体が行う住民生活に直結した行政サービスの財政需要の急増と多様化に迅速かつ的確に対応できるよう、一般財源を充実確保する観点から、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築すること。
(2)自動車取得税については、その税収の7割が市町村に交付されており、その見直しに当たっては、都市財政運営に支障が生じることのないよう安定的な代替財源を必ず確保し、この措置が同時に実施されない限りは、現行制度を堅持すること。
 また、自動車重量税の見直しに当たっては、今後、都市自治体においても、道路の維持管理・更新等に多額の財源が必要となることから、税収の4割が市町村に譲与されている現状を踏まえ、都市財政運営に支障が生じることのないよう、所要の財源を確保すること。
(3)償却資産に対する固定資産税は、資産課税としての性格を踏まえ、「機械及び装置」に対する課税や取得価額の5%を評価額の最低限度とする現行制度を堅持すること。
(4)ゴルフ場利用税については、その税収の7割が交付金としてゴルフ場所在市町村に交付されており、ゴルフ場関連の財政需要に要する貴重な財源となっていることから、現行制度を堅持すること。
(5)地球温暖化対策のための税については、地球温暖化対策など環境施策において都市自治体の果たしている役割及び財政負担を十分勘案し、その役割等に応じた税財源を確保する仕組みとすること。

2.地方交付税総額の確保と法定率の引上げ
(1)都市自治体が直面している医療、介護、子育て等社会保障などの経常的行政サービスや、道路・橋梁、学校等の改修費用などの増大、地域の人口動態や行政区域の拡大等に伴う都市自治体の財政需要を的確に地方財政計画に反映させ、必要な地方交付税総額を確保し、地方公共団体の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障する地方交付税の持つ財源調整・財源保障の両機能を強化すること。
(2)恒常的な地方交付税の財源不足については、臨時財政対策債によることなく、地方交付税の法定率の引上げ等により対応するとともに、地方自治体の固有財源である「地方交付税」を特会直入とする「地方共有税」に変更すること。

以上決議する。

平成 25 年6月5日

第83回全国市長会議